ダンジョンに運だけで挑むのは間違っていると思う 作:ウリクス
ファミリアに加入していない無所属の労働者の多くが住居を構え、大規模な住宅街となっている
諸事情で当分はスマホで書きます。
……誤字脱字が更に多くなるんだな……
「アーク……きろ!……たぞ………起きろ!」
「……ん?……何?」
誰かの声が頭に響く。
「何…じゃないだろアーク!着いたんだよ……に!」
「……どこに?」
体が思った通りに動けない。
「どこってお前、セオロの密林に決まってんだろ。さぁ、行こうぜ!『アルヴの清水』を汲みに」
段々と意識がハッキリして見覚えのある顔と聞き覚えのある声が聞こえてくる。
でもやっぱり体は思った通りに動けない。
「……エディ……ヒューゴ……オーウェン……スコット……」
村にいた頃の同い年の友人達が俺の顔を覗き込んで俺を見ていた。
「……あっ」
突然の再会に少し戸惑ったが、せめて何か声をかけようと口を開いた瞬間、友人達の顔が個室の天井に変わった。
~夕方 デメテル・ファミリアホームの個室~
「……あ、ああ?」
……夢か、最近懐かしい夢を良く見るなぁ。まさか三年前の夢をここで見るなんて思いもしなかった。
カーテンを開け、懐中時計を手に取る。
夕日が沈みかけてそろそろ暗くなってくる時間帯だな。
「……着替えましょうかね」
持ってきた鞄の中から衣服を引っ張り出して着替える事にした。
武器:小剣
体:鹿革の黒コート
綿の白いTシャツ
麻の紺色のズボン
豚革のブーツ
デプスアミュレット
久々に鎧以外のものを身につけた気がする。
「このコートからブーツまで、材料を集める所含めて全部ユージュアル村で作られた物だよ」
誰に言ってるかは分からないけど、取り敢えずオラリオに行こう。飯食う場所探さないとだな。
「……それじゃ、行ってきますよ。多分すぐ戻って来るからね」
完全に日が沈む前にオラリオへと向かった。
~オラリオ西部メインストリート~
「……人が多いなぁ」
この時間帯になると屋台が出回る他に酒場に入れるようになる。それもあってかなんか昼よりも人が多く行き交っている気がする……
「……ま、その辺を適当に見て回りまッ?!」
「……ちょっと!何止まってんのかニャッ!!」
うっわマジかよ。いざ、美味しい料理が食べられる店を探そう!って時に後ろから勝手にぶつかっておいて因縁付けられちまったよ。
((キィィィン…))「……あっ」
アミュレットが後ろにいる奴の敵意を感知して共振を始める。それと同時に俺は後ろを振り向かずに全力で後ろの奴から逃げる。
「…アッ!しまった……待つニャッ!!逃げるニャア!!!」
「……ゴメンムリ」
だって捕まったら絶対面倒な事に巻き込まれる未来しか見えないし。
道行く人にぶつからない様に後ろの声の主を撒かないと。
「アーニャッ!ニャにがあったニャッ?!」
「クロエ……それにリューも……聞いてニャッ!あの短髪の茶髪頭がニャーにぶつかって……」
どうやら彼女の仲間と思われる声が僅かに聞こえる。でも声が聞こえるとなるとまだそこまで離れていない、兎に角走らなけれ
「おおっとッ?!!」
「キャッ!!」
路地裏の角から出てきた銀髪のポニーテールをした女の子が飛び出してきた。急に出てこられたものだから止まることができずに彼女の持っていた荷物を吹き飛ばしてしまった。
「……ス、スミマセンッ!!」
「ご、ごめんなさいッ!」
散らばった荷物を手に取り二人で一緒に拾い集める。
あれほど人にぶつからないようにって気をつけたのにどうしてこうなるのか。
「……い、急いでいたもので」
「私も周りを見てなかったですし……お互い様ですよ」
拾い集めた荷物を彼女に渡す。
「あの!コレ……本当にスミマセンでした」
「あ、ありがとうございます」
何事もなく穏便に済ませて彼女の前から立ち去ろうとした時後ろから
「あ、あの!コレ、落としましたよ」
「……え、コレは」
彼女の手の平には小さな魔石があった。アレ?今日のダンジョンで魔石を回収してたのはエミリアの筈だ。今日のダンジョン探索で魔石には指一歩も触れてはいないのだが。もしかして昨日のダンジョン探索で換金し忘れてたか?
