何故かフェストゥムになったけど今日も元気です 作:zelga
二名の方、誤字報告ありがとうございます。
ここからシリアスになるかもしれません、ご注意を。
「はい、ストップ」
あれから数分後、予想通り妖怪たちはこちらにやってきた。だが、思っていたよりも進行スピードが速い。8割がた確信しているがまだ目的地がはっきりしていないので、もしかしたら町に入ってくる可能性がある。
そこで俺はそう言って木から飛び降り、奴らの目の前に着地した。
ストップと言う言葉は理解できなかったようだが、俺と言う存在に驚いたのか奴らは立ち止まっている。
「何者だ?」
奴らのうち一体が俺に問いかける。
・・・統率が取れていたから予想はしていたが、やはりリーダー格の存在がいたか。しかも思っていたよりも知性がある。
「なんてことはない、しがない存在だよ。それよりここから先に行かれちゃ困るんだ、引き返してはもらえないだろうか?」
そう俺は目の前の妖怪に対し答える。
にしても一、二、三・・・結構いるな。感知できる範囲だとやはり20前後って所か。
「それは困る。我等はこの先の戦場に用があるのだ」
「それはまたどうして? 先ほどまで俺はそこで調査をしていたが、特にこれと言ったものはなかったぞ?」
「あの場で何が起きたのかは我々にとって重要ではない。あの場を何者が作りだしたのか、それこそが重要なのだ」
俺の問いに対し、妖怪は淡々と答える。
にしても、さっきの答えは・・・。つまり奴らの目的は二つ予想していた方の後者だったか。
「ほぅ、それはつまり?」
「それを貴様に言うわけがなかろう? 我等は今目的を持って行動している。とっとと立ち去れ」
そう言って片手を振る妖怪。その様子や感じ取る感情から、俺に対し全く興味がないようだ。と言うよりは妖怪たちの言う目的とやらの方が重要のようだな。
うーむ、それは困るな・・・。
なら、興味を持ってもらおうか。
「まぁそう言うなって、なぁ?」
そう言って俺は妖力を開放する。今回は前とは違いだいぶ抑えてあるが、それでも十分だったのかそのリーダー格の妖怪はこちらを凝視している。そこからは驚愕の感情を読み取ることができた。
「・・・貴様、奴と戦っていた妖怪だったか」
「奴、と言うのがルーミアのことを指すのならそうだな」
妖怪の問いに対し、俺はそう答える。その中の言葉が奴の琴線に引っかかったのか、奴らの様子が変わる。
大人しくしていた後ろの連中はざわめきだし、リーダー格の妖怪はほぉ・・・、と目を見開いている。
「それなら話は早い。貴様、奴はどこにいる?」
「生憎と知らないな。彼女に何か用か?」
妖怪は俺に問いかけ、俺はそう問い返す。俺としてはだいぶ軽い気持ちで聞いてみたつもりだった。
だがそう聞いた瞬間、奴から黒い感情があふれ出してきた。
「何か用か、だと・・・!? 用があって当たり前だ! 我等は決して奴を逃しはしない!!」
「逃しはしない、ねぇ?」
奴に対しそう返しながら、俺は考えてみる。と言っても、奴らから感じ取れる感情やルーミアから聞いた話をまとめると、なんとなく話が見えてくるのだが。
「近しいものでも消されたか?」
「あぁそうだ! 奴め、せっかく我らが陣営に加えてやろうと声をかけたと言うのに断り、さらには我が同胞たちに痛手を負わせよったからな!!」
興奮しているのかそう答える妖怪。その言い方だと確かにルーミアが悪いように聞こえる。
が、俺は知っている。少なくともルーミアは自発的に同族を消したことはないことを。
そしてあいつらから感じ取れる感情から考えるに、言葉通りの意味ではないということを。
「おいおい、それじゃあれか? お前らはルーミアが勧誘を断っただけでここまで追いかけてるのか?」
「断っただけ、だと・・・?」
俺の言い方が気に食わなかったのか、妖怪がこちらを睨む。後ろの奴らも殺気立つが、そんなこと俺には関係ない。
「あぁ、そうだろうな。確かにその言い方じゃ勝手にお前らの仲間を消したルーミアが悪いだろうさ。だが、本当にそれだけか?」
「どういうことだ?」
「どうもこうも、言葉通りさ。お前ら、あいつの意思を確認したか? 一方的に相手のことも考えず誘ったって、自由人気質のあいつが首を縦に振るわけないだろうが」
「ハ、知ったことか! そもそも奴はただの妖怪ではない! あれほどの圧倒的な消滅と破壊の力、それを御すことができれば我等はさらなる高みに行くことができるのだ!!」
「・・・ほぉ?」
今、こいつはなんと言った? あの言い草、まるでルーミアが
「なるほど、確かにルーミアの力は凄まじいものだった」
「その通り! あれほどの力、あのまま腐らせておくには惜しいものだ。貴様もそうは思わんかね?」
「さてね。で、断った彼女をお前たちは追いかけてきた、と。そりゃまたなぜ?」
・・・多少だが時間も稼いだ。もうすでに調査団は町に戻れた事だろう。それに町からここに来るには多少時間がかかるし、そもそも援軍には来ないよう調査団の人には言ってある。
「その通りだ。我等のように奴を狙う勢力は多い。他の手に下るくらいなら、ここで処理しておいた方がいいだろう」
「ハッハッハ、そりゃそうだ。・・・じゃ、そんなお前らに一ついいことを教えてやろう」
「ほぅ、奴の居場所でも言う気になったか?」
じゃあ、多少暴れても構わないよなぁ?
