ソードアート・オンライン~黒の剣士と絶剣~ リメイク版   作:舞翼

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キリト君とユウキちゃんを早くくっつけないとヤバい……。と思いながら執筆してる舞翼です。

この小説は、ハレームではなんスよ……。いや、マジで。
キリト×ユウキなんです(確信)

ともあれ、投稿です。
本編をどうぞ。


第29話≪紅の聖騎士・ヒースクリフ≫

 グリームアイズとの戦闘が終了し、俺たちはポーチに手を入れ小瓶を取り出し、レモンジュースの味に似たハイポーションを口にした。 その結果、俺たちのHPは徐々に回復し全快となった。

 

「……疲れた、一生分働いた感じ……」

 

 重い空気を払拭するように、俺が冗談めかしにそう言うと、苦笑する気配。

 てか、冗談ならない位の倦怠感(けんたいかん)が襲ってきてる。

 ともあれ、今は現状の確認だ。

 俺は顔を上げると、クラインが遠慮がちに声をかけて来た。

 

「生き残った軍の連中の回復は済ませたが、コーバッツとあと二人死んだ……」

 

「……そうか。 ボス攻略で犠牲者が出たのは、六十七層以来だな……」

 

「こんなのが攻略って言えるかよ。 コーバッツの馬鹿野郎が……。 死んじまったら何にもなんねぇだろうが……」

 

 吐き出すようにクラインが言う。 クラインは頭を左右に振ると、気分を替えるように聞いてきた。

 先程のスキルの事だろう。

 

「そりゃあそうと、お前ら、何だよさっきのは!?」

 

 クラインの言葉は、俺、ユウキ、アスナ、ランに向けられているのだろう。

 俺は面倒くさそうな表情を作り、

 

「言わなきゃダメか?」

 

「ったりめえだ! 見たことねえぞあんなの!」

 

 気付くと、俺たちを除いた、部屋にいる全員が沈黙して言葉を待っている。

 俺は溜息を吐いた。

 

「ユニークスキルだよ、《二刀流》」

 

「ボクもユニークスキル、《黒麟剣》」

 

「細剣を極めた者に与えられる、《スター・メモリー》っていうスキルよ」

 

「私も、片手剣を極めた者に与えられる、《エターナル・ブレイク》というスキルですね」

 

 クラインが、『……なるほどなァ』と頷き、おお……と、軍の生き残りやクラインの仲間の間にどよめき声が流れた。

 アスナとランのスキル、極めし者に与えられるスキルは噂として広がっていたが、これで確信に変わるだろう。

 

「ったく、水臭ぇなお前ら。 そんなすげェ裏技黙ってるなんてよう」

 

「アスナとランはともかく、俺とユウキのユニークスキルは、知らない内にスキルウインドウに名前が出現したんだよ」

 

 そう言って、俺は肩を竦める。

 

「……はあ、これから面倒になるな……」

 

 遠い目をする俺。

 ユウキは苦笑し、

 

「まあまあ、ボクもなんだし元気出して」

 

「……いやまあ、そうだけどさ」

 

 明日からほぼ確実に、剣士やら情報屋が家の前で待ち伏せをしてるはず。 まあ、アスナとランはどのように取得できるか解るスキルなので、問題ないはずだ。

 クラインは振り向き、軍の生存者達の方へと歩いて行った。

 

「お前達、本部まで戻れるか?」

 

 クラインの言葉に一人が頷く。 まだ、十代とおぼしき男だ。

 

「はい。……あ、あの……有り難うございました」

 

「礼なら奴らに言え」

 

 こちらに向かって親指を振る。 軍のプレイヤーたちは、よろよろと立ち上がると、座り込んでいる俺たち四人に深々と頭を下げ、部屋を出て行った。 回廊に出た所で次々に転移結晶を使いテレポートしていく。

 クラインは、軍全員のテレポートを見届けてから俺たちに声を掛けてきた。

 

「んじゃ、オレたちは七十五層の転移門をアクティベートしに行くけど、お前たちはどうする? 今日の立役者だし、お前らがやるか?」

 

「いや、俺たちは疲れた。 このまま帰る」

 

「そうか。……気を付けて帰れよ」

 

