零の飛空士   作:葛葉

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フェンリル

 

 

―――数日後、ラバウルへ空襲を行う戦爆連合機の姿があった

 

「ヘイ!ジャップとバーベキューだ!」

『後、1機で俺もエースに仲間入りだ。ガム頼むぞ!』

『俺帰ったら、手紙を出さんとな』

『もうすぐ、ジャップの基地だ。各員警戒せよ』

 

隊長がそう警告を出した途端、B-26が上から落ちてきた何かによって撃墜された

いや、1機だけではない、2機、3機と他の機体も落とされていく

 

『ジャップの戦闘機だ!ブレイク!』

隊長がそう叫んで、ブレイクすると、黒い影が次々と降りてくる

回避行動しなければ、撃墜されたであろう

 

『ヘイ!向こうからゼロがやってくるぞ!』

みれば、ゼロが猛突に突っ込んでくるところだった

 

 

俺達がその突っ込みをかわすと、1機にマーキングがしているのを見つけた

黒く塗装された、犬の様なものであった

 

『ジャップのゼロに子犬がマーキングしているぞ!』

「人間様に害を与えたらどうなるか躾けてやらんとなあ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして俺たちは戦闘に入ったが、今日は完敗に終わった

 

一撃離脱戦法を駆使することで、ゼロを落とす方法を確定していたが

ゼロは、俺たちにそうさせる余裕を与えてくれなかった

まるで先読みしたかのようにゼロが現れて、落とされたからだ

 

 

こうして、戦闘機が剥がされて丸裸になった爆撃隊は悲惨だ

ゼロが群がってきて、寄ったかって撃墜され、1機も帰らなかった・・・

 

 

特に、黒犬のマーキングをした奴は驚異だ

奴の後ろに付いたと思ったら、姿を消していつの間にか撃墜していくのだ。

今日、奴に落とされたのは見ただけでも3機もいた

 

 

 

こうして、連日部隊を変えながら空襲していったが、殆どが完敗したらしい

戦闘機だけ空襲・低空奇襲・高高度侵攻などと様々な手法を変えたが

いつも見破られて大損害をくらった・・・

 

 

特にゼロの先頭には常にあの黒い犬がいたという

あの黒い犬がいなかった日は無かった。

 

黒い犬に落とされた戦友は数多い

 

 

ゼロと格闘するな!という通達があるにもかかわらず、多くの戦友がアイツに惹かれるかのように空戦を行い、落とされた・・・

 

 

 

 

他のゼロと同じはずなのに、アイツだけは別のゼロに見えた

 

 

 

 

そして、目の前に奴がいる

 

 

奴は鮮やかに1機を落とすと俺の目の前に来て、素人のように左右に振っているのだ

 

 

「野郎!」

舐められていると思い!血が上った頭のまま、すぐに照準機に入れる

 

 

「くたばれ!!」

 

トリガーを押した瞬間、奴は姿をかき消してしまった

 

「なっ!どこに消えた!奴は!」

 

後ろ、太陽と素早く見回しても奴の姿はいなかった

と、通信が突如入って来た

 

 

『トム!下にいるぞ!お前の腹の下に!』

「!」

 

 

みれば、奴は腹の下に背面飛行状態でピッタリ付いていた

 

「Noooo!!」

 

俺は恐怖状態になり、逃げようとしたところ、意識が消失した・・・・

 

 

 

 

 

 

また、1機落とされた。隊長も奴に落とされた。

 

『あ・・・・悪魔だ!やつは犬じゃない!魔物だ!』

無線から恐怖に染まった声が聞こえる。

 

 

否定できなかった。

 

 

ここ、数日アイツの姿を見てないという日は無かった

他の部隊や、戦友が聞いても異口同音に答えるだろう

 

『奴のゼロは人間じゃないと』

 

 

もはや、隊は統率されておらず、我先と逃げる他なかった

 

 

 

 

こうして、連合軍を恐怖のどん底に陥れたゼロに二つ名がついた

 

 

フェンリル(魔狼)

 

 

公式の戦史にこの名前が見えるようになったのもこの頃からであった

 

 




アメリカ側視点で書いてみました

如何に恐れていたかを表現したかったです

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