何故かフェストゥムになったけど今日も元気です 作:zelga
では、どうぞ。
なんだ、これは?
それがこの場にいるものすべてがまず最初に思ったことだった。
無理もないだろう。先ほどまでただの人型の妖怪だと思っていた存在が、急激に姿を変えたのだから。
しかし、ただ姿を変えた程度では神々は驚きはすれど思考停止するまでにはいかない。
ではなぜ、彼らは動けなくなっているのだろうか?
そうなってしまうほど、その存在は異様だったのだ。
八坂神奈子とそう変わらない身長は大きく伸び、3メートルは優に超えているだろう巨体。その外見も最初こそ人型だったものの、今では輪郭だけになっている。また背部には半円状の物体が浮き、そこから3対6本の剣状のモノが翼のように生えていた。さらにその体に足はなく、宙に浮いている。
そして何より違うのは背部の物体も含め、全身が黄金色になっていることだ。
明らかに人ではない存在。しかし神かと言われれば即座に否定するし、妖怪かと言われれば首をひねってしまう。
戦いの中発していた妖力は一切感じられない。むしろ、生きている気配すら感じ取れない。
まるでそこにいるようでどこにもいないような感覚。そんな気配を彼らは感じていた。
『「アナタハ、ソコニイマスカ?」』
そして極めつけにこの声。今まで発していた男性の声ではなく、この高い声は間違いなく女性のそれだ。
そしてこの声からは、何も感情を感じない。
先ほどまで彼と戦っていた神々はそう感じた。そして今までとの余りの違いに、知らず身を震わせていた。
「……ようやく正体を現したな、この化け物が!」
そんな中、一人の男性が声を上げた。彼は諏訪子を刺した張本人であり、神奈子たちと言い争っていた存在だ。
その声を聴き、ナニカはその男性へ顔を向ける。目や口がなく、まるでのっぺらぼうのような顔だ。
「お前も祟り神同様、殺してやる!!」
ナニカに向けて男は槍を投げる。それは諏訪子を刺したものと同じものであり、威力は十分なものである。
飛んでくる槍を見て、その存在は微動だにしなかった。
そして、槍はナニカの身体を貫こうと迫りーーー
「…………は?」
ーーーそのまま通り過ぎていった。
「へ? なぜ……?」
男はうろたえている。これが槍がただ単に外れたなどなら説明がつくだろう。しかし、間違いなく槍はナニカの腹部を貫いたはずだった。
しかし、ナニカの腹部は無傷だった。
避けたわけでも、防いだわけでもない。まるで最初からそこには何もいなかったかのように、槍は通り抜けていったのだ。
「……っ、ならば!」
「いけません、止まりなさい!」
止めようと彼女は声をかけるが、男は再び槍を手にしてナニカにとびかかる。頭に血が上っているのだろうか、彼女の声は全く彼に届いていなかった。
『「アナタハ、ソコニイマスカ?」』
「何を頓珍漢なことを……死ねぇ!」
そう叫びながら男は槍をナニカに突き刺そうととびかかる。その様子を見ながら、ナニカの背部にある半円状の物体が黒く光りだした。
「まずい、避けろ!」
仲間たちが声を上げるが、あまりにも遅かった。
男を中心に黒い球体が発生する。そしてーーー
ーーー黒い球体が消えた時、そこには何もいなかった。
「お前ら、今すぐ撤退しろ!!」
「早くここから離れなさい!!」
神奈子と女性の声が響くのはほぼ同時だった。
その声を聴いた瞬間、息を吹き返したかのように神々はナニカから逃げ出した。最強と言われる大和の神々が、たった一つの存在に対しては無力であった。
しかし、そう簡単に逃げられるほど現実は甘くなかった。
『「アナタハ、ソコニイマスカ?」』
「っひ……いつの間に!?」
彼らが逃げ出した方向。ナニカとは逆方向に逃げたはずの場所に、ナニカがいた。
あまりにも恐ろしかったのだろう。さらに無知だったことも併せて、一人の神は言ってしまった。
「ああ、俺はここにいる! だから殺さないでくれぇ!!」
それを聞き、ナニカはゆっくりとその神に手を伸ばした。その行為はまるで子供を慈しむようなものであり、敵に対して行うことではなかった。
だからなのだろう。その行為に対してその神は許されたと勘違いして、ナニカの手をとった。とってしまった。
「・・・え? あああああああァァァァァァァァ!!!」
