何故かフェストゥムになったけど今日も元気です   作:zelga

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まーた一ヶ月空いたよ()
ほんとすみません、23話です。どうぞ。


後、評価で低評価(0~3)を与えるのでしたらできれば意見を書いてください。今後の改善点にしたいと思っているので。


第23話 調査~しゅうげき

まだ朝日が昇ってから一時間もたっていない頃。普段なら朝から畑に向かう農民くらいしか出歩かない時間帯なのだが、今日はその限りではなかった。

 

朝からバタバタと走り回る町の住民たち。その様子を見ながら男性は本日何度はいたかもわからないため息をつく。

 

 

「いくらお前さんでも、今回ばっかりは予想外か?」

「・・・まぁさすがに今回は、な」

 

 

それを見て微笑を浮かべながら話しかけてきたもう一人の男に対し、男性は項垂れながらそう答えた。

 

 

「その様子だとやっぱり来たか」

「ああ。昨夜突如発生した妖力の発生源を調べてこいとのことだ。俺以外にも依頼はされていて集団で行くらしい」

「まあ妥当だな。今回の件はいくらお前さんでも無茶だろう」

「・・・そう言うってことは、やはりお前は感じたのか?」

「むしろ感じなかったのか? 今まで感じたことのないくらいの妖力を放つ奴だ、最低でも中級妖怪と言っていい程だってのに」

「仕入れた酒を飲んだら思いのほか強くてな。深く寝入っていた」

「そりゃ図太いというかなんというか・・・」

 

 

暗に昨夜はなにも感じなかったと言っている男性に対し男は苦笑を浮かべる。前々から自分が興味ないものにはとことん無干渉な奴だとは思っていたが、まさかここまでとは思っていなかったのだろう。

 

 

「早速今日からか?」

「そうだ。その前に用事を済ませなければならないがな」

「例の貴族様か、ずいぶん気に入られたみたいじゃねえか?」

 

 

男の言葉を聞いて苦笑を浮かべているこの男性、最初はただ焼いた壺を渡しに行くだけだったらしい。それがいつの間にか貴族の暇つぶしに付き合わされているとのことだ。しかもその相手はこの町で大きな権力を持っている蘇我家の一人娘ときた。

 

なんでそうなったのか聞いてみた所、自分でもなぜこうなったのかよくわかってないらしい。と言ってもこいつのことだから無意識になにかした可能性が高いと思うのは、今までのやらかしっぷりを見てきたからなのだろうか。

 

 

「何か余計なこと考えてないか?」

「気のせいじゃねえか?」

 

 

相変わらず察しの良いことで、と心の中でつぶやいた男は大きなあくびを浮かべる。あの妖力を感じた時から見周りを続けていたので、男はいささか寝不足気味のようだ。

 

 

「今日はもう動かなくていいのだろう、一回仮眠をとってもいいんじゃないか?」

「そうさせてもらうわ・・・じゃあな」

 

 

そう言って男は自分の家に向かって歩いていく。その様子を一目見て、男性はどこか疲れた表情を浮かべながら街の中心に向かって歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(・・・わかってはいたが、やってしまったな)

 

 

心の中で男性ーーー凌平はそう呟いて、再び大きなため息をついた。

 

昨夜起きたルーミアとの戦い。彼女が自身の存在を認めた後、そこからなにかするわけでもなく彼女は去っていった。何でも自分がここにいてもいいと思った瞬間から、世界が輝いて見えるようになったらしい。それでとりあえずここら辺を見て回りたいとのことだった。

 

特に止める理由もないので俺はそれを見送った。そして自宅へ帰り、暴走の反動か疲労感があったのでそのまますぐ就寝した。

 

 

 

 

 

そしていつもの時間帯に目覚め、外に出てみたらあの風景だ。

 

まぁこうなることは薄々わかっていた。なにせ大物クラスの妖怪がぶつかった挙句、ここなら離れていたとはいえ狭くはない範囲の土地が抉られたのだ。動かない方がおかしいというものである。

 

まぁそんなこともあり、さっそく様子を見に行くために傭兵たちが召集された。もちろん何でも屋もどきもやっている俺のところにも依頼がやってきて、今日の午後から行くことになっている。本来なら準備をして午後に備えるべきなのだろうが、正直原因を知っている、と言うより俺は当事者なので準備は軽く済ませればいいだろう。

