零の飛空士   作:葛葉

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お見合い

 

「ぶっ!がふっがふっ」

 

肺に入っていたタバコの煙でむせる才人

 

 

その光景はどこかデジャブを感じ取れるものだった。

 

 

 

――――なんで、この兄妹は揃いも揃って俺を脅かすのが得意なんだよ

 

 

 

「がふっ・・・・がふっ・・・・・あー、佐々木ちょっと聞きたいことあるんだが」

 

 

 

落ち着くことができた才人は、佐々木に質問する。

 

 

 

「俺の聞き間違いでなければ、俺に見合いしろと言うたんだな?」

「そうだ」

 

 

 

才人は、手を顔に置き、天井を仰ぎ見る。

 

 

 

――――なんだそれ?

 

 

 

「あー・・・・・どうしてそういう話になったんだ?」

 

 

 

そういうと、佐々木は腕を組みながら言う。

 

 

 

「ふむ、いくつか理由があるが、まずはお前のためだ」

「俺の?」

 

 

 

才人の為だといわれても心当たりはない。

 

 

 

「お見合いが何で俺のためになるんだよ?」

「お前、有名人になってから、見合い話が増えたんだろ。それこそ全国各地から」

 

その言葉に、ギクッとなる才人。

 

 

 

確かに、見合い話が急増していて、断るのも苦労が耐えなかった。

 

 

 

 

「それに、お前さんは少尉になったうえで、いい齢になってるだろ。

この先でも苦労するぜ。」

 

 

才人は、この後が想像できた。どこかのお偉いさん方のブスな娘とか親戚とか無理やり結婚させられ、自分の出世道具に利用されるとか想像できた。

 

 

だからといって

 

 

「いや、結婚とか早すぎるんじゃないのか?」

「いや、遅すぎるぞ。俺たちは、戦闘機乗りだ。つまりほかの兵と違って戦死率が高い。その後のことを考えれば、家庭を持って子供をもうけたほうがよい」

 

 

 

なるほど、その理屈はわかる。

 

だが、しかし

 

 

「紫苑の気持ちはどうすんだよ?紫苑の気持ちを無視して結婚なんて

不幸を呼ぶだけだぞ?」

 

 

 

才人は、紫苑が断ればと思ったが・・・・・

 

「いえ・・・・。嫌じゃないと言いますか・・・・」

 

 

顔を赤くして、もじもじとしていた。

 

 

 

万事休す、四面楚歌であった。

 

 

 

 

 

やがて、佐々木が口を開く

「平賀・・・俺たちは兵隊であり、戦闘機乗りだ。俺は、死ぬのが怖いとは思わないが本当にいつ死ぬかわからん。その前に、紫苑の・・・・妹の・・・・晴れ姿を一目でも・・・写真であっても見たいんだよ。

その点、平賀・・・・お前なら、俺よりも生き延びることできるだろうし、お前なら絶対紫苑を幸せにできると思っている」

 

 

「佐々木・・・・・」

才人は何も言えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というか、かわいい妹をどこの骨とも知らんやつに渡せるかー!」

「それが本音かよ!」

 

いい話の後だっただけに台無しであった。

 

 

 

 

「こ・・・・この・・・・兄馬鹿が・・・・・」

「わははははは!兄馬鹿で結構!紫苑は可愛いからな。ああそれと」

 

 

そういうと、いきなり肩をガシっと鷲掴みした。

 

「い?」

「どのような結果になるか知らんが・・・・・紫苑を泣かせたら命はないと思え・・・・・」

ギリギリと肩を強く掴む

 

 

その迫力に才人はコクコクと頷く他なかった。

 

 

 

「そうかそうか、そりゃよかった」

 

 

と言いながら肩をポンポンたたく。

 

才人としては生きた心地はなかった。

 

 

 

「よーし、後は若いもんだけがやれよ。俺のようなお年寄りは退散するからな!なんならやっちゃってもいいんだぞ」

「って、お前何を口走っとるんだ!」

「はーはっはっ!聞こえんなー?それじゃあな」

 

 

 

と言って、本当に消えて行ってしまった。

 

 

 

 

 

残るは、紫苑と才人の2人である。

 

 

 

 

「「・・・・・・・・・・・・・・」」

 

 

どちらも会話がなく、ただ沈黙が流れる。

 

 

 

――――あー、佐々木のやつ御代を置いていかずにいったな。あとで毟りとらな

それは現実逃避である。

 

 

「あのー・・・才人さん」

「うん?どうしたの?」

 

 

 

紫苑を見れば、不安そうな顔をしていた。

 

 

「すいません・・・迷惑だったでしょうか・・・?」

 

 

 

「あー、いやいや迷惑だとは思っていないよ。少なくとも紫苑のような可愛い娘から

好かれるのはそんなに悪いことでもないしね」

 

 

それは本心である。

 

 

「そうだったんですか。安心しました」

紫苑はかなりホッとした顔をしていた。

 

 

 

「まあ、いつまでここにいるのも何だしな、とっと外に出ようぜ」

「はい!」

 

才人と紫苑は立ち上がって、会計を済まし、外に出た。

 

 

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