町外れの魔法薬店アルミーク   作:天城黒猫

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最近調子悪いから、新しいの書いた。


「馬鹿野郎」by三歳児

メガロメセンブリアという国のとある町の外れに、その建物はぽつんとあった。

扉に下げられた木の小さな看板には『魔法薬アルミーク』という文字が彫られていた。この建物は文字通り魔法薬という特殊な薬を扱う店なのである。

風邪薬から年齢詐称薬など、時には義手などの魔法具も幅広く扱う事もある。普段は夫婦二人で営んでいるが、彼等は戦争に出て戻らぬ人となった。ならば誰がこの薬屋を営んでいるのだろうか?扉には『Open(営業中)』という札がぶら下がっている。

店の中を見てみると、そこには1人の少年がいた。少し銀色が混ざった白髪の少年だ。彼は薬を作る鍋をお玉でコトコトと中の緑色の液体のような物を煮ている。

 

俺の名はレンキ・アルミーク、ここ魔法薬アルミークの一人息子だ。親はオスティアとメガロブリンセアとの戦争に行って、帰ってこなかった。……まあ、それは別に良い。親は出兵命令を出された訳ではなく、「傷付いている人を見逃せない」とか何とか言って、今年で4歳になる俺にここを任せて戦争に行っちまった。信じられねえだろう?俺は3歳なんだよ、外見は10歳に見えるがこれは年齢詐称薬という薬を使っているからだ。

「一人で料理も洗濯もできるし、しっかりしているから大丈夫だよね?困った事があったら、町の八百屋さんに頼りなさい」とか言って、作った俺の口座に金をありったけ振り込んで両親は戦争に行ったんだよ。全く……俺がいくら転生者で前世の記憶を持っているからって、それは無いだろうが。アレか?赤ん坊という事を顧みずに、前世に無かった魔法の使い方をせがみまくったり、娯楽が絵本じや詰まらんから中高生が読むような本を読んだのが原因か?

……全く……ホントふざけんな。勝手に戦争に行って、勝手に死にやがって……お陰で大変だったらありゃしない。ホントふざけんな。ふざけんなよ……クソッタレが、寂しくなんかねぇし。八百屋のばあさんがいるし。

 

「おーい!誰がいないかー?」

 

そんなクソッタレな無遠慮で野太い声が聞こえてくる。この声はあの筋肉か。一体何のようだ馬鹿野郎、俺はかき混ぜている鍋の火を消して、表の部屋……つまり店部分に移動する。

そこにはやっぱり俺が思った通りの筋肉がいた。よく鍛えつけられた、褐色の肌に映えるムッキムッキの筋肉に野郎にしては長い銀髪。

 

「よう、あれ?お前誰だ?」

「レンキ・アルミークだ馬鹿野郎」

 

目の前の男は出てきた俺の事を知らないのか、俺の正体を聞いてくる。ふざけんな、俺の首がやっと座った頃に、テメエは俺のコラーゲンたっぷりの頭を、ガシガシと乱暴に撫で付けただろうが、お陰で痛かったんだぞ?

そんな悪態を吐くのを我慢する。目の前の男は信じられないようで、暫く俺の事を不躾にジロジロと見ているが、何か閃いたのか、手をポンと叩く。

 

「ああ!もしかして年齢詐称薬使ってんな?駄目だぞー?勝手に使うのは」

「るせえよ、馬鹿野郎。こうしねえと薬の調合も出来ねえしマトモに生活出来ねえんだよ。……それよりも、何のようだ馬鹿野郎」

「あー、親はいるか?」

「いねえよ、馬鹿野郎。戦争で勝手に野垂れ死にやがった」

「そうか……」

 

目の前にいる男は少ししんみりした様な、顔をするがそれも少しだけだ。俺の頭を乱暴にワシワシ撫でる。

 

「すまねぇな……」

「ふざけんな馬鹿野郎。テメエのせいじゃねえだろ」

 

男は何か負い目があるのか、謝罪をする。全く……親が死んだのはテメエのせいじゃねえんだよ。いくら何でも戦争にどっぷりと関わっているからといって、テメエが悪い訳じゃねえ、そんな事を思いながらソイツのぶっとい足をゲシゲシと蹴る。硬てぇんだよ、少し柔くなりやがれ。

 

「まあいい、何の用だ?」

「義手を作ってもらおうと思ったんだが、そうか……死んだか……」

 

男は呟く。全くお通夜ムードになっちまった、違えだろうが、テメエは馬鹿みてーに騒ぎやがって賑やかにするのがテメエだろうが、ふざけんな馬鹿野郎。

 