 

そこで次に発生するのは現在やっている依頼、屠自古に対して説明をしなければならないということだ。

 

町がこの様子なので状況についてはさすがに彼女も把握しているだろう。そして、俺が何でも屋もどきをやっていることも知っている。なので、なぜそうなったのかなどを説明する必要はないだろう。

 

ただ、それでも直接会って言っておかねばならない。こういう時は前世の電子機器の利便性を思い出してしまうな。まあ似たようなことはできるが、そんなの使ったら怪しまれること間違いなしだな。

 

 

「・・・と、着いたか」

 

 

そう言って俺は蘇我家の入り口に近づく。すると見覚えのある人物が門の入り口に立っていた。

 

 

「お疲れさま、屠自古様はおられるか?」

「お前か、すでに起きていられる。お前が来たらすぐ通すようにとのことだ」

「話が早いな。・・・まぁ、さすがにこの状況じゃわかってしまうか」

「当たり前だ、我等からも数人出ることになってるほどの事態になっているのだからな」

「それは怖い。では通さしてもらうぞ」

 

 

そう俺は門番と軽く口を交わし、門から敷地に入る。相変わらずだだっ広い庭を抜け、屋敷の入り口が見えてきた辺りで、彼女の姿を捉えた。

 

 

「ん、来たか」

「ああ。わかっているとは思うが今日は連絡を伝えに来ただけだ」

 

 

そう俺は屠自古に言う。そう言うことはわかっていたのだろう、彼女はそう感情を揺らすことはなかった。

 

 

「・・・やはりおまえにも来たか」

「あぁ。しばらくの間こちらに顔を出すことができなくなった。落ち着くまで数日はかかるだろう」

「仕事の内容は?」

「まだ詳細な内容は聞いていないが、おそらく現場の確認と周囲の脅威の確認、そして可能ならそれらの排除あたりだろう」

 

 

少なくとも俺は今までの功績から、一人で妖怪相手に互角に戦えるくらいの評価はもらっている。そこら辺を加味すると、俺に与えられる仕事はそのくらいだろう。

 

 

「驚異の排除? お前がか?」

「そうだが、それがどうかしたか?」

「いや、だって・・・大丈夫なのか? お前の実力は話に聞いたが、妖怪相手に立ち回れるとはとてもだが信じられん」

「・・・まぁ安心しろとは言わんが、少なくとも俺は何度か妖怪と対峙して無傷で生還した経験がある。なんとかなるだろうさ」

「なんとかなるって・・・。いや、けれど・・・」

 

 

屠自古がそう言ってきたことに対し、俺は心情を表に出さずに答える。先ほども言ったがその妖力の発生源は俺なので、正直心配する要素はみじんもない。かと言って絶対に大丈夫なんて言っても怪しまれるので、どうともとれる返事をしておくのが吉だろう。

 

それに、彼女からは不信と言うよりは心配と言った類の感情を感じた。これが彼女なりの心配の仕方なのか?

 

 

「・・・あぁ、もう! おい凌平!」

「っ、なんだ?」

 

 

俺の返事を聞いてしばらくうなっていた彼女がふいに顔を上げ、俺を呼ぶ。いきなり呼ばれたので少し驚いたが、俺は返事をした。

 

 

「いいか! これはふt・・・とある筋から手に入れた情報なのだが、昨夜現れた妖怪は、とんでもない化け物らしい。人間程度じゃ到底かなわないとのことだ。だから・・・あー、そのー・・・」

「・・・」

 

 

何か言いたそうにしどろもどろしている彼女を見つめ、俺は正直驚いていた。彼女が自分を気にかけていることはわかっていたが、この短時間でそこまで心配してくれるとは思っていなかった。

 

最初あったときは、正直なところあまり関わりたくないと思っていた。だが彼女は、今は人間なのだ。蘇我家の一人娘として生まれ、その身分にふさわしい立ち振る舞いをしつつ、友人や俺の前では年相応の素顔を出す。そんな少し変わっているが、ごく普通の人間だ。

 

だというのに俺は、中途半端な原作知識のせいで彼女をどこか遠ざけていてしまった。

 

 

