「おれは P4Uとジョジョのクロス小説を書こうと思ったら いつのまにか書いていた」
な… 何を言っているのか わからねーと思うが
おれも 何をされたのか わからなかった…
頭がどうにかなりそうだった… 催眠術だとか超スピードだとか
そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…
と、いう事で自分の初作品です
初めて書くのでミスやら何やら色々あると思いますが、どうか温かい目で目守ってやって下さい
それでは、どうぞよろしくお願いいたします
-2013年某月某日-
「やっと着いたか……」
神奈川県から電車に揺られ数時間。GW中の三連休を利用し引越し先のとある田舎町に着いた。少々寂れた駅から少し歩き踵を返し、駅の名前を見上げる。
「八十稲葉……」
今日から暮らすことになる小さな田舎町、八十稲葉(やそいなば)。両親が事故で死に、住む所が無くなった俺は、親戚の住む、八十稲葉へとやってきた。周りには知り合いなど誰一人いないここで、今日から暮らすことになる。
現時刻、午後9時過ぎ。唯一の親戚である叔父が迎えに来る約束をしている時間帯だ。そろそろ叔父の乗った送迎の車が見えてもおかしくはないのだが、それらしい物は見当たらず、辺りは午後9時という時間にあった静寂を守っていた。田舎ということもあり、街灯も少なく都会ではこの時間帯なら当たり前の塾から帰る学生の姿や、仕事が終わり、各自家路につくサラリーマンの姿などが見える事もない。
五月と言えど未だ僅かながら冷え付いた空気も残っているため、そろそろ迎えに来てくれなければ長い時間寒さに身を打ち震わせることになってしまう。
「遅いな……」
着駅時間近に連絡を入れた事を思い出す。連絡はしておいたものの、予定の時刻を数十分遅れている。ひょっとしたらまだ連絡を見ていないのかも知れない。念のためもう一度連絡をいれておこうか。そう思い携帯に触れた時だ。
「ん……?」
視界を眩しい光が照らしクラクションが自分を呼ぶかの様に響く。顔を上げると数メートル先には乗用車が一台停車している。先程までの静寂さはなりを潜め、エンジン音が静かな騒音を放っていた。それから数秒の間を置き、中から一人の女子が降りた。どうやら迎えが来たようだ。
一人降車した女子は自分へと近付き、確かめるように問う。
「君は……月夜城(つくやぎ)由鶴(ゆづる)だね?」
「そういう君は東雲(しののめ)遙(はるか)……」
彼女はとある学生寮に入寮している同じ高校3年。自分との関係は従兄妹といったところで、どうやら彼女もGWを利用し、叔父の家のあるここに来ていたようだ。尤も彼女の場合は両親共に健在なので『遊びに』だが。彼女が出てきたのは叔父と共に迎えに来たからだろう。因みに彼女とは住んでいた場所は違う上、住居も近くは無かったので面識はない。会ったことがあったとしても物心つく前の互いに小さな頃なので覚えていない。つまりは実質初対面同士というわけだ。
「いやー、叔父さんから聞いてたけど話より良いね!」
「……? 何の話だ?」
軽い自己紹介を済ますや否や、彼女はいきなり意味のわからない事を口にする。訳も分からず聞き返すと恥じる様子もなくさらっと言い放った。
「いや、話よりも全然イケメンだって話よ!」
「……」
一発目からかまして来る女である。それが第一印象だった。人間、第一印象は対話する上で最も重要なことだが、ハッキリ言って彼女は余り得意なタイプではないことが分かった。大人しそうな見た目に反し結構大胆なヤツなんだろうか。例えるなら学校では静かなやつが家に帰った途端急に煩くなるといった感じか。
