ダンジョンに運だけで挑むのは間違っていると思う 作:ウリクス
「じゃ、アテナ様。俺行ってきますわ」
「行ってらっしゃい」
ステイタス更新もした事だし、さっさと戻ろう。
~聖鳥の泊まり木 個室~
「……クラリス、大丈夫か……?」
「…はい、もう大丈夫です……ごめんなさい……」
どうやら回復したらしい。しかしこのままダンジョン探索午後の部スタート、なんて俺の口から言う勇気は無い。
「その……今日は休め。明日からまた頑張ろう。なんか怠け者みたいな言い方だと思うけど、無茶が一番いけない」
俺もアドバイザーに第一階層から下は禁止されている身だしね。
「エミリア、セリア……今日一杯クラリスと一緒に居てくれ」
「……言われなくてもそうするつもりよ」
「うん!分かったよ!!」
俺はクラリスを背負いデメテル・ファミリアのホームに送り届ける為にオラリオ西側の郊外へ向かう事にした。……うん、デカいッ!そして柔らかい!!何がとは言わないが俺の推測だとEは絶対にあるな!
~デメテル・ファミリアのホーム~
「……しかし何度見てもデカいなぁこのファミリアのホームは」
今俺は門を潜りデメテル・ファミリアのホームの前にいる。
「まだ昼にもなっていないし、ファミリアのホームに来なさいよリーダー。どうせアンタ今日暇なんでしょ?」
「それ賛成!ボク達もリーダーの部屋に入った訳だし、ホームにおいでよ!!」
……と、セリアとエミリアに招待されて結局クラリスを背負ったままデメテル・ファミリアのホームに足を踏み入れる事にした。
「…ってか、部外者の俺がここに入って良かったのか?」
「良いんですよ。ほらその証拠に入って来ても誰も何も言わないじゃないですか……」
しかし落ち着かない。だって周りの人が皆クラリスと同じくらいの女の子なんだよ。しかもこっちメッサ見てるし、ガン見だよガン見。
「……男の人だ……」
「本当だ、鎧と剣差してる。冒険者だ……」
「ってか背負ってる子クラリスじゃない!?それにセリアとエミリアもいる!」
「え!?どういう事!どういう事!?」
「えッウソでしょ!?」
……この空気、何も言えねぇ。ってか彼女達物凄く言ってるんだが。
「……クラリス、コレは一体……」
「多分、男の人が珍しいだけですよ」
「……その、誤解されるつもりは無いんだけど……このファミリアには男はいないのか……?」
「うん、ボク達の見る限りじゃいないよ。でもこのファミリア女性限定じゃないんだよ」
「以前、村に農業の知識と技術を持って帰るためにファミリアに入団してきた男の人がいたって話だけど……本当かどうかは分からないよ。だって見てないんだもの」
男なんてここから門潜ればいくらでもいるだろうが……何で、どうして?
「なんでも、『男の人には興味あるけど……オラリアの男の人達はなんか感じ悪い』とか『男の人とは知り合いになりたいけど…怖い人が多いからオラリオには入りたくない』とか『亜人が嫌いなんだよね……』とか色々だよ。その証拠にあの丸いテーブルの所に居る4、5人の女の子達。リーダーの事警戒しているよ……」
エミリアが耳打ちをしてくる。俺はテーブルがある方をチラッと見る。確かに向こうの丸いテーブルには4,5人の女の子達にジト目で見られている。……地味にキツイな。
「中にはオラリオに行って恋愛を成就しようとしている子もいるらしいけど……あ、ボクはリーダーの事怖くないし感じ悪いって思っていないよ」
「それはどうも……」
「リーダー、ここがクラリスとアタシとエミリアの三人部屋よ」
~ホーム クラリス、セリア、エミリアの三人部屋~
「……クラリスのベッドはここか?……よいしょ!!」
「ご、ごめんなさい……」
「気にすんな。その代わり明日までにちゃんと治して来いよ」
背負ってるクラリスを優しくベッドに寝かせる。
「と言う訳でお前達、明日も同じ第一階層で特訓だ。アドバイザーが降りて良いって言うのはいつになるのか……と言う訳で俺は帰る。……あ、そうだ。コレ今日の稼ぎな、無駄遣いすんなよ!じゃあ後はエミリア、セリア…クラリスの事頼むぞ」
「え~!もうちょっと居ても良いのに……」
「駄目だ、誤解されるってこの状況じゃ……」
「……え、何を誤解されるって~リーダー。もしかしてボク達の事女の子として意識してる~?」
「…………」
ニヤニヤするエミリアにデコピンして部屋を出て扉を閉める。
……外に出ても女の園と言う地獄には変わり無かった。そりゃあもうレベルの高い多種多様の華やかな美少女ばかりだよ。とてもじゃないけど農業の仕事を生業としているようには見えない程に。俺を遠くから見てヒソヒソ話している彼女達はエミリアの言ってた『男の人には興味あるけどオラリアの人は怖いから近寄れない』部類の人なのか。