・・・すべてを理解したいと思って行動しているくせに、このザマとはな。

 

 

「大丈夫だ」

「だから・・・え?」

「俺は大丈夫だ、ちゃんとここに帰ってくる。そしてその時は、いい土産話を持ってきてやるさ」

 

 

そう言って俺は彼女に安心してもらうよういつもの笑顔を浮かべる。その様子からは緊張感などみじんも感じさせないだろう。

 

 

・・・まあ、何度も言うが妖力の発生源は俺なので(以下略。

 

 

「・・・ん、わかった。土産話、楽しみにしとくよ」

 

 

そう言うと彼女もまた、いつも通りの勝気な笑みを浮かべた。それを確認した俺は、準備をするために家に戻り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして午後になり、俺を含め数十人規模で街を出た調査団(仮)は、戦場跡にたどり着いた。

 

 

「なんだこれは・・・」

「これはただ暴れまわっただけではないぞ・・・少なくとも妖力の扱いにたけている」

「ここらへん、確かなだらかな山地だったはずだよな? いったい何が起きたらこのようなことになるんだ・・・?」

 

 

等と、他の人たちは色々な想像を書きたてながら調査を進めていく。俺はその様子を複雑な気持ちで見ながら周囲の探索をしていた。

 

 

うーむ、いくら暴走とはいえやっぱ妖力全開放はまずいな・・・。

 

 

これは防衛隊時代に学んだことなのだが、妖怪は基本的に人からの恐れがなければ生きてはいけない。しかし、逆にいえば恐れを得る限り生き続け、必然的に長生きした妖怪は強力な個体になるらしいとのことだ。

 

で、オレ(土蜘蛛)もまた妖怪であって、こうして少なくとも数百年、下手したら千年単位で生きているわけで。

 

 

 

まあ端的にいうと、だ。俺が持っている妖力は既に大妖怪クラスであり、これから先も増え続けていく可能性は大いにあるということだ。

 

 

これは早急に対策を考えておく必要があるな・・・。ルーミア辺りに頼んで模擬戦してもらうか?

 

 

そんなことを考えつつ探索を続行していく。と言ってもわかることなどなく、ただいたずらに時間が過ぎていく。そして夕日も半分ほど落ち、そろそろ帰る時間帯になってきた。

 

 

まぁこの様子じゃ、たいした成果もなさそうだな・・・。

 

 

そう考え、念のため周りの様子を確認しようと読心能力の範囲を広げた時、俺は感じ取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とても単純な感情、殺意と歓喜を。

 

それを感じ取った瞬間、俺はすぐさまその発生源に向け走り出す。木々の間を飛び回り、1分もしないうちに発生源にたどり着いた。

 

 

 

そこにいたのは、人の形をしていたものだった。

 

 

「あ、何だ? まだ人間がいんのか」

 

 

そう言って俺の背後に降り立つ音がした。その雰囲気からしておそらく妖怪なのだろう。

 

 

「・・・これはお前が?」

「あぁ、にしても俺は運がいいなぁ。まさかこんなところで人間(しょくりょう)に出会えるなんてよ!」

 

 

振り向いて俺が尋ねると、それにこたえつつ妖怪は俺に襲い掛かってくる。

 

 

「っと!」

 

 

俺はそれをよけ、妖怪から距離をとる。さすがに人がたくさんいるこの状況で妖怪はもちろん、フェストゥムの能力を使うのもまずい。

 

 

となると、使えるのはこいつだけか。

 

 

そう判断して俺は右手に持つ新たな獲物、前世では所謂太刀に分類される武器を構える。これはルーミアとの戦いで今まで使っていた槍が壊れてしまったので急遽用意したものだ。付け焼刃だが、ないよりはマシと言うものだろう。

 

 

「お前なかなかやるな!!」

 

 

そう言って妖怪は攻撃を再開する。その攻撃は十分に早いものだ。

 

が、せいぜいそれは強風程度。俺に避けられない道理はない。

 

 

 

一撃目、心臓。体をひねってかわす。

 

二撃目、右足。後ろに軽く飛ぶことでかわす。

 

三撃目、頭。太刀を撃ち出してきた腕に沿わせて後方に受け流す。

 

 

 

