【問題児たちが異世界から来るそうですよ?~え?御一人様追加ですか?~】   作:湊クレナイ

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ギフトゲーム名:『焔の檻』
・プレイヤー一覧 来馬(くるま) (はく)
 
・クリア条件 金のゴブレットに正しき星の加護を与え、檻を開ける事。
・敗北条件  プレイヤー側の降伏。
       三回目の回答が不正解だった場合。
 
・詳細 ルール
*プレイヤー側には三回の回答権がある。 
*プレイヤーは回答を失敗する毎に規定されたペナルティを受ける。
*手持ちのカードはゲーム中に紛失しても直ぐに手元に再生される。
*勝利条件以外での檻の破壊、脱出行為を行った場合、即失格。

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、『ギフトゲーム』を開催します。

                          『サウザンドアイズ』印】

白銀の世界が赤い光に照らされる。
その光の発生源は1人の少年を中心に囲む金のゴブレットから生まれた炎の檻。
十二時の方向、三時の方向、六時の方向、九時の方向にある他の物より1周り大きいゴブレットが向かい合う様に設置されている。
狛の手元にあるのは、裏面に『サウザンドアイズ』の『旗印』が刻まれたそれぞれ異なる星模様が書かれた12枚のカード。
そのカードを扇状に広げながら不敵に微笑む。

「さて、ショータイムの始まりデス」




【第六話:白夜の試練~焔の檻と奇術師の瞳~】

 

「狛さん無茶しちゃ駄目ですよ!此処は慎重に動いて……」

 

―――ヒュッ

 

「って、なにやってらっしゃるんですかー!?」

 

黒ウサギの忠告も空しく狛は開幕早々、手持ちのカードの一枚をゴブレットに向けて投げる。

そこは彼の真正面の方角にあるゴブレットだった。

炎の中に投げ込まれたカードは勢い良く燃え上がり、直ぐに灰になって空に還る。

 

「あれ?」

 

「何も起きない?」

 

「ホッ、取りあえず一安心……」

 

―――ゴウッ!!

 

飛鳥と耀が首を傾げ、黒ウサギがホッと一息ついた瞬間に立った今、狛がカードを投げ入れたゴブレットが激しく燃え上がる、狛が右側に身を翻すと、その一瞬後に狛の背後から真紅の炎の矢が狛に向けて容赦なく放たれる。

当たれば間違いなく狛の全身に炎が広がり、焼かれる苦しみと苦痛を味わいながら死ぬ事が確定されるだろう。

それから時計回りに放たれる炎の矢の数々を時には地を蹴り高く跳び、時には身体を捻らせて避わし、時には軽やかにステップを踏みながら踊る様に回避する。

矢の攻撃が一周すると激しく燃え上がっていた炎が大人しくなると同時に狛の手元に投げたカードが戻って来た。

 

「へぇ、間違えるとこうなるんデスネ。下手したら丸焦げデスナ♪」

 

「何を呑気な事を言ってらっしゃるのですか このお馬鹿様―!だから慎重に動いて下さいと仰ったばっかりですのに!!」

 

「こういう状況なのに一体、どういう神経をしているのかしら。」

 

命の危機だったのにも関わらず、ケラケラと笑っている狛に黒ウサギが髪を桜色に染めながら怒鳴り声を上げ、その横で飛鳥が呆れた様子で頭を抑える中、耀と十六夜、そして白夜叉は狛の動きを冷静に分析する。

 

「今、矢を()()()()()に避けた」

 

「あぁ、黒ウサギに最初に会った時からもしかしてと思ってたが……。単純に視野が広いってだけじゃないみたいだな。」

 

「ほほう、中々面白い『ギフト』を持っているみたいだのう」

 

三人の瞳に映るのは彼の青い瞳に浮かぶ紫色の歯車の淵を持った紋章。

それが彼の瞳の中でクルクルと回るが、狛が瞼を閉じて再び開いた瞬間、それは消えた。

 

「ふむ、“青い炎”が出なかったという事ハ……正解はこっちデスカナ?」

 

戻って来たカードを確認し、投げたカードとは別のカードを取り出して、今度は先ほど投げた場所の逆位置 一時の方角にあるゴブレットに向けて投げた。

黒ウサギと飛鳥は息を呑むが、カードが投げ込まれたゴブレットは数秒の沈黙の後に今度は真紅の矢が放たれる事無く、ゴブレットの色が金色から銀色に変色し、そこから立ち上る炎が赤から青に変化する。

 

「さっきの矢が出ない?!」

 

「どうやら、このゲームの正解に辿りついたらしいの」

 

