何故かフェストゥムになったけど今日も元気です   作:zelga

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な、長い・・・。

サクッとここは終わらせるつもりだったのに、まさか7000字オーバーするとは思わなかった。そんな感じの9話ですが、どうぞ。



あとファフダス後半始まりましたね。皆さん見ましたか?私は見ました。
ファフナーが始まっていましたね(白目)


第9話 生命~めざめ

 

 

その場所に、生命は存在していなかった。

 

ただ荒れ地が広がるばかりで、木々や動物たちの姿はおろか、妖怪の姿すらも見当たらない。

 

どれほど長い間、この光景が続いているかわからない。だが一つだけ言えること、それは月へ向かった人間の置き土産はこの地に深い傷跡を残していったということだ。

 

 

 

 

 

そして今この瞬間、長年続いた静寂が破られる。

 

荒れ地のとある場所。そこの地面が盛り上がり、中からナニカが出てくる。

 

その姿は普通ではなかった。姿こそ青年だが、右腕以外の四肢が欠損していた。左腕は根元から焼けただれており、両足は根元からなくなっている。しかし、その断面からは黄金色の物体が見えており、その存在が人間でないことがわかる。さらに、顔の大部分が壊れており、口元と片目だけ何とか判別できている状態だ。それ以外は黄金色の物体が輪郭をかたどるようにある。

 

客観的に見て、その存在が生きているとは考えられない状態だ。だがしかし、その存在は確かに生きていて、そこにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きれいな空……とはとても言えないよなぁ」

 

 

そう俺は、分厚い雲に覆われた空を見上げながら呟いた。

 

 

一体、あれからどれほどの時間が過ぎたんだ?

 

意識が戻った俺は、まずはそのことを考えていた。あの感情の激流にのまれ、負荷に耐えきれず意識が暗転したことまでは覚えている。

 

そして意識が戻った時、俺は土の中にいた。

だいぶ時間はかかったが、何とか地表まで出てこれた。で、俺の視界に広がっているのは、見渡す限りの荒野だった。

 

なんつー威力だ。さすが都市製の核ミサイル。建物どころか、残骸一つ残っていない。誰が見ても、ここに繁栄した都市があったなんて考えないだろうな。

 

そう思いながら俺は意識を集中させ、体を再構成する。この状況なら人になる必要もないので、外装をなくし、元のフェストゥムの姿になる。

 

ついでに周りに何かいないか限界まで範囲を広げるが、感情を受信することはできなかった。やはり、ここら一帯の生命はすべていなくなってしまったのだろう。

 

 

 

とりあえず、ここから離れることにするか。そう考えた俺は、行く当てもなくとりあえず進み始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………な、長い。まさかこんなにかかるとは。

 

しばらく歩き続ければ、そのうちこの荒野から出られるだろうと思っていた。

だが、その考えは甘かった。まず、ナニカの感情を最大範囲で感じ取れるようになるまで半月。さらにその感情をたどり、荒野から抜け出すまでにまた半月。合計一ヶ月もかかってしまった。

 

しかもそれはフェストゥム形態でかかった時間だ。一体この荒野はどれだけ広かったのだろうか。

 

そう思いつつ、俺は凍土の上を進む。どうやら今の時代はいわゆる氷河期らしい。フェストゥム形態では周りの気温を感じることはできない。そんなわけで荒野から出るまで全く気づかなかった。

 

そう思いながら移動していた俺は、しばらくしてとある存在と出会う。

 

 

それは、マンモスだ。あの時感じ取った感情の持ち主はこいつみたいだな。そしてマンモスから感じるもの、それは困惑と恐怖だった。

 

 

ここで俺は疑問に思った。なぜマンモスは俺に対し恐怖を抱いているんだ?

確かにこの見た目は珍妙だが、恐怖を抱くほどではないはずだ。実際、永琳や若菜ちゃんはそうだったし。

 

だが、この目の前のマンモスは動けなくなっているほど俺に恐怖している。これの原因はいったいなんだろうと考えていると、俺の中からナニカを感じとる。

 

なんだこれ?そう思い、俺はそのナニカを引っ張り出そうとイメージしてみるた。

 

 

 

 

 

その瞬間。俺からそれがあふれ出し、それを浴びたマンモスはゆっくりと倒れた。

 

 

 

…………は?

