何故かフェストゥムになったけど今日も元気です 作:zelga
では、どうぞ。
俺が守矢神社を出て、半年が経過した。
あそこから出た後、俺はとりあえず大和が治めている地域を片っ端から旅することにした。もちろんばれたら面倒なことになるので、姿は変えている。
その時は趣向を変えて女性になってみた。かといって女性らしい口調は面倒くさいので、前世の知識でそれっぽい口調だったキャラを参考にした。もうほとんど覚えてないと思っていたが、意外とこういう所は覚えているものである。
さらに諏訪子の助言をもとに改良を加えた結果、完全に一般人に溶け込むことに成功した。これなら初見だと誰であろうと俺が人外だなんて気づかないだろう。それくらいの出来だ。
まぁそんなわけで大和の神々にばれるわけもなく、いろいろなところに立ち寄った。そして先日までは大和の本拠地ともいえる場所にいた。
そこで遠目でだが天照の姿を確認することができた。俺との戦いによって失った腕は完全に治っており、体調面などにおいて特に問題はなさそうだった。襲った記憶がないので何とも言えないのだが、傷を負わせたのは間違いなく俺なので少し気になっていたのだが・・・まぁ大丈夫そうで何よりだ。
そしてその街から離れ、俺は今とある場所に向かっている。そこは前々から少し気になっていた場所だ。
「・・・と、着いたか。ほんとにあの時のままなんだな」
そう思いながら俺は前方に映る景色ーーー荒野に目を向ける。
そう。俺が今来ているのは昔から存在しているはずなのに命が完全に絶えてしまっている場所。諏訪子たち神々の間では『死の大地』と呼ばれている場所であり・・・俺がかつて過ごしていた場所だった。
「実際に見るまで半信半疑だったが・・・本当になんにもないな」
そうつぶやきつつ、俺は進む。ちなみにここにはありとあらゆる存在が近づかない場所なので、今の俺はフェストゥム形態だ。
あれから少なくとも数百年単位で時間が経過している。いくらあの都市製の核とはいえ、ここまで被害が続くのだろうか?いくらもう自分たちが地球に残らないとはいえ、さすがにこれは違和感を感じる。そんなことを思い、ここに立ち寄ってみたのだ。
さーて、確かこっちだったと思うが・・・。
そんなわけで移動し始めて数日。ようやく俺は目的地に到達した。
・・・やっと着いた。ここに来るのも久々だな。
そう思いつつ俺は前方を見る。そこは周りの景色と違い、何かがそこからはい出てきたような場所があった。
そう、この場所は俺が再び生まれた場所だ。
「じゃ、始めますか」
上手くいくといいが。そう考えつつ俺は地面に手を当て、意識を集中させる。
・・・やっぱりか。ここら一帯の大地、そのすべてがもうここにはいない。生命の基礎たる大地が死に絶えているのだ。そりゃずっと生命が復活しないわけだ。このままだと、きっとこの先何年たとうとここに生命が芽生えることはないだろう。
なら、護らなくちゃな。
その瞬間、俺を中心として大地に結晶が生え始める。その勢いは尋常ではなく、すぐに視界に映る範囲の大地すべてを結晶が覆う。
が、それではまだ足りない。
そこから俺はさらに意識を集中させる。だいぶ無理しているのか、少し頭痛がし始める。だがそんなことは関係ない。まだだ、この程度ではまだ足りない。
結晶が覆う範囲が広がるにつれてどんどん頭痛が増していく。恐らくこれは結晶で覆っている範囲が広すぎるせいで、俺への負担が限界を迎え始めているのだろう。かといってここでやめるつもりは毛頭ないので、それを無視して俺はさらに意識を集中させていく。
この作業を始めてどのくらいの時間がたっただろうか。おそらく数分程度しかたっていないのだろうが、とてつもない負担が今も俺を襲っている。これを維持するのは今の俺では無理そうだ。
そして遂に、結晶は死の大地のすべてを覆った。それを確認した俺は一気に最後の仕上げにかかる。
ーーーお前たちのおかげで、今も俺はこうしてここにいる。ーーー
ーーーならば今こそ、この命をお前たちに返そう。ーーー
そして、結晶は一気に砕け散った。
・・・よし、これでここはもう死の大地と呼ばれることはなくなる。数日もすれば再び生命に溢れる場所となるだろう。
そこまで考えた時、俺は膝から崩れ落ちる。どうやら一気に限界が来たらしい。
うーむ、さすがに無茶しすぎたか。
そう考えつつ、俺の意識はゆっくりと沈んでいった。
「・・・もし?」
「・・・・・・んあ?」
なにか声が聞こえる。そこで俺の意識は浮上していき、そして覚醒する。
