Steins;Mahora ~骸殻のクルスニク~   作:青いアオ

5 / 7
第4話 ; 「位相交差のディバイド」

 

 

どれだけ眠っていただろうか。途切れていた意識が不意に深い海から浮上したかのように現実へと呼び戻された。

 

「…ここは?」

 

視界に映るのは木の天井。どうやらベッドに寝かされているらしい。

 

「お気づきになりましたか」

 

そこへ第三者の声が届く。その主の方へと頭を向けて俺は絶句する。

 

「ぬっ!?」

 

変な声が出てしまったのは仕方のないことなのだ。

何故なら、俺を殴り飛ばした張本人がドヤ顔で見下ろしているではないか!

まぁ、ドヤ顔かどうかは勝手な思い込みかもしれんが。

 

「貴様はあの時のメカ少女ではないかっ!!」

 

俺は慌ててベッドから飛び起きて構えを取る。

またあんなパンチを喰らってはたまらんからな!

狭いロクバウスの一室で、謎の構えを見せる青年とそれを見ても無表情を貫く少女が向かい合うという不可思議な構図が出来上がった。

 

「まだ動いてはいけません。怪我はすでに治療してありますが安静にしていてください」

 

メカ少女め。

この鳳凰院凶真を懐柔しようというのか。そうはいかんぞ。

 

「フゥーハハハ!!心配する振りとは随分と姑息な真似をするではないか。油断していたとは言え、貴様がこの鳳凰院凶真に拳をあてたこと、忘れはせんぞ」

 

と意気揚々と言ったのだが、メカ少女は何処か申し訳なさそうな表情を見せた。いや実際には無表情なのだが、俺にはそう感じられたのだ。なんかこう、急にそんなしおらしくされては逆に困る。

 

「申し訳ありませんでした」

 

ぬ…。

まさか謝ってくるとは。これではまるで謝らせたみたいではないか。

 

「いや、別に謝ってほしい訳ではないのだが…」

 

うむ。対応に困る。

なんというかこのメカ少女、素直すぎるぞ。

 

「ところで、ここは何処なのだ?」

 

とりあえず話題を反らすことにした。なんかこのままでは逆にこっちの気が滅入りそうなのでな。

 

「ここはマスターの寝室です」

 

マスター?そういえばさっきもそんなことを言っていたな。しかしよく思い出せん。

俺の表情を読んでか、メカ少女は補足するように付け加えた。

 

「失礼しました。マスターは、先程鳳凰院様と森の中で会話されていた方です」

 

ああ、あの厨二少女か。

……………って、ん?何故俺は厨二少女の家にいるのだ?

 

「鳳凰院様が怪我をされていたので、その治療のために運ばせて頂きました」

 

…このメカ少女、読心術でもできるのではあるまいな?こうも思った疑問に的確に返答されては疑うというものだ。

 

「そ、そうか。で、そのマスターとやらが見当たらんが何処にいるのだ?」

 

とりあえず厨二少女に話を聞きたいのだが。

 

「マスターはただ今留守にされています。学園長にお会いになられているようです」

 

学園長?

聞き覚えのない単語に顔をしかめる。

 

「この学園都市、摩帆良の長をされている方です」

 

俺は確信したぞ。

やっぱりコイツ読心術できるだろ!

 

「その様な機能はありません。その状況や仕草、表情などから推測しているだけです」

 

普通はそれを読心術と言うのだが…

というか機能って何だ。本当にメカみたいな設定ではないか。

 

「それは置いといて、だ。今さらだが名前を聞いていなかったな」

 

さすがにお互い名乗らないでいるのもあれなのでな。

 

「……………私の、ですか?」

 

何故かメカ少女は驚いたように言い淀んだ。

ん?何か聞いてはいけないことだったのだろうか?

 

「どうかしたのか?」

 

「いえ、名前を聞かれたことが少なかったもので」

 

僅かに視線を外しながらそう呟く姿は、先ほどまでの印象とは異なる。変な言い方かもしれないが、だいぶ人間らしい反応だ。

…というか名前を聞かれる機会が少ないとはどういうことなんだ?気になるが、まぁ深くは追及しない方が良さそうだな。

 

「私は絡繰茶々丸と言います」

 

そう言いながらメカ少女は何処かぎこちない表情を見せた。ひょっとして照れているのだろうか?まぁこれも勝手な思い込みかもしれないが。

名前は絡繰茶々丸か。なんというか、個性的な名前だな。

 

「うむ。茶々丸だな。覚えておくとしよう」

 

「ありがとうございます」

 

そう言って茶々丸は丁寧におじきを見せた。

なんとも礼儀正しいではないか。というかそのメイド服からして給仕か何かなのだろうか?