 

急いで俺はマンモスに駆け寄る。近づいて様子を見るが、完全に気絶していた。

 

そこまで確認して、俺は先程あふれ出してきたナニカについて考える。

 

というか、正体はほぼわかっていた。なぜなら、俺はその気配に心当たりがあったからだ。それを俺は何度も感じていた。何度も自分に向けられていたモノだった。

 

 

 

 

 

それは紛れもなく、土蜘蛛が発していた妖力だった。

 

 

今まで俺は、何体も妖怪を同化してきた。だが、そいつらの特徴や感情を得ることはできても、妖力を得ることはできなかった。妖怪なら大なり小なり妖力は持っている。だがなぜか、それだけは習得することができていなかったのだ。

 

だが今。俺が発したものは間違いなく、土蜘蛛の妖力だった。だけどそれに対して、俺はえらくあっさりと納得していた。

 

やはりあの時やった同化。あれは今までやってきた同化とは違うらしい。あの方法で同化した場合、どうやら相手のすべてを使えるようになるのかもしれない。

 

 

 

 

 

この推測を確かめるために、俺は再び自分の能力を確認してみた。その結果がこれだ。

 

 

 

『同化する程度の能力』

『飢えるほど強くなる程度の能力』

 

 

 

……うん、間違いなく増えてる。ていうかこれ土蜘蛛の能力だ。やはり俺の推測は正しかったみたいだな。

 

そこで一度考えを一区切りさせ、これからどうするかを考えることにする。

 

今を氷河期だと仮定するなら、この先いつか再び人間は生まれてくるだろう。ていうか、そう考えてないとやってられん。

 

それがどれほどかかるのかはわからない。とりあえず、今はのんびり過ごしてみることにしてみるか。そのあとのことはその時考えればいいや。

 

 

そう思った俺はどうせならと言うことで人間形態になり、歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、あれから数百年くらいたった。最初の百年くらいまでは数えていたのだが、考えるのもばからしくなったので、今はもう数えていない。

 

あの後俺は手ごろな洞窟を見つけ、そこを拠点にして生活を始めた。

最初は生活の真似事でもしてみるかと思っていたのだが、ここで土蜘蛛を同化したことによる弊害が起きたのだ。

 

『飢えるほど強くなる程度の能力』。これが土蜘蛛の能力なのだが、フェストゥムである俺に飢えるという感情はない。だから、この能力を使えるのだろうか心配だったが、それは杞憂に終わった。

 

結果から言うと、俺は飢えるようになった。そのおかげで定期的に何か食べたり体を動かしたりしないと、落ち着かなくなってしまったのだ。

 

そのことに気づかず一ヶ月が過ぎた時、俺は軽く暴走した。本能の赴くまま走り出し、近くにいたマンモスに襲い掛かってしまった。

 

マンモスは俺に気づき急いで逃げ出そうとしていたが、遅すぎて、時間を稼ぐことすらできていない。

 

 

「逃がすか、くらえええええぇぇ!!」

 

 

そう言いながら俺はマンモスの頭部を狙い、拳を突き出す。

 

 

 

ッパーン!!

 

 

 

「…………は?」

 

 

その結果、殴ったところが消し飛んだ。抉れたとか、貫いたとかじゃない。頭部どころか胴体も消し飛んでいた。そして、その場にはマンモスの四肢のみが残ることとなっていた。

 

あれだね、能力の恩恵をなめていた。

 

あのあと残った部分をすべて食べ、落ち着いたところで能力の検証をしてみることにした。

 

それから数か月かけて検証してみた結果、わかったことは次の通りだ。

 

 

 

●飢えの種類は何でもよい、本人がそう感じればそれは飢えになる。

●飢えることで身体能力が飛躍的に向上する。平常時を基準とすると、空腹時には普段の倍近い力を発揮できる。

●限界を超えて飢えると、一時的に暴走状態になる。これは一定まで飢えが満たされると正気に戻るが、それまでは自分自身をコントロールできなくなる。

●満たされることによるデメリットはない。

 

 

 

……うん、強い。どんな状況でも使えるような能力ではないが、条件を満たすと爆発的な力を得ることができるのだ。だがデメリットとして、飢えを定期的に満たさないと、暴走してしまう。

 

今思い出してみると、初めて会った時の土蜘蛛は軽く暴走状態だったのかもしれない。まぁ、今となってはその真偽は確かめることはできないが。

 

 

 