ナニカの手に触れた瞬間、神の手から結晶が生えだした。まるで体の内側から食い破って出てくるような痛みに、その神は悶え叫ぶことしかできない。
やがて結晶は腕からだけではなく足から、そして顔から生えだす。そして結晶は徐々に全身を覆っていくように生えていく。
「やめろおおおおおおおおお!!!」
神奈子は叫びながら大量の御柱を、ナニカに向けて放つ。
その様子を見たが、ナニカはやはり動かない。
そして彼女の放った御柱がナニカに迫り、すべてがナニカの身体を素通りし、地面に突き刺さっていった。
「っくそ!」
無駄だとわかっていながらも、神奈子は再び御柱を放とうとしてーーーー
「はっ!!」
ーーーナニカの腕に光線が直撃して、神が地面に落ちていく光景を見た。
「天照様!!」
「早く彼をここに! アレは私が抑えます!!」
そう言いながら彼女ーーー天照は、極太の光線を何発もナニカに撃ちこむ。一発一発が確実に直撃し、ナニカの周りが煙で覆われていく。
そして煙が晴れたとき、ナニカはボロボロの状態で倒れていた。体の各部分は焦げていて、半分以上が欠損している。
「なぜ攻撃が通ったのですか?」
神奈子はその様子を見て戻ってきた天照に聞く。今までの攻撃はすべてナニカを素通りしていたのに、なぜ天照の攻撃だけが通ったのか疑問に思ったのだろう。
「どうやらアレには一定以上神力を込めた攻撃なら問題なく通るようです。最初の攻撃も防いでいましたしね」
そう言いながら天照は仲間に連れてこられた神の下へ向かう。それを見た神奈子も急いで彼の下へ向かう。
「大丈夫ですか!?」
「あ…………天照……様……」
「っくそ、なんで!?」
「アイツから離れたのに、なんで消えねえんだよ!」
彼らは焦っていた。
あのナニカは消えたはずだ。それに奴から離れた時、結晶は砕け散っていた。なのになぜこいつの結晶は砕け散るどころか、今でも徐々に増殖しているのか。彼らには理解することができなかった。
「心に……入ってくる……!」
「しっかりしろ!」
少しづつ目の光が消えていくその神に対し彼らは何もできない。触れてしまえば、その結晶が自分たちにも生えてくるかもしれないからだ。あまりにも未知の現象であるため、手を出せず見ることしかできないからだ。
「おい!」
「神奈子……様……?」
「ああ、そうだ。しっかりしろ! 奴は死んだ。すぐにでも……!」
「あなたは…………そこに……いますか……?」
≪!!??≫
その言葉を聞いて、彼らはその場から一気に離れた。
今、こいつはなんといった?
「あなたは……そこにいますか?」
ユラリと彼は立ち上がり、神奈子たちの方へ顔を向ける。
その目は、黄金色に光っていた。
「馬鹿な……!?」
「どうして……!?」
神奈子と天照は思わず恐怖を抱く。先ほどまで消えていたナニカの気配。それが目の前の神から発せられているのだから。
「あなたは、そこにいますか?」
そう言いながら彼は右手を開く。
そこからは、翡翠色の結晶が生えていた。
「まさか、あの攻撃を受けたらアレと同じ存在になるというのですか……!?」
天照はそう推測を立て、目の前の神を警戒する。いや、もはや彼を神とは言えないだろう。彼もナニカになってしまったのだから。
「嘘だ、嘘だと言ってくれ……!」
同じく警戒している神奈子の耳に、仲間の声が聞こえる。横目で見た時、彼はあのナニカではなく自分たちの後方を見ていることに気づく。
そして彼が見ている方向に目を向けて、そのまま目を見開く。
「なんだと……!?」
『「アナタハ、ソコニイマスカ?」』
先ほど天照が倒したはずのナニカが無傷でそこにいた。
この一連の騒動で、だれも気付いていないだろう。
彼がナニカに変異した原因である、彼女の肉体がいなくなっていることに。
ガンバスターさん、感想ありがとうございました。
読んでくれてありがとうございます。
う~む、やっぱ5000字以上は難しい・・・。むしろなぜ今までそんなに書けてたのか疑問になっています、作者です。
今回はファフナー原作位の絶望度合いを表現してみたのですがいかがだったでしょうか?
正直まだまだ足りない気がするけども、これ以上やったら作者の胃が持ちません(´・ω・`)ホラ胃ズーン・・・
では、また次回。
今週のファフナー感想:
ジョナミツゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!