何故かフェストゥムになったけど今日も元気です 作:zelga
最初は自動でしてくれると勘違いしていたのですが、読者の皆様から送られてくるものと前話を投稿した後気づきました。
それにしても前話の誤字の数が多すぎて・・・w
一応確認はしているのですが、前話はひどかったなぁ・・・要反省です。誤字報告してくれた方、本当ありがとうございます!
では、どうぞ。
視界の端から日が照り付ける。その向きからして、今は昼過ぎあたりだろうか。
温度は感じないので暑いとは思わないものの、窓から差し込む日光が眩しくてしょうがない。この作業が終わったら1回----!?
「・・・しまった。またやってしまった」
そう愚痴りながら俺は目の前にある粘土でできた皿を見る。と言うより、皿だったモノだな。これじゃ焼いても器としちゃ使えないだろうな・・・。
「また失敗・・・まぁ、そう簡単にうまくはいかないか」
そう言いつつ俺は伸びをする。そして立ち上がり、その部屋から出る。さて、ちょうどいい時間だし昼飯でも・・・。
「よぉ、元気でやってるかー?」
入り口から声が聞こえる。・・・ん、あいつか。
その声を聴いた俺はそのまま移動して、そいつの前に顔を出す。
「いらっしゃい。・・・まぁ、ぼちぼちといった所だな。どうかしたのか?」
「まぁまぁ、そんな急かすなよ・・・にしても、相変わらず客いねえのな」
そう言いながら俺の目の前にいる男はキョロキョロと店の中を見渡す。だが見渡す限り俺とそいつ以外の人影はなく、全体的にガランとしていた。だいぶこの店をやっているものの、客は相変わらずほとんどいない。
「・・・まあ、半分趣味でやってるんだしこんなもんだろ。で、何の用だ?」
「どれどれ・・・お、この皿はだいぶうまく焼けてるじゃねえか」
「人の話を聞け」
人の話を聞かず棚に並んでる皿の一つをとり、勝手に評価しだしやがった。まぁ、確かにそれは俺の中でも傑作だが・・・。
「これくれよ。いくらだ?」
「それならタダでいい。この間野菜くれたから、その礼だ」
「おぅ、そいつはありがてぇ・・・んで、今日来たわけだが」
包みにいれたその皿を渡したところで、男はようやく要件に入る。少しの罪悪感を相手から感じているので、何となくその内容が分かるものの、一応聞かなければな。
「今度は誰を護衛すればいいんだ?」
「なんだ、わかっていたのか・・・。今日は向かいの商会の坊ちゃんだ。大人になったっつうことで一人で仕事をしに行くらしくてな。その両親から、心配だからこっそり護衛してくれってさ」
「あそこの子か・・・そうか、あいつももう一人前になったんだな」
「そりゃ、お前さんがここに来てから10年たってんだ。ガキだって大人になるさ」
「もうそんなに・・・まぁいい、わかった。その依頼受けた」
いつからだ?と俺が聞くと、一時間後だ。と答えが返ってくる。そりゃまた急な話だな、俺が断ったらどうするつもりだったのだろうか?
んじゃ、頼んだぜー。と男は店から出ていく。相変わらず自由な奴だな・・・と思いつつ、俺は準備を始める。
死の大地に命を返してから数百年たった。あの後俺は色々なところへ気の向くまま旅をした。
時に山に入ってみたり、森の中を歩いてみたり、湖の中を泳いでみたり・・・。
前世だとこんな風景はたとえ田舎でも見れないだろうな。そう思ってしまうほど、ここの自然からは生命の息吹を感じた。
俺がフェストゥムになったことも関係しているのだろうか、どうにも生きている存在すべてに対する興味がやまない。人間だけではなく動物や植物、魚、妖怪や神にだって関心はある。大体は理解できているとは思うが、俺が理解できていることなんてほんの一握りだろう。だから、きっと俺のこの行動に終わりが来ることはないだろうな。
そんなわけで行動して長い月日がたったある日。俺はとある町に潜入して人と同じような生活を始めた。この長年の旅で人以外の存在を観察し続けたのわけだが、そろそろ人と関わろうと考えたのだ。そこで俺は旅人に扮して町に入り、そこで人々の手伝いをしつつそこの長から許可をもらい、定住することに成功した。
基本的に何でも屋のようなことをしていたのだが、だいぶ町の人たちとも打ち解けたある日。俺はちょっとした考えから陶芸を始めて、その中で上手くいったものを売り始めてみた。
なぜ陶芸かというと、単に今の俺の外見となってる人が陶芸をやっていたからだ。なんでもフェストゥムを理解しようとその男の妻が土、つまり珪素に触れていたのがきっかけでやっていたらしい。言ってしまえば影響の影響だが・・・まあ、俺だって自身(フェストゥム)を理解できているとは限らない。なのでやってみる価値はあるとは思ったのだ。
まぁ、だからといってそんな上手にできているわけではないのであまり売れない。と言うよりも、俺の店兼家が町の端にあるせいか客はほとんど来ない。基本的に先ほどの男が冷やかしに来るくらいだ。なのでこれはほとんど趣味の領域である。