「ねぇ、彼がクラリスを背負って来た冒険者?」
「そうみたい、何かオラリオの人とは違った雰囲気纏ってるよね~」
「ねぇメアリー、貴女彼に話しかけなさいよ」
「ええ、だったら一緒に話しかけてよアンナ」
「なんか優しそうな感じ出てるよね~」
「……強面じゃ無いから……全然オッケー……本の通りにやれば……行ける……」
「え、リリアン。遂に本と農業以外にも興味を持ったのね!」
「私彼の所に行っちゃおうかな……」
「ちょっとミレイ、貴女もしかして抜け駆けする気じゃないでしょうね」
「…………………」
誰かこの状況を何とかしてくれ、精神がゴリゴリ削れるよ。でも結局、ヒソヒソ声だけでホームを出ても直接話しかけてくる人は誰も居なかった。
「あ~ん、逃がしちゃったじゃない!」
「……本の通りに行こうとしたら……緊張しちゃって……」
「次こそは、絶対に話しかけてやる!!」
「今度来たら同時に話しかけるわよ!メアリー!」
「絶対に抜け駆けしないでね!アンナ!」
……男に飢え過ぎだろ。本当にオラリオの男じゃダメなんですかね?ある意味モンスターより怖いよ。
「……」
しかしデメテル・ファミリアの団員達、思った以上に元気だったな。食べる物が無くなってからもう直ぐ一週間は立つというのに。あの子達が必死に懇願して来るほど切羽詰まっていたはずじゃなかったのか?こう……言い方は悪いが難民の集まりみたいなのを想像していたのだが。
それともあの後、あの子達とパーティが結成した後に誰かが支援してくれたのか?こう、あの子達に食べ物を送ったりとか。ここら辺はもう少し詳しく聞かないとだな。
「……」
兎も角今日の一日はコレで終わった。短剣を買う金もないし、どこかに行く予定もないし、さっきのでダンジョンに潜る気力も削がれちまったよ。
「……帰ろう」
明日のあの子達の特訓に備えて主に精神的に休むことにした
~翌日 オラリオ生活6日目 ダンジョン第一階層~
「……良し、始めろ」
「「「はい!!!」」」
取り敢えず、自分の考えだが。丸一日かけた結果、彼女達の戦闘情報が大体纏まった。
エミリア
長所:ハーフながら小人族だけあって器用と敏捷が高い。白兵戦においても身軽な動きで相手を翻弄して攻撃する。エミリアが攻撃を受けた所は今のところ見た事が無い
短所:攻撃はしているのだが、威力が足りない為か一対一になるとどうしても戦いが長引いてしまう
セリア
長所:弓矢による遠距離戦でも命中率が高く、剣による白兵戦でも非常に安定した戦いを見せている
短所:集中力が無いせいか連戦を重ねる度に弓矢の外れる回数が多くなり剣の扱いも雑になって力任せに振ってしまう所がある
クラリス
長所:強力な貫通魔法と優れた集中力で敵をほぼ確実に風穴にしている。多分この子が三人の中で一番討伐している気がする
短所:精神力を多く消費する魔法なのか、クラリス自身の精神力が少ないのか分からないが
「……良し、今日はこれくらいにしてダンジョンを出よう」
後個人的にだが一つ。俺のスキルに 救済包囲[ムービング・セーフティ] と言うスキル、今でも絶賛発動中な訳だが…俺やあの子達に作用しているかイマイチ実感できないんだ。
~オラリオ生活7日目 昼 ダンジョン第一階層~
「今日は昨日より大分早いが、此処までにしよう」
「え?……あ、はい……」
「今日は早く終わるのね」
今日は俺がオラリオに来て丁度一週間目になる。
「ああ、まぁ……少しね……」
此処で1つ、良い知らせと悪い知らせがある。どっちから言った方がいい?まぁどの道両方言わなければならないし、良い知らせから行こう。
良いニュースは『早くも第一階層の制限を解除された事』だ。と言っても第二階層から第四階層までだけど。
理由が2つある。1つはあの子達の基本アビリティが元々一定まで到達していた事だ。
エミリアが[器用][敏捷]、セリアが[力][耐久]、クラリスが[魔力]
エイナさん曰くモンスターと戦う事の恐怖、ダンジョンの過酷さを学んで欲しかったらしい。
2つ目はパーティを結成しているから。ソロだったらまだまだ第一階層で修行を積まなくてはならないが、基礎アビリティが三人合わせて5つ全部一定まで到達している事だ。
だから三人一緒ならこれ以降に降りる事を許可したらしい。
