何故かフェストゥムになったけど今日も元気です   作:zelga

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みなさんどうも、zelgaです。

今回は日常パートです。いまだにシリアスの感覚が残ってるせいで少し短いですが、ご容赦を。

では、どうぞ!


第15話 楽園~にちじょう

 

荒れ果てた平原。

 

そこにあったはずの草木はすべていなくなり、生命の気配はない。この状況が、以前ここで会った戦いの苛烈さを現していた。

 

だがそこに、一つだけ妙な物体がある。それは何もないこの場所にポツンと存在していた。

 

その物体は、明らかに自然にできたものではなかった。全長3メートルはある搭のようなモノで、そのすべてが翡翠色の結晶に覆われていた。そしてその中には、黄金色の人型のようなナニカが身動き一つせず佇んでいた。

 

 

 

 

 

ーーピシッ……ーー

 

 

何かが割れるような音が周囲に響く。その音とともに結晶に少しずつ罅が入り始め、その罅は徐々に全体にいきわたる。

 

 

そして罅が完全にいきわたった時、その結晶はすべて砕け散った。周りに結晶の欠片が飛び散り、中にいた存在が出てくる。そしてその存在は顔であろう部分を上げ、空を見た。

 

 

 

 

 

「うん、いい天気だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うし、何とか戻ってこれたか。

 

頭上に広がる青空を見ながら、そんなことを考える。にしても見事な快晴だな。周りが荒野じゃなけりゃ昼寝でもしたいところだ。

 

そこまで考えていたところでふとこちらへ向かってくる存在を複数感じる。そこから発せられている感情から誰が来ているのかなんとなく想像がついた俺は、人間形態になってそいつらが来るのを待った。

 

 

「うんうん、その様子だと憎しみを抑えることにも成功したんだね」

「ああ。出てくる奴も予想ついてたし、時間がかかったがなんとかなった。で、あれからどのくらいたった?」

「1年と半だ。だいぶかかっていたようだが、お前でもてこずるのだな」

「まぁな……説明すると長くなるから端折るが、憎しみを形として出した妖怪と何度も戦ってた。倒せば倒すほど、少しずつだが憎しみが薄れていってな」

 

 

あの野郎……いくら俺と同化していたからってワームスフィアーの弾丸や円盤を完全に見切るとか化け物か。いや、そういやあいつ化け物だったな。

 

 

「ま、なんにせよ憎しみは完全に抑えた。もうお前たちを見て暴走することはないよ、八坂殿」

「そのようだな。あの時と違い、おまえが確かにそこにいることを感じ取れる」

 

 

問題はなさそうだ。と神奈子は微笑を浮かべる。その様子を見て、どうやら俺が戦ってる間にずいぶん打ち解けたようだなと俺は思った。まぁ、諏訪子と八坂の相性はもともと悪くなかったし、単に敵対関係だったのと時間の問題だったのだろう。

 

 

「どうやら、うまくいったみたいだな」

「まーねー。凌平が本来の姿を見せたおかげで説明するのは楽だったよ」

「最初こそ信じられんかったが、あんなものを見せられた後ではな……」

「あんなものを見せた本人が言うのもあれだが……まぁ、ご愁傷様?」

「全くだ。あの後天照様が大和に戻り、仲間たちを説得したから何とかなった。が、お前は本来なら討伐最優先になるところだったんだぞ?」

「そりゃ怖い。せいぜい目をつけられないようにしなくちゃな」

 

 

俺は首をすくめながらそう言う。……にしても、そういやまだやってないことがあった。

 

 

「そんじゃ神社に戻ろうか?」

「おう。っと、その前にだ」

 

 

そう言いながら俺は八坂の方を向く。それを見て八坂はいぶかしげな顔でこちらを見る。

 

 

「そういや自己紹介がまだだったからな。竜宮凌平だ、凌平でいい」

 

 

そう言って俺は手を差し出す。それを見て、神奈子は最初ポカンとしていたが同じく手を差し出す。

 

 

「八坂神奈子だ、神奈子で構わん。……それにしても、お互いに自己紹介すらしていないとは」

「まぁ最初は神奈子が警戒してたし、その次は俺がまともにしゃべれる状況じゃなかったしな」

 

 

互いに笑い合いながら、握手を交わす。うん、これで堂々と神奈子と呼べるようになったな。

 

 

「おーい、二人とも。さっさとこーい!」

「おっと、呼ばれてるぞ?」

「みたいだな。諏訪子をあまり待たせるのはまずい」

「拗ねるからか?」

「なんだ、知っているのか」

「私はあいつと1年以上共に過ごしているのだぞ?だいぶあいつの性格は把握しているさ」

「なるほど。納得だ」

 

 

そんなことを話しつつ俺たちは諏訪子と合流し、守矢神社へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「諏訪子様、神奈子様。お帰りなさい」

「ただいまー」

「ああ、ただいま」

「……あら。諏訪子様、こちらの方が例の?」

「そうだよ。凌平って言ってね、私たちの親友さ」

「なるほど。では夕飯は4人分作りますね。凌平さんは何か嫌いなものとかありますか?」

「あ、ああ。特に食べれないものはないぞ」

「わかりました。では早速、食材を買ってきます」

「いってらっさー「待て待て待て待て待て」……どしたの凌平?」

 

 

急いでストップをかける俺に対し、諏訪子は疑問をかける。つーかこいつ、絶対わかって聞いてやがるな? 口元がにやけてるぞ。

 

 

「とりあえず言いたいことはたくさんある。まずは……君、どちら様?」

「え?……ああ! そういえば初対面ですね。私たち」

 

