午後の昼下がり。何時ものとはまた違う木陰で本を読んでいる。書架の中で読むのも良いが外でそよ風に当たりながら読むのもまた格別。
極龍神殿にいる間は何もやる事が無く、最近は武具を作るか本を読む事しか暇を潰せる手段を持たない奏はこの数千年間で神殿内の中で何処が、どの時間に読書をするのに最適か分かるようになっていた。
うーむ。やはりこの時間はここが一番最適。
「ねーねー何読んでるのー? ねーねー聞いてる?」
……こいつさえ居なければ。
事の発端はこの木陰に来てから直ぐだった。オーフィスも変態女神も来ないからゆっくり読書を楽しめると思ったら予想もしない奴が出てきた。背丈も声も違うが間違いなくこのガ……子供は主人公の兵藤一誠である。どうやら一人で森の中を走り回ってたらいつの間にか此処に行き着いてしまったらしい。聞いてもいないのにペラペラと喋ってくれた。
「ねーねーここどこかしってる?」
気にするな奏。この子供に関わったら面倒くさい事になるのは確実だぞ。とっととこのチビ一誠をどこか適当な場所に転移させればいいだけだ。うん、それが良い、そうしよう。
パタンと本を閉めるとチビ一誠の顔をじっと見つめる。こいつ何顔赤らめているんだ? まぁいいか、どうせすぐ転移させるし。
「ねーねー君「……転移」わぁ!」
問答無用でチビ一誠を転移させる奏。周りを見渡し問題無い事を確認すると、木陰に座り直し分厚い本を開く。
はぁ。少々邪魔が入ったがこれで安心して読書に集中出来る。
ガサガサ
後ろの草が激しく揺れ何かが通ってるのが分かる。……まさかな
本を閉じ後ろを振り返ると目の前には泥だらけになったチビ一誠がいた。
「おー! また会ったね!」
「………」
「ん? どうしたの?」
何回も転移させても戻って来そうな気がしてきた。これが主人公補正ってやつか。星の開拓者でも持ってるのかこいつは……取り敢えず適当に構ってお帰りになって貰おう。
「……汝…名前は?」
「俺の名前は兵藤一誠! 好きな言葉はおっぱいだ! よろしくな!」
握手をしようと手を出すが奏は何故か真っ赤な顔で震えだした。
「……お、おぱ、おっぱい」
そう言った事に耐性が無い奏はたった一言で頭から煙を出しながら後ろし勢いよく倒れこむ。
……ん? ここどこだ? 何でこんな所で寝てるんだっけ?。
意識が戻って直ぐの事もありまだ完全に覚醒し切っていない奏。身体をゆっくり起こしながら周りを見渡す。
………そうだ。あのエロガキの所為で意識飛んでたんだった。
湖の水辺で遊んでいる一誠を見つけた。あいつここが何処かも分からないのによく遊んでられるな。思わずため息を吐くと立ち上がり、軽く身体を叩き土を落とすと一誠の遊んでいる水辺にゆっくりと足を進めた。