「・・・よし、準備完了。それじゃ行きますか」
そうして準備を終えた俺は、家を出て指定された場所へ移動した。
「さて、件の坊ちゃんは・・・あっちか」
そう呟きつつ俺は木々を飛び越えて移動する。基本的に今俺がいるこの森に人はあまり入らない。だからこの読心能力がレーダーのような役割をしているのだ。感情がここまで複雑なのは人間くらいだしな・・・神は例外なので省くが。
「お、いたいた。・・・て、やっぱ俺以外にも護衛雇っていたのか」
てことは、俺はあくまで保険なのね。そう思いつつ木の陰からその集団をこっそり見る。感情を複数感じ取っていたので人も複数いることはわかっていたのだが・・・あそこの両親、親バカって噂は本当だったか。
にしても・・・これならずっと見ておく必要はないか。そう思い、俺はだいぶ後方から見守ることにした。
「・・・と、思っていたらこれかよ」
護衛相手の仕事も終盤となり、もうちょっとで街に着きそうだった時。俺は一つの感情を感じ取った。それとはまだだいぶ距離があるものの、このままでは確実に彼らと出会ってしまうだろう。
・・・この感じ、多分妖怪だな。しかも中級クラス。だとしたら、あいつらが相手取るにはきついだろう。
そう考え、俺はその感情の持ち主のところに気づかれぬよう移動する。どうやら奴は彼らを標的にしているらしく、脇目もふらず突き進んでくる。おかげで1分とかからず奴を見つけることができた。
「おっと、ちょっと待ってもらおうか」
奴に聞こえるよう言いながら、俺は奴の目の前に飛び降りる。奴のの見た目はどこか熊に似た姿をしている。が、その大きさと溢れている妖力から熊ではないことは明白だ。
俺の存在を認識した瞬間、奴は大きな咆哮をあげる。どうやら俺を先に標的にしたらしく、俺に向かって突撃してきた。
「おいおい、知能なしタイプかよ・・・。ま、ならこっちもやりやすいってな!」
俺はそう言いながら奴の突撃を飛んで避ける。そして右手に持った獲物を構え、奴の背中に向かって思いっきり突き刺した。
「--------ーー!!」
「おわっ!?」
刺された痛みでその妖怪は全力で暴れだす。その勢いが思ったより激しく、背中に乗っていた俺は思わず武器を手放して離れてしまった。
「ーー-ー------!!」
そしてそのまま奴は俺に向かってとびかかる。そこまで距離は離れておらず、一瞬で近づいてきた妖怪は右手を振りかぶり俺に向かって振り下ろした。俺の手には武器がなく、回避も間に合いそうにない。そしてその凶刃は俺の頭まで迫りーーー
「うむ、油断してしまったな」
「----------?」
ーーー俺の両肩から出た爪に正面から貫かれ、根元から切り裂かれた。
「さて・・・町からは離れてるし人気もない。これなら、問題ないか」
最初は武器だけで倒すつもりだったが、深く突き刺しすぎて抜くのが面倒そうだ。そう考えた俺は一気に妖怪に肉薄し、その四肢を切り落とした。
「----ー!?」
何をされたのかもわからなかったのだろう。痛みによってようやく自身の四肢がなくなったことに気づいたのか、妖怪がここから離れようともがく。
「まぁ、それを逃がすほど俺は甘くないんだが」
そう言って俺は背中に飛び乗り、連続で突き刺す。こいつから得られるものは何もなさそうだし、さっさと消してしまおう。
そして十回ほど突き刺したところで、妖怪から何も感情を感じ取らなくなった。どうやらもういなくなったみたいだ。
「さて・・・よし、向こうは大丈夫そうだな」
護衛相手たちは既に町に入ったようだ。それを確認した俺は、妖怪の死体から武器を抜き取って帰路につく。報酬は後日貰えるし、今日はもうのんびりするか。
「・・・と、俺はそう考えてたんだが」
「まぁまぁ、いいじゃねえか」
「まぁ、別にいいが・・・何のようだ?依頼ならしっかりとやったはずだが」
「それなら問題ねえよ。坊ちゃんたちも無事に戻ってきたことは確認してる」
「じゃあなぜ?」
そう俺は店の前にいた男に聞く。家に帰り、荷物を置こうと思っていた俺のところに再びこいつは訪ねてきたのだ。
「いや、そこで俺が気になったのはだな・・・坊ちゃんの両親が迎えた時、お前がいなかったらしいじゃねえか」
「隠れて護衛やってたんだから出たらダメだろう。だからこそ報酬は後日ってことになったんじゃないか」
「まぁそれはいいんだ。そんで坊ちゃんが帰ってくる途中、山奥からとてつもなく大きい咆哮が聞こえてきたらしい」
「ほぅ、それで?」
「その声は街にも聞こえてきてな、一時期騒ぎになったんだが・・・もうその声は聞こえてこなかった」
「へぇ、そいつは大変だったな」
「全くだ。・・・で、この件お前さんはどう思う?」
男はそう俺を見て聞いてくる。こう聞いてくるってことは、大体俺が何をしていたのか察しているのだろう。