「気にすんな馬鹿野郎、あいつらが自分で決めて死んだ。それでいいんだ、それよりも義手だな?」

「ああ、おじさんちょつと強えヤツと戦ってなあ、腕が無くなっちまった」

 

男はそう言って、両腕を見せる。その両腕は褐色ではなく根元から不自然な肌色だ。ここで義手を作るまでの間に合わせとして装着しているんだろうな。

 

「オーケーオーケー、俺が作ってやんよ」

「いやいや、無理だろう?お前はまだ3歳だし、魔法具の作り方すら知らないだろうが」

 

確かにそうだろう、普通なら。というただし書きがつくが生憎俺は普通じゃねえんだよ。前世の記憶があるし、

 

「クク、んなこたぁねえよ。これが目に入らねぇか!」

「そりゃあ……!」

 

男は驚いた顔をしている。それもそうだろう、俺がかざしている紙は今の俺じゃあ、どう足掻いても手に入れられないであろうものなのだから。その紙に書いてある内容を簡単に言うと、薬剤師の資格と、魔法具職人の資格と、俺が作ったものを得ることができる許可証なのだ。

コイツを手に入れるのは全くもって大変だった。試験のセキュリティを潜り抜ける高度な技術で作られた、年齢詐称薬の製作と、試験のために親にも教えられていない知識を一ヶ月で頭に詰め込んだんだからなあ。徹夜しまくったがそこは、薬屋の利点と言うべきか、一粒飲めば何徹もできる物があった。

 

「オイオイ、お前もしかしてズルしたな?駄目だろうが」

「ハ、確かに年齢部分はかなり偽ったが、それだけだっての。残りは全て俺の実力だボケ」

 

俺はそう言いながら、あるものを男に投げつける。それは左右二つの腕だ。ただし本物では無い、精巧に作られた義手だ。

 

「それじゃ、ソレ付けてみろ。俺が作った」

「マジでか、アイツも魔法においちゃ大概だがお前も大概だな……」

 

男は驚きと呆れが混ざった表情で、今つけている義手を外してそれを装着する。あんな何かのバグと一緒にすんな、馬鹿野郎。

腕の切断面に、俺の義手を近づけるとまるで粘土細工のように変形して、男の無駄にクソ太い腕と同じ太さになって、フィットする。どんなサイズ、どんな種族でもピッタリと合わせることができるように、作ってあるのだ。

 

「どうだ?」

「すげえな、でも俺が本気出したらあっという間に壊れちまう」

「……それもそうだろうな、テメエの筋肉はバグっている。だからそれはレンタルだ。その腕を使って、コイツらを狩ってこい。それを材料にする」

 

俺はそう言って『魔物大辞典』、『鉱石大辞典』、『野草大辞典』の三つの本のページをパラパラとめくって、相応しい義手の材料になりそうなものを指差す。それらは普通の魔法使いや、冒険者、賞金稼ぎでは手に入れるのは困難なものばかりだ。

 

「おう、ソイツらを取ってくればいいんだろう?すぐに終わるぜ!」

「どうだかな?テメエでも時間はかかると思うぞ?紅き翼(アラルブラ)が一員、千の刃、ジャック・ラカンよぉ」

「へ、舐めんなよ。3日……いや、2日で終わらせて見せらぁ」

 

そう言って目の前の馬鹿はビシィ!と親指で自分を指して微笑む。

コイツの名はジャック・ラカン。通称千の刃、生けるバグキャラ……まあ、様々な二つ名がある。だがそんな事はどうでもいい、コイツは俺が前世で読んだある漫画の登場人物だったのだ。その漫画は10歳のガキのハーレムもので、魔法やら異世界やら、学園やらのファンタジーアンド恋愛アンド学園モノがミックスされた漫画、タイトルを『魔法先生ネギま!』

そう、ここはネギまの世界なのだ。まさか二次元の中に転生するとは思わなかった。オタクどもが聞いたら発狂するんじゃねえのか、羨ましさでなあ。

 

ラカンは「じゃあな!体に気をつけろよ!」とか言って、出て行った。あいつがふつかで終わらせるといったのならば、2日で終わるだろう。

 

「さてと」

 

俺は店部分から出て、薬を調合する工房に戻る。そこには俺が煮ていた薬の液体から湯気が出ていた。……さっさと完成させよう。俺は机の上に放り出していたお玉を持つと、コンロに火を入れて薬をまたコトコトと煮続ける。この薬は完成するまで、あと3時間といったところか。

 

