「それで、みずちゃん。もう体調は問題ないの?」
「ええ。もうすっかり元気です!」
「そっか、良かった~。あの時のみーちゃん、ほんとにヤバそうだったんだもん」
瑞希の答えをきいてつぐみも安堵の息をつく。
みあもにこにこ笑顔でいるようだった。
雄二はじたばたともがいているようである。
「みあ、そろそろ開放してあげないと。 雄二が窒息するよ?」
「あ、そうですね」
みあは明久に言われてぬいぐるみをうごかしていく。
「ぷはぁっ! おいこら、みあ! 俺を窒息させる気だろ!?」
と、大きな声で詰め寄る雄二。
と、パンパンと教卓を強めに叩く音が響いた。
「はいはい。そこの人たち、静かにして下さいね」
さすがに福原教諭に注意されてしまった。つぐみ達が居住まいを正して謝ろうとした瞬間。
バキィッ バラバラバラ………
教卓か音を立てて崩れ落ちた。寿命だったのかもしれない。
そう皆が考えていた。
「え~………皆さん少々待っていて下さい。教卓の替えを用意してきます」
そう言って福原教諭は足早に教室から出て行った。
みあは雄二をじと目でにらむと俺が悪いのかよ!?という表情を浮かべた。
瑞希はというとみあの隣で苦笑を浮かべていた。
なにやら考え込む彰仁は明久に近寄り、なにか告げると雄二の下へと向かうのだった。
そしてそこでもなにか会話すると雄二を伴って教室から出て行く姿が見えた。
その後を康太が追いかけていることも知らずに。
「アキくん?」
「いったい、どうしたんでしょうね?」
つぐみと瑞希は不思議そうに首をかしげて見送っていた。
「ふふ、どうなるんでしょうねェ? きっとすごいことになりそうです」
みあはにこにこと笑顔を浮かべているのだった。
「おーい、雨宮よ。 くずれた教卓を片づけるのを手伝ってくれぬか?」
「あ、うん!」
と、そこへ秀吉が声をかけてきたので頷いて秀吉の方へと向かい、教卓の残骸の片付けを始めた。
つぐみ達が片付けをしている頃、廊下では……。
「んで、話って?」
廊下に出ると雄二が早速切り出していた。
「このクラスについてなんだけど………」
「正直酷いな。ひび割れた硝子に腐った畳。
それに脚の折れた卓袱台と綿も満足に入っていない座布団。 教室に来る前に見たAクラスとは天と地の差があるな」
明久がそう口をひらくと理解した雄二はつらつらと思ったことを言う。
「そこで僕から二人への提案。折角二年生になったんだし、『試召戦争』をやってみない?」
「試召戦争、だと?」
明久の言葉に雄二が目を細める。
「うん。しかもAクラス相手に」
「……何が目的だ」
明久の提案に雄二の目が細くなる。
「明久はともかく俺の目的は瑞希が体調をくずさない場所へと行かせるためだ」
「そんなの僕も同じなんだけど。 まあ、僕の場合はつぐみとみあのためだけど」
彰人がきっぱりというと明久も同じ考えを持っていることをつげる。
「やすやすと話すとは・・・」
「隠してもいずればれるからな、ならてっとりばやく言うもんだろ」
驚いた顔で言う雄二に彰仁はニヤリと笑う。
「それで、どうなのさ」
「まあ、いえるとしたらお前らと同じようにしかけるつもりはあったということだな」
明久が問いかけると雄二はニヤリと笑った。
「え?どうして?」
「お前こそ勉強に興味ないだろが」
不思議そうな顔で見る明久と彰仁に雄二はニヤリと笑うと答えた。
「何、世の中学力が全てじゃないって、そんな証明をしてみたくてな」
「???」
雄二の言葉を聞いても明久には理解ができないでいた。
「お前がそんな事を言い出すとはな。明日は雨か?」
「・・・・ここは槍かもしれない」
彰仁が窓の外をながめて言うといつのまにか会話にはいる康太。
「茶化すな。っていうか、いつのまにいたんだよ!?」
「・・・・・最初から全員気づかないとはな」
驚く雄二に平然と答える康太。
「ああ、そうかよ!まあいい!Aクラスに勝つ作戦も思いついたし――おっと、先生が戻ってきた。
教室に戻るぞ」
「あ、うん」
雄二に促されるまま、4人は教室に戻った。