「俺はな、生きている存在をモノみたいに扱う奴等が大っ嫌いなんだよ」
そう言って俺は奴の眼の前に移動し、振りかぶっていた右腕を全力で放った。顔面にそのこぶしを受けた妖怪は地面に頭が埋まり、ピクリとも動かない。手ごたえからして、もうこいつが目覚めることはないだろう。
俺としてはただ移動して殴っただけなのだが、奴らにとっては目にも映らないほど速かったらしい。突然目の前に現れた俺に驚き、その次に倒された自分たちのリーダーを見て驚愕の感情がそこかしこから感じ取れる。
「貴様、何を!?」
「どうもこうもあるか。俺はおまえたちが嫌いだ。だからさ・・・」
ここから、いなくなれ。
そう言って俺は、妖怪の集団に対し真正面から突っ込んでいく。まだ頭が追い付いていないのか、それに対して奴らの反応は鈍い。
そして俺はまず真正面にいる妖怪一体に対し先ほどと同じように拳を繰り出す。それに気づくも反応を返す前にその妖怪の頭は消し飛び、血しぶきを出しながら肉体は吹っ飛んでいった。
ここでようやく俺を敵と認識したのか、両側から妖怪2体が同時に攻撃してくる。が、あまりにも遅すぎるし、単調だ。まず左手側から来る刺突を受け流し、そのままの勢いで一回転しながら太刀を抜いて右手側から来る妖怪の首をはねる。それを確認したら再び攻撃してきた妖怪をよけつつその心の臓に太刀を突き立てる。
この間せいぜい4、5秒といったくらいか。どうやら思っていたよりは歯ごたえがありそうな連中のようだ。
「そらそら、どうした?
もうそこにはいない妖怪から太刀を引き抜きつつ、オレはそう叫ぶ。
なんだかんだでルーミアとの戦いも中途半端に力だしたから結構溜まってんだ。ちょうどいい機会だし、こいつらで鬱憤晴らしと洒落込ませてもらおうかぁ!
心の底から湧き上がってくる衝動に身を任かせ、俺は再び奴らに突っ込んで行った。
私を追いかけまわしていた妖怪達があの場所に向かっている。
その情報を手に入れたのは本当に偶然だった。直接誰かから聞いたわけじゃなく、強いて言うのなら風の噂とでも言った所だろうか。
そしてその話を聞いた瞬間から私は、旅を中断してあの場所へ急いで移動している。
別にあいつらがあの場所へ行くのはどうでもいい。もうそこに私はいないわけだし。
近くにある町を襲うのもどうでもいい。私には関係ないことだ。
じゃあなぜ私は急いでいるのか。それは単純に、凌平の存在が気になっていたからだ。
あの時はすぐに旅に出てしまって、そういえば凌平の話をまともに聞いていなかったことを思い出したのだ。結局あの時は私が一方的に話していただけで、私は凌平のことをほとんど知らないに等しい。強い妖怪であることや、私の闇に触れてもいなくならない、と言ったことなら知っている。しかしそれは、今思い返してみれば凌平を構成している一部分にすぎないのだろう。
そこからは私にもよくわからなかった。
ただ彼と会いたい、彼ともっと話したい。そんな欲求が、私の中で渦巻きだした。そしてその欲求に身を任せ、こうして行動に移していると言うわけだ。
さて、確かこのあたりのはずだと思うのだけど・・・。
そう思いながら飛んでいると、突如強力な妖力を全身に受ける。
この暴風のように荒れ狂っている妖力、間違いない、凌平だ。
彼自身が自分がいる場所を示しているかのごとく妖力を放っているので、居場所は簡単にわかった。すぐそちらへ方向転換し、私は何を話そうか考えながら飛んでいった。
そして降り立った私が見たのは、今まで私を追いかけていた妖怪達の無残な姿だった。
すべてが蹂躙されつくしたような光景が目の前に広がっていた。生きている存在は一つとしておらず、ほぼ全員が恐怖の感情を顔に張り付けている。一部そうでもない存在もいたが、あれはただ単に彼の攻撃に気づかず命の灯を消してしまったのだろう。
そしてしばらく進み、私たちが初めて出会った場所に着く。その抉れたような窪みの中心に、彼は片手に瓢箪を持って月を眺めていた。
「よう、やっぱお前か」
そう言って彼は瓢箪の中身を一気に飲む。匂いからしてお酒なのかしら?
