何故かフェストゥムになったけど今日も元気です 作:zelga
学校が始まった途端これだよ(訳:遅れましたすみません)
では、どうぞ。
「ほぉ、おぬしが件の旅人か。屠自古に誘われてな、個人的にも興味が沸いたので我も参加させてもらうぞ!」
「・・・・・・」
あの日から3日後。再び屠自古の暇つぶしに付き合うために屋敷に来た俺を待っていたのは、緑ではなく灰色の髪色をした少女であった。
その少女は髪を前世で言うポニーテールにまとめており、服装はどちらかと言うと飛鳥時代よりは平安時代の衣装に近い。そして今は被ってないものの、その頭には烏帽子が乗っかっていることだろう。
「む、どうしたのだ?」
「いえ、少し考え事を・・・竜宮凌平です。よろしくお願いします」
「うむ、我は布都と言う。よろしく頼むぞ!」
そう言って彼女ーーー物部布都は自信満々な笑みを浮かべた。
屠自古と関わった時点で何時か会うとは思っていたが、まさかこんなに早いとは・・・。
まぁ、彼女からは興味の感情くらいしか感じない。今回は本当にただ屠自古に誘われただけなのだろう。
「お、ようやく来たか」
聞きなれた声が聞こえ、俺はその方向に振り向く。その先には屠自古がいて、今まさにこちらに向かっていた。
「時間指定はしていなかっただろう?それに朝早くいくのもあれだしな」
「私としては別に構わないんだけどね」
「こういう他愛のない話は昼辺りからのんびりとするのがちょうどいいと俺は思っているんだ」
「なるほど、それには一理あるわね」
「それじゃ始めようか。今日もあの部屋で?」
「ええ、そうよ。・・・って、布都?どうしたのよ?」
「む?いや、別に何も考えてないぞ・・・?」
そう言ってハッハッハと笑う布都。が、彼女からは疑念の感情が感じ取れる。先ほどの会話の中で感じる疑問なんて・・・あぁ、なるほど。まさか屠自古の奴、説明してないのか?
「この口調は屠自古にそう命じられたからやっているだけですよ。豪族相手に敬語無しで話すほど私は立場よくないですし」
「なるほど、そういうことか。それなら納得だ!」
「ああ、そういや説明していなかったっけ・・・ん?」
やっぱりか、まぁいきなり豪族相手にタメ口で話す一般人がいたら疑問に思うわな。
「疑問も解けたようで何よりです。それでは行きましょうか」
そう言って俺は昨日言った部屋に向かって歩き出そうと・・・?
「おいちょっと待て」
「・・・なんだ?」
歩き出そうとしたところで屠自古に肩をつかまれたので、俺は立ち止まる。一体何事だ?
「お前、さっき豪族相手に敬語無しで話すほど立場は良くない、と言っていたよな?」
「ああ、そうだな」
「だがお前の様子を見る限り、同じ立場の相手には敬語は使わないのだろう?」
「・・・あぁ、そうだな」
屠自古に話したことはないが、確かにその通りだ。だが、それがいったい何だというんだ?
「単刀直入に聞くぞ。凌平、お前なぜ布都が豪族であることを知っている?」
「・・・・・・」
やらかした、それが今俺の心を埋め尽くした言葉である。そうだ、あの時布都は『布都』としか話していない。つまりは苗字を言っていないのだ。これはまずい、どうにか誤魔化さなければ・・・!
「・・・別に豪族と言うことは知らなかったさ。ただ、先ほどの会話や雰囲気からして彼女は屠自古の友人なのだろう?基本的に屋敷から出ない君の友人だ。それができるのは商人関連か、同じ立場の者かだ。ならば、どちらであろうと敬語を使うことは間違いではないと判断したまでだよ」
「ふーん・・・?」
そう言いつつしばらくこちらをジッと見た後、まぁいいかと言って屠自古は屋敷に入っていった。
これは、何とか誤魔化せたのか・・・?
「おぬしも入らぬのか?」
「ん?あ、いや・・・ちゃんと入りますよ」
「うむ!あ、そうじゃ。口調を変えるのも面倒であろう。特別に我にも言葉を崩すことを許すぞ!」
「お、おう」
そう言って彼女も屋敷に入っていく。この子はこの子で何でまったく気にしていないんですかね・・・?
