何故かフェストゥムになったけど今日も元気です 作:zelga
なんかゾロ目って嬉しいですよね(本編とは全く関係なし)
では、どうぞ。
「ーーーというわけで、依頼は達成しました」
「本当ですか!?」
「そう言うってことは、やはり苦労していたのですね?」
「・・・そうなんです。様々なものを用意したのですが、どれもお気に召さなかったらしくて。『他のはありますか?』を何度聞いたことか・・・」
「・・・ご苦労様です」
苦笑しながらそう言う俺に対し店主はハハハ・・・、と疲労を感じさせる声で笑い返した。本人からしてみれば厄介ごとが一つ減り、肩の荷が下りたのだろう。
「なんにせよ、今回はありがとうございました。報酬の方は何がよろしいですか?」
「私が選んでよろしいのですか?」
「はい。今回の件は本当に助かりましたから」
「でしたら、そうですね・・・」
そう言いながら俺は報酬を提示する。今回は食料などの物品をもらうことにした。ここ最近はひたすら作業に没頭していたため、食事は一切していなかった。光合成によりエネルギーは確保していたのだが、依頼を終えた途端食欲がやばいのだ。なので、今日は豪勢にいこうと思っている。
「はい、わかりました。夕方までに届ければいいのですね?」
「えぇ、お願いします」
任せてください、と店主は胸に手を当てて返事をする。その表情は晴れやかで、希望と安堵の感情が感じ取れる。どんだけ苦労してたんだか・・・。
それでは失礼します、と言って俺は店を出る。そして俺は徒歩で帰路についた。
さて、ここら辺であの後起きたことを説明しよう。
あのカミングアウトの後、予想通り屠自古の驚愕の声が響いた。そのまま「あれをお前が作ったぁ!?」と俺の襟をつかみガクガク揺らしながら俺に色々問い詰めてきた。そんなこと言われてもなんでそんなに驚いているのかさっぱりわからないので、俺は頭をガクガク揺らしながら適当に答えた。これ俺だからよかったものの、人間だったら今頃倒れてるんじゃないか?
そんなこんなで質問攻めがしばらく続き、30分ほどたったところで屠自古の父親により強制終了となった。いつの間にか屠自古の後ろに立っており、ガシッと屠自古の服をつかむ。そこでようやく気付いた屠自古は「・・・お父様?」と呟く。「これはこれは、うちの娘がご迷惑をかけたようですみません」と彼は丁寧にお辞儀をした。その様子は普通に上流階級らしく丁寧で上品だ。
「少しよろしいですか?私はこの娘に少し・・・用事がありますので」
「あ、はい。どうぞ」
ありがとうございます、そう言って彼は屠自古を引きずって家の奥に入っていく。それを見届けた俺は門番にあいさつをして蘇我家の屋敷から出て店主の下へ向かった。
『ちょっと父さん!客の前で何すんのさ!』
『その客人の前でなんという態度だ!豪族たるもの常に高貴であり続けろとあれほど言ったのがわからんか!!』
『うっさい!外まで響いてるのわかんないの!?』
『そう言うお前の方がうるさいわ!!』
そんな会話が後方から聞こえてきたが無視する。さっき俺に問いかけてきた時から怒りの感情が溢れ出ていたので、こうなることは予想できていた。
しっかしまぁよく響く響く。だいぶ門が小さくなってきたが、いまだに声が聞こえてくる。最初あったときは本当に屠自古の父親なのか?と勘ぐってしまったが、この様子だと間違いなく屠自古の父親なんだろうな。
そして無事家につき、俺はまず作業部屋の掃除をした。そのあと部屋の隅に行く。そこには試行錯誤の跡があり、いくつもの失敗作がある。
それらすべてを1つ1つ手に取り、同化していく。これらは売り物としては使えず、器としても使えない代物だ。だけど、これらも間違いなく俺の手によって生み出されたモノ。どんな形であれ、愛着がわくというものである。同化しておけば忘れることはなく、その気になれば再び生み出すことができるので、俺はいつも失敗作はこうやって片付けていた。