「……魔石、ありがとうございます」
「いえいえ、どういたしまして」
可愛らしくニッコリと笑う彼女。
彼女の手から魔石を受け取ると同時に俺の腹がグゥゥっと食事をする様に訴えて始めてきた。恥ずかしい限りだよ。
「うふふっ。お腹、空いてらっしゃるんですか?」
「……面目ない。酒場で食事でもしようと思ったら何か因縁付けられてさ、その人から逃げてたんだよ……」
「まぁっ!それは穏やかではありませんねぇ」
少し考える素振りを見せてから俺の顔を見てまた可愛らしくニッコリと笑う。
「そうだっ!私が働いている酒場で避難と食事を兼ねてしませんか?」
「……う~む」
「……駄目、ですが?」
今度は俺の表情を伺う様に困った顔をして覗き込んでくる。
「……分かったよ、そんな顔されたら断れないよ。それに、闇雲に探しても仕方が無いしね」
「ありがとうございますっ!!では、豊穣の女主人まで案内しますね」
彼女にぶつかった詫びも兼ねて豊穣の女主人と言う酒場に向かう事にした。
~豊穣の女主人~
「……ここか。思った以上にデカイな」
「酒場に入るのは初めてですか?」
「……ああ、冒険者なら一度は入っておきたくてな」
「大丈夫ですよ。そんなに構えないで下さい……ミア母さん、お客様一名入りまーす!」
「ああ、お帰りシル。どこか適当な席にかけてもらいな!」
「はーい、さぁどうぞお好きな席に座って下さい」
「……どうも」
シルと呼ばれた少女に促され中に入る。周りをグルっと見てみると外から見た以上に広く冒険者と思われる格好をした人で溢れていた。
「……これが酒場」
俺も端のカウンター席に座りメニューを開く。えっと、今の所持金が今日の昼飯代を引いて大体6500ヴァリスってところか。
しかし、どれも屋台と比べると格段に高い気がするのは俺の気のせいだろうか?
例えば一番安いと思われるパスタは300ヴァリス、飲み物だって一番安いので200ヴァリスする各種のソフトドリンクだって言うのに、駆け出しの冒険者には少しキツイな。
「……マルゲリータとソフトドリンク1つ……」
「あいよッ!」
ミア母さんと呼ばれている大柄の女性に注文する。
彼女の豪快な返事に少し気圧されてしまった。
「……ッ!」
後ろから突然『乾杯ッ!!!』の掛け声と共に互いを讃え合うかのように酒の入ったジョッキを打ちつける音が聞こえる。その後今日の冒険を各々が語り出し始める。
「遂に11階層に入ったな!」
「ああッ!この調子でガンガン行こう」
「しかし、今日が初の11階層だって言うのに、散々だったよ」
「まさかインファント・ドラゴンに遭遇するなんて思いもしなかったよ」
「全くだ!あんなデカイのが来られちゃ勝てる訳ないってのに」
「そうそう!でもそれ以前にシルバーバックが……」
彼らの言葉に少し耳を傾けてると俺の間の前に何かが置かれる。
完全に意識が彼らの言葉を集中してしまった為に肩をビクッと跳ね上げてしまう。
「お待ちッ!!」
「ッ?!!」
女将が豪快に飲み物と頼んだ料理が乗っている皿をドンッ!っと置く。
ってか料理デカッ!それに思った以上に料理が出来るのが早くないか……気のせい?
「なにビビってんだい?!」
「い、いや……何も」
女将さん、頼むからもう少し優しく置いてください。
「た、ただいまニャ〜……」
「ただいまですニャミア母さん」
「ミア母さん、ただいま戻りました」
「アンタ達どこ行ってたんだい?!さっさと仕事に戻りなッ!」
「はい(ニャ〜…)(ニャ!)」
黒髪と茶髪のキャットピープルと黄緑色のエルフが店に入って来て、持っている荷物を奥に置き直ぐにウェイターの仕事を始める。
なんか聞いたことのある声だと思うけど……ん?
「ニャーッ!!あの短髪の茶髪頭はッ!!」
「……ん?」
後ろを振り向くと茶髪のキャットピープルの子がツカツカとこっちに近づいてくる。
「おミャーのせいでニャーはどれだけ」
「貴女は黙っていてください」
「ぶニャッ!!」
横からエルフの女性が目で追えないほど速い拳を彼女に飛ばす。
「……お客様、うちのバカ猫がお騒がせしてスミマセン」
「あ、いや……別に気にしてませんよ」
「直ぐにこちらで片付けますので」
「リューッ!はニャせニャッ!!」
リューと呼ばれた女性はキャットピープルの首根っこを掴み引きずりながら店の奥へと入っていった。
「……ッ!」
ハッと気がつとマルゲリータが冷め始めていた。まだ暖かいうちに俺はこの料理を平らげて店を退出する事にした。
「えっと……マルゲリータが400ヴァリス、飲み物が200ヴァリスだから600ヴァリスか……ハイ」
「ありがとうございましたッ!!また来てくださいね!」
「……もう少し稼げる様になったらな」
俺はこの店に連れてきてくれた子に支払いを済ませて退出する。立ち去る間際に
「あ、あの!……名前、教えて下さい。私の名前はシル、シル=フローヴァ。この酒場の従業員です」
「……アーク、アークボルト=ルティエンス。まだまだ駆け出しの冒険者だよ」
「はいっ!また来てくださいね。アークさん」
「また……な」
さっきも言ったけど、もう少し稼げる様になったらな。
俺はさっさとデメテル・ファミリアホームに戻る事にした。その前に換金しよう。
「あいよ、300ヴァリスだよ」
「……どうも」
夜でも相変わらず愛想のない声で換金してくれる。ギルドって意外と夜遅くまでやってんだな。
〜ホーム アークの個室前〜
「……ん?」
俺の部屋の前にはあの子達が座って待っていた。
彼女達から何かドンヨリとした空気が流れてくる。アレは何か厄介事を抱えて来って所か。
「……あ、リーダーおかえり……」
いつも通りのクラリスだな。
「おかえり、思ったよりも早かったわね」
セリアも特に変わった所もないな。
「……おかえり」
今度はエミリアか。また一体何をやらかしたんだ?
