黒ウサギとヴァンパイアも異世界から来るそうですよ?   作:天・プラ子

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お久しぶりです。
書いてて思ったのですが...

まぁとりあえず、本編どうぞ


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箱庭二一〇五三八〇外門・内壁

 

ジンに連れられ4人は箱庭の幕下に足を踏み入れた。そこでは天幕の中に入ったにもかかわらず太陽の眩しい光が廻りを照らしていた。

 

『お、お嬢!外から天幕の中に入ったはずなのに、お天道様が見えとるで!』

 

「………本当だ。外から見た時は箱庭の内側なんて見えなかったのに」

 

「全面ガラス張りみたいな感じだな」

 

「箱庭を覆う天幕は内側に入ると不可視になるんですよ。そもそもあの天幕は太陽の光を直接受けられない種族の為に設置されていますから」

 

と、ジンが説明してくれた

 

「まるで、吸血鬼がここで住んでいるような言い方ね」

 

「はい。いますよ」

 

「………そう」

 

ジンのなんでもないような返事に何とも言えない複雑そうな顔をする飛鳥。

そういえば...

 

「今更だけどヒメアって太陽光とか大丈夫なの?」

 

「うん。だいじょうぶだよ。」

 

「え?ヒメアさんって吸血鬼なの?」

 

飛鳥が大兎とヒメアの会話を聞いていたのか、そんな質問をしてくる

 

「ん?ああ、確かヴァンパイアとか言ったかな」

 

大兎が答えに飛鳥と耀は心底驚いた表情をしていた

「まさかこんな近くに吸血鬼がいるとは思わなかったわ」

 

なんて飛鳥が言う。耀もコクコクうなずいている。

 

「この世界には他にも様々な種族が暮らしています。これからいろんな出会いもあると思います。危険もありますがきっといい出会いもあると思いますよ」

 

「そう。それは楽しみね」

 

『お嬢の友達も増えるといいな』

 

「うん」

 

二人の反応にジンも満足そうだ

そんな会話をしていると噴水があるところまで来ていた。周りにはカフェテラスなどがあり猫耳を付けたウェイトレスなどがいた。

 

「小腹がすいてきたな」

 

「じゃあ一緒にコロッケパン食べよ!」

 

ヒメアはそういいながらコロッケパンを差し出してきた。

 

「ヒメア?なんでコロッケパンもってるんだ?」

 

「大兎と一緒に食べたかったから。はい、あーんして。食べさしてあげる」

 

「ちょ、ヒメア!タンマ、タンマ!みんな見てるから!」

 

「でもお腹すいたでしょ?」

 

「確かにすいたけど、また後で一緒に食べよ。な?」

 

「うーん。わかった。約束だよ」

 

「ああ。ジン、何処かで飯が食えるところはないか」

 

大兎が言うと周りも同意の胸を示すように頷いた

 

「そうですね、すべて黒ウサギに任せていたので…なので好きな店を選んでもらっていいですよ」

 

「そう、気前がいいのね。では、あちらにしましょうか。」

 

どうやら店は決まったようだ。店が決まったところでぞろぞろと歩き出し、ウェイトレスに案内され席に着いた。

 

「適当に私が頼んでも大丈夫かしら?」

 

「ああ、食べ物さえあれば大丈夫。ヒメアもそれでいい?」

 

「大兎と同じがいいな」

 

「じゃあ、同じの二つで頼むわ」

 

「ふふ。仲がいいのね」

 

飛鳥が微笑みながらいいてっくる。

そして他の人の了承を得て飛鳥は注文を始める

 

「えーと、紅茶を二つと緑茶を一つ。あと軽食にコレとコレと。それとこのセットを2つ」

 

『ネコマンマを!』

 

「はいはーい。ティーセット三つに、ランチセット2つ。それとネコマンマですね」

 

注文の繰り返しを聞いていた大兎、飛鳥、ジンが驚いた顔をする。そして何より一番驚いていたのは耀だった

 

「三毛猫の言葉、わかるの?」

 

「そりゃ分かりますよー。私は猫族なんですから。お歳の割に随分と綺麗な毛並みの旦那さんですし、ここはちょっぴりサービスもさせてもらいますよー」

 

『ねーちゃんも可愛い猫耳に鉤尻尾やな。今度機会があったら甘噛みしに行くわ』

 

「やだもーお客さんったらお上手なんだから♪」

 

 猫耳娘は長い鉤尻尾をフリフリと揺らしながら店内に戻る。

 その後ろ姿を見送った耀は嬉しそうに笑って三毛猫を撫でた。

 

「………箱庭って凄いね、三毛猫。私以外に三毛猫の言葉が分かる人がいたよ」

 

