周りに響くのは微かに響く歌声。
まだ距離があるからかは知らないけど僕の聴覚はその声を捉えていた。
「……明久」
紫は遠くを真剣な表情で見つめる。よく見るとレミリア、幽々子、妖夢、それに背に乗るフランも奥を見るように意識を集中させていた。
多分彼女達の聴覚もこの声を聞き取ったのだろう。
「どうしたの?」
「ちょっとね」
「夜雀の歌よ」
「夜雀の歌?」
魔理沙は頭に疑問符を浮かべていた。
「魔理沙、夜雀の歌ってのは人を惑わせるって言われるんだ。
オマケにあまり近づくと夜盲症になるとも言われる」
「しかしどうしますか?このまま進まないわけには……」
「そのまま進むだけよ。そして歌ってる奴をぶっ飛ばすだけ」
「いや、それ極論……」(苦笑
しかし立ち止まってるわけにもいかないのも確かだ。
「行くよ」
僕達は先へと進むごとに声ははっきりとしてくる。
「魔理沙、危ないよ」
「おっと。ありがとうだぜ、明久」
「今回は明久の能力は助かるわね」
「夜の王である私達が視界を奪われるなんて……屈辱的だわ」
少し前からだろうか、夜目がききにくくなってきてるみたいだ。
最初は霊夢が木にぶつかりかけて受け止めたのだが。
「声からしてあと少しです」
咲夜の言葉を裏づけるように一人の少女が幹に座り、歌を歌っていた。
「あら、そろい踏みで……人間じゃないのも釣れちゃったわね」
「ミスティア……さん」
ミスティア・ローレライ、幻想郷で焼き八目鰻屋をしており、妹紅に連れて行ってもらったこともあり、その正体は夜雀でもある。
しかしその目は狂気に染まっている。多分月の狂気に当てられてるのだろう。
「でもおバカね~こんな夜に出歩くなんて」
「ふふ、吸血鬼に喧嘩を売るなんて・・・いい根性よね」
「ふん、その吸血鬼様が夜の視界を奪われてる時点で笑いものよ」
ミスティアさんは笑い、レミリアは腕を組みながら笑う……怒りマークが付いているというおまけ付きだが。
「それにしても真夜中に出歩くって事は、妖怪に襲ってくれ言ってる様なものよ」
僕達を見てそう言う姿を見て一瞬みんなが構えるが、
「皆さん先に行ってください」
「え、妖夢?」
妖夢は僕たちの前に出ると楼観剣を抜き、構える。
「妖夢の言うとおりよ~最重要はこの夜を終わらせること。
ここは私達に任せて明久達は進みなさい」
幽々子は僕の肩を叩き、妖夢の隣に立った。
「明久、行くわよ」
「……わかった。ここはお願い!!」
「えぇ、終わったらすぐ追いかけるわ」
「な!?逃がさな…!!」
ミスティアさんが何かしようとするが妖夢が弾幕を放ち、それを妨害する。
「行くよ、みんな!!」
僕達は3人の横を通り抜け、奥へと向かった。
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「あらら……逃げられちゃったわね」
「貴女の相手は私達です」
「私はあっちの人間のほうに用事があるだけで貴女達に用はないのよね」
そう言われると同時に視界が暗闇へと覆われていく。
どういう原理かわからないがこれがさっき言っていた夜盲症というやつだろう。
「夜の森で迷っておきなさい。私はその間にあっちを追わせて……」
「相手は私達だと言ったはずです!!」
「なっ!!??なんで私の場所が!!??」
ミスティアが飛び移った木を妖夢は両断する。
それはまるで彼女の位置が見えているかのようだった。
「見えませんが……気配でわかります」
「私にはそんなことできないけどね~
でも……明久にここは任せなさいって言ったからには、やるべきことはやってから後を追うわ」
幽々子はミスティアの方を扇子でさし、妖夢は剣を構える。
「剣の錆にします……」
「とりあえず貴女には落ちてもらうわ……
何より明久に手をだすっていうのなら、ここで虚しく散りなさい夜雀」