ま、それは置いておいて、ここは俺も名乗らないとな。

 

「で、俺は…」

 

と、そこで茶々丸が口を挟んだ。

 

「"鳳凰院凶真"様ですね。先程お伺いしたのを覚えています」

 

「………………」

 

…うむ。

いや別にそれで覚えてもらっても構わないのだが…自分だけ本名を名乗らないというのは気が引ける。しかし、今さら本名を言うのも何かこう…

"いや実はそれは設定上の真名で本名は岡部倫太郎なんですよハハハ"なんて言える訳がないではないか!

 

「どうかなさいましたか?」

 

茶々丸は純粋に不思議そうな様子でこちらを見てくる。その素直さが眩しい。

 

「い、いや別に何でもない」

 

うむ。まぁいいか。

と、そこで下の階から声が響いてきた。

 

「茶々丸。今帰ったぞ」

 

どうやら厨二少女が帰ってきたらしい。

ちょうど良いタイミングではないか。奴には聞きたいことがあるからな。

 

「お帰りなさいませマスター」

 

二階に上がってきた厨二少女を見るや否や、茶々丸は丁寧におじきをした。

なんか年齢的に考えて主従関係が逆ではないか?まぁそういう設定なのだろうが。

 

「うむ」

 

と、厨二少女は偉そうに一言返すだけだ。こんな何気無い会話ですら設定を忘れないとは恐れ入る。しかし制服姿なのがいまいち締まらない。

 

「さて厨二少女よ、話を聞かせてもらおうではないか」

 

対抗するように尊大な態度で言ってみた。ある意味、いつも通りかもしれないが。

 

「む。貴様起きていたのか。特別に私のベッドを貸してやったんだ。感謝しろ」

 

厨二少女は俺を軽く睨みながら、更に尊大な態度で言い放った。コイツには年上を敬うという気持ちがないのだろうか。

というか普通に俺の発言をスルーするんじゃない!

この鳳凰院凶真もなめられたものだ。格の差(主に身長)を見せてやろうではないか。

そう思った俺は厨二少女に近づき、あえて見下ろすようにした。視界の下に綺麗な金髪の頭がちょこんと見えた。

勿論、俺の表情はドヤ顔である。

 

「それよりも、お前には聞きたいことがある厨二少女よ」

 

身長的に見下ろされる形となった厨二少女は少し悔しそうな表情をしてそっぽを向いた。

何だ。以外にかわいいところがあるではないか。

と、思ったその時だった。

 

「いっ!」

 

足に猛烈な痛みが走った。咄嗟にその場から跳び跳ねて足首を押さえる。どうやら厨二少女が蹴りつけてきたらしい。その加害者の方へ睨みをきかせたが、厨二少女め、涼しい顔でこっちを見ているではないか!

 

「いきなり何をする!?」

 

おのれ厨二少女め!この鳳凰院凶真に回し蹴りをするとは!

というか普通は踏むとかだろ!?回し蹴りってやりすぎだろ!?

 

「知らん。貴様が調子に乗るのが悪いのだろう」

 

そう言ってニヤリと笑みを向けてきた。

何だこの暴力少女は!親が泣くぞ!コイツにはお説教が必要みたいだな。この鳳凰院凶真を怒らせたこと、後悔するがいい。

 

「あまり…この俺を怒らせない方がいい…」

 

そう言って俺は片手で自分の顔を押さえつける。我ながら決まっている。

それなのに、暴力少女はつまらないものを見るような目で鼻を鳴らした。

 

「ふん。またそのハッタリか」

 

ハッタリとか言うんじゃない!

と、そこで茶々丸がとんでもない横槍を入れてきた。

 

「いえマスター、この様な言動を"厨二病"と言うようです」

 

っ!!

メカ少女め!大人しいと思ったら何さらっと無表情で爆弾を投下しているのだ!?

