町外れの魔法薬店アルミーク   作:天城黒猫

3 / 4
何とか投稿できた……寮の地域の祭りに強制参加しなくちゃならなかったから、執筆時間が少なかったけど休み中に投稿できた……!

あ、アンケートは未だ続いています。活動報告でどうぞ。


「ラッキースケべというのは、アメとムチが釣りあわねぇ」by五歳児

「あと1㎜ℓ……!」

 

俺はそう呟いて、駒込ピペットから紫色の液体を、緑色の液体が入っているビーカーに垂らす。

この薬が完成すれば、あのロマンが実現できる……いまは店に出す薬の調合ノルマが終わったから、こうして趣味に走っているのだ。

あともう少し……ここで焦るわけにはいかねえ、ここで失敗すれば全てお陀仏だ。俺は焦る心を引っ込めて、落ち着くように何度か深呼吸した後、試験管に入っている青紫色の液体を、ガラス棒を使ってビーカーに入れる。

そして数度ゆっくりとかき混ぜる。暫くかき混ぜていると、毒々しい色の液体は綺麗な黄色に変わった。

 

「よし」

 

これで完成だ。と呟いて、その薬をガラス瓶に入れて、アーティファクトの中に収納する。

その直後、俺の店の扉をノックする音が聞こえる。どうやらよっぽど慌てていやがるようで、何度も連続で強くノックしている。このままでは、扉が壊されかねないので、さっさと店の方に出て扉を開ける。

 

「助けてくれッ! 私の息子が!!」

「落ち着け、馬鹿野郎!」

 

そしたら顎髭を無駄に生やしたおっさんが俺の胸ぐらを掴んできやがったので、頭を叩く。いい大人が騒いでんじゃねぇよ、馬鹿野郎。

 

「き、貴様ッ! この私に対して無礼なるぞ……ッ!!」

「ハイハイ、無礼だの御礼だのそんなんはどーでもいいんだよ、馬鹿野郎が。何があったか話せ、落ち着いてな」

「あ、ああ……そうだ! 私の息子が毒を盛られて……!」

 

髭面はそう言って詰め寄って来る。

毒、か。今時毒殺とかしようとする馬鹿野郎は滅多にいねえんだよな。暗殺なら悪魔を使うのが魔法世界での主流だし、事故かなにかだろう。まあ、取り敢えずは見てみねえと分からねえな。

 

「よし、今すぐお前の息子とやらに合わせろ」

「わかった!」

「うおっ!?」

 

髭面は俺の手首を掴んで引っ張る。痛えんだよ、この馬鹿野郎が。だがまあ、テメエのガキが大変なんだ。焦る気持ちも解らなくもねえ。

店の前に止められているのは、金魚のような形の船だ。これは今年発売されたクソ高い最新モデル。だとするとこの髭面はそこそこ金を持っているということになるのだろう。――まあ、だからどうしたってことだがな。俺は患者を救うだけなのだ、金がないのならば分割払いにさせればいい。現に俺の両親もそうしてきた。

そして、到着した場所は、これまた馬鹿みたいに馬鹿でかい屋敷だった。というか、この町の町長の家だ。という事は、この髭面は町長ということなのだろう。

 

「こっちだ!!」

「はいはいっ!」

 

ぼうっとしていると、髭面に急かされて屋敷の中に入って行く。そして案内された部屋、そこには俺がよく見知った顔がベッドの上で眠っていた。

 

「ハザン……!?」

 

そう、ベッドの上には何時も保育園で「おれのてしたになれ!」と言ってくる馬鹿野郎がいた。だが、何時ものように傲慢さとどこから湧き上がるのかわからない無駄な自信は見当たらず、苦しそうに汗を掻いて、息を小まめに吐いたり出したりしている。

 

「私のハザンだ、見ての通り毒を盛られて眠っている! 病院にも行ったが、医者共は口を揃えてお手上げだと言う!! 貴様なら、腕の良いと評判の貴様なら直せるだろう!? 解毒できるだろう!?」

 

髭面……いや、ハザンの親父はそう言って俺に詰め寄ってくる。

ったくよ、幾ら何でも病院の医師が見捨てたからといって、唯の薬屋である俺に頼んでくるのかよ。まあ、それだけハザンを愛しているのだろうな。仕方がねえ、というか元々どんな奴だろうが依頼は受けるつもりだ。

 

「わかった、取り敢えず病院には行ったんだな? その医師共はどんな毒だと言っているんだ?」

「それは……少し待て、これだ」

「おう」

 

ハザンの親父は懐を弄って、紙を数枚俺に差し出してくる。病院の診察書だ。

俺はそれを見て、思わず頭を抱えて天を仰ぐ。ハザンよぉ……テメエこんなモン盛られるとか、どんだけ怨みを買っていやがるんだぁ?

