ソードアート・オンライン~黒の剣士と絶剣~ リメイク版 作:舞翼
またしても、新しいのを書き始めてしまって……。あれ、違う小説の前書きでも書いたような……。
と、ともあれ、書きあげました。
では、投稿です。
本編をどうぞ。
今、俺たちが足を運んでいる場所は、第48層にある《リズベット武具店》だ。
何故此処に足を運んでいるかというと、あのスキルの修行も終わったので、この剣と同等な得物を見繕おうと思ったからだ。
最近、Mobの動きも変化ししつつある為、あれと同等な剣が必要になってくるだろう。
スキルの途中で、剣が折れました。とかは洒落にならない。
「でも、鍛冶スキルとか大丈夫か?」
「そこは大丈夫。 ボクの《黒紫剣》を打ってくれたのは、リズなんだよ」
ユウキが腰に下げる《黒紫剣》は、エリュシデータに劣らない性能がある。
アスナとランの剣も此処で打った物で、店主とユウキたちは、かなり仲が良いらしい。
――閑話休題。
あの後、俺たちが離れた事は一度もない。
俺は、最後の一瞬まで
「(コイツも、同じ事を考えてくれてたら嬉しいけどな)」
そう考えていたら、目的地に到着した。
巨大な水車がゆるやかに回転する職人クラス用プレイヤーホームだ。 軒先には《リズベット武具店》と書いてある大きな看板が掲げられていた。
「ここか?」
「そそ。 ここだよ」
俺の前に立ったユウキが、玄関を開け店内に入っていく。
俺もその後ろに続いた。
店内には様々な武器が陳列されていた。 剣に五月蠅い俺の目から見ても、かなりレベルが高い代物だ。
「リズベット武具店へようこそー!ってユウキじゃない」
店主の名前はリズベット。
彼女の恰好は、
その上から純白のエプロンをかけ、胸元には赤いリボン。
特徴的なのは、ピンク色のふわふわしたショートヘアーだ。
「久しぶりだね、リズ」
「そうね。 元気だった? 最近は、あんま見なかったからさ」
ユウキは頷いた。
「元気だったよ。 色々あってね」
「そっかー。 で、今日はどうしたの?」
「オーダーメイドを頼みたくて。 ちなみに、使うのはボクじゃないよ」
ユウキの視線が俺に向く。
『キリトも挨拶をして。』という意味も込められている。
「初めまして、キリトです。 今日は剣が欲しくて」
「店主のリズベットよ。 リズでいいわ。 あと、堅苦しいのはやめて。 もっとフランクに接して頂戴」
「おう、了解だ。 リズ」
「んー、見た所中層プレイヤーに見えるけど。 でも、中層プレイヤーが《絶剣》と居るわけないしね」
まあ確かに。リズの言う通り、俺の装備は中層でも購入出来そうな代物ばかりである。
最初の印象から、この反応になってしまうのもの致し方ない。
ユウキは苦笑してから、
「ボクの相棒で、ボクより強い攻略組プレイヤーだよ」
ユウキの言葉を聞き、リズは僅かに驚愕した。
だが、納得したように、
「真っ黒装備の攻略組プレイヤーって言ったら、《黒の剣士》ね。って、《鬼神》の方割れじゃない」
俺は肩を落とした。
此処まで《鬼神》が広まっているとは……。と言う事は、アインクラッド全体と考えるのが妥当かもしれない。
「そうも言われてる。 不本意だけど……」
「こんな人がねぇ」
うっ、リズさん。 俺の心を抉りにきますね。
俺、泣いちゃうよ。
「で、《黒の剣士》様がオーダーメイドって事でいいのかしら?」
「そうだな。 これと同等でどうだ?」
俺は背からエリュシデータを鞘ごと外し、リズに手渡した。
「重ッ!」
やはり、STRを鍛えてないと、かなりの重さらしい。
リズは鑑定スキルを使用し、エリュシデータを調べながら目を丸くしていた。 まあそうなるのも頷ける。 エリュシデータは、第50層のボスからドロップしたラストアタックボーナスであり、《魔剣》の類の剣であるのだ。
