零の飛空士   作:葛葉

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出会い

 

昭和15年元旦

 

 

才人は冬木家で新年を迎えた。才人は横須賀航空隊に配属されていた。例の佐々木たちも同じくである。なお、内地に帰るのに一番ごねたのは佐々木であった。なぜなら

 

 

敵機を1機も撃墜する事ができなかったからだ。

 

 

あの空襲から数日後、才人たちは空戦をやる機会があったので、それぞれ1機ずつ落とせたのに対し、佐々木は進撃途中でエンジントラブルに遭い、泣く泣く引き揚げたという。

 

 

とまあ、佐々木の駄目駄目伝説は置いといて、我らの主人公才人はというと

 

「あけましておめでとうございます。昭三さん・照子さん。」

「うむ、新年おめでとうだな。才人君」

「おめでとう。才人君」

にこやかに元旦のあいさつを行っているようだった。

 

 

「これからは、どうするのかね?才人君」

「はい、佐々木が近くに来ているので、一緒に初詣に行こうかと思っています。」

「そうか、これからは、軍令部たちの関係者がたくさん来るので、心細いだろうなと思っていたところなんだよ。」

そんな会話があり、才人は待ち合わせした神社に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

才人が、神社に向かっていくとさすがに元旦であるから、人だかりができていた。

 

「さすがに人がいっぱいだな。佐々木はどこにいるんだが。」

才人はきょろきょろと探していると後ろから声が聞こえてきた。

 

「おーい、平賀!こっちだこっちだ!」

「お、あの声は佐々木だな。新年あけま・・・・・。どうしたんだそれ?」

才人は振り返り、新年のあいさつをしようとしたんだが、途中で止まってしまった。

 

 

なぜなら、佐々木の服は明らかにズタボロに汚れていたからだ。

 

「いやー待っていたら、突然、猫にひっかけられたり、犬にかまれたり、こけたところで団体さんがやってきて、俺を踏んで行ったよ。はっはっはっ。」

と、佐々木は何事もなかったかのように話した。

 

 

「そ、そうか・・。」

才人はひきつった顔で言うのが精一杯だった。

 

 

初詣をつつがなく終えたところで、これからどうしようかと話していた。

 

「これからどうすんだ佐々木?」

「うむ、実は人と会うや「ここに居たのですか?兄さん。」

後ろからかわいらしい声が聞こえた。

 

 

才人は後ろに振り返って、固まってしまった。なぜなら彼女は

 

 

 

「おお、来ていたのか。紹介するぜ、こちらは戦友の平賀才人だ。」

「兄さんがお世話になっています。平賀さんの事は兄さんからいつも聞いています。あ、申し遅れました。私は佐々木紫苑です。よろしく。」

 

 

 

シエスタとよく似ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まあ、そんな事があったのですか兄さん。」

「はっはっ、そうだ、俺が華麗に敵を落としてやったんだ」

ここは近くの喫茶店である。今は佐々木の自慢話をしていた。もちろん嘘だが。

 

 

「本当に落としたんですか?平賀さん。」

紫苑はかわいらしく尋ねる。

 

 

「あ・・・。ああ、本当の事だ。」

才人はというと上の空であった。なぜなら、シエスタと本当によく似ていて、仕草などもそっくりだった。双子じゃないかと言った方が納得いく方だ。

 

 

――ただ、一か所だけ違うんだよね。

と、才人はある部分を見ながら思う。

 

 

 

 

「平賀さん?何か考えていらっしゃるのでしょうか?」

「い・・!い、いやいやそんなことないぞ、紫苑さん。」

なぜか紫苑から黒い何かを感じて慌ててそう言った。

 

 

「そうですか。ところで平賀さんの武勇伝聞かせてください。」

「あ、ああ。いいよ、話をするよ。後、才人でいいよ。」

 

 

こうして、才人の武勇伝を聞かせて、途中で佐々木の嘘がばれて、佐々木が大いに慌てるということもあった。時間が来たので別れることとなった。

 

 

「才人さん今日はありがとうございました。」

「くそー、今度戦地に行ったら、絶対戦果を上げて自慢話をするんだからな!」

佐々木兄妹はまっすぐ帰って行った。

 

「やれやれ、騒がしい兄妹だったな。」

才人は苦笑と共に煙草を取り出し、火をつけて、吸いながら冬木家に戻っていく。

 

 

――にしても、シエスタそっくりと出会うなんて。

才人はその点の事を思うと気が重くなるのを感じた。

 

 

――もしも、ルイズそっくりと出会ったらどうなるんだろうか。

そう、シエスタそっくりと出会ったのだ。ルイズそっくりと出会って、残ると思いかねない。

 

 

――その時には、行く決意ができるのだろうか?

才人の呟きは誰にも答えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正月休暇が終わり、横須賀航空隊に戻って行った。そこで、司令官よりの訓示があった。

 

「正月休暇で、骨休みができた者もおると思われるが、諸君にはますます働いてもらいたい。中国の戦況を聞いた事があるものもおると思うが、膠着状態である。諸君がここに来てもらったのは他でもない、今度配属される新鋭機を使って、戦況を変えてもらいたい。諸君は栄ある新鋭機の部隊となる。一刻も早く新鋭機に慣れるよう諸君に期待する。」

 

そう訓示し、格納庫に並べられている、新鋭機と対面した。

 

 

その戦闘機は96式艦戦よりも一回り大きく、そして美しい戦闘機だった。この戦闘機こそが後に世界にとどろく零式艦上戦闘機であった。この当時は、まだ正式採用前だったため、12試艦上戦闘機と呼ばれていた。それでも、今年中に正式採用する見込みで、先行量産型が才人たちの前に並んでいた。

 

――よろしくな、俺の相棒。

才人は目の前にある零戦を撫でながら、そうつぶやく。才人の知っている零戦とは微妙に違うものの零戦の面影があった。

 

だが、中身は微妙どころが、大きく変わっていた。

 

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