「余りベタベタしてくるなよ」
「ん?」
「俺はそーゆーものには興味がないんでな、生憎」
「あらあら!」
面倒臭い事はごめんなのでやや喧嘩越しに、突き放すように言ってはみたが彼女にとってはその程度のことはお構いなしだったようで、奇妙な笑みと共に大袈裟に驚いてみせた。
「興味がないってまさか、あっち系?」
「……ハァ」
>どうだろうな。
長旅の疲れも合わさり今はかなりの疲労を感じている。これ以上彼女には構っていられない。夜も遅いので早くゆっくりしたい。溜め息に対してブスーッと頬を膨らませる彼女を無視し車へと足を運ぶ。後ろでぎゃーぎゃー騒いでいる声が聞こえるが、これ以上体に負担を掛ける程自分はマゾ体質ではないので放置することにしする。
車のドア付近まで近づくと、運転席側の窓が開き、50代前後の男性が顔を覗かせた。
「君が由鶴君か。少し前まであんなに小さかったのに見ない間に随分大きくなったね」
「由鶴です。今日からお世話になります」
この人が今日からお世話になる叔父である。疲れや自分の内心諸々を察しているのか余計な話はせず、穏やかな表情を作りニコリと微笑む。
「堅苦しいのはいいんだよ。さあ、乗りなさい。まだ少し肌寒いだろう」
「ありがとうございます」
軽い挨拶を終わらせ後部座席へと乗り込んだ。自分が乗車したのを見てか遥も急ぎ足で駆け寄りドアを開け乗り込む。
何故か後部座席のドアを開け、自分の隣に。
「おい」
「ん?」
「何故隣にくる。助手席が空いているではないか」
図々しくも隣に座り込んだ遥へと訊ねる。それに対し彼女は返事の変わりにまたしても頬を膨らませた。そしてそれを見て疑問に思う。よく見れば顔立ちは整っていていわゆる美人なんだろうが、恋人の一人くらいいないものなのだろうか、と。結果、いないからこうして自分にしつこく絡んで来るのだろうが。……答えは直ぐに出た。この性格では寄ってくる男も余程の物好きか単なるメンクイ程度しかいないからであろうと。
昔からそうだ。女など少し好みの男を見つければ餌を見つけた蟻のように群がってくる。自分の両親が死んだ時もそうだった。一人にして欲しいと願う気持ちも無視して寄って集って釣り針を投げる。そこに優しさはあるかも知れないが、自分にとってはその優しさでさえ煩わしいものに過ぎないのだ。
聞こえるかどうかの小さな溜め息を吐き遥の顔を見る。••••••遥は寂しそうな顔をしていた。
「……そんな怖い顔をして。そんなに嫌なの••••••?」
少し悲しそうな声でそう呟く。
そんな彼女を見て少し言い過ぎてしまったかと後悔の念を感じる。しかしそう思う中でやはり女に対しての嫌悪感ばかりは拭い去ることは出来ず、内心ではもう一つの気持ちを抱いていた。
……いい加減にして欲しいものだ。これだから女は好きじゃあない。自分自身毒のある表現だとわかっていたため口には出さない。
そして場を静めようと善の感情で言葉を口にした。
「すまない。少し言い過ぎた」
女の扱いはさっぱりわからない。少なくともこの場を落ち着かせるには取り敢えず謝ってかおかなければならないというのはわかっていた。
案の定謝罪を聞くや否や遥は落ち着きを取り戻したかのように、だが未だ若干の悲しさを含んだ声で返す。
「本当?」
「ああ」
「……」
先程の煩いまでの元気はどこへ行ったことやら、あれだけ騒いだと思えば今度はだんまりと俯いてしまう。ここまで来れば最早女云々ではなく遥そのものが面倒くさいということがわかる。こちらとしては静かにしてくれればそれはそれで文句はないわけなのだが、こうも静か過ぎると逆に安心出来ない。
そんな自分の不安を尻目に遥は急に元気を取り戻しこう開き直った。