その痕、店主から届けられた食材を受け取り、それらを使って夕食にありつく。先ほど言ったようにすでに食欲(飢え)がやばいので質より量を重視したメニューにしてみた。そしてそれらを一心不乱に食べ、10分もせずに完食した。うん、満足満足。
その後は月と今回の作品を肴に夜遅くまで酒を飲んだ。これは前回帰った時に神奈子から渡されたものだ。何でもこの瓢箪の中には酒虫と呼ばれるものが入っており、水を入れるだけで上質の酒へ作り変えてくれるらしい。と言っても豪快にそのまま飲むのは性に合わないので、盃にそそいで少しずつ飲んでいく。前世では酒に強くなかったので酒の美味さはわからなかったが、今ならわかる。まぁ、その代わりに酒に酔えなくなってしまったのだが。
そのまま俺は夜遅くまで飲み続け、ほどほどにのところで中断し、俺は眠りについた。
「・・・今、なんと?」
「だから、屠自古様より言伝を預かって参った。『準備ができ次第屋敷に来るように』とのことだ」
「・・・わかりました。しかし私にもやることはございますので、それができ次第向かわせていただきます」
「では、ここで待たせてもらう」
「・・・」
なぜこうなった。これが朝起きて10分弱で俺が抱いた感想である。
今日は特に予定もなく、午後から適当に外出するつもりするつもりだった。そのためゆっくりと眠っていたのだが、来訪者が現れたため、俺の安眠の時間は終わりを告げた。
家に来た来訪者、それは蘇我家の門番であった。もうこの時点で嫌な予感しかなかったが、彼から同情の感情を感じ取ったことでそれは予感は確信に変わる。
「これはこれは、確か蘇我様のお屋敷の・・・うちに何か御用で?」
大体わかるとはいえ一応聞かなければならないので俺はそう門番に聞く。それに対し、彼は口を開いた。
「屠自古様よりの言伝だ。『準備ができ次第屋敷に来るように』」
「・・・はい?」
とまぁ、そんなわけだ。一瞬断ろうと考えたが、相手は豪族。ここで下手に断ると後々響きそうで怖い。と言うか断る選択肢なんてなさそうだ。なのでせめて行く時間を遅らせようと考えたが、それも無駄に終わった。
遅らせてあの門番の機嫌を損ねるのもまずいので、俺は手早く準備をすまして門番と共に屋敷に向かう。
「・・・しかし、私に何の御用なのでしょうか?あの壺に何か不満でもあったので?」
俺は門番に尋ねる。ここから屋敷までは徒歩で1時間ばかしかかる。このまま無言で歩き続けるのは退屈なのだが、これくらいしか話題がないのでそこは仕方がない。
「・・・私は何も知らん。ただ、覚悟はしておけよ?」
「・・・?」
何故かは答えてくれず、それ以上は話さんとでもいうように門番は再び前だけを見て歩き始めた。
これ以上聞いても無駄か、そう判断した俺は話を諦めて門番についていった。
そして屋敷に到着。まさか間一日も置かず再び来ることになるとは思わなんだ。
そのまま昨日入った部屋に入るものと思っていたのだが、前方の門番が立ち止まる。続いて門番の横にいた俺も立ち止まる。
「あら、いらっしゃいましたね」
なんと門に屠自古が立っていたのだ。どうやらあの後こってり絞られたらしく再びお嬢様モードになっている。
「まぁ、豪族からの招集ですからね。今日は特に用事もなかったですし」
「あらそうなの」
まぁいいわ、そう言って屠自古は屋敷の中に入っていく。その様子を見つつ俺は門番を横目で見る。俺の視線に気づいた門番は俺に早くいけ、と目で話す。
全くめんどくさい、そう思いつつ俺は屠自古に続いて屋敷の中に入っていった。
「で、私に何の御用でしょうか?」
昨日いた部屋に入り、昨日と同じ位置に座った所で俺は屠自古に尋ねる。
「その前にその口調をやめてくれ。生憎と敬語はあまり好きじゃない」
「いえ、しかし」
「二度は言わんぞ?」
「・・・わかった。だがいいのか?その猫かぶりをやめても」
「猫かぶり?なんだそれ、まぁ今日は父さんは出てるからね。それに使用人たちには言わないよう口止めしてるから問題ないさ」
ホントやかましいわ、と屠自古は愚痴をこぼす。この娘、なんで昨日会ったばかりのおっさん(外見)に愚痴こぼしてんの?