 

「ほう。何なのだその"厨二病"とは?」

 

最悪なことに厨二少女め、あろうことか興味津々といった様子で聞き返したではないか。

おいやめろ!

 

「厨二病とは、中学生頃の少年少女にありがちな、思春期における過剰な自意識から発する言動を揶揄した言葉です。また特に年齢に制限はないようです。具体的には、自分には秘められた特別な力があると考えたり、自分は…」

 

「ストッ~プ!!そこまでだ!!」

 

俺は茶々丸の説明を無理やり止めた。

我ながらナイスな判断だ。このままにしていたら、誰にとっても不幸な結果になったはずだ。

 

「それ以上はそこの少女の心に傷をつける」

 

俺は悲しげに厨二少女へ視線を向けた。厨二少女よ。お前は今泣いていい。

 

「いやお前だろ」

 

ああ。あまりの辛さに耐えきれずこの俺に責任転嫁したようだ。

俺はここぞとばかりに哀れみの視線を送る。

 

「だからそんな目で私を見るな!」

 

厨二少女は必死に叫ぶ。

やめておけ。それ以上は見苦しいぞ。

 

「マスター。私はマスターがどんなご趣味をお持ちでも、私のマスターであることに変わりはありません」

 

「茶々丸!?」

 

何か茶々丸まで乗ってきたではないか。これには厨二少女も驚きを隠せないようだ。従者に裏切られたマスター。フゥーハハハ!実に良い気味ではないか!

 

「私は厨二病などではない!私の言ったことは全て事実だ!」

 

Oh……

これは痛々しい…

 

「見苦しいぞ、厨二少女よ」

 

「貴様!その呼び方やめろ!てかお前が厨二病だろ!」

 

「マスター。私はどんなマスターでも…」

 

「貴様らっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、落ち着いたところで話を再開しようではないか」

 

俺は全身の痛みに耐えながら厳かに言い放つ。

さっきのでわかったが、この暴力少女、見かけによらず力がある。バイト戦士といい勝負ができるのではないかというほどだ。

 

「主に貴様のせいで話がややこしくなったんだがな」

 

それに対し、正面のソファーに堂々とふんぞり返っている厨二少女、もといエヴァンジェリンが鋭い視線を向けてきた。

どうでもいいが股くらい閉じたらどうなのだ?

 

「……………まぁそれはこの際置いておこうではないか厨二少女よ」

 

うむ。正面からの視線が痛い。

 

「………………………」

 

あれから場所を移し、俺たちはログハウス一階にある居間に集まっていた。テーブルを挟むようにして俺と茶々丸の向かいに厨二少女がふんぞり返っている。因みに俺と茶々丸は正座である。

 

「…ハァ。で、貴様は何だ?岡部倫太郎とか言ったか?」

 

厨二少女は露骨に面倒そうな表情で聞いてきた。

ふむ。あれだけ言っても未だに我が真名を理解していないようだ。

 

「否。我が名は…」

 

と、口を開いたところでエヴァンジェリンの表情が凶悪に歪んだ。口が笑っているのに目がマジだ。おまけに青筋まで浮かべている。…本当に怖いんですけど。

 

「…調子乗ってすいませんエヴァンジェリンさん。私は岡部倫太郎と申します」

 

ここは謝っておくのが吉と見た。

と、今度は下手に出てみると厨二少女は一度鼻をならすだけだった。てっきりまた身体的なダメージを受けることになるかと思ったのだが。

 

「ふん…面倒だからエヴァでいい」

 

ふむ。こういうのをツンデレと言うのだろうか。まぁそんなこと言えば命が危ういので口には出さないでおく。

 

「ではエヴァよ。聞きたいことがある」

 

「何だ?こちらも貴様には色々と聞きたいのだがな。まあいい、先に質問させてやろう。だが面倒なのは御免だぞ」

 

と言いながらエヴァの表情はすでに面倒くさそうだ。まぁそんなもの無視して聞くがな。

そうしてようやく本題に入る。

 

「まずここは何処なのだ?茶々丸に聞いた話では学園都市だそうではないか」

 

というかそう考えるとこの厨二少女は学園都市の中に住んでいるのか。いや、そもそもあんな広い森がある学園都市など異常だろう。さらにその中に居を構えているのだから何か事情があるのかもしれん。

 