「ええ、あの妖力を久々に感じ取ったから来ちゃったわ」
「おっと、どうやら無意識にまた出し過ぎちまったみたいだな」
そう言うと途端に彼から溢れ出ていた妖力が抑まっていく。これだと最初見たら弱小妖怪と勘違いしてしまうのではないのだろうか。
「あん、どうした?」
「いえ、別に。ただその様子・・・また暴走でもしてるの?」
こうやって会話ができている時点でそれはほぼありえないと思うだが、一応聞いてみる。それの問いに対し、彼は勝気な笑みを浮かべて答えた。
「安心しな、今回はオレの意思でじゃれ合ったからしっかり制御できてる。じゃねえとお前にも襲い掛かっちまうだろ?」
「そう言うってことは、彼らは貴方が闘うに値しなかったってこと?」
「そういうこった。あんなの遊びにもなりゃしねえ」
そう言って彼は退屈そうに手のひらに顎をのせる。
「で?」
「・・・で?」
「何の用だ? 見ての通り、オレはいま黄昏ている最中なんだが」
「ああ、そういうことね」
私は内心緊張しながら彼の正面に行き、座る。
「私はね、凌平と話がしたいのよ」
「・・・は? なんでまた
私が言ったのに対し、凌平はあきれたようにこちら見て話す。拍子抜けしたのか、彼から放たれていた気迫が少し薄れたような気がする。
「凌平だからよ。この力のせいで私はここにいてはいけないと思っていたわ。けど、あなたはそんな私にここにいていいと言ってくれた」
「当たり前だ。生きている存在には、すべからく生きる権利と理由がある。それを放り出そうとするなんて、愚の骨頂だ」
「凌平にも?」
「然り。こうして生まれたからには、俺にだってその権利がある」
「そう、こういう話を私はしたかったの。私と出会う存在なんて、今まで消えるか逃げ出すか、はたまた攻撃するかくらいだったし」
「・・・あっそ」
そう言いながら彼は、どこからか取り出した盃に瓢箪の中身を注ぐ。そしてそれを私にズイッと突き出した。
「・・・これは?」
「酒だよ。ただ話すのもいいが、今夜はきれいな満月だ。きれいな夜空と月だけで肴には十分だと、どこぞの軍神に教わったのでな」
そう言って彼はもう一つ盃に酒を注ぎ、月を見ながら飲む。その様子を見て、彼が自分と話すのを拒否しなかったことが分かり、とてもうれしくなった。
そして私は彼の隣に座りなおし、彼からもらったお酒を飲む。
うん、やっぱり一人で飲むより断然美味しいわね。
そして私たちは酒を飲みながら、何でもないようなことを話し合った。
「・・・やっちまった」
「え?」
凌平と会話し始めてから1時間ほどたったところで、唐突に彼が呟いた。その様子からは焦りこそ感じず、どちらかというと面倒だという気持ちがうかがえる。
「どうしたのよ?」
「・・・まぁ、取りこぼしがあったってところだ」
「取りこぼしって・・・あいつらのことかしら? それにしては何も感じないけど・・・」
そう言って周囲を見渡す。
・・・うん、やっぱり何も感じない。この周辺には生き物なんて一つもいない。
「似たようなものだ。それはこっちで何とかしておく。ルーミアも今日は帰れ」
「あら、どうして? 朝までまだまだ時間はあるわよ」
「確かに時間はあるが、俺は今一応囮としてここにいるんだ。一度町に戻り、あの人たちを安心させなければならん」
「面倒ね。人間の暮らしって」
「そうだな。自由人のお前には向いてないだろうよ」
「でしょうね。もともとする気はないけど」
何となくだが、凌平はこの場に私がいてほしくないのだろう。そんなことを私は感じ取った。と言っても邪魔というわけではなく、都合が悪いという事なのだろうが。
しょうがない。ここは一度戻るしかないか。
そう判断し、私は立ち上がって闇を纏わせる。ちょうどいいからここで凌平から聞いた遠くの場所へ一瞬で移動する方法をさっそく試してみようと思ったのだ。
「それじゃ、また会いましょう」
「ああ、またな」
次は何を話そうか。私はそんなことを考えながら、自分の拠点に戻っていった。
「さて、律儀に待ってくれてありがとうな」
「・・・・・・」
「だんまりか。まぁお互いに言いたいこともあるだろうが、それはまた後日にしないか? 正直今日は疲れたし、説明するのも面倒なんだが」
「・・・いや、その必要はない」
「だろうな。一応聞いておこう。お前はどうしたい?」
ーーーーー布都。
「簡単なことだ。竜宮凌平、妖怪であるお前はここで滅する・・・!」
望夢さん、感想ありがとうございました。
読んでくれてありがとうございます。
き、聞いてくれ。戦闘を書いていたと思ったら恋愛もどきになって、シリアスのような何かになったんだ。な、なにを(ry
なぜこうなったのかは正直私にもわかりません(主にルーミア)。
んでまぁ布都の方ですが、これは最初から決めてました。ここからどうなるかは、次回のお楽しみということで(´・ω・`)
ではまた、次話で会いましょうノシ