悪いニュースは……その前に、一つ聞いて欲しい事がある。俺がオラリオに来た初日に商人のおっさんに宿屋、聖鳥の泊まり木に連れられて一週間分の宿泊費を払って貰ったんだよ。俺がわざわざ~オラリア生活〇日目~とか表示していたアレは言ってしまえばタイムリミットである。一週間以内にファミリアを見つけて冒険者になる為の猶予期間だって。
つまり何が言いたいかって言うとだな。……『宿屋の滞在期間が今日で最後』なんだ。
「……今の内に明日から泊まる宿を探さないと……」
~ヘファイストス・ファミリアのホーム~
「……と言う訳で、ヘファイストス様。どうにかなりませんかね?」
「……ごめんなさい。今は本店とバベル支店四階に新商品を並べる為に住み込みで武器や防具を打っているの……部屋が空くのは最低でも今日を入れたら四日はかかるわ……」
「実質三日は駄目ですか……ああ、いや……良いんですよ……アテナ様の所へ行ってステイタス更新してきます……」
~ステイタス更新~
「貴方、昨日は来なかったわね。何かあったの?」
「何かあったから来なかったんですよ
「今何か凄く無礼な事考えてたでしょ!!」
アークボルト=ルティエンス
アテナ・ファミリア
[力]:I34 → I35
[耐久]:I23 → I24
[器用]:I48 → I50
[敏捷]:I34 → I35
[魔力]:I18 →
[運]:I71 → I85
追加スキル無し
そしてこの上がらなさである。そりゃあこの二日間、殆ど戦っていなかったのは認めるけど、コレ確実にあのスキルの悪影響が出ているよコレ!
「ちょっと気分転換に町にでも出て来るよ……」
「行ってらっしゃい。ん~!この唐揚げ美味し~」
「本当にどうしようか……三日だけ野宿ってのも無茶があるよな……現在の所持金……二日間第一階層で稼いで4等分した結果……丁度4500ヴァリス……宿屋って一泊いくらだ?」
ヘファイストス・ファミリアのホームを直ぐ出た所で
「リーダー!」
「やっぱり何かおかしいと思ったら!」
「何か悩み事があるんだったらボク達が相談に乗るよ!!」
お前達、出待ちは良くないぞ。
「……何でもな」
「嘘だ!リーダーがボク達に何か隠し事してる!!」
「正直に言いなさいよ……」
「……私達……そんなに頼りないですか……?」
クラリス、お前の涙目上目遣いは反則だよ。こんなの白状するに決まっているじゃないか。
「……はぁ、いやな……実は俺が泊まっていた宿、聖鳥の泊まり木の滞在期間が今日までなんだ。だから明日から泊まる場所が無くてな……それを探していた所だ」
「何だ、そんな事か。だったらデメテル・ファミリアのホームに寝泊まりすればいいよ!!」
「……は?」
エミリアよ、お前何言ってんだ?
「ボク、ステイタス更新してもらっている時にデメテル様にリーダーの事いっぱい話したんだ。誰にも相手にしてくれなかったボク達を助けてくれた事、リーダーだって駆け出しで自分の事で精一杯なのにそれでもボク達の為にしてくれた事全部話したんだ。だからデメテル様だってきっと分かってくれる筈だよ!!」
「それもそうね、アンタを宿まで行って起こす手間が省けるわ」
「リーダーが同じホームに……嬉しいです!」
いや、お前らもう少し女の子としての自覚をだな……あの女の園にこんな田舎野郎が入ったらどうなるか位分かっている筈だろ?セリア!引っ張るな!!痛い痛い痛い痛い……
~オラリオ西郊外 デメテル・ファミリアのホーム前~
「……来ないと決めてたのに……」
「行くよリーダー!大丈夫!!ボク達に任せて!!!」
「アンタ何ビビってんの?それでもアタシ達のリーダー!?」
「……大丈夫ですよリーダー。手、握ってあげますから……」
ホームの窓を見る、そこには無数の可愛らしい人間や種類の豊富な亜人の女の子達が窓からこちらを覗いている。
「……やっぱり野宿の方がマ」
「「「駄目(です)(よ)(だよ)!!!」」」
いや、お前達何そんなに引っ張てんの?ヤメロヨ、あの窓に映っているのが見えないのか……嘘だろ、あ、ああ……怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いヤメテヤメテヤメテヤメテヤメテヤ_______
アークボルト=ルティエンス
アテナ・ファミリア
[力]:I35
[耐久]:I24
[器用]:I50
[敏捷]:I35
[魔力]:I18
[運]:I85
追加スキル無し
運命体現 [ラック・アルファ]
基本アビリティに[運]を追加する。
[魔力][運]以外の基本アビリティの熟練度が上がりにくくなる
↑あのスキルの悪影響
第一階層を何日もグダグダとやるのもアレですし少し省略しました