「そうだな・・・もう聞こえてこないんだろう?なら、少なくともしばらくは大丈夫じゃないか」
「そう言うってことは、大丈夫だな。あとであいつらには俺が言っておこう」
「おいおい、そう簡単に言っていいのか?」
「お前さんは何の根拠もなしにそんなことは言わねえよ」
「まあ、その通りだが・・・。あと、わかってるとは思うが」
「大丈夫だって、誰にも言わねえさ。・・・にしても、一体どうやって妖怪と渡り合ってんだ?」
「残念だがそいつは秘密だ。言っても俺以外でできる奴はいないだろうしな」
「なんだ、そうなのか。せっかく俺でも戦えると思ったんだが・・・」
「やめておけ、碌なことにならんぞ。出会わないのが一番だ」
俺がそういうと男はそりゃそうだ、と笑う。そのまま男は帰っていき、俺は晩飯を食べ終えた後、武器の手入れをして就寝した。
そして次の日。俺は依頼をしてきた商会へ向かう。町の中心にその商会はあり、近づくにつれて人々の活気は増していく。
実は最初はここら辺に家を作る予定だった。なのだが如何せん人が多すぎて好き勝手できそうにないので端に建てることにしたのだ。
「・・・あれ、竜宮さんじゃないですか?」
「こんにちは。店主はいらっしゃいますか?」
「ええ、今呼びますね。・・・あなたー!竜宮さんが来てるわよー!」
そして目的地に到着し、店の中に入ったところで店番をしていた依頼主の奥さんに声をかける。そして声が響き、しばらくして店の奥から一人の男性が出てきた。
「はいはい・・・こんにちは、竜宮さん」
「ええ、こんにちは。子供さんは無事でしたか?」
俺は店主に聞いてみる。まぁ大丈夫だとは思うが、念のためだ。
「ええ、おかげさまで。妖怪に出会うこともなく無事でしたよ」
「それはよかった。目の届く限りでは大丈夫でしたが、念のため聞きたかったんですよ」
「でしょうね。・・・で、報酬の件ですが」
そのまま話は進み、報酬を受け取る。そしてしばらく町の様子を見て帰ろうとしたのだが、店から出ようとした俺に対して店主が声をかけてくる。
「あの、竜宮さん」
「ん、なんでしょう?」
「竜宮さん。あなた確か、焼き物を売っていましたよね?」
そう聞いてくる店主からは焦燥感と期待が感じ取れる。一体どうしたのだ?
特に嘘をつく理由もないので、俺は正直に答えることにする・
「ええ・・・それが?」
「!でしたら、1つ追加で依頼があるのですが・・・」
「ええ、なんでしょう?」
「1つ、焼き物を作ってほしいのです」
そう店主は頼んでくる。感情の方も期待感が高まっているのを感じ取れる。なんだ、まさか俺のを商品として仕入れようとでもいうのか?
「かまいませんが・・・俺の作品は半分趣味のようなものなので、売り物として使えるほど質は安定していませんよ?」
「ええ、それで構いません!」
そう答えた店主は事情を話す。なんでも、とある豪族の娘が壺を1つ売ってほしいと依頼をしてきたらしい。なので様々な有名な壺を用意したのだが、どれも気に入らないと一蹴されたらしい。しかもその豪族はお得意様らしく、このままでは信用が低下しかねない。そこで、藁にも縋る思いで俺に依頼したとのことだ。
「なるほど・・・ちなみに期限は?」
「特には。しかし、できるだけ早くと念を押されているんです」
「・・・わかりました。やってみましょう」
この先しばらくやることは特にないしな。ちょうどいい暇つぶしになりそうだ。
「本当ですか!?ありがとうございます!」
そう言って深々とお辞儀をしてくる店主。感じ取るまでもなくその顔からは安堵感があふれている。・・・よっぽど、その娘さんには苦労しているようだな。
そして店主から壺の大きさなどの詳しい話を聞いていき、大体のイメージを固めていく。聞けば聞くほど、その娘さんはわがままだという感情が店主から伝わってきた。これに対して俺は苦笑いくらいしかすることができない。
「・・・わかりました。では今度その子が来た時、俺が直接持っていくと伝えてくれますか?」
「はい。その方の屋敷の場所はこちらになります」
そう言って店主は依頼主の住所が書かれた紙を俺に渡す。その中身はとても分かりやすく、これなら迷うこともなさそうだ。
「では、これで。早速かえって作業に取り掛かろうと思います」
そう言って俺は店から出る。
いやー、壺か・・・。実は焼き物は皿だけではなく壺なども一応やっている。しかし壺は皿に比べてとても難しく、成功作も10個くらいしかないだろう。とても良い課題が現れてくれたものだ。
さーて、久々に思いっきり熱中しますか・・・!
この先出てくるであろう苦労とその先にある達成感を想像しつつ、俺は帰路についた。
yypkmnさん、感想ありがとうございました。
読んでくれてありがとうございます。
と言うわけで、今回は導入でした。
次話から原作キャラと絡んでいこうかなと思っています。
ではまた、次話でお会いしましょうノシ