とまぁこんな感じで理解できたので食べることへの飢えは何とかできたが、戦いへの飢えは体を動かすことで発散するしかなかった。なんせ近くにいる生き物はマンモスがせいぜいなんだが、そいつでは相手にもならない。

 

そこで飢えを満たすついでに、自身の能力をもっとうまく使いこなせるように特訓を始めることにした。

 

 

 

特訓の内容は、ワームスフィアーの変形。今までやっていたのは、狙いをつけた場所を中心として球体を発生させ、それに触れた部分を抉り取るというものだった。

 

だがこれには欠点があった。狙いをつけるためにはその場所を見なければいけなく、それで場所を読まれ避けられてしまう。それに、目にも止まらないほど早く動けられては狙いも定まらないのだ。

 

そこで俺はワームスフィアーに改良を加え、球体のほかに二つのバリエーションを加えた。

 

 

 

一つ目は弾丸形態だ。これはワームスフィアーを内包した妖力の弾丸を形成し、打ち出すもの。そして、着弾地点で球体のワームスフィアーを展開する仕組みだ。一つ一つは小さいが、連射ができるので弾幕のように展開することができる。これならわざわざ発生場所を見る必要がないのでとても楽だ。

 

二つ目は円盤形態だ。これは妖力で作り出した円盤にワームスフィアーを纏わせ、高速回転させながら投げるというものだ。これは巻き込む部分は少ないが密度を上げているので、触れた部分はなんの抵抗もなく切断できる。しかも本体は妖力なので、ホーミング機能を追加することができたのだ。一度に作り出せる数は少ないが、切り札として使えるだろう。まぁぶっちゃけると、某龍球の気円○である。

 

 

 

何百年もかけて覚えたのはこれだけ。こう見ると少なく感じるが、これらは本当に覚えることに苦労したのだ。原作でのこれらはワームスフィアーそのものを変形させて使っていたのだが、どうにも俺はこれがうまくできなかった。なのだが、原作通りにすることに変にこだわってしまい、百年くらい無駄にしてしまったのは苦い思い出だ。

 

 

 

 

まぁそんなわけで、一日の大半を食事と特訓に使って日々を過ごした。もし土蜘蛛の能力がなかったら、毎日自堕落な生活をしていただろうな。と今では思う。

 

そんな日々を過ごし、気づいた時には氷河期が終わっていた。そして、再び大地が緑で覆われ始めた。今では凍土だった拠点付近も見事な森林だ。

 

もう前世の知識はだいぶ薄れているが、氷河期はもっと長かったと思う。だがもうすでに氷河期は終わり、様々な生物の気配を感じる。これは俺という存在が生んだイレギュラーなのだろうか。それとも、これがこの世界での歴史なのだろうか。まぁ、そこは気にしても仕方がないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして俺は今、人間形態でとある場所に立っている。そしてその前には、大規模な街があった。

 

 

そう、街があったのだ。そして俺は、その中にいるであろう存在の様々な感情を感じている。

 

この感情の複雑さ、そして多様さ。間違いない。人間だ、人間がいるんだ。

 

 

本当に人間は再び生まれてくるのだろうか?

 

ふとした拍子にその考えが俺の脳裏に浮かんでいた。だが、それは常に考えないようにしていた。じゃないとやっていけなかったからだ。

 

だがその考えも数時間前には吹き飛んだ。気まぐれで最大範囲で索敵していたところ、昔懐かしい感情を感じ取ったのだ。

 

俺はそれを頼りに急いで移動した。そして、ついにこの場所を見つけたのだ。

 

 

「よし、行くか……」

 

 

そう言いながら俺は街の中に入る。文明は都市に比べるとそこまで発展していないがにぎわっていて、活気であふれている。

 

そんな感想を持ちながら俺は近くにいる人に話しかける。

 

 

「あの、すみません」

「ん、どうしたんだ兄ちゃん?ここいらじゃ見ない顔だね」

「えぇ、私は旅をしているのですが、ここを見つけて立ち寄っているのです」

「へぇ、そうかい。それで、何か用かな?」

「はい。こちらに来たのはいいのですが、あまりにも見るのが多くて……。何か、おすすめの場所などはありますか?」

「なるほど。じゃあ、まずは洩矢神社に行ってきな。ここに来たのなら、まずは洩矢様にあいさつしなくちゃな」

 

 