「なーんだぁ、なら隣に座っててもいいよね!」
「はあ……」
どうすればその考えに辿り着くのか。全くもって理解不能である。遥の一言は偽善とは言え謝罪を口にしたことに対しとてつもない馬鹿馬鹿しさを感じさせた。やはりこのクソアマは特別に面倒くさいようだ。
「これ、遙、由鶴君は疲れているんだから余りちょっかいはかけるんじゃあないよ」
「はーい!」
叔父さんの注意という助け舟に対しても遥は笑いながらの返事という石で船の底に穴を開けた。
どうせやめる気がないのならば返事などするものではないだろう。怒りより先に呆れという感情が噴火しそうである。
「ところでさあ、由鶴」
「……」
勘弁して欲しい。自分の疲労は目に見ても分かるはずなのに遥の口撃はもはや留まることを知らない。
至極当然、呼吸するかのように当たり前に無視を極めるが、それでもお構いなしに遥は話を続ける。
「マヨナカテレビって知ってる?」
無視を貫き通していたはずの脳内にふと電車の中でたまたま女子高生が喋っていた会話が再生される。
『ねえねえ、聞いた?』
『何が?』
『マヨナカテレビだよ。ここら辺で良く聞く都市伝説の一種で雨の日の午前0時に消えたはずのテレビを見てると意中の相手が映るっていうアレ!』
『ああ、少し前まで流行ってたらしいね。今はすっかり聞かなくなっちゃったけど』
『そうなんだけどさぁ、最近また流れてるって噂なんだよね』
『……そうなの?』
『うんうん! でも今のは少し違うらしくて、変な番組が映るんだってさ』
『どんなの?』
『さあ? 今度見てみようよ!』
話を聞いた時は馬鹿馬鹿しいとしか思わなかった。そんなオカルトチックな話が現実にあるはずがないと。自分はホラー番組やUMAなどの話は否定しないが、都市伝説は信じない。話としては大変面白いが、飽くまで伝説の粋を出ないからだ。それ故に今回のそれも聞く分には面白いが所詮は都市伝説、噂でしかないのだ。だから遥の話も聞き流そうとしていた。しかし遥の話は女子高生達が話していたそれよりもずっと深い話だった。
「聞いてる? ……まあいいや。信じないなら信じないでいいけどさ、ちょっと聞いててよ」
それを前置きに遥はゆっくりとマヨナカテレビについて語った。
「マヨナカテレビっていうのは雨の日の午前0時に消えてるはずのテレビをボーッと見てると不意にテレビに将来の相手が映るっていうのなんだけど、それに関して去年この近辺でちょっとした事件が有ってさ、近くの高校の教師が失踪したらしいんだよね。あたしは聞いた話だから細かいところまでは知らないんだけど。それで……そうそう! その教師は見つかったんだけど、変な見つかり方したんだよね……」
「……」
遥はそこまで話すとチラチラと様子を伺う様にこちらを何度も目で見る。自分もそこまで話されては続きが気になって仕方ない。
「どうした。続けろ」
「はっはーん。由鶴、もしかして気になるぅ? 気になるぅ? 気二ィ•ナァ•ルゥ?」
ニヤニヤと何度も、今度は顔全体でこちらを見て、焦らす様に訊ねる。ここで素直に気になると言えばまた面倒な事になるということは火を見るより明らかであり、何より自分のプライドが許さない。
そもそもニヤついたその顔が無性に苛立ちを感じさせるものだった。
「続けろと言っているッッ!!」
自分の怒声に身体ををビクリと震わせ、バツが悪そうに「ごめん……」と呟くとゴホンとワザとらしい咳をし、話を再開した。
「えっと、どこまで話したっけなぁ。ああ、そうだ、それで、その見つかり方って言うのがさ、なんとアパートのベランダに吊るされるようにして、且つ死んだ状態だったんだって!」
ドッギャーーz___ン!!