また、アインクラッドに存在する全ての武器は、大きく二つのグループに分かれている。
一つは鍛冶屋が作成する《プレイヤーメイド》。
もう一つは冒険によって入手できる《モンスタードロップ》だ。
「で、どうだ? 作れそうか?」
「作れないことはないわ。 でも一つだけ教えて。 何で剣が二本必要なの?」
なるほど。 交換条件みたいなもんか。
ユウキに目を配ると、『リズなら大丈夫。』と言っていた。
「了解だ。 ちょっと離れてくれ」
ユウキたちには攻撃が届かない位置まで移動してもらい、俺は先ほど渡したエリュシデータを右手に装備し、 左手には、アイテム欄からオブジェクト化した有り触れた片手剣を装備した。
スキル欄を二刀流に変更してから、全方位範囲技《エンドリボルバー》計二連撃を空撃ちした。
にも関わらず、店内のオブジェクトがぴりぴりと震えていた。
「とまあ、こう言う事だ。 だから、エリュシデータと同等な剣が必要なんだ」
リズはおずおずと、
「あんた、それってユニークスキル?」
「まあな。 二刀流っていうスキルだ」
「あ、ちなみにボクも持ってるよ。 やっぱり、アスナと姉ちゃんにも言っといた方がいいかな?」
……ユウキさん、何気に凄い事口にしてますよ。
てか、俺とユウキの言葉を聞き、リズが硬直してしまった。
「おーい、戻って来い」
「……私、今凄い人たちと一緒にいるのね。 ユニークスキル使い二人とか」
リズは、しみじみと呟く。
「この事は、口外しないでくれると助かる。 バレたら色々面倒になるし」
剣士や情報屋に待ち伏せされるようになったら、第50層に居られなくなってしまう。
まあその時は、第22層辺りに引っ越そう。
「分かってるわ。 そこは安心して」
「助かる。 んで、どうやって剣を作るんだ? 当てでもあるのか?」
「えっとね。 第55層のドラゴンから採れる金属を打って作るのよ」
「でも、ドラゴンを討伐しても不発に終わったんだろ」
取得には、何かの条件があるとか?
其れだと、しっくりくるが。
「ただドラゴンを討伐しただけでは出ないって事よ。 《マスターメイサーがいないと駄目なんじゃないか?》っていう噂ね」
「なるほど。 其れはありえるかもな。って事は、リズはマスターメイサーなのか」
「まあね。 かなり腕は良い方と自負してるわ」
「ほう。 近い内に手合わせしたいものだ」
リズは、げっ、と言う顔をした。
「あんたとは戦いたくないわよ。 結果は目に見えてるわ」
俺は、そ、そうか。と言ってから、装備を一通り確認した。
「んじゃ、行くか。 ドラゴン退治に」
「よーし! 話が纏まった所で、出発進行!」
店を出て、リズがドアの木札をCloseに裏返す。
転移門まで移動し、第55層へ転移した。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
俺たちは問題なく第55層の北にある小さな村に辿り着く事が出来たが、唯一の誤算が――。
このフロアは氷雪地帯だったと言う事だ。 この層は約二日で突破出来たので、俺の記憶から抜け落ちていたのだ。
ともあれ、今は。
「ほら、これを着ろ。 俺は問題ないから」
俺はウインドウを操作し、二着の厚手のコートを二人に手渡す。
「あんたは、大丈夫なの?」
「問題ない」
これ位なら、精神力で何とかなる。
ユウキが小声で、
「キリトは無理しすぎだよ」
……どうやら、ユウキにはバレてたようだ。
流石、幼馴染です。
「こ、ここは、カッコをつけさせくれ」
