ソードアート・オンライン~黒の剣士と絶剣~ リメイク版   作:舞翼

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約一カ月ぶりの更新です。てか、旧版の使い回し多し(-_-;)
まあ、今後も確実にありますけどね……(汗)

では、投稿です。
本編をどうぞ。


第30話≪二刀流vs神聖剣≫

 第75層の主街区《コロニア》はローマ風の造りだ。 既に多くの剣士や商人プレイヤーが乗り込み、新たな街を見たいという見物人も詰め掛けて活気づいている。

 街は四角く切り出した白亜の巨石を積んで造られ、何よりも特徴的なのが、転移門前に聳え立つ巨大なコロシアムだ。 俺とヒースクリフの決闘(デュエル)そこ(コロシアム)で行われることになっているのだが――、

 

「火噴きコーン十コル! 十コル!」

 

「黒エール冷えているよ~」

 

 コロシアム入り口には、口々にわめき立てる商人プレイヤーの露店がずらりと並び、見物人に怪しげな食い物を売り付けている。 コロシアムの入り口の上には、この様な看板が大きく掲げられていた。

《二刀流剣士キリト VS 紅の聖騎士ヒースクリフ。 アインクラッド最強剣士はどちらのプレイヤーか!》

 

「……どうゆうことだ、これは」

 

 俺は呆気に取られて、隣にいるユウキに聞いた。

 

「さ、さあ、ボクにもわからないかな……」

 

 ……いや、何。 この歓声の中で決闘(デュエル)をしなくちゃいけないの? てか、コミュ症の俺とっては、ほぼ虐めに近いと思うんですが……。

 

「……な、なあ、ユウキ。 俺帰っていいかな。 てか、一緒に逃げよう」

 

「……ボクはそれでもいいけど。 姉ちゃんたちの立場もあるし、ボクたちの今後にも関わってくるよ」

 

 『鬼神の片割れが、血盟騎士団との決闘(デュエル)に臆して尻尾を巻いて逃げた』的な新聞が配られたら、俺に関わる皆に迷惑をかけてしまうのは間違えなかった。

 そして、俺は肩を落とした。

 

「……だよな。 腹を括るしかないか」

 

 まあそういうことなので、俺は大民衆の中で決闘(デュエル)をする事になった。

 儲け分を、俺たちの休暇資金にしてやる。 じゃないと、割に合わん。

 

「キリト、あそこ見て」

 

 ユウキの視線の先に目をやると、そこには血盟騎士団の制服を着たポッチャリした奴が映る。

 俺の予想だと、あいつがこの元凶だ。……分かっても、今更なんだけど。

 

「……おそらく、KoBの経理担当だろ」

 

「ボクもそう思う。 それにしても、用意周到だね」

 

「……だな」

 

 この後、アスナたちと合流し、控室へ案内してもらった。

 控室は、闘技場に面した小さな部屋だ。 また、既に観客は満員であり、歓声がうねりながら届いてくる。

 

「私たちはここまでね」

 

「キリトさん、頑張ってください」

 

 そう言って、アスナたちは控室から出て観客席へと向かって行った。

 俺は溜息を吐く。

 

「……帰りたいわ」

 

「そう思うのも無理ないよ。 キリト、昔からコミュ症だもんね」

 

 俺は苦笑してから、だな。と頷いた。

 

「まあでも、あの時、お前たちに声をかけて正解だった」

 

「ふふ、そうだね。 ボクと姉ちゃんが砂遊びしてた時に、『あ、あの、一緒に遊んで、い、いいかな』だっけ?」

 

 と言って、ユウキはクスクス笑った。

 

「おいやめろ。 それ、俺の黒歴史の一つだからね」

 

 でも、仲良くなってから、俺が引っ越して離れ離れになっちゃったんだが。

 あの時、俺泣いたなぁ……。 まあ、口が裂けても本人には言わんが。 てか、これから決闘(デュエル)なのに、和みすぎだよね俺たち。

 

「さて、そろそろ行きますか」

 

 俺は椅子から立ち上がった。

 そんな時、両手でぎゅっと俺の手首を掴んだ。

 

「危険と判断したら、リザインするんだよ」

 

 その声音は、とても柔らかい。

 

「分かってる。 休暇をもぎ取って帰って来るから心配するな」

 

「ん、それならよし」

 

 そう言ってユウキは微笑むと、ゆっくり手を下ろした。

 闘技場の方からは、歓声に混じり試合開始を告げるアナウンスが響いている。俺は、背中に交差して吊った二本の剣の刀身を同時に少し抜き、“チン”と音を立てて鞘に納める。

 

「いってらっしゃい、気をつけてね」

 

「ああ、行ってくる」

 