 

「馬鹿野郎が……」

「やはり無理なのか……?」

 

俺の呟きを聞いたハザンの親父は無理だと判断したのか、不安げに問いかけてくる。

 

「いや、無理じゃねえ。……この解毒薬の材料が珍しいだけで足りねえんだよ」

「何!? 解毒薬の作り方を知っているのか!?」

「ああ、まあな」

 

ハザンの親父は驚いている。まあ、確かにこんな大戦よりも遥か昔に使われていた毒の解毒薬なんざ、あまり知っているやつは居ねえだろうしな。

勿論、作り方も完璧に記憶している。倉庫の文献を漁りまくって、その中にあったからな。だが……

 

「材料が足りねぇ」

「そうか、なら私が調達しよう。どんな物が必要なのだ?」

 

俺はそう呟く。よりによってアレが無ぇ。つい一昨日全て使っちまった。

ハザンの親父は俺に問いかけてくる。

 

「…………………アルテミシアの葉」

「な────」

 

その名前を聞いたハザンの親父は絶句する。それも当然だろう。原作じゃラカンがネギの傷を治すのに使わせていたが、あんなモンポンポン何枚も出せるのはラカン(バグキャラ)とかだけだ。

幾多の強い魔獣共が集う森深くにひっそりと生えているが、そんなモンは名のある賞金稼ぎか一部のバクどもにしか取りに行けねぇ。入手が困難で、数も少ないから馬鹿みてえに高い。そんな貴重品なのだ、アレをすり潰して貼るなんざ唯の馬鹿野郎としか言えねえよ。

 

「それは、本当か?」

「ああ、誓って言う。本当だ、俺の誇りにかけてな。決してボろうとか、そんなんじゃねえ」

「そうか……」

 

ハザンの親父は絞り出すように俺に確認する。そして「市場に出回っていなければ騎士団を……いや、足りるか……?」と呟いていやがる。はっきり言ってここの騎士団の練度がどんなモンかは知らねぇが、多分無駄死にするだけだろうな。だから──

 

「俺が取りに行く」

「何!?」

「今の時期なら市場にもまず出回っていねえ。だから俺が直接取りに行く。大丈夫だ、前に一回行った事があるからな」

「そうか……! 金はいくらでも払う!! 是非とも我が息子を助けてやってくれ!」

 

ハザンの親父は希望に満ち溢れた顔で、俺に懇願する。

 

「ああ、時間がないから船を借りたいが構わねぇな?」

「勿論だ! その他にも人員が必要なら、好きなだけつける!」

「いや、人は要らねぇ、足手纏いだからな」

「そうか……!」

 

俺は屋敷を出て、止めてある幾つかの船の中から、指摘された物に入ってそれを操縦する。

 

──そして、船に乗って約2時間。気が鬱蒼と生えている森の中に、枝をへし折りながら船を着地させる。これ以上は空に竜が飛んでいるから、船で進むのは不可能だ。

俺はアーティファクトの中に入っているものの中から、スプレー缶を取り出す。このスプレーは虫除けならず魔獣よけであり、魔獣の嫌う匂いを出して魔獣を追い払うことができるのだ。……だが、それでも一部の魔獣は構わずに襲いかかってきやがる。まあ、無いよりはマシだろうがな。

魔獣除けを体に吹き掛けて、暫く歩く。

 

「GYUOOOOOOOOOO!!!」

 

吠えながら木々をへし折ってこっちに進んできやがる大猪が一匹。魔獣除けが効かないタイプか、ホントこういうタイプは面倒くせえ。

俺は二本の液体が入った試験管を取り出して、お互いの液体を混ぜて気化させる。

 

「GYU!? KYUAOA!!」

 

気化した液体の匂いが猪の嗅覚を刺激した途端、猪は尻尾を巻いて俺から逃げて行く。

少し刺激毒を混ぜてあるので、猪は嫌がったのだろう。

そしてまた歩き始める。

 

「この先は川だったな……面倒くせえんだよ、馬鹿野郎が。何でこんな所を流れていやがる」

 

暫く歩いた先には、茂みがある。この茂みを越えれば、その先には川があるのだが、この川の流れは緩やかで、油断さえしていなければ、流されるようなヘマはしない。だが、川幅が馬鹿みてえに広く、渡るのにも一苦労なのだ。どのコースを通ろうが、この川を越えなければいけない。