「ああ。ここは学園都市摩帆良。貴様も一度は耳にしたことがあるだろ」

 

少なくとも俺の知る学園都市の名前の中で摩帆良などというものは存在しない。そんなに有名なら知らないはずがないのだが。

 

「いや、全く聞き覚えがない」

 

俺は暫し考える。

世界線の移動、聞いたことのない地名、リセットされないメール履歴。

そこから一つの仮説が生まれる。いや、むしろこの状況ではそれしか考えられない。そして最も重要なことを未だに聞いていないことに気づく。聞く勇気がなかった、とも言える。すなわち

 

「時にエヴァよ。真面目に答えてほしい」

 

エヴァは先ほどまでと同じ様に適当な態度を見せたが、俺の顔を見るとそれを改めた。どうやら意味を理解したらしい。この辺りの理解度、本当に子供とは思えない。

 

「今日の日付はいつだ?」

 

エヴァは質問の内容に疑問を覚えたようだが、俺の態度を見て真面目に返答した。本当にただの厨二少女ではないようだ。

 

「9月10日だ」

 

それを聞いて腕を組む。

なるほど。ここまではシュタインズゲートでの日時と一致している。だが、問題はそこではない。

 

「何年のだ?」

 

そう。重要なのはここだ。俺の仮説が正しいならば、返ってくる言葉は最悪の事態を突きつけてくるだろう。そして、エヴァの口から発せられたのはそんな俺の予想を裏切らないものだった。

 

「2002年だ」

 

やはり…そうか。

予想できていたとは言え、衝撃は生易しいものではない。

俺の身に起きたこと、それはおそらく

 

「物理的タイムトラベル…」

 

理由はわからない。しかし、現にこうして俺は過去に来ている。エヴァが嘘を言っているとも思えない。

思えばタイムリープマシンはそれが作られた時点までしか遡行できない。2002年までやって来るのは無理だ。しかし俺は2回だけその制約を越えたことがある。

"阿万音鈴羽"の乗ってきた"タイムマシン"で。

そう。2010年8月よりも過去へ行く方法は物理的タイムトラベルしかない。だが問題なのは世界線を移動しているということだ。タイムトラベルならば同一世界線上の過去へと行くはずだ。しかし世界線移動したことはリーディングシュタイナーの発動で感知している。 この矛盾は何だ?

背筋に冷たいものを感じる。何なのだこの嫌な感じは…

"何か、大事なことを見逃している気がする・・・・"

 

「鳳凰院様?大丈夫ですか?」

 

と、思考を中断したのは隣りで正座している茶々丸の声だった。このまま思考の海に潜っていたら暗い底へと呑まれていたかもしれない。茶々丸に感謝しなくてはな。

それにしても良く足がもつな。俺なんてもうとっくに崩しているのだが。

 

「大丈夫だ。それと俺のことは鳳凰院様ではなく凶真でいい」

 

真顔で鳳凰院様なんて呼ばれると反応に困るのでな。

 

「了解しました。凶真さん」

 

「うむ」

 

なんか今の会話ですっかり落ち着いてしまったな。物理的タイムトラベルなんてただ事ではないのだが。ま、とりあえずゲルオカリンとかにならずに済んでよかったと考えよう。

 

「さて、岡部倫太郎」

 

と、人が折角和んでいるところで何やら思わせ振りな表情のエヴァが声をかけてきた。

 

「何だ厨二少女よ」

 

その歳で何故そんな表情ができるのか本当に不思議だ。あまり心臓に良い表情ではないが。

正直、嫌な予感しかしないぞ。

 

「何故、この私が貴様を家へ招いたかわかるか?」

 

何かエヴァの雰囲気が変わったな。急に威圧感のようものを感じてきた。本当にこの少女は何者なのだ?軽く冷や汗まで出てきたではないか。

 

「わからんな」

 

それを隠すように俺はいつも通りの態度で答える。"鳳凰院凶真"という仮面を被っていないと押し潰されてしまいそうだ。

 

「貴様は信じていないようだが私は真祖の吸血鬼だ。生きた年月は貴様ら人間の比ではない」

 

またその設定か。正直に言って吸血鬼云々は信じられないが、これまでのやり取りでエヴァがただの厨二病少女でないことはわかる。

 

「その顔を見るに、まだ信じられないようだな」

 

