何故かフェストゥムになったけど今日も元気です   作:zelga

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意外と書けたので、更新。彼の帰還は作者のモチベに多大なる貢献をした(確信)。




あと今回、急展開です。ご注意を。


※11/15 一部修正しました。
※11/29 再び修正。


第11話 覚醒~あっとう

 

 

「……ここは、一体?」

 

思わず私は、そうつぶやく。

 

先ほど男が私に手を向けた時、いやな予感がした。すぐさま神力を使って防御を固めたが、どうやら攻撃系統の技ではなかったらしい。

 

しかし、私を包んでいた球体が消えた時、私の周りにいた仲間たちはどこにもいなかった。そして……。

 

 

「さぁ、一体ここはどこなんだろうね?」

 

 

あの男もいなくなり、洩矢の神だけが私の前にいた。

 

周りの感覚をたどってみたが、仲間たちは辿り着くのに時間のかかる場所にいた。どうやらあの男は、この距離を一瞬で移動させたみたいだ。

 

 

「あの男、瞬間移動系の能力保持者だったか……。そして、大将同士の一騎打ちに持ち込んだ、と」

「正解だよ。半分だけだけどね」

「む。まさかあいつらがここに来る間、二人だけで私を倒せるとでも?」

 

 

残念ハズレ~。と洩矢の神はケラケラ笑う。その言い方からは、私が間違えることを予測していたかのようだった。その様子からは、これから殺し合いをすることをまるで感じさせない。

 

 

「正解していたのは後者だよ。凌平は今、向こうで奴らの足止めをしてるってわけさ」

「あの者が?」

 

 

私は疑問を浮かべる。いくら奴が能力持ちだとはいえ、霊力も感じないただの人間だ。そんな奴が我等大和の神々を相手に、足止めなんぞできるわけが……!?

 

そこまで考えた瞬間、膨大な妖力が辺りを覆った。すぐに出所を探ってみると、この妖力を発している存在はどうやら仲間たちの目の前にいるらしい。つまりーーー

 

 

「あの男、妖怪だったか」

「…………」

 

 

目の前の神は表情を変えない。変わらず不敵な笑みを浮かべながら、私をジッと見ている。それに対して、私は自身の武器である御柱を宙に浮かべ、にらみつける。

 

 

「ならさっさと勝負を始めよう。お前のすべてを、奪ってやる」

「ハ。やれるものなら、やってごらんよ」

「言われずとも、やってやるさ……!」

 

 

そして私は奴に攻撃を仕掛ける。土着神の頂点と聞き、どれほど強いやつか期待していた。

 

だがしかし、奴はあろうことか妖怪の手を借りたのだ。妖怪と神は決して相いれてはいけない存在。妖怪は人を襲い、人は神を信仰し、神は妖怪から人を守る。故に、神は常に妖怪と敵対していなければならないのだ。

 

なのに、やつは……!

 

 

「ふざけるなよ、洩矢ァァァァッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(おーおー、予想通りに怒っちゃって……。ま、何も知らなきゃあいつのこと妖怪としか思えないか)

 

(こっちの誘導も成功。あいつの実力を疑うわけじゃないけど、百越えの神相手に本当に大丈夫なのかな……?)

 

 

 

(ま、考えたところでしょうがない。ぶっちゃ下克上もいいところな実力差だが……いっちょ本気でやってみましょうか!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして神々の大将同士の一騎打ちが始まったころ、元の場所ではーーー

 

 

 

「ハッハァ!そらそらどうしたぁ!!」

「ッ、来るな!」

「遅い!」

「こいつ、早すぎr・・ガッ!」

 

 

その差、百以上。だというのにもかかわらず、状況は片方が圧倒的に優位でーーー

 

 

 

その様はまさしく、蹂躙だった。

 

 

 

 

 

「おいおい、どうした? 最初の勢いはいったいどこにいったんだよ?」

 

 

そう言いながら俺は、右手につかんでいた神の内の一体を放す。その神はすでに気絶していて、重力に従って倒れていく。

 

そして俺たちの周りには、何人もの神が倒れていた。あれからどれほどの時間がたったのかわからないが、おそらく三十分もたっていないだろう。しかしこれで大和軍勢の被害はかなり大きくなった。

 

わずか三十分。その間に全体の6割が戦闘不能になるまで傷を負ったんだ。あいつらの士気が落ちているのも仕方がないだろう。

 

そう思いながら俺は奴らを見渡す。奴らからは大小の差はあるが、全員から恐怖の感情を感じる。

 

ま、近距離だと土蜘蛛で鍛えた近距離戦闘。中・遠距離だとワームスフィアー(弾&円盤)による波状弾幕攻撃だ。これを突破できる奴がいるとすれば、そいつは土蜘蛛レベルの存在だろうな。

 

 

 

 

 

……それにしても、あれだ。

 

 

「神、それも大和と聞いてどれほどの強者かと思ったが……その程度か?」

「なん、だと……?」

 

奴らが何か言おうとしてるが、そんなことどうでもよかった。

 

正直に言うと、俺は落胆している。諏訪子と模擬戦をしたとき、まだまだ実力不足だったが様々な戦術をとってきて、何度か危ない場面があるほどだった。

 