茂みを掻き分けて進と川が見え──

 

「あ?」

「な!?」

「ケ」

 

……裸の少女、というか幼女(ロリ)が見えやがった。その幼女の近くには、小さな人形もいる。……いや待て、ンなもんはどうでもいい。幼女も人形もどうでもいい。重要なのは──

 

「……ああ、済まなかった。それと俺は幼女には興奮しな──って、ちょっと待ちやがれ!!」

「誰が待つか!! 凍るが良いッ!!『契約に従い、我に従え、氷の女王。来れ、とこしえのやみ、えいえんのひょうが 』!」

 

幼女は俺に殺気を向けながら呪文を唱える。というかそれ上級じゃねえか!? マジで殺す気か! 馬鹿野郎がっ!!

 

「糞が! 来やがれ(アデアット)! 『毒を食らったら、(大馬鹿野郎に)皿を食らうより病院に行けや。(つける薬はあるにはある)』」

 

咄嗟にアーティファクトを発動して、異空間に逃げ込む。

……というか、あの幼女エヴァじゃねえか!? ナギ(超絶バグ)に呪いをかけられて、学校から出られなくなったという気の毒なキャラであり、後にネギの師匠となる不老不死の最強の吸血鬼の真祖だ。

俺もガキの頃両親から、子守唄で聞かされ、「悪いことをしたら来るよ〜?」と脅されたモンだなぁ。不死の魔法使い(ノスフェラトゥ)、確かそんな二つ名だったか?

よりにもよって、そんなバグキャラのラッキースケべとか死ぬだろうが、馬鹿野郎。というか殺す気だったぞ? ……しかし、どうしたモンだろうな。倉庫や栽培プラントもあるから、このまま一ヶ月ほど引きこもってやり過ごす事も出来なくもねぇが……それは出来ねえな。ハザンの命はもってあと2日ぐらいだろう。

悠長な事は言っていられねぇ、かといって、このまま外に出て逃げれれるかといえば、不可能だろうな。あの原作の中でも上位に入るバグには勝てねえ。真っ先に殺される。

だが、それでも何かしなきゃいけねえんだよなぁ……いいモンは無えか? 俺は両親が遺したものをそのままそっくりしまってある倉庫に移動して、大量に積まれた箱の中を漁る。

そして、一つの古い魔道具(アンティークマジックアイテム)を見つけた。何故こんなモンを俺の両親が持っていたのかは、解らねぇが使える。というか、法で禁止されていたりするが、まあ。大丈夫だろうな。

これは強力だが、効果を発動するまでの状況を作らなきゃいけねえ、そしてそんな状況を作れるかといえば、否だろ……いや、行けるか? 俺の目の前には、栽培プラントと今日作ったばっかりの薬があった。

俺は薬を服用して、栽培プラントからその植物を千切って袋詰めにする。ついでに幾つか別のモノも持って行こう。

これで準部は整った、アーティファクトを解除して異空間から出る。

 

「──やっとか、アーティファクトを使って逃げるのはやめた……って、誰だお前ッ!?」

 

外に出た途端、エヴァは俺に凄まじい殺気と、魔法を放つべく手のひらを向けているが、俺の姿に突っ込んで来やがった。

まあ、確かにそれもそうだろう。今の俺は物凄くムッキムッキなボディビルダーの様な体型になっているのだから。ドーピングコンソメスープ。これが今日作っていた薬だ。服用した人物はデコピンで岩を砕くパワーを得ることができる、まあ、詳しい事は調べてねえからどのくらい時速するのか解らねぇから、さっさと決着をつけるか。

 

「ガアッ!?」

 

俺はエヴァを殴り飛ばす。だが、その瞬間人形が包丁を持って切りかかってくる。

 

「──ケ!? マジカヨ!!」

 

避けきれないので、筋肉で受け止める。その事に人形は驚いていやがる、そして驚いているスキに殴り飛ばす。

 

「おのれッ! 貴様ぁ、この私を殴り飛ばすとは生意気な!」

 

エヴァが怒りながら魔法を放とうとして来やがった。魔法を使われたら、流石に死ぬだろう。だから、そうならない為の策を用意して来たんだよ。

 

「ハァッ!」

「グッ!?」

 

俺は一気にエヴァの元へ跳躍して、地面に押さえつける。

 

「貴様……ッ!」

「悪いが、容赦はしねぇよ。話し合いは無理みてえだからな」

 