『来てよかったなお嬢』

 

「ちょ、ちょっと待って。貴女もしかして猫と会話出来るの?」

 

耀はその質問にコクリと頷く

 

「ほえ~やっぱり黒ウサギが言ってた通りみんな普通じゃないんだな」

 

「そういうあなたも普通の人間じゃないんでしょ?いったいどんな力をも―――」

 

「おんやぁ?誰かと思えば東区画の最底辺コミュ〝名無しの権兵衛〟のリーダー、ジン君じゃないですか。今日はオモリ役の黒ウサギは一緒じゃないんですか?」

 

飛鳥の話している横から2m程のぴちぴちのタキシードを着た変な男がいた

 

「僕らのコミュニティは〝ノーネーム〟です。〝フォレス・ガロ〟のガルド=ガスパー」

 

「黙れ、この名無しめ。聞けば新しい人材を呼び寄せたらしいじゃないか。コミュニティの誇りである名と旗印を奪われてよくも未練がましくコミュニティを存続させるなど出来たものだ―――そう思わないかい、皆様」

 

「失礼でですけど、同席をを求めるならばまずは氏名を名乗ったのちに一言添えるのが礼儀ではないかしら?」

 

「おっと失礼。私は箱庭上層に陣取るコミュニティ’六百六十六の獣’の傘下である」

 

「烏合の衆」

 

「コミュニティのリーダーをしている、ってマテやゴラァ!!誰が烏合の衆だ小僧オォ!!」

 

ジンに横槍をいれられたガルドの顔は怒鳴り声とともに変貌する。口は耳元まで大きくさけ、肉食獣のような牙とギョロリト剥かれた瞳が激しい怒りとともにジンに向けられる

 

「口を慎めや小僧ォ……紳士で通っている俺にも聞きのがせねぇ言葉はあるんだぜ……?」

 

「森の守護者だった頃のあなたなら相応に礼儀で返していたでしょうが、今の貴方はこの二一〇五三八〇外門付近を荒らす獣にしか見えません」

 

「ハッ、そういう貴様は過去の栄華に縋る亡霊と変わらんだろうがッ。自分のコミュニティが、どういう状況に置かれているのか理解できてんのかい?」

 

その言葉にジンは苦い顔をする

 

「もしかしなくとも、皆様はジン君のコミュニティが現在どんな状況か聞いていないのでは?」

 

ガルドが自信満々に聞いてくる。

ジンの方は困惑した顔で俯いていた。

だが帰ってきたのは二人の予想していなかった答えだった

 

「きいてるわよ?」

 

「ああ、黒ウサギが話してくれたな」

 

「うん」

 

二人はまさかの返答に開いた口がふさがらない。

しかし、ガルドはいち早く気を取り直し提案をもちかけた

 

「そ、それなら話が早い。こんな崖っぷちのコミュニティではなく、黒うさぎ共々私のコミュニティに来ませんか?」

 

そのセリフにジンは焦りの表情話見せる

 

「な、何を言い出すんですガルド=ガスパー!?」

 

ジン=ラッセルは怒りのあまりテーブルを叩いて抗議する。

しかしガルド=ガスパーあ獰猛な瞳でジンを睨み返す。

 

「黙れ、ジン=ラッセル。そもそもテメェが名と旗印を新しく改めていれば最低限の人材はコミュニティに残っていたはずだろうが。それを貴様の我儘でコミュニティを追い込んでおきながら、どの顔で異世界から人材を呼び出した」

 

「そ……それは」

 

「何も知らない相手なら騙しとおせるとでも思ったのか?まぁ実際すぐにばれていたみたいだが。それで黒うさぎと同じ苦労を背負わせるってんなら……こっちも箱庭の住人として通さなきゃならねぇ仁義があるぜ」

 

ガルドがいう事は正しかった。確かに多数を優先し名前を変え、旗印を新しくしていれば今の様な状況にはならなかった。

それでもあきらめたくない気持ちがジンにはあった。

だが、今回の件に関して言えば言い返したい言葉はあるが、大兎達を騙そうとしていたことは事実であり、その事実がジンの胸の中で濁り言葉を発せなかった。

 

「……で、どうですか皆様。返事はすぐにとは言いません。コミュニティに属さずとも貴方達には箱庭で三十日間の自由が約束されています。一度、自分達を呼び出したコミュニティと私達“フォレス・ガロ”のコミュニティを視察し、十分に検討してから―――――――」

 

「結構よ。だってジン君のコミュニティで私は間に合っているもの」

 

は?とジンとガルドは飛鳥の顔を窺う。

 

「春日部さんは今の話をどう思う?」

 