黒ウサギと白夜叉がそんな会話をしている間に狛は次々とカードを投げていきゴブレットの炎の色を青へと変えていく。

そして、手持ちのカードが1枚だけとなり、残ったのが十二時の方角にあるゴブレットのみ。

カードを指先でクルリと回した後、狛の口元が緩く弧を描く。

 

「チェックメイト、デス」

 

ヒュッと最後のカードが投げ込まれ、カチリと扉の鍵が開く音がすると同時に金のゴブレットが銀色に代わり青い炎を出す。

全ての炎が青に変わり、暫く経つと炎とゴブレットが消えた。

それが意味する事はただ一つ……。

 

「見事!このゲーム、おんしの勝利だ!」

 

「ありがとうございマス♪」

 

白夜叉が双女神の紋様が入った扇子を掲げ高らかに宣言する。

それに対し礼儀正しくお辞儀返すと黒ウサギ達が狛に駆けよって来た。

 

「狛さん!ご無事で良かった!!」

 

「どうやって、正解に辿りついたの?」

 

「んー、一言で言うならお星様のおかげ、デスナ♪」

 

「「「お星様?」」」

 

狛の言葉に黒ウサギ、飛鳥、耀が首を傾げる中、十六夜だけが数秒考えた後、ハッと顔を上げる。

 

「そうか黄道十二宮……ゾディアックか!」

 

「YES♪正解デス。」

 

「ぞでぃあっく?」

 

「黄道十二宮が正解ってどういう事?」

 

飛鳥は黄道十二宮という言葉自体が、耀はそれが先程のゲームにどんな形で結びついたか分からずそれぞれ首を傾げる

 

「フフ、白夜叉さん。先程のゲームで使ったカード、見せて貰ってモ?」

 

「あぁ、良いぞ」

 

白夜叉がパチンと指を鳴らすと狛の手元に先程のゲームで使われたカードが現れる。

そのカードを使って、十六夜と狛が先程のゲームについて交互に解説していく。

 

「黄道十二宮ってのはな、黄道が経過している十三星座の内、蛇遣い座を除いた十二の星座のことだ。

それぞれ、牡羊座、牡牛座、双子座、蟹座、獅子座、乙女座、天秤座、蠍座、射手座、山羊座、水瓶座、魚座の呼称があって、昔から占星術とかに使われているぜ」

 

「ワタシが配られたあのカード。裏には『サウザンドアイズ』の『旗印』が、表には十二星座が描かれていたんデス。 ご丁寧に十二宮全部、ネ♪」

 

狛が手に持っていたカードを裏返してカードが良く見える様に広げる。

其処には狛の言う通り黄道十二宮になる様に1枚1枚違う星座が描かれていた。

 

「でも、それでどうやって檻を開けたの?」

 

「檻の開け方は単純明快デス、このカードを順番通りにあのゴブレットに放りこム。

ただ、それだけデス。」

 

「「「順番通りに?」」」

 

狛の言葉に飛鳥、耀、黒ウサギが首を傾げる。

 

「そう、十六夜君が言った様に黄道十二宮は占星術……簡単に言えば星占いに良く使われマス。

1~2月:水瓶座、2~3月:魚座、3~4月:牡羊座、4~5月:牡牛座、5~6月:双子座、6~7月:蟹座、7~8月:獅子座、8~9月:乙女座、9~10月:天秤座、10~11月:蠍座、11~12月:獅子座、12~1月:山羊座。

っと、こんな具合にネ。」

 

「そして、投げ込む順番の答えはあの檻そのものだろ?」

 

「ピンポンパンポーン♪大正解デース☆」

 

「あの檻そのものが答え?!」

 

「どういう事?」

 

「フフ」

 

首を傾げる黒ウサギと耀に狛は楽しそうに笑いながら指を鳴らす。

それと同時に狛の手元に銀色の懐中時計が現れ、蓋を開ける。

 

「あのゴブレットの配置、何かに似てませんデシタ?」

 

狛の言葉を受けてまるで吸い込まれる様に狛の手元にある時計を見つめる黒ウサギ、飛鳥、耀。

そして、暫くしてから飛鳥がハッと声を上げる。

 

「時計!!」

 

「そう、あの檻は時計その物を顕わしていまシタ。この懐中時計の様ニ」

 

「あの他のゴブレットよりサイズが大きかった四つ。

それはそのまま十二時、三時、六時、九時を示していた。

そこから一時から十二時まで順番に星座のカードを投げ込めばゲームクリアだ。

だが、問題は()()()()()()()()()か、それが分かんなきゃ順番も何もねぇからな」

 