 クラインは頷くと仲間に合図した、それから六人で部屋の奥にある大扉の方へ向かって歩き出す。 その向こうには上層へと繋がる階段があるはずだ。 扉の前で立ち止まると、クラインはこちらに振り向いた。

 

「その……、おめェらがよ、軍の連中を助けに飛び込んでいった時な……」

 

「……なんだよ?」

 

「オレぁ……、なんつうか、嬉しかったよ。 そんだけだ、またな」

 

 まったく意味不明だ。 首を傾げる俺にクラインは右手親指を突き出すと、扉を開け仲間たちと一緒にその扉の向こうへ消えて行った。

 広いボス部屋に、俺たち四人だけが残された。 床から噴き上げていた青い炎は静まり、部屋全体に渦巻いていた妖気も消え去っている。 周囲には回廊と同じような柔らかな光が満ち、先程の死闘の痕跡すら残っていない。

 

「つか、今日から避難しないとマズイ感じ?」

 

「……うん、マズイかもね」

 

「明日には、剣士やら情報屋が家の前に溢れ返ってるかもしれませんね」

 

 避難するって言っても何処に?……エギルの店の二階が妥当か?

 すると、アスナが――、

 

「キリト君とユウキちゃん、私の家に避難する?」

 

 クラディールのストーキングは、今日はランのホームの為、四人が一つ屋根の下。という事になる。

 

「……いや、信用されてるとはいえ、それは拙くないか」

 

「大丈夫よ。 キリト君にそんな甲斐性はないって知ってるからね」

 

 ……仰る通りです、アスナさん。

 話が纏まった所で、俺たちは立ち上がり回廊の外に出てから、右手で転移結晶をポーチから取り出してコマンドを叫び、第61層《セルムブルグ》へ転移したのだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 翌日。

 俺とユウキは、アスナのホームのリビングのテーブルに座りながら新聞を読んでいる。

 ちなみに、アスナとランはギルド関連で用事がある為、朝早く出かけた。

 

「ったく、何だよ。 この記事は」

 

 新聞の見出しにはこう書いてあった。

 

『《軍の大部隊を全滅させた悪魔》。――《それを撃破した二刀流使いの五十連撃》、《黒燐剣使いの三十連撃》。 また、最強ギルド血盟騎士団には、頂点を極めし者現る』

 

 完全に、俺たちはとばっちりである。 軍のアホ共が途中で離脱してれば、こうはならなかったはずなのだ。

 既にアインクラッド中が、昨日の《事件》で持ち切りだろう。

 フロア攻略、新しい街へのゲート開通だけでも十分な話題なのに、今回は色々とオマケがあったのだ。

 

「はあ……もう50層には帰れないわ。 引っ越すか」

 

「じゃあ、ボクもかな。 ボクも50層には帰れないし……。 この際、一緒に暮らす? 朝もすぐに起こしてあげられるしね。 それで、攻略はお休みで」

 

「魅力的な誘いでもある」

 

 そんな時、俺にメッセージが届く。 差出人はアスナであり、その内容は、『団長がキリト君たちと話がしたいんだって。 私のホームに向かってるよ。』という内容だ。

 ……てか、もう向かってるのかよ。 凄ぇ会いたくないんだけど。

 

「どうしたの?」

 

 キョトン顔をしてユウキが聞いてきたので、ウインドウを可視モードにして、ユウキに先程の内容を見せた。

 ユウキは、あー、なるほどね。と言い、肩を竦めていたが。

 数分後、そいつはやって来た。

 

『キリト君。 開けるよ』

 

 アスナの声がして、玄関の扉が開かれる。 部屋に足を踏み入れた人物は、血盟騎士団団長ヒースクリフ。

 奴は、最強の男。 生きる伝説。 聖騎士。 血盟騎士団のギルドリーダーに与えられた二つ名は手の指で足りないほどだ。

 そしてこの男は、唯一のユニークスキルを持つ男として知られていた。

 十字を象った一対の剣と盾を用い、攻防自在の剣技を操るスキル。そのスキルの名は《神聖剣》。

 圧倒的なのはその防御力だ。 彼のHPバーがイエローゾーンに陥った所を見た者はいないと言われている。

 大きな被害を出した第50層のボスモンスター攻略戦において、崩壊寸前だった前線を俺たちと共に支え続けた逸話は今でも語り草となっているほどだ。

 