時々焦げないようにかき混ぜて、やっと完成した。液体だった薬は鍋の方に沿って、固形状に固まっていた。それを鍋から取り出して、塊をミキサーで砕いてこなにする。これで完成。ただの強力な風邪薬なんだがな。

それを袋詰めにし終わったところで、轟音と振動が俺の家を揺らす。

一体何事だ。今のは地震の揺れなんかではない、そう考えていると外からまたラカンの声が聞こえてきた。材料を忘れたのか?と外に出て見る。

 

「馬鹿野郎……」

 

俺はそれしか言えなかった、何故ならば目の前には俺が指摘した材料にが山になって積まれていたのだから。

 

「まだ四時間しか経ってねえぞ?」

「ああ、以外と簡単だったんでな」

 

……簡単とかそういう問題じゃねえだろう。魔物の強さはラカンなら拳で倒せるとして、四時間で全て揃えるには地理的に不可能なものまである。流石はバグキャラといったところか。俺はそうラカンの評価を改める。

 

「まあ良い、さっさと始めるぞ」

 

俺は懐からカードを取り出す。これは俺のアーティファクトだ。契約者相手は俺の父親なので、カードの背景は真っ白だ。3歳の誕生日に無理やりねだった。

絵柄は白衣を着て、ビーカーを持った俺が書かれている。

 

来やがれ(アデアット)。『毒を食らったら、|(大馬鹿野郎に)皿を食らうより病院に行けや。(つける薬はあるにはある)』」

 

そして空間が切り替わる。そこは研究所のような場所だが、本質は病院んだ。簡単に言うと移動式の病院なのだ。

材料も一緒に収納される。

 

「えーと。これとこれと……」

「コイツは空間を作り出す類のモンか?珍しいな」

「るせえ、黙ってろ馬鹿野郎」

 

俺は腕を作り為の器具を取り出して、加工に移る。この空間では時間の加速・遅延が自在にできる。最もそれはココで加工する道具や薬限定でだが。目の前に急患がいたら、あっという間に薬を与えることができるという便利なものだ。

そして時間を加速させて、本来なら一週間かけないと溶けない鉄や、魔物の部位もあっという間に加工する。おおよそ30分でそれは完成した。

褐色の筋肉で盛り上がったクソ太い腕が二つ。

 

「おら、出来たぞ」

「おっとっと、すげえな」

 

俺は腕をラカンに渡して、ラカンはそれを装着する。

 

「どうだ?」

「……ハハ、マジでかよ。ココまでピッタリだとはな、まるで元からくっついていたようだ。やるなぁ、お前は良い医者になるぜ」

「医者だ馬鹿野郎」

 

ラカンは俺の技術がここまでだとは思っていなかったようで、感心している。

 

「それじゃあ、さっさと出て行け。あ、金はいらんからな、お前がココで腕を買ったというだけで十分な宣伝になる」

「ガキがカッコつけんじゃねえよ。ホレ」

「おい、待て金は……」

 

ラカンは俺の言葉を無視して、金の入った袋を放り投げる。俺がそれを返そうとしたら、目の前にはすでにいなかった。……動きが速いんだよ、馬鹿野郎。

 

 




レンキ・アルミーク;魔法薬アルミークの店主。馬鹿野郎が口癖、両親は戦場に行って死亡。三歳児だが、転生しているので頭脳は大人?魔法ひゃっはーと弾けた結果、親から「すげえ賢い!」と、評価を貰って、両親は戦場に行った。年齢詐称薬を使って、試験の厳しいセキュリティを乗り越えて免許を取得して、薬屋を営んでいる。

アルミーク夫妻:レンキの両親、死亡済みで、親バカ。レンキが余りにも賢いので、調子に乗って薬や調合の事を教えまくった。そのお陰でレンキは試験に合格して、無事薬屋を営んでいる。

『魔物大辞典』『鉱石大辞典』『草花大辞典』:毎年新種が発見されるので、年々分厚くなっている。それに比例して値段も上がっている、レンキが持っているのは三年前のもの。

魔法薬アルミーク:町外れにある薬屋、客は常連しか来ないが、偶に病院には行けない裏の人なども来る。昔ナギたちも来たことがある……?

ジャック・ラカン:キャラ違くね?いやまあ、両親を亡くした三歳児ではこんなもんだろう。

毒を食らったら、皿を食らうよりも病院に行け(大馬鹿野郎につける薬はあるにはある):レンキのアーティファクト、中は小さな病院アンド工房になっている。その中で加工するもの限定で時間の加速・遅延が可能だが、使用者の腕が良くないと、めちゃくちゃになってしまう。それを自在に操るレンキの腕はかなり良かったり。

次回更新:来週にはやる。

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