何故かフェストゥムになったけど今日も元気です   作:zelga

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・・・はい、わかってます。言い訳タイムは後程いたします。

今回も今回とて楓にスポットが当たります。後やたら二人がハッチャけているように見えますが、それは気のせいではないです。


では、どうぞ。



第29話 家族~しんいり

 

違和感を抱いたのは、一体いつからだったろうか?

 

俺の記憶が正しければ、それは今から3年前だったと思う。その時の俺は、ほんの少しの違和感しか抱かなかったので大して何も考えてはいなかった。

 

 

違和感が疑念に変わったのは、1年前だ。

 

いつもとなにか違うたたずまい。彼女は隠し事をするのが得意なのでほとんど気づかなかったが、生憎と長年一緒にいて読心能力を持っている俺には明確な疑念を抱かせていた。

 

 

 

そして疑念が確信に変わったのが、今日だ。

 

あきらかにおかしい。そう感じたがそれを表に出さずに今日と言う1日を終えた俺は、夜中の縁側に座って、とある存在を持っていた。

 

 

 

そして俺に近づいてくる存在が一つ。その髪は月の光を反射して、昼間とはまた違った美しさを見せていた。

 

 

「めずらしいね、こんな夜中に月見の誘いだなんて」

 

 

そう言って彼女ーーー諏訪子は、俺の隣に座る。

 

それを見た俺は諏訪子に盃を渡し、こっそりとっておいた酒を注ぐ。そのあと自分の分も注ぎ、二人一緒に中身を飲み干した。

 

 

「……ふぅ、もうわかってるんじゃないか?」

 

 

正直諏訪子相手に心理戦はちと分が悪い。基本的に互角なので話が平行線になってしまうからだ。だがしかし、今は時間を無駄に浪費させるつもりはない。彼女が寝入っている今だからこそ、この話し合いは開催できるのだから。

 

 

「……そう言うってことは、ようやく気付いたのか」

「違和感は3年前から抱いていた。今日、それが確信に至ったからこうして聞こうと思ったのさ」

 

 

すこし呆れた諏訪子にそう返しつつ、二杯目も飲み干す。

 

さて、ここからが本番だ。なんとなくわかっているが、それを確かめるには諏訪子に聞くのが一番だろう。

 

そう判断した俺は、諏訪子に顔を向け、口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「諏訪子、面倒だから単刀直入に聞くぞ。楓に春きた?」

「ザッツライト、楓にようやく春が来たのさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、そういうことだったか」

 

 

楓に彼氏ねぇ……。そう思いつつ、盃の中身を飲んでいく。

 

 

「まぁ別段いてもおかしくはないんだけどね。楓が守矢神社の風祝であることや、街の男共が牽制し合っていたせいで今まで誰も近づきやしなかったのさ」

「そしてそれを潜り抜けてきた男がいる、と」

「凌平お父さんとしては不服かな?」

「正直なところ分からん、この身体になってからその類の感情は忘れ去ってしまったからな。だが、強いて言うなら楓が幸せになるのなら俺は邪魔したりなんかしないさ」

 

 

後お父さん言うな、と諏訪子を小突く。

 

いたいなー、と抗議しているが諏訪子の表情は相変わらず笑顔だ。

 

 

「……で、呼んだ理由はそれだけなのかな?」

 

 

わかっているような笑みを浮かべて凌平を見る諏訪子。

それは笑顔だが、純粋な笑みではなくいたずらを思いついた子供のような笑顔だった。

 

 

……あらら、やっぱりそこまでお見通しだったか。

 

 

「それでは早速。諏訪子、次はいつだ?」

「10日後だね、普段なら凌平が再び旅に出てから3日後といった所になるかな」

「なるほど、そうかそうか」

 

 

待っていた答えを聞き、俺は笑みを浮かべる。この笑顔はきっと、先ほどの諏訪子と同じような表情なのだろう。

 

 

「おやおや、凌平お父さんは楓が幸せなら邪魔をしないはずじゃなかったのかな?」

「何を言っている、全く以てその通りだよ」

 

 

邪魔はしないさ…………邪魔は、な。

 

 

「覚られるなよ? 楓はもちろん、神奈子にもだ」

「もちろん。神奈子も気にしてはいるようだけど基本不干渉だしね。たとえ誘っても、神奈子じゃ事前に楓に気づかれちゃうよ」

 

 

そう約束を交わした後、その日は夜が更けるまで諏訪子から件の男性について情報を集めた。

 

