バカと妹とロリっこと召喚獣   作:レフェル

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第6問だよ!

「さて、それでは自己紹介の続きをお願いします」

 

掃除を終えた後で新しい教卓をおいて、気を取り直してHRが再開される。

 

「えー、須川亮です。趣味は――」

 

得に何も起こらず、淡々とした自己紹介の時間が流れる。

「坂本君、君が自己紹介最後の一人ですよ」

「了解」

 

福原教諭に呼ばれて雄二が席を立つ。

ゆっくりと教壇に向かうその姿は上に立つ者としてのオーラを纏っているようにも思える。

 

 

「Fクラス代表の坂本雄二だ。俺の事は代表でも坂本でも、好きなように呼んでくれ」

「「マダゴリラー!!」」

「明久、それと彰人!てめぇらふざけたこと抜かすな!」

 

空けようとしたが、二人の発言に雄二は怒りのシャウトをあげる。

 

「好きなふうによべと言ったのは雄二だぜ?」

「そうだそうだ!」

「……ちっ。さて、皆に一つ聞きたい」

 

全員の目を見た後、雄二の視線は教室内の各所に移りだす。

 

かび臭い教室。

 

古く汚れた座布団。

 

薄汚れた卓袱台。

 

つられてみんなも雄二の視線を追い、それらの備品を眺めていった。

 

「Aクラスは冷暖房完備の上、座席はリクライニングシートらしいが――」

 

一呼吸おいて、静かに告げる。

 

「みんな不満はないか?」

『『『大ありじゃぁっ!!』』』

 

二年F組生徒の魂の叫びがそこにあった。

 

「だろう?俺だってこの現状には大いに不満だ。代表として問題意識を抱いている」

『そうだそうだ!』

『いくら学費が安いからと言って、この設備はあんまりだ!改善を要求する!』

『そもそもAクラスだって同じ学費だろ?あまりに差が大きすぎる!』

 

クラス中から次々に不満の声があがる。

 

「みんなの意見はもっともだ。そこでこれは代表としての提案だが――」

 

自信に溢れた顔に不適な笑顔を浮かべて、これから戦友になる仲間達に

野性味満点の八重歯を見せて、

 

「――FクラスはAクラスに『試験召喚戦争』を仕掛けようと思う」

 

Fクラス代表である坂本雄二は戦争の引き金を引いたのだった。

 

『勝てるわけ無いだろう』

『コレよりひどい設備なんてあり得ない』

『姫路さんかいれば何もいらない』

『雨宮を愛でたい』

『みあちゃんと結婚したひ!』

 

Aクラスへの宣戦布告などという、現実味の乏しい提案に、クラス中から悲鳴が上がる。

一部、オカシいのが混ざってはいるが。

バカ代表クラスのFクラスとはいえ、

Aクラスとの戦力差が絶望的だということに気づかない者はいなかった。

 

文月学園では、点数の上限がないテストが採用されている。 

一時間の制限時間内に、無制限にテスト問題を解いていくことが出来るのだ。

 そして、科学とオカルトと偶然から生まれた、『試験召喚システム』。

 

 教師立ち会いの下、テストの点数に応じた強さの『召喚獣』を呼び出し、

戦わせることが可能となる。

 『試験召喚戦争』はコレを利用したクラス単位の戦争となる。

ゆえに、クラスごとの生徒数は一定である以上、個々のテストの結果の合計が、

そのままクラスの総戦力となる。

 AクラスとFクラスでは、生徒一人一人ですら、その差は三倍以上もあり、

文字通り“桁が違う”のだ。

 どうあがいても勝つことなど不可能としか思えない。

 だが、雄二はそれを否定してみせる。

 

「そんなことはない。必ず勝てる。いや……」

 言葉を切った雄二は不適に笑いうと、

「俺が勝たせてみせる」

 

そう言って、右親指で、自らを指差す。

そこには、絶対の自信と、迫力があった。

一連の流れを見ていた透と一真は面白そうに笑みを浮かべている。

 

『しかし、どうやって……』

 

それでも不安の拭えないクラスメイトの言葉を、雄二は右手を挙げて押さえる。

 