俺はアーティファクトからしまってあったソレを取り出して、エヴァに振りかけて、更に擦り付ける。

 

「──って、お前! 何だそれは!! 止めろ! 振りかけるなァ! 擦り付けるな! 臭い臭い臭いッ!!!」

「ついでにホレ」

「ぎゃあああああ!!!???臭い臭い臭い臭い臭い!! 止めろオッ!!!」

 

ソレはエヴァが苦手だというニンニク。ついでにニラとネギも用意しておいた。それらを振りかけて擦り付ける。

原作では、ナギがニンニク入りの落とし穴に落としていたな。エヴァは涙を流しながら、暴れているが押さえつけているから、逃れる事は出来ない。ついでにニンニクのエキスを濃縮した香水も吹きかける。

こんなもんはただの嫌がらせだ。だが、あの条件を満たすか、このまま臭いで気絶するまで続ける。

 

「ギャァアアアア!! 解った! わかったからもう辞めてくれ! 何でもするからぁ!!」

「マジで言いやがった……いいだろう」

 

エヴァを押さえつける手を退けて、エヴァから離れる。

その途端、エヴァは途轍も無い殺気を出して、俺に魔法を放つべく手のひらを向けている。

 

「ふ、フフフフフフ!!! 貴様……この私にあの様な事をして……無事で帰れると思うなよッ! 死ぬが良い!!」

 

そして呪文を唱える。だが、それは出来ねえんだよ。悪いなぁ。

 

「待て」

「な、何!?」

 

俺は一言、そう命じる。ただそれだけでエヴァは呪文を紡ぐ口を閉じて、手のひらを前に突き出したまま固まる。

 

「むぐっつ! むぐぐぐっ!?(貴様! 何をした!?)」

「コレを使わせてもらった」

「むぐ(な──、それは)」

 

俺は古い魔道具(アンティークマジックアイテム)である鳥の翼が天秤になっているものを取り出す。

これは呪い。お互いの『契約』を無理やりにでも守らせるといった類の呪いのアイテムだ。

余りにも強力すぎて、国が禁止したほどのものであり、偶に遺跡の奥底から見つかる。

何故俺の両親がこんなモンを持っていやがったのかは解らねぇが、有効活用させてもらおう。

 

「俺は時間が無ぇんだよ。暫くそこの人形共々そこで待っててもらうぞ」

「むぐっつ! むぐぐぐむぐっつ!!(な、貴様! 待て! )

 

何を言っていやがるのかは解らねぇが、気にすることはないだろう。

川を越えて、森の奥へと進んで行く。




ハザンに盛られた毒:レンキ曰く大昔に使われた中古どころか、化石。普通の病院では解毒薬の作り方はおろか、毒の解析すら古すぎてできなかった。そんな物をレンキはすぐに見破った。

アルテミシアの葉:原作でラカンがネギの修行時に使っていたもの。物凄く希少で高価なもの。レンキ曰く、すり潰して使うとか、勿体なさすぎて一般人が怒るレベル。様々な薬の材料になる。

魔獣除け:レンキ特製のアイテム。虫除けスプレーの魔獣版。但し、中には効果の無い魔獣もいるので注意。魔法薬アルミークにて購入可能。

ラッキースケべ:現実であったら、間違いなく訴訟モノ。相手によってデコピン、ビンタ、パンチorキック、半殺し、殺すなど、様々な報復を貰う。エヴァは油断しきっていた為、レンキの接近に気がつかなかった。

ドーピングコンソメスープ:元ネタはネウロ。服用したら、ムッキムッキになる。非合法なものは使っていない。だが、元ネタより強力なもの。詳しい強さは書かないが、強いて言うならばラカン相手にちょっとだけ戦える。

エヴァ:アーパー吸血鬼、のじゃロリに続く三大吸血鬼。(作者が勝手にそう呼んでいる。尚、最近では問題児のレティシアにその地位を脅かされている。(作者の中で))何かと気の毒な目に遭う。

レンキのアーティファクト:詳しい図解とか書く必要ある?

栽培プラント:レンキのアーティファクトの中にある施設の一つ。薬草や野菜を育てている。

ニンニク、ニラ、ネギ:臭い。そんな物を擦り付けるレンキは鬼だと思うの。

古い魔道具(アンティークマジックアイテム):鳥が天秤になっている形のもの。原作でフェイトが魔法世界でネギ相手に使おうとしていたものと、同型のもの。

アンケート:誰をヒロインにするか決める。まだやっているよ! 活動報告にて。

感想:ヘイ、カモン!!

次回更新:来週には更新する。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。