そこから先、俺は楓に気づかれないよういつもの様に過ごした。そして作戦決行3日前、つまりは作戦会議の1週間後にいつものように旅に出るふりをして守矢神社から離れた。そしてそこからワームスフィアで遠くに移動し、作戦決行の日が来るまで俺はジッと待ち続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして当日。この日も相変わらずこの街は賑やかだ。行き交う住人、声の飛び交う出店、それらのうるさくも楽しそうな声がここまで聞こえてくる。

 

木の幹の影に隠れている一つの生物はそう思いながら身を潜めていた。それはつぶらな瞳と愛らしい尻尾……説明が面倒だな、バッサリいうと黒毛の柴犬になった俺だ。

 

 

 

さて、なんでこんなことをしているのかと言うとそれは簡単、楓のデートを観察するためである。

 

ちなみに目的としてはフェストゥムとしての未知への好奇心が7割、単純に気になったというのが3割くらいである。いやはや、自分ではどうにも実践できなかった感情を観察できる機会が来るとはな……。

 

なおなぜこの格好なのかと言うと、楓の勘が鋭いからである。仕組みはさっぱりわからんが、楓は俺の存在を素早く察知できるのだ。能力使用時はもちろん、変装していても基本的に一発でばれるほどにその勘は正確である。そこで楓に見せたことのない人外への変装をし、さらに気配を完全になじませることで楓にも気づかれないようにしたのだった。

 

だがこの結果、今の俺はフェストゥムとしての能力どころか、他の能力もすべて使えなくなった。ぶっちゃけただのしゃべる犬である。

 

 

「……何とか間に合った。いくら安全とはいえ、念には念を入れ過ぎたか?」

≪いいや、十分だよ。楓が気づいている様子はない≫

 

 

声が聞こえた方を見ると、そこには一匹の白蛇ーーーここではミジャグジ様と呼ばれる存在が木の幹に巻き付いてこちらを見ていた。

 

ミジャグジがしゃべっている様子はないが、諏訪子の声が聞こえる。

 

 

「それが前言ってた念話の応用か?」

≪そう、イメージとしては凌平の前世でやってた某魔法少女のそれにそっくりかな≫

「なるほど……≪こうか?≫」

≪うまいうまい、やっぱ明確なイメージがあると習得が早いね。それじゃ、さっそくだけど行こうか。後ここからの会話は全部これでやってね≫

≪わかっている、さすがに犬が話すのは違和感の塊だろうからな≫

 

 

そう会話をしながら犬と蛇と言う傍から見て珍妙なコンビが町に向かって歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪さて、ここだな?≫

≪うん、情報通りなら間違いなくここに楓たちは来るよ≫

 

 

そう会話しつつ、とある建物の影に隠れる俺たち。

普通なら人の目に留まるほど目立っているのだが、そこは俺たちで生み出した変装の応用。気配を隠すのではなく完全に人の気配に溶け込ませることができるので、これなら楓にだろうと気づかれない。

 

 

≪にしても……話の流れから予想はしていたが、やっぱりここの店主だったか≫

≪おや、もしかして知り合い?≫

≪ここの茶器がお気に入りでな。よく話をしていたし、たまに作業場を見せてもらったりもしていた≫

≪知り合いなんてレベルじゃなかった……気づかなかったの?≫

≪いや全く。あいつも俺に対してそう言う感情は向けてこなかったからな。実直で珍しい存在だったから割と気にかけてはいたが、まさか楓とな……≫

 

 

いやホント、何となく感づいていたからこの前はいかなかったけど、去年は普通に顔を出していた。読心能力は切っていたので感情はわからなかったが、あいつは感情を隠せるほど器用な存在ではない。もし俺に隠し事をしているのなら、一発でわかるはずだ。

 

 

こういうとあれだが、俺はいまだにこの街の男共からは楓の彼氏だと思われている。あいつが楓と付き合っていたのなら楓が説明しているとはいえ、俺に対していつも通りの対応はできまい。

 

 

≪って、ん……?≫

≪どうしたの…………っ凌平、来たよ≫

 

 

その言葉に思考をいったん中断し、入口をこっそり見る。

そこには楓が店の中に入っていく様子があった。尚今のうちに言っておくと目の前の店は本日店休日である。

 

ってことはつまり…………。

 

 

≪確定だな≫

≪だね、入り口から出るとばれるだろうし裏口かな?≫

≪多分な、回り道していくぞ≫

≪りょうかーい≫

 

