「ふぁ~、よく寝た」
俺はヘリの中で目を覚ました。
現在の時刻は午前八時。昨日、マグノリア・コンパスを出たのが午後十時だから、あれから十時間経っていることになる。
「おはようございます、シオンさん」
俺が時間を確認してると、前の席から声をかけられた。
声の主は、九条アキさん。綺麗な青髪を腰までまっすぐ垂らしたエリート系の女性で、このヘリのパイロットの一人だ。
「おはようございます、アキさん。もしかして夜の間ずっと運転してたんすか?」
「いえ、夜間の運転はケンがしてくれました。私はついさっき代わったばかりですよ」
そう言って、アキさんは隣で爆睡している男性を見た。
この男性は久留馬ケントさん。整えられていなくボサボサな茶髪にヒゲの剃り残しと、見た目では良い印象がないが、話してみると気さくな感じで結構優しかったりする。
このヘリのもう一人のパイロットだ。
ちなみにこの二人、付き合っているらしい。
よくもまあ、こんな人がアキさんみたいな美人を射止められたな。
まあ、ケントさんの寝顔を見るアキさんからは本物の愛を感じれるからちゃんと愛し合っているんだろう。
「結婚式には呼んでくださいね」
「なっ!?けっ!!?ま、まだ先の話です!!」
アキさんは顔を真っ赤にしながら叫んだ。
どうやら結婚するのは確定事項らしい。
あと、ハンドルから手を放さないで、危ないから。
「まあ、その話は置いといて、極東支部まであと、どんくらいですか?」
「すでに極東地域に入っているのであと、数十分で着くと思います」
それなら余裕はあるな。
荷物を置いたら散策でもするかな。
そんな事を考えていると、突然けたましいサイレンの音が響いた。
「どうした!?」
「後方よりアラガミの襲撃です!」
どうやらケントさんもこのサイレンの音で目が覚めたようだ。
そしてこのサイレンはアラガミの襲撃によるもののようだ。
「詳細は!?」
「数は四、内一体は中型種だと思われます!」
「チッ!中型種までいんのかよ!」
極東地域のアラガミで空を飛ぶと言えば、サリエル種とザイゴート種か。
「このまま逃げ切ることはできないのか?」
「無理だろうな。この護送ヘリじゃこれ以上のスピードは出せないし、こちらには自衛手段が
ない」
まあ、確かに神機が無ければアラガミ相手にはどうしようもないよな。
「救援は?」
「ダメだ間に合わない。早くてもここまで来るのに十分はかかる。このヘリじゃあアラガミの攻撃に五分も耐えられん。ゴッドイーターが来る前にお陀仏だ」
打つ手無し、か。
でも、俺はこんなとこで死ぬわけにはいかないからな。
しょうがねぇ。
「ケントさん、このヘリに積んであるグレネードとスタングレネードをあるだけバッグに詰めて持ってきてくれ。」
「それは構わんが、スタングレネードはまだしも、グレネードは何に使う気だ?」
「いいからいいから。ほら時間が無いから急いでくれ」
「あ、ああ」
ケントさんが後ろに行くのを見届けて、次にアキさんの方を向いた。
「アキさんは極東支部に至急救援要請をお願いします」
「ですが先程救援は間に合わないと」
「ええ、ですがそれは対象がこのヘリの場合です。要請の内容は『ヘリから落ちたゴッドイーター候補の救出』でお願いします」
その言葉を聞いてアキさんは目を見開いた。
「ヘリから落ちたって、シオンさん、貴方まさか「おいシオン、持ってきたぞ!」
アキさんが何か言おうとしたが、大きめのバッグを持って戻ってきたケントさんに遮られた。
「ありがとうございます!じゃあアキさん、頼みましたよ!」
ケントさんからバッグをひったくり、俺は外に飛び出した。
「なっ!?」
ケントさんが驚いているが今は気にしてられない。
とりあえずアラガミを確認するか。
ヘリの後方にいるのはザイゴート三体とサリエル。
予想通りだな。
グレネードを一つだけバッグから取り出して、
「こっち向けや、化け物共ォォォォォ!!」
叫びながら投げつける。
爆音に気づいたサリエルがこっちに向かって来てザイゴートもそれに続いている。
よし、ちゃんと釣れたな。
「さぁて、ゴッドイーターになる前の予行練習といきますか!」
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