そう言いながらその人は向こう側へ指をさす。その方向を見ると、長い階段が見える。この先に、洩矢神社があるのだろう。

 

 

「なるほど、そうなんですね。早速そちらに向かうことにします」

 

 

それでは。そう言いながら俺はその人から離れ、洩矢神社に向かって歩き始める。

 

 

 

 

 

気づいただろうか。俺は先程の会話を相手にとって違和感なくできていた。つまり、今まで他人から見て気になるような特徴を、現在の俺はしていないのだ。

 

実はこれも特訓の成果である。都市にいたころも多少なら表情の変化はできていた。だが、あれでも無駄に視線を集めていたのだ。体格というのもあるが、赤髪も珍しかったのも原因の一つなのだろう。

 

なので今回は俺の見た目を都市にいたころとはかなり変えることにした。

 

高かった身長は160cmほどまで縮め、髪色は黒に。さらに笑顔なども完璧に表現できるようになっている。空いている時間にひたすらに練習した成果がこれだ。もちろん妖力を出ないよう隠しているので、これなら傍目から見ても違和感がないだろうという自信がある。

 

 

 

とまぁ、そんなことを考えつつ、俺は階段を昇っていた。

 

にしてもまさか気まぐれに訪れた町に洩矢神社があるとは思わなかった。

俺の原作知識が確かなら、この先の神社には間違いなく、あの神がいるのだろう。

 

そう思いながら、階段を登り切る。すると視線の先に、少女が立っていた。

 

 

 

 

 

その少女は小学生ほどの身長しかなく、この辺では見ない綺麗な金髪をしている。その服装は独特で、頭にはこれまた独特な帽子をかぶっていた。

 

 

そしてその少女から発せられる気配。霊力や妖力とは格が違う。とても神々しく力強いものを感じ取ることができる。

 

 

 

間違いない。この少女こそ、この洩矢神社に祭られている洩矢諏訪子なのだろう。

 

 

「やぁやぁ、ようこそ洩矢神社へ。妖怪さん」

 

 

そう彼女は話しかけてくる。そんな言い方だが、彼女から悪い感情は感じられない。少し妙だと思いながら、とりあえずごまかしにかかる。

 

 

「はて、なんのことでしょうか?」

「気づかないとでも思った?まぁ、普通の奴なら気づかないくらいうまくできてるよ。私もしばらく騙されていたくらいさ」

 

 

そう言いながら彼女はケラケラ笑う。ここだけ見ると、本当に年端もいかない少女のようだ。

 

 

「……参考までに、気づいた理由を教えてくれないか?」

 

 

これはもうごまかしきれないな。そう判断し、口調も元に戻す。

 

 

「簡単さ。雰囲気は変えられても、気配までは変えられてない。君の気配は旅人にしてはあまりにも鋭すぎるよ」

「なるほど、参考になった。気配か……」

 

 

そういや見た目ばかり気にしていて、中身とか雰囲気とかは考えてなかった。これは失敗だったな……。

 

 

「で、なにか用かな?その様子じゃ村人を襲いに来たわけじゃなさそうだけど」

「まぁ、その通りだが……いいのか? 俺は妖怪なのだろう?」

 

 

まぁ俺は妖怪じゃないのだが。それでも思わず俺は聞いていた。この神様は、人間を襲う妖怪()が目の前にいるにもかかわらず放置するつもりなのだろうか?

 

 

「みんな気づいてないしいいんじゃない? あの子たちに手を出すなら遠慮なく殺すけど」

「そのつもりはない。俺はただここの人に勧められたから来ただけだ。特に目的はないよ」

 

 

彼女がそういうのに対し、俺は少しゾッとしながら答える。表情こそ笑顔だったが、発せられる雰囲気が一瞬マジだった。

 

 

ああ、一瞬でも油断した俺は馬鹿か? 見た目こそ少女だが、この洩矢諏訪子は土着神の頂点なのだ。もし戦いになるのなら、ここら一帯は無事では済まないだろう。

 

それは避けたいので、ここから離れた方がいいだろう。そう思った俺は、まずは敵意がないことを示すために、口を開く。

 

 

 

 

 

「そうかい。じゃ、旅の話を聞かせておくれよ。茶くらいなら出すからさ」

 

 

だが、諏訪子が言った一言で開いた口から言葉は出てこなかった。

 

 

「構わんが……神にしては態度がやけにやわらかいんだな?」

「そりゃー、あの子たちの前ではちゃんと威厳を出すよ。けど、年がら年中そんなんだったら疲れちゃうじゃないか、ねぇ?」

「俺に聞くなよ」

 

 

思わず右手で頭を押さえる。あぁ、さっきから妙に振り回されているかんじがする。一体どれが諏訪子の素なんだ?