正直これ以上考えても意味がないと思い、そこで考えるのをやめて俺も屋敷に入っていった。
「ーーーだがしかし、とある日を境にその荒れ地は緑に溢れ、見る影もなくなった。まるで今までいなくなっていた命が還ってきたかのように・・・。これにて死の大地のお話、おしまい」
そう言って俺は話を締めくくり、出された茶を飲む。いやはや、この出来事ももう数百年も前になるのか。あれからずいぶん時間がたったものである。
「命なき大地、か・・・それはただの荒れ地とは違うのか?」
「聞いた話では神や妖怪ですら近寄らない場所だ。少なくとも普通ではないだろうな」
「おぬしはその場所に行ったことはあるのか?」
「あぁ、話を聞いた時に行ってみた。草原に森林があったし、動物もたくさんいた。ずいぶんと緑にあふれた場所だったよ」
「ほぅほぅ、どんな動物がいたのだ?」
「そうだな、例えば・・・」
団子をかじりつつ、俺は布都の質問に答えていく。
ちなみにさっき言ったことは本当で、あの場所に命を還してから百年ほどたった時に様子を見に行ったことがあるのだ。そこにはあの時のような荒れ地は見る影もなく、とても緑あふれた場所になっていた。四方八方から放たれている生命の気配、単純ながらも力強い感情にあの時は感動してしまったっけな。
それにしても、布都は思っていたよりも好奇心が旺盛のようだ。先ほどから放たれている感情は好奇心や未知への喜びといったものばかりで、俺に対する負の感情は微塵も感じない。
・・・フム、どうも原作知識が薄れつつあるせいでどんな人物か朧気だったものの、思っていたよりはいい存在みたいだな。まぁ、俺の読心能力が読み取れるのはあくまで感情ぐらいで、本心やら心の声は読み取れないので確証があるわけではないのだが。
「あとは・・・と、もうこんな時間か」
「む?なんと、もう日があんなに」
「いやー、なんかあっという間だったわね」
「本当だな。俺はあまり話していた気はしなかったのだが・・・ずいぶんと時間が立つのは早いものだ」
「同意ね。時間なんていくらあっても足りないわ。けれど、こんな何気ない日々が実にいいんじゃない」
「全くだ。そんな日々が続けばいいのだがな」
「うむ、その通り。なればこそ、我々はより多くの修練を重ねねば!」
ん、修練だと?それはちょいと気になるな。
「修練か・・・二人は豪族なのだろう?やはり仏教を信仰しているのか?」
「・・・まぁね。にしてもやはりってどういうこと?この国は仏教で治められているんだ。当たり前じゃないか」
「おっと、口が滑ったか。いや、旅の間には様々な考えを持つ人に会っていてね。仏教を崇拝する者、神道を崇拝する者、そもそも何も崇拝していない者、独自の考えを持った者。それはまぁ多種多様だった」
「へぇ・・・ちなみにあんたは?」
「無宗教だ。生憎と神頼みとやらがあまり好きではなくてね。基本的に自分でしなければ気が済まないのだ」
「ふむ、その考えは良いものだ。しかし、それだけが宗教ではないぞ?」
暗に宗教は好きではないと言った俺に対し、布都はそう言ってくる。まぁ言わんとしていることはわかる。だが、どうにも俺は信じれば救われるといった類は総じて苦手、と言うよりは気に食わないのだ。かと言って否定するつもりもないのだがな。
「あぁ、それはわかってる。だが、どうにも性に合わん。ただそれだけさ」
「ふむ、それでは今度は我がおぬしに宗教について教えてやろう!と言いたいところだったが・・・おぬし、そうとう嫌そうだな」
「別に否定するつもりはないさ。だが・・・ん?」
宗教を教えてこようとする布都に対し俺は答えようとするが、そこであることに気づく。
感じる。とても力強く、どす黒い存在を。
「どうしたの?」
「何かあったのか?」
このことに二人は気づいていない。どうやらこの感情の持ち主は俺だけをご指名のようだ。
「・・・いや、なんでもない。俺はそろそろ帰らせてもらうことにするよ。夕飯にしなければ」
「あら、今日はお父様も帰ってないことだし、あなたも一緒に夕飯どう?さっきの話、続きを聞かせてほしいわ」
「さすがにそこまで世話になるつもりはないさ。これ以上使用人たちに目をつけられるのは面倒だ」
「・・・そう、わかったわ。それじゃ、また三日後に」
「うむ、我も続きが気になる。次回も参加させてもらうことにするぞ!」
「あぁ、ではな」
夕食に誘ってくるがそれを断り、そそくさと屋敷を出る。さて、この気配の持ち主はいったいどこにいるのやら・・・。
『さあ来なさい。私はここにいるわよ』
っ、どうやら相手に隠れる気は毛頭ないらしい。感じる。方向も距離も完全にわかる。
これはまずい。これほどの存在にあったのは久々だ、
そう考えつつ、俺は準備をするために家に移動した。
「で、俺を呼んだのは君か?」
日は完全に沈み、月の光が明かり代わりとなっている時間帯。町から離れたとある山の中、そこで俺は倒れた木に腰かけている存在に対して、そう問いかける。
「えぇ、あなたを呼んだのは間違いなく私よ。それにしてもよくわかったわね?」