一応聞いてみる。
「……何か、あったのか?」
「ええ、ちょっとこのバカがね」
「ほら、エミリア。ちゃんと正直に言わないと……」
「……リーダー……ごめんなさいッ!!!」
「……ん、コレは?」
エミリアが何かを差し出して来た。彼女が持っていたのはゴブリンのだと思われる小さい魔石とコボルトの爪だ。
「魔石とドロップアイテムじゃないか……どうしたんだこコレ?」
「実は……」
〜夕食前の食堂〜
デメテル・ファミリアはの食事は朝と昼は別々にだが、夕食の時だけはファミリア全員が集まって食事をするのが決まりだ。そんな中
「エミリアッ!今日もダンジョン潜ってきたの!?怪我はなかった?」
「クラリス!まさかあなたが冒険者になるなんて思いもしなかったわ!」
「どちらかというとセリアは戦いの方が向いているところがあるしね」
エミリア、クラリス、セリアの三人はデメテル・ファミリア初の冒険者として有名になっていた。
だから毎日ファミリアの全員が集まる夕食の時は毎日の様に彼女を囲む。
「勿論!これが魔石だよッ!!後ドロップアイテムも持ってきたよッ!!!」
「ちょっとエミリアッ!アンタ何してんのよ!!」
「エミリア……それは」
エミリアのポケットから1つ小さな魔石と爪を取り出す。
セリアとクラリスの言葉を遮るように感嘆の声が上がり、一目間近で見ようと一気に密度が狭くなる。
「今日のダンジョンでボクがゴブリンを倒した時に落とした魔石とコボルトのドロップアイテムなんだ……」
普通の冒険者なら鼻で笑う様な話だが、ダンジョンとはかけ離れた彼女達を刺激させるのに十分な話であった。
「凄いわエミリア!」
「本当に冒険者になってたのね!」
「噂だけだと思っていたのに」
「……いやぁ、それほどでもないよぉ。コレも全部リーダーのおかげだから……エヘヘ……」
周りからの賞賛の後にセリアとクラリスから折檻を受けるなんてこの時思いもしなかっただろう。
「……つまり冒険者になった証拠を今日自分で稼いだ魔石とドロップアイテムを同僚に見せたかったって訳だな?」
「……うん、そうだよ。だからボクは今日魔石やドロップアイテムを拾うって言ったんだ」
エミリアの気持ちが良く分かる。
それだけに怒るに怒れないんだよなぁ。
「……はぁ、言ってくれりゃそれくらいは別に良かったのに」
「……え、良いの?リーダー……」
「そうよ!勝手にちょろまかしたのに甘すぎよッ!コイツ、また調子に乗ってやらかすかもしれないのにッ?!」
「……盗むつもりはなかったんだろ?クラリスもセリアも、コレくらいで目くじら立てて怒るな」
それに、その調子に乗るエミリアを俺が言う前にセリアとクラリスがいつも通り阻止するんだろ?
俺はエミリアの手の平を、持っていた魔石とコボルトの爪を握らせるように両手で包む。
「……エミリア、それはお前にやる」
「えっ?でもボク……」
「その代わり、明日もダンジョン探索で魔石とドロップアイテム拾ってもらうからな……」
「……うん……うん!分かったよリーダー!!」
「と言う訳でだお前達。この話は終わりだ。今日はもう休んで明日から頑張ろう」
「「「……はい、リーダー……」」」
俺は個室に入り寝間着に着替え、就寝することにした。俺の価値観かもしれないけど、オラリオに来てから村にいた時よりも1日が長く感じてしまうのは気のせいだろうか?
セオロの密林
アルヴ山脈の麓に位置する密林
ユージュアル村から馬車で1時間かかる
アルヴの清水
アルヴ山脈から採水される氷水。エルフに好まれている
俺のスマホの画面が小さすぎて超書きにくい……