ビスマルクさんのお話   作:フジツボ提督

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ビスマルクの目覚め

 いつからだろうか、私はいったい何の為に戦っているのかと考え始めたのは。

 

 この世界に再び現れた時、私は人間の体を持っていた。目の前に見慣れたドイツ軍服の男性が見えた時、自然と口からセリフがでてきた。

「私はビスマルク型戦艦のネームシップ、ビスマルク。よく覚えておくのよ。」

 

「宜しくビスマルク、いきなりですまないがどうか再びドイツのために戦ってはくれないだろうか?」

聞くところによると現在は20〇〇年、世界は危機に瀕しているというらしい。深海凄艦と呼ばれる謎に満ちた生命体により世界の海は殆ど掌握されており、敵に対抗する為に私のような通称「艦娘」を建造しているのだという。深海凄艦や艦娘は海の上では何故か通常兵器は殆ど通用せず、彼女らの攻撃でしか有効な損害を与えることが出来ないという。さらに深海凄艦の中には陸上型も多少はいると日本から連絡があったらしいのだが、ここドイツ、いや欧州ではまだ発見されていないらしい。

 

「ビスマルク、自己紹介が遅れたな、私は艦娘を指揮する立場にいるオスカー・ペリエーヌ提督だ、これから宜しく頼む。そして他に聞きたいことはあるかね?」

 

「提督、一つ聞きたいことがあるわ。私が沈んだ後、第三帝国は、我らが総統閣下はどうなったのかしら?」

場の空気が変わった、言ってはいけないことを言ってしまった雰囲気だった。私は何故そうなったのかわからなかった。私としてはただ普通のことを聞いただけだった。気になるだろう?志半ばで沈んだのだ、私と共に沈んだ船員や船長だっている。ビスマルク型戦艦として再び目覚めることが出来、またこの国のために戦うにあたって私は知らなければならないことであると思った。

 

「ビスマルク、これは命令だ。二度と第三帝国、ましてや我らが総統閣下などと言うな。いいな?」

 

「何故ですか‼提督‼何故そんなことを言うのですか‼」

 

「いいかビスマルク?今この国はドイツ連邦なのだよ、第三帝国などといういかれた国は自滅し、消えて無くなったのだ。だから間違ってもナチス式の敬礼などするなよ?」

 

 驚いた、もう何も言えなかった。明らかに矛盾していた。ナチス時代に造られた私にドイツのためと言っておきながらあの時代を全て否定したのだ、悪いこともたくさんしただろう。それは認めよう、だがあの時代にだって自分の信念を持って戦ったのだ。敵や味方など関係ない。それの全てを今のドイツは否定しているのだ。私は無性に悲しくなってしまった。

 

「了解です…提督…」

私にはそれだけしか言えなかった。

 




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