「! ……なんて事だ」
「まあでもね、それ自体は『事件』を知った模倣犯の犯行だって分かったらしいんだよ」
「ッ! おい! ふざけて……ン、待てよ」
先述の遥の言葉に違和感を覚え、出掛かった言葉を引っ込める。先程の遥の話をもう一度頭で思い起こす。すると違和感の正体は直ぐに分かった。
「おい、模倣犯って、それじゃあそれが起きるより前にも何か事件があったのか?」
「まあまあ、落ち着いてよ。実はその高校教師が亡くなるより前にも事件は起きてたんだよ。ぶっちゃけこっからが本題なんだけどね」
そう言うと遥はこれまでにない深妙な面持ちを見せた。
自分が頷くのを確認し、ゆっくりと続ける。
「一、二年前に不倫騒動が有って、番組を降板させられた女子アナがいたんだけど、あ、名前は確か山野真由美アナだかって言ってさ。そのニュースキャスターが亡くなったのも知ってるでしょ?」
「ああ、多分覚えてるぞ」
口ではそう言ったものの、普段テレビも余り見ず、新聞などもほとんど読まない自分の記憶にはほぼ残って居なかった。ニュースキャスターが亡くなったと言うのは何と無く覚えてはいたのだが、名前までは覚えてはいない。
薄い記憶を探るが、やはり興味のなかった自分の記憶に残っていることはなかった。
遥もそんな自分の表情を読み取ったのか「本当にィ〜?」と怪訝な顔でこちらを見た。
「また怒鳴られたいか?」
脅すようにそう言うと渋々とつまらなさそうに返事をし、話を戻す。
「まあそれでね、その女子アナが死んだわけだけど、その死体の見つかり方っていうのが、民家のテレビアンテナに吊るされるようにした状態だったんだと」
「なるほど、それでそれを知った模倣犯がその高校教師を似たような状態で殺害した、と」
これで話が繋がるわけか。
遥も自分の言葉に頷いたため、どうやら有っているようだ。
……だがまだ疑問は残る。とっておきの疑問が。
「それはそうとそこにマヨナカテレビの何が関係してるって言うんだ?」
そう、これこそが最大の謎なのである。
人を殺すことは動体で有る限り何にでもできる。だがそこにマヨナカテレビがどう関わっているのかなど、先程の会話を聞いていても全く掴めないのだ。都市伝説的にはもしマヨナカテレビがその殺しと関係しているのならば、実はマヨナカテレビは人食い番組で、液晶という口から人間を食べて、排便という形でアンテナからだしたのでしたーとかいう展開になるのだろう。
俺の疑問を払拭するかのように遥は答えた。
「それがね、またまた噂なんだけど、その山野アナはテレビに落とされて殺されたって言うのさ」
……。
「……は?」
「いやだから、山野アナはテレビの中に落とされて……」
「待て、そうじゃあない。テレビの中に落とされただって?」
「そうだって言ってるじゃん」
馬鹿な。あり得ない。
その言葉が最初に出た言葉だった。
そして、驚愕。
頭で思った漢字二文字。
それは余りにも現実味が無さ過ぎた。テレビに入る、ましてや『落とされた』となると現実的に考えてもあり得なさ過ぎる。
自分が適当に考えた妄想が少し近く、更に驚いた。
遥はさらりと言いのけて見せたが、話す相手が自分でなければ、笑い飛ばされていただろう。それほど奇妙で突拍子もない発言だったのだ。
「お前、何を言っているのか分かってるのか?」
無意識的に遥に詰め寄っていた。
遥は「だから飽くまでも噂だってば」と半ば引きつった笑みで返す。
分かってはいた。所詮は都市伝説、ただの噂話に過ぎないと。この話を切り出された時もそう感じていたはずだった。しかし話を聞いてみて、最初こそそう思っていたものの自分の中で何か心境に変化あったのは間違いない。
今の自分は相当難しい顔をしているだろう。遥もそんな自分を見てか「だったら」と切り出した。
「今日、見てみない?」
発せられた提案にしばし考える。そしてある事に気付き、答えを出した。
「付き合ってやらん事もないが残念ながら今日は見れないだろ」
「なんで? 疲れてるから?」
「まあそれもあるが、それよりマヨナカテレビを見るにあたっての条件はなんだったか?」
自分の問いに遥は考える素振りを見せる。数秒後ようやく気付き頭を上げた。
「雨が降ってない……ってこと?」
「そうだ」
遥の答え通り、今日は朝から今まで降雨することはなかった。明日や明後日はわからないが、少なくとも今日は降っていない。八十稲葉に越して来るのも今日でなくてはダメだった訳ではなく、この日がたまたま雨が降っていない上GW初日だったからというのがある。
しかし遥は「大丈夫」と文字通り余裕を持ってみせた。
「今晩から明日朝に掛けて雨降るんだよ」
「……なるほど」