「も、もう、バカなんだから。 これが終わったら、何か温かい物を作ってあげるから」
「うぅ、何かゴメン」
俺は情けない声を出す事しか出来ない。
――数分後。 クエストのトリガーとなる村の長のNPCを発見し、話を聞くことに成功したのだが……。 話がかなり長かった。
外は既に、夕暮れに包まれていた。
「……まさかフラグ立てでこんな時間を食うとは」
「でも、ドラゴンは夜行性なんだよね? 倒しちゃう?」
ユウキの言う通り、ドラゴンは夜行性なのだ。 と言う事は、夜にならないと現れない。
「そだな、今日倒しちゃうか。 ここまで面倒な事をしたんだし。――リズもそれでいいか?」
「いいわよ。 パパッと倒しちゃいなさい。 早く研磨の続きもしないといけないし」
「な、何か悪いな」
「気にしない。 さ、行くわよ」
目的の雪山を登ること数十分。切り立った氷壁を回り込むと、西の山の山頂に到着した。
山頂には、巨大なクリスタルの柱が伸びている。 残照の紫光が乱反射して、虹色に輝くその光景は幻想的の一言だ。
「んじゃ、ユウキはリズの護衛を頼むな」
「任せて」
そう言うとユウキとリズは、近場の水晶柱に身を隠した。
俺は回りを見渡しながら歩を進めるが、深い谷が見えるだけだ。 不発かもなあ。と思った直後だった。 俺の目の前に巨大なポリゴンが出現し、形を整え始めた。 姿を現したのは、氷のように輝く鱗を持った白竜だった。
巨大な翼を緩やかにはばたかせ、宙にホバリングしている。
俺は背から放剣し中段に構える。
「グオァァァァァ!」
ドラゴンは凶悪な口を開き、白く輝くブレスを吐いた。
俺は剣を目の前で回転させてブレスを防ぐが、完全に防ぎきれなかった為、HPが減少する。 だがそれは、
「げッ、マジか」
俺は声を上げた。
そう、ブレスの特殊能力で当たった個所が数秒間凍り、動きを止められてしまうのだ。 両腕は動かせるが、両脚は動かせない状態である。
「(この状態で、鉤爪はちょっとヤバい……かも)」
まあ、一撃耐えれば問題なしである。
だが、俺が攻撃を食らうことも、大きく吹き飛ばされることもなかった。
ユウキがクリスタルの陰から出てきて、片手剣ソードスキル《ホリゾンタル》でドラゴンの腹部を切りつけたのだ。
この攻撃によりドラゴンのHPはイエローまで落ちた。
「もう、何やってんのさ」
「す、すいません……。 ちょっと油断しまして」
「まったくもう、二人で倒すよ」
「「あッ、やば」」
高く舞い上がったドラゴンが両翼を大きく広げた。 其れが、体の前で打ち合わされると同時に、ドラゴンの真下の雪が舞い上がった。
――突風攻撃である。
俺たちは剣を雪に突き立てるが、それは用を成さなかった。
俺たちは空高く投げ出されたが、空中で手を繋ぐと、剣を握った腕を動かし振り抜いた。 重い突き技の反動で俺たちは穴の壁面目指して角度を変えた。 氷の絶壁へ迫っていく中、再び腕を振りかぶり、思い切り壁面に剣を突き立てた。
急ブレーキをかけたように、凄まじい火花が飛び散る。 衝撃音と共に落下速度が鈍るが、完全停止には至らない。
金属を引き裂くような音を盛大に立てながら、二つの剣が氷の壁を削っていく。
下を見ると、雪が白く積もった底が見える。
俺たちは剣を手放し、着地する。
衝撃と轟音。
そう。 俺とユウキは、何処かの穴の中に落ちたのだった――。
き、キリト君がドジを踏んじゃいました。ま、まあ、ご都合主義ですね。攻略組プレイヤーなら、ありえないことですから(^_^;)
次回は、ドラゴンの巣ですね。
甘く書けたらいいなー。頑張ります!
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