 

そう言って再び俺たちは歩き出す。はてさて、どんな感じになるのかね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪……へぇ、楓も気配を自由に扱えるようになってたんだ。ねぇ?≫

≪20年くらい前に教えてくれって言われたんだ。その時はこのためと言うより、俺たちがよくそれを使ってたから覚えたかったのだろうとその時の感情から判断してな、とりあえず教えたら速攻でマスターした≫

≪20年も前から……あれ、そういや時々お菓子をくすねていたのがばれ始めたのも……?≫

≪お前なぁ……≫

 

 

そんな会話をしつつ前方の様子ーーー茶屋で休憩している二人を見る。二人は菓子を食べ茶を飲みながら話をしていた。内容はなんてことのないものだったが、それでもそれを話している時の楓は幸せそうな表情で、そしてそれを聞いている時の彼氏君は優しい表情だった。

 

こんな光景があろうものなら、普通彼氏君に対して俺と同じような視線が集まるはずなのだが、その様子もない。それはさっきの会話で言ったように、楓も俺たちと同じように気配術を使うことで、二人を目にしても違和感を抱かないようになっているからだ。感覚としては彼氏君が女性と話している、程度にしか感じないのだろうな。

 

 

≪それでどうだい? 凌平から見て彼は楓にふさわしいかな?≫

≪今のところは、な。性格は多少不器用なところがあるが問題なし、数少ない欠点と言っていいかもしれん眼付きの悪さも楓といる分には収まっているみたいだしな。互いにいい影響を与えあっているみたいだ≫

≪……べた褒めじゃないか、てっきり『貴様なんぞに楓はやらん!』なんていうかと思ってたのに≫

≪まぁ、あいつのことは昔から知っているからな。あと諏訪子、そう言うのはどっちかと言うと神奈子の仕事だと思うんだが≫

≪そりゃ違いない……っと、移動するみたいだね≫

≪了解≫

 

 

茶屋を出る二人を後ろから追いかける。距離としては、楓たちがギリギリ見える程度には離れている場所だ。見逃したら終わりなので、視界ギリギリだが決して逃がさないよう、俺たちは無駄に本気を出していた。きっとどこぞの軍神が見たらため息をついていたであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪次は……雑貨屋? アクセサリーでも買うのか?≫

≪それならちゃんとした店があるよ、日用品じゃない?≫

≪日用品をデートで買うのか?≫

≪そうだよ、経験なしの凌平にはわからないだろうけどね≫

≪やかましい≫

 

 

そんな会話をしつつ雑貨屋の入り口が見える向かいの店の中から見張る俺たち。あの雑貨屋は意外と狭いので、中に入ったら気づかれる可能性があったので今回は避けた。そのせいで何を買っているのか、何をしているのかはわからないがまあそれは仕方がない。

 

 

≪そういやさっきは聞き忘れたが、諏訪子はどうなんだ?≫

≪私としても賛成かなー。そろそろ孫の顔が見たくなってきてね、凌平のお墨付きなら楓の婿としては文句なしだ……って、どうしたのさ?≫

≪いや、なんでもない≫

 

 

……その通りなんだが、こう言われるとすさまじい違和感を抱いてしまうな。金髪の少女が孫の顔が見たい、なんて言う出来事が目の前で起きるとは思わなかった。人生って何が起きるかわからないものだ。

 

 

≪凌平の場合は人生っていうよりフェストゥム生じゃない?≫

≪その通りだがこっちの方が語呂がいいだろう? あとナチュラルに心を読むな≫

≪テヘッ≫

 

 

目の前のミジャグジを通して会話しているので今頃神社にいるであろう諏訪子の表情は見えないが、絶対それっぽい仕草をしているのだろう。あざとい上に似合っているから余計にたちが悪い。

 

 

≪……ん、出てきたか≫

≪何買ったんだろ?≫

≪知らん、行くぞ≫

≪はいはい≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後も二人は色々なところを歩いていった。お店ばかりではなく、散歩道と呼ばれるようなところをのんびりと歩いたり、前世で言う公園のようなところで木陰で涼みながら話したり……まぁ、これがデートして正しいのかは俺にはわからん。が、はた目から見ても二人は楽しそうにしていたので良かったのではなかろうか。

 

 