「お前たちの言いたいことはわかる。俺の言葉だけでは、にわかには信用しづらいだろう」

『……』

 

クラスメイトたちは黙って聞き入る。

 

「だから、俺たちがAクラスに勝てるという根拠となる要素を示そうと思う」

 

その言葉に、康太の目が、すうっと細まった。

雄二の言葉を受けてFクラスの生徒達が更にざわめく。

 

「それを今から説明してやる。おい、康太。こっちにこい」

「・・・・」

 

呼ばれた康太は黙って前へと歩いていく。

 

「さて、紹介しよう」

 

康太がきたのと同時に雄二は声を上げた。

 

「土屋康太。コイツがかの有名な、『寡黙なる姓識者(ムッツリーニ)』だ」

「…………!!(ブンブン)」

 

土屋康太という名前は知らずとも、ムッツリーニという名前を知らない者はほとんどいなかった。

その名は男子には畏怖と畏敬を、そして女子には軽蔑を以て上げられるのだ。

 

『ムッツリーニだと……?』

『ばっ馬鹿な、奴がそうだと言うのか……?』

『だが、やつはあることを理由にやめたはずでは……』

『ああ。誰かに言われてなおしたとかそんな感じで……』

 

ざわざわとクラス中でざわめきが起こる。

 

「???」

「瑞希、お前は知らなくていいことなんだ……」

 

多数の疑問詞を浮かべる瑞希の肩を軽く掴み、彰仁がゆっくりと首を左右に降る。

 

「えっと、彰仁くんがそう言うんなら知らなくていいことなんですね?」

「あぁ」

 

二人のやり取りが終わるのを見計らって雄二が瑞希に声をかける。

 

「姫路に関しては言うまでも無いだろう。皆だってその力は良く知っている筈だ」

「えっ?わ、私ですかっ?」

「ああ。ウチの主戦力だ。期待している」

 

Aクラスに匹敵する実力を持つ瑞希は、確かにFクラスの主戦力になるだろう。

 

『そうだ!俺達には姫路さんがいるんだった』

『彼女ならAクラスにも引けを取らない』

『ああ。姫路さんさえいれば何もいらないなっ!?(冷や汗)』

『雨宮を抱きしめたい!?』

『みあさんとランデブーしたい!?』

 

瑞希とつぐみとみあに先程から熱烈なラブコールを送っていたこの生徒はというと。

明久と彰仁と康太から素敵なプレッシャーをプレゼントされた。

 

「木下秀吉もいる、こいつは古典が得意だからな。 得意な科目特化型だから使えるぞ」

「む? 儂かのう」

『おお……!』

『ああ。アイツ確か、木下優子の……』

 

自分に振られるとは思わなかった様子で聞く。

それと同時に士気が上がる。

 

「更に理系科目だけじゃなくてほかの科目も得意な、前原魅音もいる」

『天災か天才だといわれたあの!?』

『しっ、あんまり言うと実験されるかもしれん!』

 

魅音はというとそんな会話をきいてもどうでもよさそうにしているようだった。

 

「もうひとつ更に彰仁がいる」

『確か日本史限定で得意なんだっけ?』

『そりゃ、心強いな!』

 

彰仁は自分のことがあげられて驚きを隠せないでいた。

 

「それに吉井妹と雨宮がいる!」

「え、わたしもですか?」

「確かに、わたしはCクラス程度の実力はあるけど」

 

雄二がつぐみとみあのことをあげる雄二。

目をぱちくりさせるつぐみとみあ。

 

『おー!さすが僕らのつぐみたん!』

『いやいや、天使のみあたんも負けてないぞ!』

 

と、わいわいと騒ぐクラスメイトたち。

 

「当然俺も全力を尽くす」

『確かに何だかやってくれそうな奴だ』

『坂本って、小学校の頃は神童とか呼ばれていなかったか?』

『それじゃあ、振り分け試験の時は姫路さんと同じく体調不良だったのか』

『このクラスにはAクラスレベルが3人もいるって事だよな!』

 

気が付けば、クラスの士気は確実に高まり、いけそうだ、やれそうだ、そんな雰囲気が教室内に満ちていた。

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