「! まさか最初にカードを投げ込んだのは!?」

 

「そう、十二時の場所を探す為にペナルティ覚悟で投げたって訳だ。

そして見つけた、檻の鍵をよ。」

 

「でも、あれだけでどうやって分かって……あっ」

 

「そう、春日部が察した通りだ。

あのペナルティそのものが檻の鍵を開ける順番そのものだったんだ」

 

「確かに……ペナルティの炎は一時の方角から順番に時計回りで放たれていたわ。

 

「フフ、脱出マジックにはある程度のリスクが必要ですカラネ♪」

 

十六夜が示した答えに狛は満足そうにブイサインをしながら答える。

それに対して黒ウサギ達が唖然としていると白夜叉が笑いながら拍手をする。

 

「ハッハッハッ!実に見事!!じゃが、一つだけ気になるのう。

おんしはどうやって正解が“青い炎”だと知る事が出来た?」

 

「ペナルティの時に炎の矢を撃たれる前に「避けた事に関係あるのか、デスカ?」……っ!」

 

「ある程度 目星はついているのでショウ?ワタシの『ギフト』について」

 

耀の言葉を遮り、十二枚のカードを扇状に広げ口元を隠して怪しく微笑む狛。

その瞳には紫の歯車が回っていた。

 

「やっぱり、お前の『ギフト』は時空……“空間”と“時間”両方に干渉する事が出来る『ギフト』。

それで“青い炎”とペナルティの矢が放たれる瞬間を“視た”んだろ?」

 

「ご名答。まぁ、ぶっちゃけ言えば“現代”の時間内で知っている場所、知っている人物の所へワープしたリ、24時間以内に壊れたモノの“過去”を復元シタリ、1つの対象の1分以内の“未来”をランダムに見る程度ですカナ?

特に“未来”を視る力は不安定で本当に何を見るのか自分でも予測不可能なんデスヨ。

イヤー、運が良くこのゲームのヒントを見れて良かったデスヨ!

もしかしたら、あのゴブレットの炎に焼かれて死ぬ、なんて未来も見ていたかも知れませんシ」

 

まるで大した事ないと言うように言ってのける狛だが、その『ギフト』の凄まじさは明らかだ。

空間転移系の能力だけでも箱庭の中で使える者が限られてくる。それこそ上級の神や悪魔にのみ許された能力(チカラ)

それに加えて“未来”と“過去”、二つの時間軸に干渉するの能力も持っているのだ。

決して人間である狛持っていいわけがない、まさしく規格外の『ギフト』。

 

「そ、そんな……まさか、これ程の『ギフト』とは……っ!!」

 

「成る程、ある程度制限はあるが随分と面白ぇ『ギフト』じゃねぇか」

 

「っというか、三つともとんでもない能力じゃない!」

 

「……なんかずるい」

 

「ほほう、どうやら今回の『ノーネーム』の新人は逸材揃いの様だのぅ」

 

上から順に黒ウサギ、十六夜、飛鳥、耀が順番に感想を述べ、最後に白夜叉が愉快そうに笑い、パンと勢いよくセンスを閉じると十六夜達に向かい合う。

 

「よかろう!お主達は見事ゲームに勝利した!これは儂からの褒美じゃ、もってけ泥棒!!」

 

そういうと同時に十六夜達の眼前に光り輝く色違いのカード達が現れる。

カードにはその所有者の名前と体の内に秘める『ギフト』が記されていた。

 

コッバルトブルー――――逆廻十六夜・ギフトネーム“正体不明(コード・アンノウン)

 

ワインレッド――――久遠飛鳥・ギフトネーム“威光”

 

パールエメラルド――――春日部耀・ギフトネーム“生命の目録(ゲノム・ツリー)”、“ノーフォーマー”

 

ロイヤルパープル――――来馬 狛・ギフトネーム“時歯車の瞳(クロック・アイズ)

 

「ちょいと贅沢な代物だが、コミュニティの前祝としては丁度よかろう」

 

それぞれ不思議そうにカードを見つめている問題児たちに対し、白夜叉は愉快そうに笑った。

 

 

~続く~




*あとがき*

更新お待たせしました。
ちょいと内容を纏めるのに苦労しましたが、何とか書ききれました。
此処で、主人公の『ギフト』が明らかになりました。
当初は三つの『ギフト』に分割する予定でしたが、未来視の『ギフト』以外、良い名前が浮かびませんでしたので一つにまとめました。

ちょいとチートな能力ですが、まぁ、十六夜君よりはマシだと思って頂ければ幸いです。



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