なのにこいつらときたら、真正面からしか来ない。どいつもこいつも連携というものをしない。よほど自分たちの実力に自信を持っていたのだろう。こちらの攻撃方法が分からない今でも、襲ってくる奴らの戦法は変わらない。

 

 

 

そしてその慢心が、この結果を生み出した。

 

 

「どいつもこいつも真正面から……お前ら、なめてんのか? 俺とお前らの差くらい、もうわかってんだろ?」

「だまれ、妖怪風情が! 貴様のような畜生に、我等が負けるはずがない!!」

「ハァ……もういい」

 

 

ダメだな。こいつらとじゃ、もう楽しめそうにない。そう思い、俺は仕上げにかかることにした。

 

俺は右手を上にあげ、意識を集中させる。すると奴らの少し上空、1mないくらいのところにワームスフィアーを形成される。円盤状のそれは、俺の視界を覆う勢いで広がっていった。

 

 

「な、これは……!?」

 

 

奴らは上空に作られたワームスフィアーを見て驚いている。まぁ、あれの小さいのをくらったやつは防御に使った神力ごと両断されていたので、その威力を奴らは知っているはずだ。

 

 

「こいつの威力は知っているよな? 一応言っとくが触れたら死ぬぞ」

「だ、だがそれでなにができる!?」

「こいつには立派な役割があるさ。お前たちを上空に上がらせないという、な。この力は触れなきゃ意味がないんでな」

「なにを……まさか!?」

 

 

奴らの中には感づいた奴がいる。これまで戦った中で、俺が最初以降使っていない能力があることに。

 

 

 

 

 

が、もう遅い。

 

 

「そう……そのまさかよ」

 

 

そこまで言った時、俺の足元から結晶が生え始めた。その結晶は急激に増殖していき、奴らの足元を覆い尽くす。

 

そして足元を覆った結晶は、徐々に奴らの身体に侵食してゆく。

 

 

「この結晶は……ッ!?」

「くそ、動けない!」

「……いやだ。あいつのようになるのは、いやだアアアア!!」

 

 

奴らから多種多様の反応が出る。抜け出そうとする者、その状態から俺に攻撃をする者、命乞いをする者。

 

だが共通して言えること。それは、俺に対する恐怖がかなり大きくなり、絶望の感情がにじみ出ていることだった。

 

 

「ま、お前らとの戦いはそこそこ楽しめたよ。それじゃあな」

 

 

そのまま俺は力を込め、一気に奴らを同化しようとーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみませんが、これ以上は見過ごせませんね」

 

 

ーーーそう上空から声が聞こえた瞬間、俺に対して尋常じゃない神力が込められた光線が撃たれた。

 

その光線は円盤状のワームスフィアーとぶつかり拮抗するが、数秒でワームスフィアーを貫く。

 

 

「なに!?」

 

 

その様子を見ていた俺はすぐさま上空に転移する。避けることには成功したが、足が地面から離れてしまったため、奴らを覆っていた結晶はすべて砕け散った。

 

 

そして奴らの前に一人の女性が降りてくる。その体から発せられる神力は奴らとは天と地ほどの差があるくらい、強大だった。

 

 

「おいおい、まさかこんな大物が出てくるとはな。こりゃ大和が勝ち続けるわけだ」

「本来私は参戦するつもりはありませんでした。しかし、あなたは危険すぎる」

「あなたほどの神様に直々に言っていただけるとは、ゾッとしないな」

 

 

そう言いながら、俺たちは相対する。にしても、まさかこれほどの大物が出張ってくるとは思わなかったな。今までの奴らとは比べ物にならないくらいの神力。いくら昼であるこの時間帯が一番力を発揮できるとはいえ、まさかワームスフィアーを打ち破ってくるとは思わなかった。

 

 

「一応聞きましょう。まだやりますか?」

「何言ってんだ。そんなの当然……ん?」

 

 

そこまで言った所で、俺はとある存在からの感情を感じ取る。それは諏訪子につけていった俺の一部で、二人の戦いが終わったら記憶を同化できるようにしていたのだ。

 

 

……あらら、負けちまったか。しょうがない、少し物足りないがこの辺にしとくか。

 

 

「……と思ってたんだがな。俺の役目は終了したんでね、やめとくよ」

「……役目?」

「あぁ。大将同士の一騎打ちに決着がつくまで、こいつらを二人に近づけさせない。それが俺の役割だ」

 

 

つい熱くなっちまったんだがな。そう言いながら俺はやれやれと両手を上げる。俺に戦意がないのを感じ取ったのか、彼女は神力を収める。が、警戒はし続けているみたいだ。その類の感情が、ビンビンに感じとれる。

 

 

「そう警戒するなって。これ以上俺は戦うつもりはない……っと、帰ってきたか」

 

 

俺たちの目の前に、ワームスフィアーが二つ展開される。そしてそれが消えていき、中から諏訪子と八坂が出てくる。

 

 

「おぅ、ごくろうさん。結構頑張ってたじゃねえか」

 

 