数秒ほどの短い攻防だったが、それだけで妖怪はこちらの実力を読み取ったようだ。今度はあちらから距離をとり、構えている。

 

 

「お前・・・なんだ? なんで俺の攻撃を平然と受けきれる?」

「ただの何でも屋だよ。それで、なかなかの攻撃だが・・・その程度か?」

「なっ!?」

 

 

妖怪からの質問に答え、俺は妖怪に接近する。予想以上の速さに驚いたのか、その妖怪は一瞬動きが止まってしまった。

 

そしてこの場でその一瞬は命取りであり、十分な隙だった。

 

 

「じゃあな。ここならいなくなれ」

 

 

そして妖怪はその驚愕の表情のまま、首と胴体を寸断された。

 

 

 

 

 

「さて、これはまずいな・・・」

 

 

妖怪との一戦を終え、俺はすぐに読心能力の範囲を最大限に広げる。そして、その結果思ったことが口に出ていた。

 

妖怪がこの場に近づいているのだ。それも一体や二体なんてものじゃない、少なくとも20は堅いだろう。

 

 

「とりあえず、まずは連絡か」

 

 

そう判断し、俺は調査している連中のところに移動する。途中までは身体能力をフルに使って高速で移動し、彼らの視界に入る直前くらいであたかも急いできたかのように走っていった。

 

 

「凌平さん? いったいどうされたので・・・」

「妖怪だ。まだ距離はあるが複数体こちらに向かってきている」

「なんですって!?」

 

 

驚いたその人間は大声を上げる。その声色から感じ取れる恐怖を感じ取ったのか周りでは大騒ぎになり、このままではまずいだろう。

 

 

「落ち着け! 確かに来ているがまだ時間はある。あなたはみんなをまとめて今すぐ町に戻ってください」

「しかし、妖怪と人間ではすぐに追いつかれてしまうぞ!」

「私が時間を稼ぎます。反対側で彼らを引き付けておくので、あなた方は少しでも早く撤退準備を」

「無茶だ! いくら凌平さんでも相手は複数ですよ!?」

「別に真正面から戦うだけが戦闘ではない。時間稼ぎだけでいいならいくらでもやりようはあります」

 

 

俺はそう言ってさっさと行け、と目で彼に訴える。さすがにそれを感じ取ったのか、彼はしばらく考えるそぶりをして、そして静かにうなずいた。

 

そして調査団員全体に連絡を送り、そのほぼ全員が集合した。数名足りないが、おそらくあの妖怪に消されてしまったのだろう。そして状況を説明し、全員が撤退の準備を終える。

 

 

「準備完了しました。では、一刻ほど時間稼ぎをお願いします。・・・どうか、ご無事で!」

「ええ、また会いましょう」

 

 

そして彼らは迅速に走っていき、数分もするとこの場に残っているのは俺一人になった。そして再び奴らの位置を探ろうと読心能力を使う。

 

 

・・・やはり人間が目当てではなく、この場に来ることが目的か。

 

 

だがまだ距離はある。と言っても後二十分もすれば奴らはここにたどり着くだろう。いったい何の用でここに来るのかはわからないが、それはとりあえず頭の片隅に置いておくことにする。

 

 

 

 

 

・・・うん、これだけ離れれば誰も俺の姿を見ることはできないだろう。

 

さて、いっちょやるか。

 

 

そこで一旦思考をやめ、俺は前方の森に向かって駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・うむ、あいわかった。凌平の様子を見ればいいのじゃな?」

「ええ。多分大丈夫だとは思うのだけれど、お前の意見を聞く限りどうにも安心できない。軽く様子を見るだけでいいから」

「まかせておけ! 我が完璧にこなしてこようぞ!!」

 

 

 

彼女らは知るだろう。純粋な善意は、いつだって良い結果になるとは限らないことを。

 

ゆっくりとだが、確実にその足音は俺たちに向かって近づいていた。

 




THE FOOLさん、まじめくんさん、感想ありがとうございました。

読んでくれてありがとうございます。

今話から試験的に少し文章体を変更しています。ご意見などがありましたら是非ください(直球)

にしてもちょくちょく変えすぎてて全話通すと安定してないなぁ・・・いつか統一しなきゃ(´・ω・`)

ではまた、次話でお会いしましょうノシ
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