「当然ではないか。いきなり吸血鬼宣言されたのではな」

 

まぁ、実を言えばいきなり未来人宣言されたことはあるのだがな。というかこの状況では俺も未来人なのか。未来人と吸血鬼か。ぶっ飛び具合で言えば同じかもしれんな。

 

「ふむ。それもそうか。貴様は一応"そっち側"の様だしな」

 

エヴァは何か思索顔で呟く。

一体何を考えているのだろうか。よからぬことでなければいいのだが…

 

「ケケケ。イイ加減認メロヨ」

 

と、そこで思わぬ方向から声がかかる。

 

「ん?」

 

振り向いて見たが誰も見当たらない。空耳だろうか。

俺は再び視線を戻す。

 

「テメェ無視シテンジャネェヨ」

 

しかし相変わらず声だけが聞こえる。この家、何か出るのではあるまいな…

不可解な現象に顔を歪めるが、目の前のエヴァは平然としている。

 

「チャチャゼロ。黙っていろと言っただろ」

 

厨二少女め、一体誰と会話しているのだ。まさか妖精さんとか言うのではあるまいな?

 

「悪リィナ御主人。コイツガアマリニモ間抜ケダッタカラナ」

 

俺は再度振り返る。だがやはり誰も居ない。あるものと言えば棚の上に大量の人形が乗っているだけだ。

…ん?よく見れば何やら一際不気味な目つきの人形があるのだが…

おいまさか…

 

「ヨウヤク気付イタカノカヨ」

 

間違いなく声の出所はその人形だった。思わず後ずさる。

 

「っ!?」

 

どういうことなのだ!?

 

「人形が喋っているだと!?」

 

俺が固まっていると、エヴァが背中越しに笑いかけてきた。

 

「ククク。随分驚いている様じゃないか」

 

いやむしろ何故お前も茶々丸も平然としているのだ!?

 

「驚かない訳がないではないかっ!何なのだこの不気味な人形は!?」

 

目の前の奇怪人形を指さして叫ぶが、エヴァはどこ吹く風といった様子だ。

 

「テメェ殺ルゾ?」

 

何か人形から見た目通り物騒な声が聞こえるのだが。

 

「コイツはチャチャゼロ。私の初代従者だ」

 

名前よりもこのトリックを教えてもらいたい。

というか何なのだその余裕な態度は!

俺の顔色を見てか、厨二少女は説明を続ける。

 

「なに、私の魔力を使って話しているに過ぎん。貴様が信じようとしない”魔法”の力だとでも思うがいい」

 

いや魔法って…。本気で言っているのか?

 

「ほう面白いではないか。この狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真に魔法なとどいうオカルトを突き付けてくるとは」

 

と、冗談めかして言ってみたが厨二少女の表情は変わらない。

もしかして、マジなのか…?

 

「ふむ。ならば貴様の目で確かめるといい」

 

そう言ってエヴァはソファーから立ち上がり、有無を言わさぬ勢いで背中を見せる。

ん?何処に行くのだ?

 

「ついて来るがいい。私の別荘へ案内してやる」

 

別荘?こんな時間にか?

疑問を浮かべている間にも厨二少女は歩いて行く。

 

「お、おい」

 

とりあえず後を追うことにした。人形のことは一旦忘れるとしよう。いやむしろ忘れたい。

 

「生キテ帰レルトイイナ。ケケケ」

 

なにやら背後から不穏な台詞が聞こえたが無視して進む。聞こえない聞こえない。

少し小走りするとエヴァの小さな背中が視界に入る。別荘とか言っていたのに地下へ行くのだろうか?

 

「ここだ」

 

着いたのは地下室だった。なんと言うかテーブルが置かれているだけの物悲しい部屋だ。

しかし一つだけ異様な存在感を放つものがある。テーブルの上に何かが置かれているのだ。見た感じ、何かの模型か?

 

「何だ…?」

 

少し気になったので細部を確認するために距離を詰める。と、その瞬間

 

「なっ?」

 

視界が真っ白に染まる。

まさかまた世界線移動が!? と思ったがリーディングシュタイナーが発動しないからそうではないようだ。いや、むしろそうであった方が驚きは少なかったかもしれない。

 

「ここは何処だ…?」

 

気付けば、知らない場所に立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。