「なんというか・・・ホント、お転婆なお嬢さんだな」
「失礼な、これでもとっくに元服してるのよ?それに外には楽しいことがたくさんあるのに、父さんが家から出してくれないの。本当に嫌になっちゃうわ」
そう愚痴る屠自古。その言葉と様子からいかにも父親のことが嫌いですということを表現している。これを見ると父親のことが嫌いなのかと思うことだろう。
が、感情を読み取れる俺に対してそれは無意味である。
「大切に思われているんだな、お互いに」
「・・・あなた、私の話聞いてた?」
「あぁ、だからそう言ったんだ。君の父親は君のことを愛しているのだろう。だからこそ、こうも過保護になってしまったのだろう、外が絶対に安全と言うわけではないからな」
「・・・」
「それに、君とてそこまで嫌なわけではないのだろう?」
「!?な、なにいってんのさ!」
先ほど屠自古が外に出してくれないといった時、彼女からは嫌という感情はさほど感じられなかった。それよりも親バカの父親に対する呆れの方が強かったし、それに少しだが喜びの感情も感じた。
つまるところそこまで嫌ではなく、むしろうれしいと思っているのだろう。なんだかんだで、親子仲はよろしいようだ。
「気づいていなかったのか?父親のことを話している時、口はにやけていたぞ」
「な、なななな・・・!!」
カマをかけてみたらこれだ。まぁ顔真っ赤で口をパクパクさせている様子を見る限り、図星なのだろう。
・・・さて、このままじゃ屠自古がショートしかねんしそろそろ話を進めさせてもらうか。
「・・・と言ったが、俺は君達のことをよく知らない。これはあくまで予想だ」
「そ、そうだよ!予想でそこまで言うなんておかしい人だな!」
「ハハ、すまんすまん。で、結局のところ何の用だ?」
意地でもなかったことにしたかったのか、大声で言い返してくる。これ以上蒸し返すつもりもないので、俺は要件を聞くために尋ねた。
「・・・あ、そういや用があって呼んだんだったか」
「帰っていいか?」
「冗談だよ、冗談。だから立たないで座った座った」
それを聞いたおれは再び座る。このまま上手く帰れないかと思ったがやはりそうはいかないか。
「まぁ呼んだ理由だが、お前は元旅人だそうだね?」
「・・・まぁ隠していたわけでもないが、そうだ。10年ほど前にここにたどり着いてな、長のご厚意で住ませてもらっている」
「へー、そうなのか・・・。それじゃ次の質問だ。焼き物は半分趣味で、普段は何でも屋をしているのだろう?」
「あぁ、そうだ」
なんだろう、すっげえいやな予感がする。屠自古から少しずつ喜びの感情が増加していくのを感じる。
「ということで、だ。私から依頼がある」
「依頼を?また焼き物でも焼いてほしいのか?」
あれは少し時間がかかるぞ、と俺が言うが屠自古は違う違う、と手を振る。
「依頼ってのはね、私に旅の話をしてくれってこと。さっきも言ったけど父さんが家から出してくれないから退屈でさ、少しでも暇つぶしがほしいのよ」
「なるほど」
「報酬はきちんと払うわ。その代わり、定期的にここにきて私の暇つぶしに付き合いなさい」
ふむ、どうしたものか・・・。
「・・・少し条件があるがいいか?」
「なに?」
「俺のところにはたまに緊急の依頼が入る。その内容は大体この町の安全に関わることだ。で、この類の依頼が入った場合はそちらを優先したい。構わんか?」
「えぇ、構わないわ。ただし、その時は落ち着いたあたりで顔出しなさい。んで、その時の話をしてもらうわよ」
「なら問題ない、その依頼を受けよう」
「おぉ、それはよかった。断ったらどうしてくれようかと思っていたぞ」
「断らせるつもりは元からなかっただろ?」
どうしようか、じゃなくてどうしてくれようかと言っていた当たり間違いない。
「その通り。よくわかっているじゃないか」
そう言ってニヤッと笑う屠自古。それを見てやはり、と俺は思った。俺が依頼を受けるか考えた時、彼女から少し黒い感情を感じ取ったのだ。この時点で断ると面倒くさいになると考え、半分諦めていた。まぁ元々断るつもりはあまりなかったのだが。
「で、いつからやるんだ?」
「もちろん今日からさ。昼食を報酬ってことでどうだい?」
「ほぉ、よくわかってるみたいだな。いいだろう」
「にしても変な人だね。どんな依頼を受けるにもかかわらず、報酬はさほど多くない。物品や金銭よりも食料や情報を求めるなんて」
「あまり金銭には困ってないのでな。それよりもいろんなことが知りたいんだ」
「・・・ホント、変な人だ」
「自覚はしているさ」
人と比べると変と言うのは間違いないからな。
そのまま昼食を共にして、その後俺は屠自古に旅の話をした。かと言って本当のことを全て話すと奇想天外な内容になるので、旅先で見た景色やそこであった出来事などを中心にして話した。
そんな内容だったが屠自古はえらく気に入ってくれたようで、ずっと聞き入っていた。コロコロ表情が変わっていくのを見ていると、なんだか楓を思い出すようで思わずこちらも笑顔になってしまう。・・・完全に思考が年配化している気がするが気にしない方向で行くことにしよう。
そんなこんなで夕方まで話は続き、夕日が見えたあたりで俺は帰った。次に来るのは3日後なので、明日明後日はのんびりすることにでもしようかな。
「屠自古よ、いるかー?」
「はーい・・・って、あんたか」
「あんたとは何だ、あんたとは。せっかく様子を見に来たというのに」
「はいはい、ありがとね」
「・・・どうした、今日は機嫌がよいではないか?いつもムスーッとしておったというのに」
「まーねー。しばらく退屈せずに済みそうな事になってさ」
「ほほぉ・・・それは良かったな!で、なにがあったのだ?」
「ん~、そうね・・・3日後暇?」
「む?確かにその日ならちょうど仕事はないが・・・」
「なら昼辺りに家に来なさい。どうせならあんたも一緒に話を聞きましょう?」
「ほぉ、話か。それは面白そうだな!!」
可愛い=世界さん。感想ありがとうございました。
読んでくれてありがとうございます。
意外と難産だったこの話、理由は主に後半のせいです。8割近く作っていた時に設定を見直したら妙な食い違いが発生しこの結果に・・・(´・ω・`)
ではまた、次話でお会いしましょうノシ