ちらりと携帯のディスプレイを見てみる。時刻はあれから10分程経って、午後9時58分。明日は別段これと言った用事はない。マヨナカテレビに対して興味もある。自分は二つ返事で遥かへと言葉を返した。
「少しだけならな」
「やった!」と余程嬉しかったのか遥は小さくガッツポーズをしてみせる。
そして間髪いれずに奇妙なことを口に出した。
「由鶴がいればテレビに落とされても安心だね!」
「なんでだよ……」
「だって、由鶴は超能力が使えるんでしょ?」
「おいおい、超能力って……あ」
何故遥がその事を知っているのだろうか。
そっとミラーを見てみる。ミラー越しに目があった叔父さんは、申し訳なさそうに目を伏せた。まさかとは思ったがやはりこの人か。
「すまん、由鶴君。君が来るのが嬉しくてつい色々と喋ってしまった」
内心、焦燥感を禁じずにはえなかったが、すぐにその気持ちを払拭させ、落ち着いて返事をする。
「まあ、いいですよ。いずれバレるだろうと思ってました」
「本当にすまん。でも私も興味があるんだよ。良ければ少し聞かせてくれないか? 君の持つ幽波紋(スタンド)について……」
「そうですね……わかりました。俺のスタンドは―――」
俺の家計は代々殆どの人間がスタンドという能力を持っている。スタンドとはいわゆる超能力が具現化されたようなもので、曰く「傍に立つ者(Stand By Me)」。曰く「(困難に)立ち向かう者(stand to up)」。基本的にスタンドは一人一体一能力で、複数持つことはないようだ。何故スタンドなるものが存在するのかなどはわからないが、意外と古くからあるということもわかっている。
俺の持つスタンドは名を「鉄の救世主(アイアン・セイヴァー)」といい、能力は「空間を隔離させる能力」。ただし、物体に干渉(体の半分を隔離したり、物体そのものを削る)することは出来ない。その代わり、隔離させた空間を移動させることができ、それを使って身を守ることができたりする。まだ数回しか使ったことがないのであまり上手くは動かせないが。
「ってな感じです」
「成程。実に興味深い能力……だが」
叔父さんは一呼吸置き、自らのもつ疑問を口にした。
「君のさっきのスタンドの説明で一つ不思議な点があった」
「?」
「私が知っているスタンドの語源は『(困難に)立ち向かう者』というもののみだ。君の言う『傍に立つ者』というのは今初めて聞いたよ」
「何ですって••••••?」
俺が知っている語源に関してどちらの意味も含まさっている。単に叔父さんの情報不足なだけなのでは無いのだろうか。
しかし叔父さんは何やら関心をしている様子でもあった。遥は例によって例の如く訳がわからないといった顔である。
そうこうしている内に車は止まった。家に着いたようだ。
「さ、着いたよ。車をしまわなきゃならないから二人は先に中に入ってなさい」
「はーい」
「わかりました」
遥は車から降り、家の中へと入ってゆく。それに続いて降車した。
叔父さんの家は外から見た限り割と立派な家だった。実際中に入ってみてもその大きさはよくわかる。廊下は長く、天井は高い。これがいわゆる豪邸というやつなのだろうか。前の家とは比べ物にならない大きさだ。
「じゃあ案内するよ。着いてきて」
「ああ」
それにしても、マヨナカテレビに関してはとても気になるところがある。
将来の相手はなんとなく気になるところだ。
そんな事をボーッと思いながら遥の後ろを付いて行く。
玄関からまっすぐ歩きニ、三度曲がった所で遥が戸を開けた。
「はい到着!」
意外と長い道のりだった。ここが本当に家なのかを疑うくらいだ。
やれやれ。
なぜここまで玄関と居間への廊下を長くする必要があるのだろうか。単に不便なだけだと思うが。居間も無駄に広い。身内の事を悪く言う気はないのだが、金持ちの考えることはよくわからない。
「お前は不便を感じないのか?」
「何が?」
……どうやら遥は慣れているようだ。
早く慣れなければいけないのかもしれない。
「何難しい顔してんの?」
ふと遥が問う。自分自身はそんな顔をしているつもりはなかったのだが、他の者が言うならそうなのだろう。
「いや、なんでもない」
「変なの。まあいいや、ご飯まだでしょ? 作るから適当に座って待ってて」
軽く返事をして適当なソファに腰掛けた。ソファは座り心地がよかった。かなり高そうなそれに俺が腰掛けていいものかと変な罪悪感にも似た感情が湧き上がる。
暖かいこの部屋と座り心地抜群のソファに座っていると、ただでさえ疲れていて眠気があるというのに今にも瞼が落ちそうだ……。
…………。
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