「別に、どっちでも。最初に言った通り私はこの世界に友達を作りに来ただけだもの」

 

「では、大兎君とヒメアさんはどうかしら」

 

「ん?俺は黒うさぎの手伝いをするために残った様なもんだから。ヒメアもそれでいい?」

 

「私は大兎がいれば何でもいいよ」

 

「という事よ。わかったかしら?」

 

「お……お言葉ですが―――」

 

「“黙りなさい”」

 

ガチン!とガルドは不自然な形で、勢いよく口を閉じて黙り込んだ。

本人は混乱したように口を開閉させようともがいているが、まったく声が出ない。

 

「………!?……………!??」

 

「私の話はまだ終わってないわ。貴方からはまだまだ聞き出さなければいけないことがあるのだもの。“貴方はそこに座って、私の質問に答え続けなさい”」

 

そこからは色々な話を聞き出した。

女子供をさらって脅迫。

ゲームを受けなければいけない状況まで追い込む。

さらった子供は殺した。

子供を殺したことを聞いた時その場の空気が凍りついた。

流石に飛鳥も聞くにたてられなかったのだろう。話の途中で命令を下し話を中断させた。

 

「……素晴らしいわ。ここまで絵にかいたような外道とはそうそう出会えなくてよ。流石は人外魔境の箱庭といった所かしら……ねぇジン君?」

 

飛鳥の冷ややかな視線に慌てて否定する

 

「彼のような悪党は箱庭でもそうそういません」

 

「そう?それはそれで残念。―――――ところで、今の証言で箱庭の法がこの外道を裁くことはできるのかしら?」

 

「厳しいです。吸収したコミュニティから人質をとったり、身内の仲間を殺すのはもちろん違法ですが……裁かれるまでに彼が箱庭の外に逃げ出してしまえば、それまでです」

 

「そう。ならしかたないわね」

 

飛鳥は苛立たしげに指をパチンと鳴らす。俺が合図だったようで、ガルドの拘束が解け自由になる。怒り狂ったガルドはカフェテラスのテーブルを勢いよく砕くと、

 

「こ…………この小娘がァァァァァァァァァ!!」

 

雄叫びとともにガルドの体が激変する。タキシードは膨張する後背筋ではじけ飛び、体毛は変色し黒と黄色のストライプ模様になった

 

「てめぇ、どういうつもか知らねぇが……俺の上に誰がいるかわかってんだろうなァ!?箱庭第六六六外門を守る魔王が俺の後見人だぞ!!俺に喧嘩売るってことはその魔王にも喧嘩を売るってことだ!その意味が

 

「“黙りなさい”。私の話はまだ終わってないわ」

 

ガチン、とまた勢いよく黙るしかし今の怒りはそれだけでは収まらない。ガルドは丸太のように太い剛腕を振り上げ飛鳥に襲いかかる。そしてその腕が飛鳥を吹き飛ばす

 

ガシッ!

 

前に大兎が飛鳥とガルドの間に割って入りその腕を止めた。

ガルドは、止められたことに驚きを隠せないが、それでももう片方の腕で追撃を図るために腕を振りかぶる。

 

「アルト」

 

ヒメアがそう言うと、ガルド動くは完全に止まる。

 

「私の大兎に手を出さないで。………ころすよ」

 

と、ヒメアが言う。

底冷えするような目をガルドに向けながら言う。

ガルドはヒメアに睨まれ息が詰まる。

 

「さて、ガルドさん」

 

と、飛鳥が話を切り出す

 

「わたしは貴方の上に誰がいようと気にしません。それはきっとジン君も同じでしょう。だって彼の最終目標は、コミュニティを潰した“打倒魔王”だもの」

 

その言葉でジンは大きく息を呑むが。自分たちの最終目標を飛鳥に問われ、我に返る。

 

「………はい。僕達の最終目標は、魔王を倒して僕らの誇りと仲間達を取り戻すこと。今更そんな脅しに屈しません」

 

「そういうこと。つまり貴方には破滅以外のどんな道も残されていないのよ」

 

「く……くそ…!」

 

ヒメアの力で動くことができないガルドは苦渋の声を漏らす

飛鳥はガルドに悪戯っぽい笑顔で話しかける

 

「だけど、私は貴方のコミュニティが瓦解するだけじゃ満足できないの。そこで提案なのだけれど」

 

そこで飛鳥は今日一の笑顔で

 

「私達と『ギフトゲーム』をしましょう。貴方の“フォレス・ガロ”存続と“ノーネーム”の誇りと魂をかけて」

と言い放った

 




これって需要あるのかな。

大兎達必要なくね?と、思ってしまう今日この頃

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