≪と思ってるんだが諏訪子はどうよ?≫

≪同意見。私も恋愛なんてしたことないけど、楓が楽しそうだったからいいんじゃないかな?≫

≪あれ、そうなのか?≫

≪そうだよ。……ていうか、凌平は私と同化した時に私の記憶は入ってこなかったの?≫

≪あー……結論だけ言うと入ったが混じってない、てのが答えだな≫

 

 

どうにもこっちに来るきっかけの願いが『俺』という個としての存在の確立のせいか、同化で得る知識や記憶はあくまでデータとして保存されているのだ。

 

これは俺の感覚なのでうまくは言えんが、『竜宮凌平』と言う本棚の中に『土蜘蛛の能力』や『洩矢諏訪子の記憶』というタイトルの本が収納されているようなイメージだろうか。俺はその中から必要な本を取り出して開くことで、いつでもその中身を扱うことができると言うわけだ。

 

本家の方ではどうなっているかは知らないので、これがフェストゥムとして正しい同化なのかはわからんがな。

 

 

≪……とまぁそんな感じだ。で、諏訪子の記憶はちゃんと覗いてないから知らなかったってわけだ≫

≪へー、そりゃまたどうして?≫

≪お前は良くも悪くも裏表がないからな。見るまでもないと判断したってだけさ≫

≪おや、嬉しいこと言ってくれるね≫

≪まぁな……さて、どうなるやら≫

 

 

そこで話を切り、俺たちは岩の影から、離れた場所にいる二人を覗く。ここは夕日がきれいに見える絶好の場所で、所謂デートスポットと言うやつだ。そこに二人は並んで、夕日を静かに眺めていた。

 

 

≪どうなるって……いい雰囲気じゃん、どう見たって告白のムードでしょ≫

≪だよな、それは俺も思う。だがそれには問題があってな≫

≪問題? 楓が基本懐いた相手にはグイグイ行くくせにあと一歩は踏み出せないってこと?≫

≪どっちかと言うと、嫌われるのが怖いんだろうな。ああ見えて楓は根は臆病だ。だからこそ親しい相手の本音を聞くのが怖いんだろう……と、思っていたんだがな≫

≪うん、あれなら問題なさそうだ≫

 

 

そう言って俺たちはいつの間にか向かい合っていた二人を見る。風に乗って途切れ途切れだが会話の内容が聞こえてくる。

 

最初は楽しかったという感想。次に今日はありがとうと彼氏君からの感謝。それに私が誘ったので、と楓が答える。そして彼氏君の顔をまっすぐ見つめ、ここからでもわかるほど緊張した様子で楓が口を開くーーー。

 

 

 

『---------』

 

 

 

その内容は聞こえなかった。けれど、俺たちにはその内容が分かっていた。

 

 

≪いやー、楓も成長していたんだねー。まさか楓から告白するとは思わなかったよ≫

≪そうだな……さて、お楽しみはここからだ≫

≪お楽しみと言うと、やっぱりキス?≫

≪それはたぶん今日じゃないかな、なにせまだ問題が一つ残ってる≫

≪あれ、それって楓のことじゃなかったんだ≫

≪まぁな。で、その問題だが……それは彼氏の方なんだ≫

 

 

そう言って俺は場所を変え、ギリギリまで近づく。そして彼氏君の方を見て、ほくそ笑んだ。

 

 

ああ、やっぱり予想通りだ。あの時抱いた違和感、そしてこれまでの状況。それに先ほど思い出した出来事を付け加えれば、この結論は出来上がる。

 

そしてその予想を裏付けるのが、彼氏君の様子だ。背後からでは身動き一つせずに楓を見ているように見えたが、表情が見えるこちら側ではやっぱり違った。

 

 

≪え、あれって……≫

 

 

さすが諏訪子、さっそく気づいたようだ。そしてその声から、今にも感情があふれ出しそうになっていて、それを耐えているのが分かる。

 

 

さて、それじゃその抵抗を消してあげますかね。

 

 

≪そうだ。あいつが抱える問題、それは……≫

≪ちょっと待って凌平、今それを言われたら私は……!≫

 

 

諏訪子が言ってくるが知ったことではない。彼氏君の顔を見つつ、俺はその答えを言葉にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪他人からの好意に鈍感なんだ、特に異性からのは超がつくレベルにな≫

 

 

彼氏君は、顔を真っ赤にして停止していた。多分楓は急にそうなったことにびっくりしているのだろう。目が点になっている。

 

 