 

今気づいたかのようにその少女は口に手を当てる。マジで気づいていなかったのかよ……。

 

 

「申し遅れました。東風谷(こちや)(かえで)です。よろしくお願いしますね、凌平さん」

「お、おう。竜宮凌平だ。よろしくな、東風谷」

「楓でいいですよ。私も凌平さんと呼ばせてもらいます」

「わかった」

 

 

握手をしながら、彼女はそういう。その勢いに押され、思わず了承してしまった。まぁ言われずとも構わなかったわけだが。

 

 

「では改めて、いってきます。今夜は鍋にしますね」

 

 

そう言いながら楓は階段を下りて行った。

 

……なんつーか、あれだ。この圧倒的マイペース、方向性こそ違うが諏訪子そっくりだ。

 

 

「おー、鍋とは嬉しいねぇ。楓の料理は絶品だよ?」

「その通り。楓の料理は酒もご飯も進むからな、それにこの時期の鍋は楽しみだ」

「その前に説明せいや。彼女はいったい?」

「んな事言ったって、東風谷楓。ここで風祝をしていて、私たちの身の回りの世話をしてくれるいい子だよ」

「そういうことじゃねえ。彼女から発せられる力、ありゃどういうこった?」

 

 

さっき楓と握手した時、楓から神力を感じた。それだけなら問題ないが、その神力が諏訪子のに酷似していたのだ。と言うよりも9割がた同じと言っていいだろう。

 

 

「ああ、なるほど。早い話が楓は私の子さ。私の力を多くはないが受け継いでるんだよ」

「ならまだ納得できるが……。諏訪子の子と言われても俺はあの子を見たことないぞ?」

「そりゃそうさ。楓が生まれたのは今から1年前なんだし」

「…………は?」

 

 

ちょっと待って。俺今、混乱してる。

 

てことは何か。楓はあの見た目で1歳ってことですか? どう見ても10代後半のような容姿してましたけど??

 

 

「ん、んんん???」

「(諏訪子、お前わかってて言ったな?その言い方じゃ凌平は混乱するにきまってる)」

「(まーねー。こんだけ待たせたんだ、このくらいならやってもいいでしょ?)」

「(……そうだな。毎日昼寝のふりして凌平がいる場所を屋根の上から見ていたくらいだしな?)」

「(はてさて、なんのことだか)」

 

 

二人が何かヒソヒソ話をしているようだが、俺はそれどころじゃない。えーと、楓は諏訪子の子であの容姿だけど1年前に生まれたわけだから1歳であって神力が諏訪子に似ているのは諏訪子の子だからであってそれでーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーよし。

 

 

「なるほど、わかった」

「あ、思考放棄した」

「だな。考えるのをやめたらしい」

 

 

そこ、うっさいよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことこそあったがそれ以外に特にこれと言ったこともなく。洩矢神社に入った俺たちはとりあえず近況について雑談がてら話し合った。

 

その内容を聞いた感じ、俺が眠った(?)後の交渉はうまくいき、当初の話し合い通りになったそうだ。ただ大和の神々の被害は甚大で、それを引き起こした俺を眠ってる間に討伐しようという動きがあったそうだ。しかしそれは諏訪子と神奈子、そして天照が止めたらしい。どうやら俺が治療(同化)したことを借りと感じていたらしい。別にそういうつもりはなかったんだがな……。

 

 

 

 

 

そんなことを話していたら夜になり、俺たちは楓が作った夕飯を食べた。ハッキリ言おう、メチャクチャ美味しかったです。

 

今まで食わなかった分思いっきり食べ、あっという間に空になった鍋を片付けた後はみんなで飲んだ。最初は楓が飲めるのか疑問に思ったが、神奈子曰く飲む分には問題ないらしい。

 

 

 

 

 

「このお酒もおいしいですねー……あれ、凌平さんは飲まないんですか?」

「飲んでますよーたくさん飲んでますー」

「おらー、りょーへ―もっと飲めよー!!」

「はいはい、わかってますよー」

 

 

……そう、飲む分には問題なかった。すっかり忘れていたが諏訪子は酒癖があまり良くない。飲む分には問題ないしそこそこ強いのだが、一度酔っぱらうとこうなってしまい、寝るまでこのテンションになるのだ。

 

で、その遺伝かは知らんが楓もこうなってしまった。最初あったときのあの大人っぽい雰囲気はどこへ行ったのやら。

 

 

「助かるよ凌平。私ひとりじゃどうにもな……」

「慣れてるし問題なねぇよ。まぁ諏訪子一人でさえ大変なんだ。それが実質二人になったようなもんだからなぁ……」

「だな……」

「おいコラ―!りょーへーさっさと来ーい!!」

「こーい!」

「今いくから待ってろー!……ま、今日は俺が相手するから神奈子はのんびり飲んどきな」

「本当に助かる。一人でこっそり飲もうとするとどこからともなく二人が現れてな。結局全員で飲むのと同じ結果になるんだ……」

「……どんまい」

 

 

どことなく落ち込んだ雰囲気を醸し出す神奈子に対し、俺はこう言うことしかできなかった。

 

 

 

 

 




ガンバスターさん、感想ありがとうございました。

読んでくれてありがとうございます。

うまく日常パートをかけたか少し不安になっちゃいますね・・・。どうも最近シリアスばっか書いてるせいで、どうにも当初の雰囲気が出せてるかどうか(´・ω・`)

現在春休みに入ったので、時間がある時は書いてます。なので更新頻度が上がるかもしれません。

ではまた、次話でお会いしましょうノシ
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