何故かフェストゥムになったけど今日も元気です   作:zelga

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UA10000突破に加え、お気に入り180件突破だと・・・!?

正直結構ビビってます、作者です。


1月に入ってから忙しくて、結局一ヶ月くらい放置してしまいました<m(__)m>スマヌ

では、今年もこの小説ともどもよろしくお願いします。



第14話 同化~わかれ

 

とある一人の、人間がいた。

 

その人間は特別な力など何もない、普通の存在だった。

 

見たこともないような服や道具を使っており、前の私では理解できそうにない技術を使っていた。

 

ただ、私から見てその人間はとても空虚に見えた。

 

朝になったら仕事場へ通い、同じような作業をして、夜になったら自宅に帰り、寝る。

 

ほとんど変わらない行動を毎日繰り返していた。そこに変化があったとしても、夕食時の人数が少し変わるくらいのものだった。

 

だからだろうか。その人間は徐々に感情の起伏が少なくなっていった。

 

そしてある日。その人間はいつものように布団に入り、寝るはずだった。しかし、そこで人間はふと考えた。

 

 

ーー明日も同じような一日が始まる。周りのみんなと同じように仕事して、帰って、寝るーー

 

 

ーーこんなことは誰だってできる。俺じゃなくても、見知らぬ他人でも同じことはできるーー

 

 

ーー別に俺自身は必要とされていない。俺がいなくても、代わりの誰かが同じようなことをするだけだ。……あれ?ーー

 

 

ーーじゃあ俺は何でこんなことしてるんだ?何か理由があったはずなんだが、忙しくて思い出せないーー

 

 

 

 

 

ーー……そもそも、俺は本当にあそこにいるのか?ーー

 

 

そこまで考えたところで人間は考えるのをやめ、逃げるように眠りについた。

 

考えるだけ無駄だ。明日になったらこんな考えも消えるだろう。そう考えて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし目が覚めた時、人間を取り巻く環境は一変した。

 

人間は元人間となり、周りの景色に近代文明の色はなくなった。今までいた場所はいなくなってしまったかのようだった。

 

しばらく茫然としていたが気持ちを切り替え、その元人間はその世界での生活を始めることを決意した。

 

 

 

とある日は自身の力について調べた。またとある日はその世界の人と接触しようと努力した。

 

 

そしてその場所に来て数年後。元人間は人との接触に成功し、生活を共にし始めた。

 

久々に人と会話したからだろうか。その元人間はとてもうれしく、毎日が充実していた。同居人からの実験依頼にはいやそうに対応していたが、内心では悪くないと思っていた。もう一人の子が持ってきた菓子を三人で食べるのを何よりも気に入っていた。

 

うれしかった。楽しかった。その元人間の心は満たされていた。

 

 

 

しばらく過ごした後、その元人間は自分たちの居場所を守るために戦い始めた。

 

毎日のように押し寄せてくる妖怪。それに対して、元人間は圧倒的な強さで殲滅していった。そのたびに仲間からは感謝され、元人間の心は満たされた。

 

 

 

しかししばらく戦っていると、元人間は退屈に感じ出した。彼は強すぎたのだ。それこそ中級程度の妖怪なぞ歯牙にもかけないほどに。

 

 

さて、明日もどうせくる妖怪共を蹴散らすか。

 

そんなことを考え始めていたある日、そいつは現れた。

 

 

 

『俺の名は土蜘蛛。こいつらを束ねている』

 

 

 

その妖怪は強かった。警戒していたものの少し慢心していた元人間は手も足も出なかった。自身の能力を使っても他の奴らのようにいなくならず、戦いのたびに元人間の前に現れた。

 

元人間は、知らずのうちに土蜘蛛との戦いを望み始めた。自分が全力を出しても勝てるかわからない相手の登場が心から嬉しかったのだ。

 

 

 

そんな戦いを繰り返したある日の夜、元人間は同居人に尋ねた。噂は本当か、と。

 

この都市を捨て、月に移住する計画。ここの人間たちの技術は元人間が人間だったころの世界よりもはるかに進んでいた。

 

 

だからだろうか? 彼らは寿命を恐れたのだ。だからこそ穢れがあるこの場所から離れようとしたのだ。

 

その言葉を同居人は肯定し、元人間に尋ねた。

 

 

『あなたはどうするの?』

 

 

その内容から、元人間は彼女が自分を連れて行きたがっていると感じた。だが、彼はその誘いを断った。

 

もっと知りたいことが地球にあるから俺は行かない。単純だが、これが元人間が残る理由だった。

 

そう言うのが分かっていたのだろうか。その言葉を聞いた時の同居人の反応は少し薄かった。それでも寂しいという感情が彼女から伝わってきたので、元人間は少しだけ後悔した。

 

 

 

そして数日後、その計画は実行された。元人間は最後まで残り、襲い掛かる妖怪をすべて消していった。

 

最後のロケットが飛び、同じように戦っていた仲間たちがロケットに入った瞬間。最後方にいた元人間はロケットを掌握し、仲間たちだけを載せて発射させた。

 

 

 

そして場面は変わり、次に映ったのは凄まじい戦いの風景だった。

 

お互いが死力を尽くし、お互いを消そうと技を放つ。片方が押されてきたらすぐに押し返し、反撃した。その様子は荒々しいことこの上なかったが、美しかった。

 

 

何分か、何時間か。どれだけ続いたかわからないほど濃密な戦いが行われていく。

 

 

 

 

 

しかし、決着は一瞬でついた。

 

 

 

勝者は、元人間だった。

 

元人間の繰り出した攻撃が、妖怪の強固な肉体をついに貫いたのだ。元人間は引き金を引き、妖怪の身体を消し飛ばした。

 

