ソードアート・オンライン~黒の剣士と絶剣~ リメイク版   作:舞翼

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今回は早めの更新です(^^♪
このペースが保てればいいですが……。

で、では、投稿です。
本編をどうぞ。


第23話≪ドラゴンの巣とクリスタル≫

「……落ちたな」

 

「……落ちたね」

 

俺たちは立ち上がり、近場に落ちた剣を鞘に収めてから、腰のポーチからハイポーションを取り出し飲み干した。

因みに、回復結晶を使用しなかったのは理由がある。 ここがクリスタル無効化空間だからだ。 これは、転移結晶も使用不可能、と言う事でもある。

 

「……申し訳ない、俺が油断したせいで」

 

「気にしない気にしない。 これも良い経験だよ」

 

ユウキは、俺にニッコリ笑いかけてくれる。 ユウキさんの優しさが身に沁みます……。

 

「リズはどうしたんだ?」

 

「リズには、第48層に転移してもらったよ。 二日経って戻らなかったら、救援をお願い。って言っといたから大丈夫っ」

 

もしかして、こうなる事が分かってたとか。

いや、ないか……。

その時、俺の腹の虫が鳴った。

 

「ふふ、ご飯にしようか」

 

「うぅ、度々申し訳ない……」

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

飯を完食したら、外の夕焼けが消え、穴の中は深い闇に包まれようとしていた。

どうやら、野宿になるのは確実だ。

隣では、ユウキが野営用のランタンに火を灯していた。 明るいオレンジ色の光が、周りを照らし出す。

それにしても――。

 

「何か、幼稚園の時のお泊り会みたいだな。 その時、肝試しをしたっけ」

 

「そうだね。 楽しかったなあ」

 

幼稚園児の時は、ほぼ木綿季と藍子と一緒に居たと言っても過言ではない。

其れほどまでに仲が良かったのだ。

 

「皆が寝てから少しした頃、トイレが怖いからついて来てって、俺とランを起こしたよな」

 

ユウキの顔が紅潮する。

 

「ふ、ふんだ。 怖いのは治ったもんっ。 こ、怖いテレビも一人で見れるもんっ」

 

「ほほう。 現実世界に帰ったら、ホラー映画でも見るか?」

 

「い、いいけど。 も、もちろん、姉ちゃんとアスナも一緒だよね」

 

いやいや、完璧に怖がってるよね。

でも、アストラル系のMobは行けるんだよな。 不思議だわ。

まあ取り敢えず、寝袋を二つ並べた。 実は俺たち、野営アイテムは常時完備している。

ダンジョンで夜を明かす事が度々あるので。

ランタンを挟み、一メートルほど距離を置いて横になった。

 

「インゴットの採取でこんな目に遭うとはな。 予想外だわ」

 

「ボクも同感だよ。 戻ったら、お説教かな」

 

俺は肩を僅かに震わせる。

 

「ぶ、物理だけは勘弁して欲しい……」

 

「それはないから大丈夫……だと思うよ」

 

あれーっ、今の間は何や。

物理されちゃうの? 俺、泣いちゃうの?

 

「寝よっか」

 

「そだな。 寝るか」

 

俺たちはそう言ってから、ゆっくりと瞼を閉じた。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

俺が目を覚ますと、氷壁で幾重にも反射した朝陽が、底に積もる雪を輝かせていた。

ユウキは俺より先に目を覚ましたらしく、ランタン等を片していた。

俺は上体を起こし、

 

「おはよう、今日も早いな」

 

「もう慣れちゃったから。 だってキリト、ボクが迎えに行かないと起きないんだもん」

 

そう言ってから、ユウキは頬を僅かに膨らませた。

これに対して、頬を掻く俺。

 

「その件は申し訳ないと……。 つい、二度寝をしちゃいまして……」

 

「まったくもう」

 

俺も起き上がって寝袋を片していたら、視界の端の方に、銀色に輝くものが映った。

その場所まで歩み寄り膝をつくと、両手で積もった雪を掻き分ける。

すると、銀色に透き通る直方体の物体が姿を現した。それをそっと両手で掴んで立ち上がる。

 

「ユウキ、お目当ての物を見つけたぞ」

 

俺がそう言うと、ユウキは、不思議そうな顔をしながら此方に歩み寄ってきた。

 

「ん、どうしたの?――あ!?」

 

ユウキが金属の表面を叩くと、ウインドウが浮かび上がる。

アイテム名は《クリストライト・インゴット》。

 

「これが、俺らが採りに来た金属、だろうなぁ……。 でもなぁ……」

 

「ああ、なるほどね……」

 

俺たちがこれ以上を口にする事はなかった。 取り敢えず、俺のアイテム欄に収納した。

ともあれ、この穴はドラゴンの巣と言う事が明らかになった訳だ。 ん? ドラゴンは夜行性……。

俺たちが穴の入口を仰ぐと、滲むような黒い影が生まれた。 それは次第に大きさを増していく。 ドラゴンが巣に戻ってきたのだ。

 

「「き、来た――ッ!?」」

 

急降下して来たドラゴンは、俺たちを見ると甲高く鳴いて地表すれすれで停止した。

ドラゴンは、口を大きく開け雄叫びを上げた。 翼の巻き起こす風圧で雪が舞い上がる。

 

「ゆ、ユウキ。 あ、あれで行こう!」

 

「お、OK!」

 