彼女はそう答える。月に照らされた髪は金色で、キラキラと輝いている。そこだけを見ればまるで一枚の絵画のようだ。
「わからないものか。どす黒い感情放ちやがって・・・で、お前はなんだ?なぜ俺を呼び出した?」
「あらあら、せっかちね」
「さっさと答えろ」
余裕そうに笑みを浮かべる彼女に対し、俺は急かすように促す。生憎とこちらにはそんな余裕はないのだ。
「はいはい・・・私の名はルーミア。常闇を司る妖怪よ」
「・・・は?」
こいつが?確かによく見ればどことなく面影はあるものの、その姿は原作に登場していた姿からはかけ離れている。
・・・あれか、これが俗にいうEXルーミアって奴か。
「まぁいい。で、俺に対して何の用だ?」
「ん~用と言われてもね・・・特にはないわ」
「・・・ふざけているのか?」
そう答えるルーミアを見て、俺は彼女に向けて獲物を突き出す。目の前にあるそれを見ても、彼女はその笑みを崩すことはない。
「うそよ。ただあなたのことが気になったの」
「気になった?妖怪であるお前が、ただの人間である俺を?」
「うーん、そこなのよね・・・なんで私が人間如きを気にかけてるのか、私でもわからないのよ。だからさ・・・」
「教えて?あなたは何か、なぜ私が気になるのか」
その声が聞こえた瞬間、俺はすばやく獲物を横に構えて彼女の攻撃を防いだ。もしこのままだったら間違いなくそれは俺の身体を心臓ごと貫いていただろう。
「ッ、さっそく容赦がないな!」
そう言いつつ俺は彼女から離れつつ次々繰り出される攻撃を受け流す。
俺に対して繰り出されているそれらは端的にいうと腕だ。ただ爪であろう部分は鋭くとがっていて、全体的に黒く染まっていた。その黒さはまるでそこだけ光が全くないかのようで、漆黒と言う言葉でも足りないかもしれない。
「ほらほら、どうしたの?あなたはその程度?」
そう言いながら自身の影から腕を新たに生み出すルーミア。その様子を見る限り手を抜いているのだろう。
・・・手を抜いてこれか、全く嫌になる。これは早めに決着を付けるのが吉だな。
そう考え、俺は空中に跳びあがる。それに対し追撃を仕掛けてくるが、俺はすべてかわし、一気に肉薄する。
「あら?」
「貰った!」
まだ奴の腕が戻ってくるのには少し時間がかかる。その隙を逃さず、俺はその身体を貫こうと槍を突き出した。
「あらあら、なかなかやるじゃない。やっぱりただの人ではないのね」
「・・・っ」
ーーーだがその攻撃は、彼女と俺の間に生まれた黒い球体によって防がれる。俺の獲物は長さからして完全に彼女を貫くはずなのだが、その間にある球体に入ったっきり、反対側からは出てこない。
それを確認した俺は、彼女から距離をとる。そして彼女から目を放さず獲物を見るが、槍だったそれはただの棒きれとなっていた。
「・・・なるほど、それが君の能力か」
「ええ、『闇を操る程度の能力』。それが私が持つ
そう言いながら彼女は両手を横に伸ばす。するとその腕に闇が纏うように回りだした。
「ねえ知ってる?闇っていうのは所謂“虚無”なの。だからそれに触れたら最後、そこにはなにもいなくなる」
「・・・・・・」
「だからさ、私の近くには誰もいないの。みーんないなくなっちゃった」
その瞬間、俺の周囲に闇がいきなりあふれ出す。それは重なりあい、まるで鳥かごのような形状になって俺を閉じ込めた。
俺は抜け出そうとその檻に触れるが、その瞬間俺の腕は肘辺りまでかき消される。どうやらルーミアが言っていることは本当のようだ。
「一人になっちゃってふらふらしてたらさ、あなたを見つけたの。あなたは違う。なんでかわからないし根拠もないけど、私の中のナニカがそう言うの」
そう言って彼女は両腕にまとわせた闇を地面に叩きつける。その瞬間俺の周囲に新たに闇が形成される。それらは鳥かごと一緒に俺を飲み込もうとしているのだろう。
「ねえ、あなたはちゃんとそこにいる?」
そして俺は、そのまま闇に飲み込まれた。
可愛い=世界さん、感想ありがとうございました。
読んでくれてありがとうございます。
と言うわけで唐突に登場するルーミア。彼女は下手したらこの小説の中で最もキャラ崩壊する可能性があります(ヒントは彼女の能力と今話でのセリフ)。どうなるかは、次話にて。
後、前書きでも言いましたが学校が始まりました(絶望)。ですので、更新速度が落ちます。ご了承を<m(__)m>
ではまた、次話でお会いしましょうノシ
あとがき:どうでもいい諸連絡
前回ご指摘があったため、『独自設定』タグを追加しました。どうやら月への移住の仕方が本家とは違ったらしいです。作者は原作はある程度やっているのですが三月精や儚月抄と言った書籍はほとんど読んでいません。で、どうやら小説版儚月抄にてその部分について書かれていたようで・・・それがこのような事態を生み出しました。申し訳ないです(;´・ω・)
ただひとつ疑問が。東方wikiとか調べたんですが、移住の方法がさっぱり書かれていませんでした。いったい彼らはどうやって移動したんだ・・・?