 俺は四角く切り取ったような光の中へ歩き出した。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 円形の闘技場を囲む階段状の観客席はぎっしりと埋まっていた。 最前列にはエギル、クライン、アスナ、ランと、知った顔もある。

 俺は、闘技場の中央に達した所で止まった。 直後、反対側の控え室から真紅の聖騎士が姿を現した。

 ヒースクリフは、血盟騎士団制服の白地に赤の模様なのに対して、それが逆になった赤地のサーコートを羽織っていた。

 鎧の類は俺と同じく最低限だが、左手に持った巨大な純白の十字盾が目を引く。 剣は盾の裏側に装備されているらしく、頂点部分から同じく十字を象った柄が突出している。

 俺の目の前まで進み出てきたヒースクリフは、周囲の大観衆に目をやると苦笑した。

 

「すまなかったなキリト君。 こんなことになっているとは知らなかった」

 

「別にいいさ。 それより、あの時の契約は守れよ」

 

「……いや、君は試合後から我がギルドの団員だ」

 

 ヒースクリフは笑いを収め、瞳から圧倒的な気合を(ほとばし)らせてきた。 俺は意識を戦闘モードに切り替え、ヒースクリフの視線を正面から受け止めた。 そして、大歓声が徐々に遠ざかっていく。

 ヒースクリフは視線を外すと、俺から距離を取り右手を掲げた。 この動作により、俺の目前にデュエルメッセージが出現した。

 もちろん受諾。 オプションは初撃決着モード。

 カウントダウンが始まり、周囲の歓声は俺の耳には届かない。

 俺は、背中から二振りの愛剣を同時に抜き放ち、ヒースクリフも盾の裏から細身の長剣を抜き構える。【DUEL!!】の文字が閃くのと同時に俺と奴は地を蹴った。

 俺は沈み込んだ体勢から一気に飛び出し、地面ギリギリを滑空するように突き進み、ヒースクリフの直前で体を捻り右手の剣を左斜め下から叩きつける。 十字盾に迎撃され、激しい火花が散るが、攻撃は二段構えだ。

 右にコンマ一秒遅れて、左の剣が盾の内側へと滑り込む。 二刀流突撃技、《ダブルサーキュラー》。

 左の一撃は脇腹に達する直前で長剣に阻まれてしまったが、この一撃は挨拶代わりだ。 技の余勢で距離を取り、向き直る。

 今度は、ヒースクリフが盾を構えて突撃して来た。 巨大な十字盾の陰に隠れて、奴の右腕がよく見えない。 なので、俺は右への回避を試みた。 盾の方向に回り込めば、初期起動が見えなくても攻撃に対処する余裕が出来ると踏んだからだ。

 ヒースクリフは盾自体を水平に構えると、尖った先端で突き攻撃を放ってきた。 純白のエフェクト光を引きながら巨大な十字盾が迫る。

 

「ぬんッ!」

 

「チッ!」

 

 俺は咄嗟に両手の剣を交差して防御した。 激しい衝撃が全身を叩き、数メートルも吹き飛ばされる。 右の剣で床を突いて転倒を防ぎ、空中で一回転して着地する。 また、あの盾にも攻撃判定があるらしい。

 

「(……盾と剣で二刀流だな。 反則だろ、あれ……)」

 

 手数で上回れば一撃勝負では有利、と思っていたがこれは予想外だ。

 ヒースクリフはダッシュで距離を詰め、十字を象った右手の長剣が突き込まれてくる。 連続技が開始され、俺は両手の剣を使って防御に徹した。

 連撃最後の上段斬りを左の剣で弾くと、俺は間髪入れず右手で単発重攻撃《ヴォーパル・ストライク》を放つ。 ジェットエンジンめいた金属質のサウンドと共に、赤い光芒(こうぼう)を伴った突き技が十字盾の中心に突き刺さる。 岩壁の様な重い手応えにも講わず、そのまま撃ち抜く。

 

「う……らぁッ!」

 

 凄まじい衝撃音が轟き、今度はヒースクリフが撥ね飛ばされた。 盾を貫通するには至らなかったが、多少のダメージは《抜けた》感触があった。

 奴のHPバーが僅かに減っているが、勝敗を決するほどの量ではない。 ヒースクリフ軽やかな動作で着地すると、距離を取った。

 

「……素晴らしい反応速度だな」

 

「……アンタの防御も堅すぎるぜ」

 

 言いながら俺は地面を蹴った。 ヒースクリフも剣を構え直して間合いを詰めて来る。超高速で連続技の応酬が開始された。 俺の剣は奴の盾に阻まれ、奴の剣を俺の剣が弾く。 周囲では様々な色彩の光の連続的に飛び散り、衝撃音が闘技場の石畳に突き抜けていく。