俺たちは助走をつけると、湾曲する壁面を水平に走り始めた。 ドラゴンの追随を上回る速度でだ。 ドラゴンも俺たちを見失い、首を左右に振って探している。

その隙に背に着地し、伸ばした右手で、ドラゴンの鶏冠を掴んだ。 その途端、ドラゴンが甲高い雄叫びを上げ、両翼をはばたかせ急上昇。 凄まじい勢いで地表へ飛び出した。

 

「ユウキッ!」

 

「うん!」

 

俺たちはドラゴンの背から跳び、俺は空中でユウキを横抱きにすると、両足を広げて着地姿勢をとる。

ポフン!と着地し、勢いで雪が舞い上がった。 あれだ。……全身雪塗れだ。

俺たちは立ち上がり、全身についた雪を払い落した。

 

「ふぅ、助かった」

 

「一時はどうなるかと思ったよ」

 

俺は苦笑した。

 

「同感だ。 さて、戻るか」

 

「だね」

 

俺たちは剣を作ってもらう為、リズベット武具店へと向かった。

今日の空は、雲一つない快晴だった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

第48層リンダース。 《リズベット武具店》のドア前に立った俺たち。

ゆっくりとドアを開け、

 

「「ただいま帰りましたー……」」

 

中を覗くとリズは苦笑。すぐ傍で、《閃光》と《剣舞姫》が激怒していた……。

言うまでもなく、《黒の剣士》と《絶剣》は顔を青くした。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「ホントに心配したんだからね」

 

「次はありませんよ、って言いましたよね」

 

はい。 俺とユウキは、店内の端でアスナさんとランさんから絶賛お説教中です……。

 

「「うぅ、ごめんなさい……」」

 

小さくなる、俺とユウキ。

こうなってしまっては、攻略組最強の名は形無しである。

 

「もう、君たちはどうしようもないんだから。 今日はここまでにしてあげる」

 

「あと、そうですね。 遠くへ行く時は、メッセージもお願いしますね」

 

「「……はい、わかりました。 肝に銘じます……」」

 

お説教が終わりを迎えた所で、リズが話しかける。

 

「あ、あの~、もうよろしいでしょうか? そろそろ剣を打ちたいかな~って……」

 

「そ、そうだな。 よろしく頼む」

 

俺は逃げに走る事にした。 逃げるが勝ちである。

まあ、勝てる要素がない。と言う事でもあるんだが……。

カウンターの奥のドアを開けると、ごとんごとんと水車の音が一際大きく響いた。 壁のレバーを倒すと、鞴が動いて風を送り始める。 炉が真っ赤に焼け始めると、リズがインゴットを投下した。

 

「片手用直剣でいいのよね?」

 

「ああ、よろしく頼む」

 

リズが気合を込めながら金属を叩くと、カーン!と澄んだ音と共に、明るい火花が飛び散った。

最後の一打、槌を振るうと、金属は赤みを帯び、じわじわとその姿を変えていく。 前後に薄く伸び始め、鍔と思しき突起が盛り上がっていく。

美しい、そう。 美しい剣だ。

刀身は薄く、細剣(レイピア)ほどではないが細い。 僅かに透き通っても見える。 刃は眩い純白。 柄は青みを帯びた銀だ。

 

「えーと、名前は《ダークリパルサー》ね。 “闇を払うもの”って意味かしら? 試してみて」

 

俺はダークリパルサーを左手に装備し、四、五回素振りしてみる。

 

「重いな……。 いい剣だ。 んで、追加注文で鞘も見繕ってくれるか?」

 

リズはストレージから、エリュシデータの鞘と酷似した物を見繕ってくれた。

剣を鞘に収めた俺は、アイテム欄を開き剣を格納した。

 

「これで依頼は完了ね」

 

「おう、サンキュ。 で、代金は?」

 

「それなら貰ったでしょうが。 あんたのスキルの事よ。 あれ、ユウキたち以外には、秘密なんでしょ?」

 

「ああ、まあな。 アスナたちには、これから話すつもりだ」

 

「そう、ならOKね」

 

そう言ってから、俺とリズは皆の所へ戻った。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「隠してるつもりはなかったんだが、俺とユウキはユニークスキル使いなんだ」

 

「ごめんね。 早く言えば良かったんだけど、修行諸々が終わってなくて」

 

でも、と俺は前置きをする。

 

「緊急事態が起きるまで使いたくないっていうのが、俺たちの本音でもある」

 

「それも考慮して、ボス戦の編成を任せてもいいかな?」

 

血盟騎士団副団長様たちは思案顔だ。

てか、あんまり驚かないのかい。 まあ二人からすれば『そんなので驚いてたら、この先が思いやられるわ。』の一言で終わらせちゃうと思うけど。

 

「ええ、任せて頂戴」

 

「団長の《神聖剣》もありますしね。 二人は今のままでも、かなりの戦力ですから」

 

アスナとランの言葉を聞き、ホッと胸を撫で下ろす。

まあ、使ってくれって言われたら、隠さずに使用するつもりだったけど。

 

「悪いな」

 

「二人とも、ありがとう」

 

お礼を述べる俺たち。

このようにして、俺たちは秘密を打ち明け、二本目の剣も完成したのだった――。




今回は、ちょっと短めでした。
てか、お説教される攻略組最強ですね(笑)アスナさんたち、怖いんだろうな……(((;゚Д゚)))

幼稚園児時代の、キリト君とユウキちゃんの話も書いてみました。
後、一部現実の名前になってるのはわざとなので突っ込まんといてください<m(__)m>

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