胴体に風穴を開け、ドサリと妖怪は倒れる。その様子を元人間はどこか悲しそうな表情で見つめる。

 

実際のところ、元人間は悲しかったのだ。完全に敵と認識していたとはいえ、好敵手と言えるような関係だった。その相手たる妖怪が、目の前でいなくなろうとしているのだから。

 

そして元人間は妖怪に近づき、その体に触れる。すると触れたところから翡翠色の結晶が生え始めていき、それはついに全身を覆う。

 

 

 

 

 

『俺はおまえだ。おまえは、俺だ』

 

 

 

 

 

そして結晶が砕け散った時、視界は破滅の光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして光が眩しくなくなり私が目を開けると、目の前の風景は再び変化していた。

 

変化したが、私はその風景に見覚えがある。と言うか、私が祀られている神社から見える風景だった。

 

 

……ああ、そういやあいつが来た時、私はいつもの様にここに座ってたんだっけ。

 

 

そう思いつつ、私は神社の屋根から飛び降りる。スタッと着地し、神社の入り口の方に体を向ける。

 

何となくだが、あいつが階段を上ってきているのが分かる。そこで私はあの時を再現するかのように立ち、登ってきたあいつに向けて笑顔で口を開いた。

 

 

「やぁやぁ、ようこそ洩矢神社へ。妖怪さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……どうやら、うまくいったみたいだな。

 

 

そこまで考えて、俺は目の前にいる諏訪子を見る。彼女はいつもの様に余裕そうな笑みを浮かべながらこっちを見ている。

 

 

つーか今の言葉、初めて会った時のセリフじゃねえかよ。よく覚えてんな。

 

 

「はて、なんのことでしょうか?……とでも言えばいいのか?」

「それならそれでいいかもね。その時はあの時の続きを再現してみるだけさ」

「さいですか。……それよりも、大丈夫か?」

「ん、大丈夫だよ。私はここにいる」

 

 

そう言いつつ諏訪子は俺の手をにぎる。どこか無機質だが、確かに彼女の手には温かさがあった。

 

 

「諏訪子の手、暖かいな」

「そういう凌平の手は冷たいね。全身がケイ素だけでできてるってのも納得だ」

 

 

……あー、やっぱりこうなったか。

 

 

「何となくわかっていたが、俺の記憶を見たんだな」

「見たというか、初めから私の記憶になってるような感覚だね。別人の記憶なのに、当たり前のようにその時の感情などを思い出せる」

 

 

不思議な感じだね。と諏訪子はケラケラ笑う。だが、俺はその様子を見て笑顔を浮かべることはできなかった。

 

こうなることは予想していた。同化することで相手の記憶を得ることができるのなら、同化した相手は俺の記憶を得ているのではないか、と。

 

まぁ、今まで同化した相手は俺と言う存在に耐えられず、いなくなっていったのだろう。そもそも通常の同化じゃ、魂が同化できているかはわからんしな。

 

だが今回諏訪子に行った同化の場合、少し勝手が違うらしい。まだ同化してから時間が短いのもあるかもだが、同化したのに諏訪子はこうして自我がある。もしかして劇場版で来栖が総士を隠してたってのもこんな感じでやってたのかもしれないな。

 

 

……ま、それはそれとして。何が言いたいのかと言うと、諏訪子は知ってるのだ。

 

俺には前世の記憶があること。前世では人間だったこと。そしてーーー

 

 

 

 

 

ーーーその前世には『東方Project』と言うゲームがあったことだ。

 

 

「……何も、言わないんだな」

「特にないかな。あんなの凌平がいない世界でのお話でしょ? そんなの今の私にゃ関係ないね」

「だとしてもだ。早い話が俺はおまえを」

「はいストップ」

 

 

そう言いながら諏訪子は俺の口を指でふさぐ。なにすんだよと思いつつ俺は諏訪子を見る。

 

 

「何を言おうと私の考えは変わらないよ。凌平が覚えてるゲームはあくまでゲーム。ここはそこから外れた別の物語」

 

 

ただそれだけだよ。そう言って諏訪子は俺から指を放し、後ろで組む。

 

 

「あまり私をなめないでほしいね。その程度じゃ凌平の前からいなくなったりしないよ」

 

 

そう言って、諏訪子はニカッと笑った。

 

 

……まいったな。完全に俺の思考を読まれちまったか。

 

そう考えて俺は両手を上げて降参のポーズをとる。もう何を言おうと諏訪子にゃ勝てそうにないね。

 

 

「参った、俺の負けだ。もう何も言わないよ」

「んじゃ私の勝ちだね。帰ったら何してもらおうか?」

「勘弁してくれ……って、帰れるって知ってたのか?」

「知ってるも何も、ここでは私は凌平で、凌平は私なんだ。向こうでの考えは私にも伝わってきてたよ」

「なるほど、な。んじゃ早速だがやるぞ。これ以上時間がたったら諏訪子の存在が完全に定着してしまうかもしれん」

「了解。それじゃやろうか」

 

 

了承した諏訪子は俺に手を差し出す。それを俺は握り、意識を集中させる。

 

すると諏訪子の足元から結晶が生え始め、全身を覆う。

 

 

「俺はおまえで、おまえは俺だ」

 

「でも、それじゃいけない」

 

「やっぱり、おまえと俺は違う存在なのだから」

 

 

 

 

 

「おまえはおまえだ。そして俺は俺だ」

「きみはきみだ。そしてわたしはわたしだ」

 

 

 

そして俺の世界から、諏訪子はいなくなった。

 

 

 

 

 




鋼鉄ロリコンさん、感想ありがとうございました。
読んでくれてありがとうございます。

久々に書いたせいかうまく書けたかわからん・・・(´・ω・`)

では、また次話で。
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