≪……っぷ、くふ…………!≫

≪いやーあの顔、ようやく楓からの好意に気づいたんだろうな≫

≪ふ……はは……!≫

≪そして楓を自分に好意を抱く女性として意識した瞬間、自分がやってきたことのすごさに気づいたわけだ≫

≪はははははははははは!! おなか、おなか痛い! 嘘でしょ、あそこまでやられてようやく気付くって、恋愛ゲームの主人公か何か!?≫

≪あいつは鈍感だが常識はある。今まで楓にやってきた事への恥ずかしさで、頭がオーバーヒートしたのだろう≫

≪冷静に……くふふ、分析しないでよ……ひー……≫

≪そりゃ奥手なあいつが緊張せずに楓と行動できるわけだし、俺に何の感情も抱かないわけだ。何せ、今の今までデートしているという認識すらなかったのだからな!!≫

≪あ、駄目だ。やっぱ耐えられないわこれ≫

≪だろ? 俺ももう無理≫

 

≪≪ははははははははははははははは!!≫≫

 

 

そして念話の中でだが、俺たちはずっと笑っていた。犬である俺は夢を見た子犬のように横になった状態で足をバタバタさせていたし、ミジャグジはいつも通りだが、守矢神社にいる諏訪子は今頃腹を抱えて転げまわっているだろう。これ神奈子から見たらどういう風に映るのだろう?

 

 

≪はーはー……で、どうするのさ?≫

≪どうするもこうするも、二人にしてやろう。なに、あいつらは上手くいく。こっちに来たときじっくりと話を聞けばいいさ≫

≪え、いいの?≫

≪あの状況に割って入れとでも言うのか?≫

≪わかってるじゃないか≫

≪いいや、理解不能だ≫

 

 

そう会話した後俺たちはこっそりとこの場から離れ、街はずれに移動した。相変わらず俺は能力を使用できないので、諏訪子に頼んで楓に能力を使っても気付かれない位置まで護衛してもらっているのだ。

 

 

 

 

 

≪さて、ここならもう大丈夫かな≫

「ああ、問題ない。ありがとうな、諏訪子」

 

 

人の姿に変わり、諏訪子に礼を言う。後ミジャグジもありがとう、と言うとミジャグジは舌をチロチロ出してこっちを見ていた。どういたしまして、って意味なのだろう。

 

 

≪ねぇ、やっぱりネタバレしちゃ駄目?≫

「駄目だ、次俺が来るまで待ってくれ。それはできれば全員交えた状態でやりたい」

 

 

そう言ってニヤニヤと笑い合う俺たち。諏訪子の表情は見えないが、声色で笑っていることは簡単にわかる。

 

 

≪それじゃ待ってるよ。どうせなら来る時連絡入れてね≫

「ああ、わかってる。違和感のないよう、所用のついでに帰るとでも言えば大丈夫だろうさ」

 

 

そう言って俺はワームスフィアーを展開し、この地から離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、あの後どうなったのかはわからない。二人の間で交わされた会話も正確にはわからない。

 

けれど、ただ一つ言えることはある。それはーーー

 

 

 

 

 

 

「お、帰ってきたみたいだ。ほらほら、もっとシャキッとして」

「は、はい……」

「別に緊張することはない。凌平ならしっかりと対応してくれるはずさ」

「そうですよ。いつも諏訪子様や神奈子様にやっているのと同じで、ただ家族を迎えればいいんです」

「…………わかりました」

 

 

 

 

 

「ただいまー」

「「「「おかえりなさい!」」」」

 

 

きっと次帰るときは、俺を迎えてくれる存在が一つ増えていることだろう。

 

 

 




稀神翔平さん、感想ありがとうございました。また誤字報告ありがとうございます。
読んでくれて、ありがとうございます。


・・・さて、前話が番外編挟んでるとはいえ一ヶ月空いたのを気を付けると言ったのに、今回も一ヶ月空いちゃいました。はい、本当申し訳ありません。<m(__)m>

言い訳としては大学が忙しかったのと、今話が予想以上のボリュームになってしまったということです。信じられます?この話の文字数歴代2位なんですよ・・・?

作者的にはかるーいテンポでサクサクッと終わらせるつもりが、あれもやりたいこれもやりたい、久々の二人の掛け合い超楽しいなど、余計なことしまくっちゃいました。うん、しょうがない(自己暗示)。

にしてもあれですね・・・本気でタグに『月に1話更新する程度の能力』を付ける必要があるかもしれませんね(´・ω・`)


ではまた、次話でお会いしましょうノシ
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