 例え、強攻撃が命中しなくても、どちらかのHPバーが半分を下回ればその時点で勝者が決定する。

 俺は、攻撃のギアを上げていく。 そして、剣戟(けんげき)の応酬が白熱した。

 奴のHPが五割見える所まで来た。 だが、俺もそれに近いだろう。

 

「らぁぁぁああ!」

 

 俺は全ての防御を捨て去り、両手の剣で攻撃を開始した。 二刀流上位剣技《スターバースト・ストリーム》。恒星から噴き出すプロミネンスの奔流(ほんりゅう)の如き剣閃(けんせん)がヒースクリフに殺到する。

 ヒースクリフが十字盾を掲げて防御するが、構わず上下左右から攻撃を浴びせ続ける。

 

「(――抜ける!)」

 

 俺は、最後の一撃がガードを超える事を確信した。

 盾が右に振られすぎたそのタイミングを逃さず、左からの攻撃がヒースクリフの体に吸い込まれていく。

 

 その時、世界がブレた。

 俺を含む全てが一時停止した様な、そんな気がした。 ただ、ヒースクリフ一人を除いて。 右に振られたはずの奴の盾が瞬間的に左に移動し、俺の必殺の一撃を弾き返した。 だが、弾かれたのはヒースクリフの盾も同じ。

 

「なッ……」

 

 大技をガードされた俺は、致命的な硬直時間を課せられる。

 

「(……だが、まだだ! ユウキたちが見てる前で負けたくないッ!――動け、動けよ! 俺の体!)」

 

 ヒースクリフは、決闘(デュエル)を終わらせる右手剣の単発突きを与えようとするが、俺の左腕が動き(・・・・・)、胸元に迫る突き攻撃を、剣を衝突させ寸前で逸らす。

 体勢を立て直そうとバックステップで下がろうとするが、下半身の自由が効かない。動かせるのは、右腕だけだ。

 

「う……らぁッ!」

 

 俺は力を振り絞り、右腕を振るう。

 無造作な横薙ぎ攻撃だが、今はこれで十分だ。 ヒースクリフの盾は弾け、剣も手元へ戻す事も不可能だ。

 

 ――いける!

 

 そう思った俺だが、俺は驚愕する事になる。

 そう――盾が手元に戻っていたのだ。

 

「(なッ!?)」

 

「ぬんッ!」

 

 ヒースクリフが放った盾の突き攻撃が俺の腹部を襲い、数メートル飛ばされた。

 だが、俺の攻撃も入ったはずだ。 ならば、どちらかの攻撃が早かった方に軍配が上がるはず。 そして、決闘(デュエル)ウインドウに目をやるとそこには――【DRAW】と表示されていた。

 

「……引き分けか」

 

 攻撃は、ほぼ同時だった。という事だ。

 つっても、俺の今の姿は惨めだよなぁ……。 尻餅を突いてるし、剣は吹き飛ばされた時に放したので、前の方で落ちてるし。

 

「キリトっ!」

 

 声がした方に目を向けると、ユウキが小走りで向かって来てくれて、俺の隣に座ると、回復結晶でHPを全快にしてくれた。

 それから、俺に抱きついてしまった。……てか、ここ民衆の前だよ、ユウキさん。

 とまあ、抱擁が終わった所で、ユウキに肩を貸してもらい俺はゆっくり立ち上がった。

 

「……ヒースクリフ。 こういう場合、勝負の結果はどうなるんだ?」

 

 元ボッチが、血盟騎士団は以外にきつかったりする。 まあ、あの時は言ってなかったけどさ。

 

「……この勝負は私の負けだよ」

 

 こう言ってるヒースクリフには、動揺の表情が浮かんでいた。

 そして俺は、ある予想が立ってしまったのだった。 だが、確信がないので、無暗に手を出すのは危険すぎる。

 

「……そうか。 俺たちは遠慮なく休暇をもらう」

 

「……承知した」

 

 ヒースクリフは身を翻し、ゆっくりと控え室に消えて行った。

 俺とヒースクリフの決闘(デュエル)は、引き分けという形で勝負がついたのだった――。




デュエルは引き分けに終わりました。最後は、相討ちじゃないと間に合わなかったんですね。じゃないと、キリト君の硬直が解けちゃいますしね。

これで、四人とも休暇ですね。でもまあ、メインはキリト君とユウキちゃんを書こうかと思います。

え、クラディール。何それ美味しいの?って感じなのでこの場面は飛ばします。
てか、キリト君はクラディールの罠には嵌まらないはずですから。

まあ、アスナさんとランさんなら、何かしらの策を考えて、クラディールを監獄に送ってそうだし。
ストーキングしてたんで、ザマァ。としか言いようがないんですが……。

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