 

そう考えていると急に服を引っ張られる感覚がする。その方向を見ると、諏訪子が強引に俺を神社に引っ張りいれようとしている。

 

 

……これは逃げられないな。そう考えた俺は、諏訪子に抵抗することなく、神社の隣にある家に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこからしばらくの間、俺は諏訪子と話をした。

 

その内容は単純で、諏訪子が質問をして、それに俺が答えるといった感じだ。

 

その中でどこ出身かと聞かれ、何もない広大な荒野だと答えたら諏訪子はかなり驚いていた。

何故か聞いてみたところ、今ではそこは死の大地とよばれているらしい。大昔から存在するのにそこには何もないということで、人はもとより、妖怪や神もあまり近寄らないという話だ。

 

 

……今でもあそこは荒野なのか。あれから何百年と経っているので、あそこも生命にあふれていると思っていた。

 

そんな発見もしつつ、時々俺は逆に諏訪子も質問をした。内容を簡単にいうと現在の情勢だ。

それに対し、諏訪子は素直に教えてくれた。嘘を言ってるような感情は感じ取れなかったので、そう判断しているだけだが。

 

 

 

 

 

そんな話をダラダラとしていると、昼からいつの間にか夕方になっていた。どうやら久々の会話に夢中になっていたらしい。なんだかんだで俺はコミュニケーションを欲していたみたいだな。

 

 

「……もうこんな時間だ。すまんが寝床を探さなきゃいかんのでな、そろそろ俺は行く」

 

 

そう言いながら俺は立ち上がる。

 

 

「へぇ、今日はこの街に泊まっていくのかい?」

「いや、生憎と一文無しでね。適当に野宿しつつ、しばらくこの街を探索するつもりだ」

 

 

これは本当だ。規模だけなら都市以上のこの国には非常に興味がわく。いろいろなところを見て回りたいと思っている。

 

 

 

 

 

「そうか、じゃあここに居候する?」

 

 

彼女はそう、まるで友人に対し『今日泊まってく?』くらいの軽さで俺に言ってきた。

 

 

「……再三聞くようだが、お前何考えてるんだ? どこに妖怪を自分の本拠地に泊める神がいるんだ」

「ここにいるんじゃないか。それに、ちょっと気になることあるし」

「なんだ。別に人間を食うつもりはないぞ」

 

 

全く失敬な。まさか俺が人間を食うとでも思っているのか?ちなみに言っておくが、妖怪と同化したがあくまで俺はフェストゥムなので人から恐れ続けられる必要はない。

 

 

「それだよ。普通妖怪っていうのはさ、人間を食って、恐れられてなんぼでしょ? なのに君は全く襲うそぶりを見せない。そのくせに大妖怪並みの妖力を持っている。まるで、妖怪の力だけを取ったかのようにね」

「…………」

 

 

 

「ま、詮索するつもりはないさ。私が言いたいのは、そんな面白そうな君ともっと話したいってことだよ」

「……物好きだな。いや、もはや変わり者じゃないのか?」

「平凡なんてつまらないでしょ?」

 

 

ニヤリと笑いながら、彼女は俺の返事を待つ。

 

ぶっちゃけ迷った。結局この街を見て回るのだからその中心にあるここに居候するのは悪い話じゃない。それに、彼女からは悪い感情は感じない。

 

 

 

 

 

……ま、下手に断ってナニカされるよりもましか。

 

そう自分に言い訳をし、彼女のほうに顔を向ける。彼女は相変わらず笑顔でこちらを見ていた。

 

 

「よし、わかった。しばらく世話になる」

「うん、これからよろしくね。んじゃ改めて、洩矢諏訪子だ」

竜宮(たつみや)凌平(りょうへい)と名乗っている。よろしく」

 

 

そんなわけでしばらくの間、俺の拠点は洩矢神社となりそうだ。

 

 

 




読んでくれてありがとうございます。

基本的に平日は学校がありますので、更新するのは休日になりそうです。ご了承を。
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