ビスマルクさんのお話 作:フジツボ提督
「ビスマルク!10時の方向に敵艦隊、戦艦2、重巡1、駆逐艦3だ‼」
「了解!艦隊戦か…腕が鳴るわね‼」
あのつまらない顔合わせの後から数か月後、私は戦うことに没頭していた。
「ビスマルク、前に出すぎだ!早く戻れ!隊列を守るんだ!」
無線機から提督の怒鳴り声が響いた。とってもうるさい、私は私のやり方があるんだ。少し黙ってろ。
「こちらビスマルクよ、どうやら無線の調子がおかしいようなので少し切るわね」
「おい!まてビスマ…」
ブチッッと無線の音がするとともにあのうるさい声が聞こえなくなった。とてもせいせいする。これで戦闘に集中できるというものだ。雑魚は他の艦に任せよう、私の獲物は目の前の戦艦だ!
水上をスキーのように滑りながら敵艦に近づき、自慢の38センチ砲を叩き込む、もちろん敵も黙ってくれるわけがない。だが高々戦艦2隻がなんだというのだ、いっぺん英海軍ほぼ全兵力とやりあっててみろ、こんなの生ぬるい。私の砲撃が敵の1隻に当たり、大爆発を起こした恐らく弾薬が誘爆したのだろう、爆発や砲撃の余波が体に響き心地よい。敵の砲撃が私の周りに降り注ぐ、狭斜だ、敵にしては腕が良いな。関心している場合じゃないと自分に言い聞かせ再び砲撃、敵戦艦に数発の命中弾を与えたところで敵艦隊は撤退していった。
「ビスマルクお姉さま!早く追撃しましょう!」
そういったのは私の部隊のメンバーであるプリンツだった。別に私はこの娘の姉ではないのだが、嫌なわけではないしかわいい妹分であるのでそのままにしている。
「いいえ、追撃は無しよ。逃げている相手を更に攻撃する必要は無いわ。」
「流石ビスマルクお姉さまです‼」
こうも好意を向けられると恥ずかしいものがある。顔が赤くなりそうになるがそこはこらえ、
「それに無駄に弾薬を消費しなくていいわ。」
と誤魔化し、日が暮れかけ赤く染まった海を仲間たちと談笑しながら私は基地に帰投した。
「何度言ったら分かるんだ!指示はしっかりと聞け!」
私の目の前で提督がとてもうるさく喚いている。
「なによ、ちゃんと戦果は上げたじゃない。部隊で一番の戦果よ。」
「ぐっ….だが何故追撃しなかった!命令はちゃんと出したはずだ、貴様が従っていれば更なる戦果を上げることができたはずだ!何故だ‼」
「既に戦意が無く、逃げている敵を沈めろと…。日本の言葉を借りるなら武士の情けよ。私は敵とはいえ同じ戦艦として敬意をはらっただけよ。あの逃げたル級は強かったわ、またいつか戦いたいわね。」
そう言うと共に私は獰猛な笑みを浮かべる。正直欧州の敵は弱い、太平洋方面は敵のレベルが違うという、私は戦うことが好きだ。戦艦の艦娘は皆好戦的な艦が多いがその中でも私はダントツらしい。
「ビッ…ビスマルク!貴様は戦争を何だと思っている‼しばらく営倉に入っていろ‼‼」
この、いや殆どの提督が分かるわけが無いのだ。私は艦娘、かつて沈んだ戦艦が擬人化している存在だ、即ち兵器なのだ。兵器は何の為にあるのか?身を守るまたは防衛、色々な目的があるだろう。しかしそれらをまとめて言ってしまうと戦うためにあるのだ。戦争を何だと聞かれれば、それが私の生きがいであると言おう。
「はいはい、りょうかいしましたぁ。」
もうなれたものだ。私はやる気のない返事をしつつ営倉に入った。