「誰だ・・・って、お前か」
「お前とは何ですか。私には天照と言う名があります」
「それもそうだな」
そう答えながら俺は体を起こし、俺を起こしてくれた存在ーーー天照を見る。
「天照」
「何です?」
「お前、なんか縮んだ?」
「あなたが大きくなったのですよ・・・」
部下から『死の大地に翡翠色の結晶が!』と言われたときは焦りましたよ。と何やら愚痴を言い始めた天照を尻目に、俺は自分の状況を確認する。
・・・ああ、そういや俺は今フェストゥム形態のままだったっけ。この状態だと2mは軽く超えているので、長身組に入るであろう天照でも小さく見えるわな。
そこまで考えたところで、俺は周りの景色がいつも違うことに気づく。荒野だったはずのこの場所はその面影はなく、草原となっていた。少し離れたところには若木も見える。
「って、聞いてますか?」
「すまん、聞いてなかった。で、何だ?」
「ですから、なぜここに?神奈子から一応旅をしているとは聞いていますが、なぜ死の大地に?」
「ある意味で、ここが俺が生まれた場所だからだ」
「!?・・・そうなのですね。では、ここに再び緑が生まれ始めたのも」
「俺がやったからだな。この子たちが代わりにいなくならなければ、いなくなっていたのは俺だった。そして完全に回復することができたし、貰った命を返したわけだ」
何か言いたげだったが、天照はそれ以上何も言ってこなかった。まぁ俺としても何も言われたくなかったのでありがたい。って、そういや今までスルーしていたが何で天照は俺をすぐに見つけられたんだ?
「なぁ、天照。そういや部下からその報告を聞いてからよくすぐに俺を見つけられたな?」
「何言ってるんですか?その報告を受けてからすでに10日は経過していますよ。・・・まさか、その間ずっと?」
「ああ、寝ていた。さすがにあの範囲全部覆うのは無茶だったな」
「・・・あなたでも無茶と言う概念があるのですね」
「どういう意味だコラ」
そう軽く話をしつつ、俺は自分の状態確認を続ける。・・・よし、特に問題はないな。
「さて、と」
「もう行くのですか?」
「ああ、最近までここら辺を旅していてな。今度は少し遠出してみようと思う」
「ここら辺を?ここら一帯はすべて大和の領地ですよ。何考えてるんですか・・・」
そう言って天照はため息をつきながら片手を頭にのせる。まぁ大和にとっての危険分子第1位だしな、俺。
「大丈夫だよ。あいつら程度じゃ俺を見つけるなんて不可能だろうさ」
そう言いながら俺は人間形態になる。これは天照と初めて顔を合わせた時の姿だ。
「確かにそうですね。あなたがそういう存在だとわかっていなければ気づかないでしょう」
「だろ?なら問題ないじゃないか。実際天照も気付いてなかったし」
「そうですね・・・え?」
そう言って歩き出した俺に対し、天照は疑問を浮かべた顔を向ける。その表情を振り返って確認した俺は、姿を変える。
「なっ・・・!?」
「いつから私が、男にしかなれないと思っていた?」
そう言いながら俺はニヤリと笑みを浮かべる。そしてそのまま唖然としている天照を置いて、俺は再び歩き出した。
「ちょっと待ちなさい!あなたは男性ではなかったのですか!?」
「何を言ってるんだ。私に元々性別はない。なんでもないからなんにでもなれるのさ。男や女どころか、その気になれば動物や無機物にだってなれる。ま、なる気は毛頭ないがな」
「いや、確かにあの時は女性の声でしたが・・・ていうか、口調変わってませんか!?」
そう言いながら天照は早歩きで俺に並ぶ。よほど衝撃だったのだろうか、普段の落ち着いた雰囲気とはかけ離れている。
「落ち着け、先ほどまでの雰囲気がはがれているぞ?それにこの口調は容姿に合わせた結果だ。似合ってるだろ?」
「ええ、まぁ確かに違和感はありませんが・・・」
「だろ?じゃあ問題ない」
「ええ・・・って、そういうことではなくですね!」
そしてそのまま俺たちはぎゃいぎゃいと話しながら歩いていった。天照が色々と聞いてきたが俺はのらりくらりとかわしていく。俺に口論で勝ちたいなら永琳並になってから出直すんだな。
・・・ていうか、あいつ神のはずだが仕事は大丈夫なのか?
変わり者さん、感想&ご指摘ありがとうございました。
読んでくれてありがとうございます。
今回は短めだったのもあり、割と早く書けたので更新しました。
あと、前話でぐ~や編に入るといいましたが、その前に神子編を軽くやります。
なぜか頭からすっぽ抜けてました(´・ω・`)ナンデダロ
ではまた、次話でお会いしましょうノシ