うちの伝説ポケモンがなんか小さいんだが   作:右肘に違和感

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タイトルつけんの面倒になってきた



8話       塩から

 

 

「……なになに、技を思いついたって?」

「ミッ!」

 

コラッタと激しすぎる激闘を、見てないからわからんのだが多分行ったはずの翌日。

にぼしは俺を裏庭へと連れて行き、満面の笑顔でそんな事を伝えてきた。

 

「ミッ、ミッミッ、ミィー」

「ほぉほぉ、そうでござるか」

 

簡単に言うと、あのライバルには負け越したくないんだが

今ある技のストックじゃどうしてもダメージを与えられないし

痛み分けでの引き分けなんてイヤ!という事だそうだ。

 

もちろんの事、このおチビがそこまでの語学に熟達しているわけが無いので

完全に俺の意訳である事は心に留めておいて欲しい。

 

「で、どんな技なんだ?」

「ミッ」

「今から見せる、とな。じゃあ、見ててやるから少し試してみなさい」

「ミ!」

 

にぼしは俺の発言に対して元気良く肯定の意を示し、俺から少し離れて裏庭の真ん中へ行き

6本の足に力を込めて、グググググッと力を入れ始めた。

 

その結果何が起こったか……それは……!

 

にぼしの足元の影がちょっとニュラリと動いたかと思ったら

その影に対してにぼしはぴょこんと頭から突っ込んだ! あ、ただのシャドーダイブだこれ。

 

ほほぉ……と声を上げようとしたのも束の間、にぼしに異常が現れた。

 

 

顔から突っ込んだにぼしの体が半分程度潜ったところで、沈まなくなったのである。

 

つまり、俺の目の前には半ケツの灰色。

 

「───ッ!! ───ーーーー!!」

 

力不足によるものなのか、それ以上潜る事が出来なくなっている事に気付いたのか

にぼしは影から飛び出そうとジタバタと体を動かし始めた。

だが力の制御までしくじっているのか、モグラの様にピョコッと出ている半ケツが

ウニウニジタバタともがくだけで終わる。なにこれかわいい。

 

そして俺はある事を考え付き、どうせ安全なのでそのままにぼしを一旦放置し

台所に行って冷蔵庫から食べ物を持ってくる。

どうやらその間に、にぼしはシャドーダイブから無事生還を果たしたらしく

裏庭でケツをペタンと地面につけて、ゼハーゼハーと息をついていた。

 

「おぉ、よく自力で出れたもんだなぁ」

「ミ、ミ……ミィ……」

「なんかでっかい自分が脱出を手助けしてくれた?」

 

どうやら親ギラが影の中からキュッと押し出してくれたらしかった。

ていうか 影の世界=やぶれたせかい なんだな……。

 

ギラティナ視点で考えても、突然ちょこんと現れたにぼしの体半分が出て

わたわたもがいて頑張ってるとか、こいつは誰を萌え殺したいんだろう。

 

「しかし、新しい技か。未完成だけど頑張って完成させていこうな」

「ミィッ!」

「じゃあ、もう1回使ってみようか。次は頭から突っ込まないで

 足からお湯に浸かるみたいに影に潜ってみるといいよ」

 

俺が出したアドバイスを聞き入れ、にぼしは再び力を使い始め

どうやらまた潜れる影が完成したらしく、その影に今度は前足からぴょいっと飛び込んだ。

 

しかしやはり影に込める力が中途半端なのか、胴体の上部と頭だけが裏庭に残る。

にぼしは完成しない技に対して深い悲しみに包まれているのか、こっちを見ながら涙目である。

 

「ピ~~……」

「うん、まぁ……元気出せ。お前は出来る子だからな」

 

にぼしが埋まっているところまで寄って行き

土から生えているようにしか見えないにぼし(農作物)の頭を撫でて慰めてやる。

 

 

……とりあえず、ここまでは狙い通り。

 

 

「さて」

「?」

「ここに油揚げがあります」

「!」

 

にぼしの前に、先程取ってきた油揚げを見せる。

一昨日に食べた際においしかったのを覚えている様で、瞳がキラキラしている。

 

「これを頑張ったにぼしに進呈しよーぅ」

「ミーーー!」

 

そして、俺は……

 

にぼしが、ギリギリのところで油揚げを咥えられないところで油揚げをひらひらさせた。

 

「ミッ、ミッ、ミーッ」

「ほれほれ、頑張れ頑張れ、ウフフフフ」

 

たまに犬の認識能力実験で有るような、あとちょっとで届くけど届かない的な状況になり

シャドーダイブから出てくればすぐに食べられる事に気付かず、一生懸命首を伸ばすにぼし。

 

つい、つい、ついーっと油揚げを動かしてやれば

ふに、ふに、ふにーっとにぼしの頭がふらふら動く。

和むな、これ。

 

でもまあ、そろそろ意地悪するのもやめてやるか。

にぼしは意地悪されていると思って居ない様だが。

 

とりあえず油揚げを一旦入っていた袋に仕舞い、適当なところにおいておく。

にぼしが『?』となっているが、それを気にせずにぼしの真上まで行き

手をシャドーダイブの中に突っ込んで、おなかの横を手のひらで包んで引っ張り出してやった。

 

引っ張り出したにぼしを地面に置いた後、改めて油揚げを手に取り

今度はちゃんと、首を伸ばせば油揚げを咥えられる位置まで持っていく。

 

「さ、食っていいぞー」

「ミ~!」

 

満面の笑顔で、俺の手によって吊るされた油揚げにかぷつくにぼし。

あむあむあぐあぐさせるその様は、先程の半ケツ状態に勝る可愛さが有ると思う。

 

 

 

結局シャドーダイブは未完成のまま一日が終わったが、なんか妙に満足した一日だった。

 

 





やっと本編らしい本編に突撃。
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