零の飛空士   作:葛葉

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プロローグ とあるアメリカ兵が見た光景

1943年前期に日本軍がガダルカナルから撤退して以来日本軍は受け身にならなければならなかった。

ラエからはすでに撤退し最後のソロモンの要ともいえるラバウルに猛攻さらされていた。

それでも残された海軍航空隊は時には連合軍が驚くような反撃を見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァハァッ・・・・。」

 

 

 

 

――俺は、海兵隊のF4U乗りのジム。撃墜スコア3・5機を持つベテランだ。

 

 

 

 

 

「ハァハァッ・・・・。」

今日もいつもの様にポートモレスビーから出撃してのんびりと狩りができると思っていたのに

ラバウルまで後30分の所で状況が変わった。

 

 

 

 

「ハァハァッ・・・、クソッたれ・・・。」

――ちくちょう、いつもと同じラバウル攻撃だと思っていたのに

今日ばかりはベテランパイロットばかりで固めていやがる。

 

 

 

 

 

 

まず、飛行している俺たちの上空から、1機のジーク(零戦)が急降下してきて、リーダーを一撃で落とした。

敵ながら見事な射撃で、機首・コクピット・主翼の付け根と戦闘機の弱点を集中的に狙われた。

リーダーはバラバラになりながら落ちて行った。

 

 

 

 

動揺する俺たちに複数の零戦が上空・下方と様々な方位からジークがやってきて、俺たちは散り散りにならざるを得なかった。

いまだ混乱から立ち直る兆しは見えなかった。

 

 

 

 

と、後方から1機のF4Uがやってきて、俺の横に並ぶ。

『ジム、無事だったか。』

――相棒のアルだ。さすが、そこらのパイロットには簡単に落とされやしないぜ。

 

 

 

 

「ああ、無事だ。それにしても今日はひでぇ空戦だ。」

『それなんだが、今日のやっこさんたちは妙に手際が良かったな』

「ああ・・・・まさか奴がきている『ジム左だ!後ろにジーク!』

 

 

 

 

 

ハッと、後ろを振り返ればそう遠くない所に、先ほどリーダーを落としたジークが射撃ポジションを占位しようとしていた。

「クソっ!」

 

 

 

俺はアルの言うとおりに操縦棹を左に倒す。アルは右に避けたようだ。

 

 

しかし、俺の操縦のタイミングが遅かったのか、ジークは俺を目標に定めたようで、ぴったり付いてくる。

 

 

「クソったれ!!俺のケツに食いつきやがった!!」

この距離で急降下するのは自殺行為ともいえた。ならば、自分の腕を駆使して、ジークを振り切るほかしかなかった。

 

 

 

まず、左に高速旋回する。しかし、ジークはまだついて来る。

バレルロールではぐらかしてみるも、これも見破られてしまう。

 

 

 

 

「なら、これでどうだ!!」

右に切り返すと見せかけて、機首を持ち上げて急上昇する。

 

 

 

 

「ぐうううぅぅぅ。」

6000メートル付近で機首を水平に持ってきて、機体を立て直す。

 

 

 

 

――これで、大分引き離せたはず。

そう思って、後ろに振り替えってみて背筋が凍ってしまう。

 

 

 

 

ジークがまだついて来ていたのだ。

 

 

 

 

「うわああああぁぁぁぁ!!」

俺は絶叫の声をあげた。

 

――なぜだ。今までのジークなら振り切ることができたのに、なぜ振り切れない。

俺は恐怖心によって、体を動かせない自分がいた。

ジークは接近しており、今にも発砲しそうだった。

 

 

 

 

 

 

『ジム、今すぐ助けてやるぞ!』

そんな俺を救ったのは、先ほど別れたアルだった。

 

 

 

 

アルは両翼の機銃を瞬きながらジークに突っ込む。撃墜確実かと思われたが、ジークはその直前でヒラリとかわしてしまった。

しかし、目標を逸らすことは成功したようで、逃げるジークをアルが追う。

 

 

 

「ハァハァッ。助かったぜアル。」

その間に離脱することができた俺は、アルにお礼を言いながら空戦を見学した。

 

 

アルが、ジークの後ろに付き機銃が瞬きその機銃はジークに吸い込まれて・・・・。

「何っ!」

その機銃はジークに吸い込まなかった。ただ、虚空にまき散らしただけだった。

 

慌てて、周りを見ればそのジークはどう操縦したのかいつの間にかアルの後ろにいた。

 

 

 

 

 

「逃げろー!アルー!」

俺の叫び声にもむなしくジークは機銃が吠え、その弾はアルの機体を次々に穴だらけにされていく。プロペラがはじけ飛び、風防が潰れ、翼が折れていく。

無線からアルの断末魔が聞こえた。無線からアルの断末魔が聞こえなくなった頃には、アルの機体は焔を上げながら海に落ちていった。

 

 

「くそっ。」

俺は、スロットルを全開にして、例のジークとすれ違うようにして離脱していった。

 

 

 

 

すれ違う瞬間、ジークの胴体に黒い狼のイラストがあるのが見えた。

 

 

 

 

俺はそれに目を開き、心のどこかに納得する自分があった。

――ああっ、奴だったのか。それじゃ俺たちにはかなわないわけだ。

 

 

 

 

 

――俺達は奴の事をこう呼んでいた。空に出会ったら生きて帰れない死神

 

 

 

 

 

 

フェンリル(魔狼)』と。――――

 

 

 

 

結局、この日出撃して行ったF4U44機の内27機が撃墜され、ジークの撃墜を確認できたのはたったの3機であった。

完全な敗北であった。特にフェンリルというコードはF4Uを単独で4機も撃墜したという。

 

 

 

 

 

――日本軍のエース、連合軍の災厄である『フェンリル』

 

 

 

 

そのパイロットの名は平賀才人。

紆余曲折を経て、60年後の未来から来た、青年であった。――

 

 




ゼロの使い魔とうたっていますが、今のところゼロの使い魔設定はガンダルーヴと才人だけです。

また、この作品を上げるに山口多聞先生のアドバイスがありました。これからもよろしくお願いします。

友人に見せたところ誤字とアドバイスをくれたので、修正しました。

こちらも、好意的な意見があれば、連載したいと思います。
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