魔術士フランは暇な400歳児   作:ろんりーすとーん

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我が呼び声び応えよ従者

 

フランドール・スカーレットは暇人(人?)である。

 

 

故に、読書家でもある。そして読書家であるが故に、彼女には余計な知識がてんこ盛りであったりする・・・。

 

 

 

 

「我は放つ————光の白刃!」

 

 

 

かっ!————

真っ白に輝く閃光の帯が、薄暗い地下室を横切った。摂氏数百度に達する超熱の波動は分厚い部屋の入り口に直撃する。

轟音が地下室を揺るがし、重厚な木製の門に穴が空いた。

 

「・・・・よし、いい完成度」

 

フランドール———幼い吸血鬼の妹は、満足げに頷いた。

 

 

 

プロローグ 〜我が呼び声に応えよ従者〜

 

 

 

 

「妹様!?これは何事ですか!」

 

地下の爆音を聞きつけ、やってきたのはとある小悪魔だった。動かない大図書館こと、パチュリー・ノーレッジに仕える使い魔の一匹だろう。そう、フランは推測する。銀色の髪に青い瞳、あまり見ないタイプの小悪魔だ、小悪魔は基本、赤髪が多いのだが。

 

「良く来た!ちょっと私を手伝ってよ」

 

 歓迎される小悪魔、だが彼女は一切状況が飲み込めていない。

 門に空いた大穴といい、あちこちについた焦げ跡といい、どれをとっても訳が解らない。ただ一つ明確なのは、この惨状は目の前の悪魔の妹によってもたらされたものであると言う事、その事実のみ。

 

「あの〜妹様、これは一体・・・・」

 

「音声魔術よ!凄いでしょう?独学で完成させたわ!」

 

いやそうではなくて・・・。と言っても、この小悪魔には思い当たるフシがあった。先日、フランドールに頼まれて大図書館から運び出した品の中に、今の単語が含まれた書籍があったのを、小悪魔は覚えていた。

 

「魔術士オーフェンでもお読みになったのですか?妹様」

 

小悪魔は焼け飛び散った木片を回収しながら、フランに訪ねた。『魔術士オーフェンはぐれ旅』は、先日幻想入りしたフィクション小説で、小悪魔達の間でも人気だったため、この小悪魔も、実は結構よく知っていたりするのだ。

 

「五巻まで読み終わったよ、小悪魔は全部読んだの?」

 

 寝床である棺桶に座り、傍らにあった本の山の中から、一冊の黒を基調とした本を取り出す。タイトルの書かれた表紙には、悪魔も霞む程の邪悪な笑みを浮かべた、鋭い双眸をもつ黒髪の青年が描かれている。彼が主人公の『オーフェン』だ、小悪魔達のうち何人かは、彼の大ファンであったりする。

 

「いえ、私もまだ五、六巻までですよ。何冊か同じ物も幻想入りしていますので、回し読みが楽で良いです」

 

「へー・・・あ、それと手伝いって言うのはね・・・」

 

ああ、誤摩化しきれなかったか・・・。小悪魔は胸中嘆いた、が、表情には出さず、フランをじっと見る。

 

「私、ちょっと出掛けるから、ついて来て欲しいの」

 

「出掛ける?何処へです?」

 

「あては無いけど、とにかく冒険がしたいの・・・・て訳でレッツゴー!」

 

「ええええっ!?ちょ、ちょっと、そんないい加減な!」

 

「いいから来るのだーー!」

 

「うえああぁぁぁぁ!?」

 

がっちりと腕をホールドされ、小悪魔は自分より頭一つ以上小さな幼女に引き摺られて、地下の部屋を後にした。集めた木片は再びあたりに散らばり、小悪魔の悲痛な声が、地下の空間にドップラー効果を残して消えて行ったのだった。

 

 

 

 

幼女疾走中・・・

 

 

 

 

 

 





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