「キリト君、ユウキ君。 君たちは私に次ぐユニークスキル使いと聞いた」

 

 ヒースクリフは、俺と向かい合わせになるように座り、そう言った。

 また、ヒースクリフの特徴的なのは目だ。 真鍮色(しんちゅういろ)の瞳からは、対峙した者を圧倒する強烈な磁力が放出されている。 会うのは初めてじゃないが、正直に言うと気圧される感覚に陥る。 つっても、俺も負けじと見返すけど。

 ちなみに、ユウキは俺の隣の椅子に座り、アスナたちはヒースクリフの後ろに立っている。

 

「――断る。 俺たちにメリットがない」

 

 俺が最初に釘を刺す。

 こいつが俺たちに会いに来た理由は薄々解る。『どちらが強いかデュエルをしないか?』とでも言いに来たのだろう。

 

「さすが話が早い。 私が言わん事に気づくとはね」

 

 ユウキたちは、話が見えず疑問符を浮かべるだけだ。

 そんな時、ヒースクリフが口を開く。

 

「私は、キリト君かユウキ君。 どちらかとデュエルを申し込む為に訪れたのだよ」

 

 なるほど。とユウキたちは納得したようだった。

 ヒースクリフは不敵に笑った。

 

「キリト君たちにメリットはあるさ」

 

「……それは何だ?」

 

 俺が問う。

 

「私に勝てば、キリト君かユウキ君。 どちらかの願いを聞こう。 もし負ければ、君たちは共に血盟騎士団に入るのだ」

 

 確かに、この条件なら文句なしだ。

 おそらくヒースクリフは、俺たちを血盟騎士団に入団させ、戦力を増強したいのだろう。 いつまでも、コンビのまま放って置けないとも言っているのだ。

 だが何故だ? 何故、そこまでギルドの育成に拘る? 奴の考えが読めない。

 

「(……どうする、ユウキ)」

 

「(……うーん、キリトに任せるよ)」

 

 俺は、そうか。と頷いた。

 そして、ヒースクリフの問いに応えた。

 

「ああ、俺が受ける……。 んで、その願いってのは、ここで言わなくちゃいけないのか?」

 

「どちらでも構わない、好きにするといい。 どちらにしても、勝つのは私だからね」

 

「言ってろ、団長様」

 

 俺はニヤリと笑った。

 

「――要求するのは、俺たち四人の休暇だ」

 

 ヒースクリフは少し驚いたように、ほう。頷く。 当の二人も目を丸くしてる。

 俺は言葉を続ける。

 

「俺たちは、約二年間休まずに戦い続けている。 攻略は遅れるかも知れないが、休暇を貰ってもいいはずだ。 俺たちの代わりにお前が前線に立ち、指揮を上げばいいだけだしな。……そうだな。 休暇の資金も要求する。 この条件を呑まないなら、俺はデュエルを断る」

 

 ……まあうん。 我ながら無茶苦茶だな。

 だが、ヒースクリフは僅かに逡巡したが頷いた。

 

「ふむ。 いいだろう、その条件を呑もう」

 

「契約成立だな。 んで、何処でやるんだ」

 

「第75層、“コリニア”の闘技場はどうかな?」

 

「ああ、それでいい」

 

 それから詳細を決めた。

 デュエルの開始時刻は午前十時。 場所は、第75層“コロニア”の闘技場であり、勝負は初撃決着形式だ。

 それを決めた後、ヒースクリフは『お邪魔したよ』と言って、アスナとランと共に第55層《グランザム》に帰って行った。

 部屋に残ったのは、俺とユウキだけだ。 隣に座るユウキが、俺の顔を見ながら微笑した。

 

「キリトが、あんな事を考えてたなんて予想外だったよ」

 

「俺たちにも、そろそろ休暇が必要だったろ」

 

「まあそうだけど」

 

「だろ」

 

 このようにして、俺とヒースクリフの決闘が決まったのだった――。




あれですね。何処かでプロポーズ(デート)回を書けば問題ないはず。(確信)
次回は、二刀流VS神聖剣ですね。

休暇も、ユウキちゃんとキリト君。アスナさんとランさん。2×2ですね。

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