そう言いながら俺は自身の一部を同化して俺の中に戻す。ちなみに見た目は10cmくらいに縮小されたグレンデル型だ。ここまで小さいと意外と可愛いものである。

 

 

「それでもまるで歯が立たなかったよ。まさか自慢の武器が錆びついちゃうなんてね」

 

 

使い物にならなかったよ。と彼女はお手上げ状態になる。まぁいくら鍛えたとはいえまず相性が悪かったし、実力差もあった。この流れはやっぱ変えられなかったか。

 

 

「あっそ。……で、なぜに八坂様はこちらを睨んでいるので?」

 

 

そう言いながら俺は彼女を見る。彼女はこちらを睨んでおり、発せられる感情もよいものではない。

 

完全に敵対してますね、これ。

 

 

「やかましい妖怪が。私に話しかけるな」

「あー、まあこの通りでね。やっぱ私だけの説明じゃ信じてもらえなかったよ」

「当たり前だ。むしろなぜお前が一発で信じることができたのか、俺は疑問だよ」

 

 

諏訪子に対し俺は言う。諏訪子の反応がおかしいだけで、普通は八坂の反応が正しいのだ。

 

人でも妖怪でもなく、ましてや神でもない存在です。こんなことを妖力を発していたやつが言って信じられるのか、そういうことなのだから。

 

 

「まぁ俺に対する反応はどうでもいい。ま、話し合いはもう済んでんだろ?なら場違いな俺はさっさと退場しますよ」

 

 

そう言いながら俺は二人から離れる。実際、彼女を含めた三人で話し合わなければ解決策は出にくいだろうしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆の者、此度の戦いは我らの勝利である!……しかし、信仰を奪う際に問題が発生している」

 

 

そう言いながら八坂は話をし始める。

 

諏訪子が祟り神であるために、信仰を変更した時の制裁を恐れて、街の民が信仰を変えようとしないこと。その解決策として、洩矢神社は守矢神社と名を改め、大和の陣営に加わること。これにより、表向きは諏訪子が信仰を集めるが、その信仰は大和陣営に行くこと。

 

そこまで話し終え、八坂は他の神々を見る。

 

 

「と、いうわけだ。何か異論のある者はおるか?」

 

 

神々からはいくらか不満があるものの、概ね賛成している雰囲気だった。彼らでは代案が出せなかったのだろう。実際、俺もこうした方が確実で安全だと思っている。

 

 

「……いないな。ならば、ここに洩矢諏訪子が大和に加わることを宣言する!」

 

 

そう言って、八坂は諏訪子に対し手を差し出す。握手のつもりなのだろうその手を見て、諏訪子はしっかりとその手を握った。そして八坂を見て、参加の意を表明しようとして口を開こうとしてーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その小さな身体が、巨大な槍で貫かれた。

 

 

「…………っ!!」

 

 

その瞬間を見て、俺はすぐさま彼女に駆け寄る。そして、倒れてゆく彼女の身体を支えた。

 

 

「諏訪子!…………すわ、こ?」

「りょう……へ……」

「……おい、嘘だろ?……いくな、諏訪子!!」

 

 

 

 

 

もう彼女からは、何も感情を感じ取れなかった。

 

 

「貴様何を!?」

「こやつはあのような手紙を送ってきた愚か者だ! この私がわざわざ降伏を進めてやったのにもかかわらずなぁ!!」

 

 

 

……ああ、俺のせいだ。戦いが終わったからと言って感情を読み取るのをやめていなければ、あいつの殺意に気づけたのに。

 

 

 

「ふざけるな!だからと言って戦意のない彼女を刺す理由がどこにある!?」

「そもそも奴は妖怪の手を借りるような存在だ! そんな穢れた存在、もはや神ですらない!!」

 

 

 

だがどんなに後悔しても、もう遅い。

 

 

 

「……!? ○○、その言葉をいますぐ撤回しなさい!!」

「なぜ撤回しなければならない!? ハ、そもそも奴のような存在を信仰する者どもだって同列だ! そんな存在から信仰を受ける気は毛頭ない!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

諏訪子はすでに、ここにいないのだから。

 

 

「ああ……」

「っ!? まずい、神奈子!」

「……なんだ、コイツは?」

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……なんだ。この感情は?

 

 

 

なんだろう。遠い昔に、こんな感情を出したことがあるような気がする。

 

 

 

この感情はまるで……そう、沼だ。どこまでも汚れきった沼で、落ちた者をジワリジワリと侵してゆく毒沼のようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ああ、思い出した。長らく感じていなかったせいで、忘れていたようだ。

 

 

 

 

 

これが、憎しみ…………。

 

 

これが……!

 

 

 

 

 

 

『「アナタハ、ソコニイマスカ?」』

 

 

 

 

 




佐々木さん、感想ありがとうございました。

読んでくれてありがとうございます。


いやぁ、不思議ですね・・・作者の脳内では平和に終わるはずだったんですが、なぜこうなったし。

これも全部ファフダス最新話が悪い。希望を出しつつ絶望を送るとかふざけてんのかあああああ・・・・・・あ、それいつものファフナーだわ。


あ、あと大将殿。奴らに対してその作戦は僕大賛成です(ニッコリ)。
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