ダンジョンに運だけで挑むのは間違っていると思う   作:ウリクス

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ギルド

オラリオの運営から冒険者登録、魔石の売買、ダンジョンに関わる情報の公開まで幅広く取り扱っている一大組織

冒険者なら必要不可避の存在

主神が中立を主張している為か冒険者とファミリアの間に起こる問題は例外を除き一切関与していない

主神はウラノス




第19話 冒険者始めました(結成!デメテル・ファミリア冒険者チーム編)

~デメテル・ファミリア個室~

 

時刻は昼が過ぎ、丁度午後に差し掛かってきたって所だ。

もっと正確に言えば町の人が喫茶店でおやつを食べながら談笑している時間帯だ。

 

「……ん?」

 

デメテル様から一週間の滞在延期の許可を貰い、安心して個室で休憩していると何やら部屋の外が騒がしくなってきた。

まぁ、多分俺には関係ない……って思った瞬間に誰かが俺の部屋の前に立ち扉をコンコンッとノックする音が聞こえる。

 

「アークボルト様、いませんか?」

 

ああ、この声と喋り方はフローラだ。

 

「……フローラだよな。どうした?」

「はい、フローラ=カーライルです。名前を憶えて頂き大変恐縮です。それより、デメテル様から伝言を預かってきました。『応接室に来るように』……と」

「……分かった。直ぐに向かうよ」

 

俺が扉を開けるとフローラが立っていて挨拶と言わんばかりに頭を少し下げてくる。

 

「それでは、応接間へ行きましょうか」

「……ああ」

 

彼女の後についてデメテル様の待つ応接室に向かうことにした。

 

「……フローラ、さっきからホームが騒がしいんだが、何かあったのか」

「耳障りでしたらか?……だったら申し訳あ」

「いやいや、そう言う訳じゃないんだ。ただ気になってな」

「……そうでしたか。大丈夫ですよ、そのことも含めて今からデメテル様が話してくれますから」

 

デメテル様は一体何をするつもりなんだ?

 

 

 

~応接室~

 

「いらっしゃい、待ってたわよ」

「……失礼します」

「では、私はこれで」

「フローラ、せっかくだから貴女もそこに座りなさい」

「……分かりました」

 

彼女が俺の隣に座る。

 

「さて、これから話すことはかなり重要な話だから、しっかり聞いて頂戴」

「……はぁ……」

 

いつもはおおらかな人だけど、今は真剣な目で俺を見ている。

 

「それで、真剣な話とは一体何なのでしょうか?」

「……そう急かさないの。ちゃんと話すから」

 

そして少し間を開けて彼女が口を開く。

 

「実は……私のファミリアは商業系がメインだけど、『冒険者になることを許可する』ことになったの!あ…誤解して欲しくないけど、ファミリアの団員の中で希望する人だけだから、その気がない人は普段通り農業に力を入れて貰うわ」

「……そう、ですか……はぁ……」

 

真剣な顔からいつものニコニコした顔に戻る。

まさかデメテル様の気が変わってホームを追い出されるかと思った。

神は気まぐれな人が多いって話だからね。

デメテル様に限ってそんなことはしないと思うけど。

 

「んもうっ…何よアーク君っ!もう少し驚いてくれても良いじゃないの!!」

 

打って変わって、デメテル様の顔がプクッと膨れる。

おおらかな人だけど、結構お茶目なところもあるんだな。

 

「いや、何と言ったらいいか……その……」

「男の子ならハッキリと言いなさいっ!」

「いや……それはデメテル様個人で決めたことじゃないんですよね?」

 

デメテル・ファミリアは商業系のファミリア。冒険者になりたいのであればまず縁がないファミリアである。

探索系のファミリアなら他にも沢山あるからな。

そのファミリアに入れるかどうかは別として。

 

「勿論、私個人で決めたことじゃないわ。この話はファミリアの幹部、行ってしまえば現段階での最年長者全員と話し合って決めたことなの。」

「……そう、ですか……しかしなんで急にそんなことを決めたんですか?」

「昨日定期的にファミリア内で行われる会議で最年長組の一人が『このファミリアにも戦力が必要だ』って、意見が出てきたの……あの凶作のことを想定してね……」

「あの凶作、あの子達が言ってた長雨と洪水、そして賊の襲来のことですか?」

 

あの子達がファミリアか飛び出して冒険者になったきっかけになった事件か。

 

「そうよ、新期の子供達はそこまでじゃないと思うけど、年長組はあの事件のことで凄くピリピリしているわ。その意見に他の子達も満場一致で賛成して決まったことなんだけど……」

「……だけど?」

 

彼女は手を頬にあてながら困った顔をする。

 

「やっぱり心配なのよね子供達がダンジョンに潜るのは」

「そう……ですか」

 

まぁ、確かに第一階層に足を踏み入れた時点でモンスターとの命のやり取りが始まるからな、心配になるのも分かる。

 

「あの子達だけでダンジョンに潜るのが心配で心配で……」

「……はぁ……」

「誰か一緒に潜ってくれる人がいるとすごく安心よね……あと彼女達に色々と教えてくれるとありがたいわ」

 

デメテル様、かなり人望ありそうだから一人や二人、見つかるでしょうに。

 

「そんな人がいればすっごく安心するんだけどな~」

「……?」

 

なんでこっちをチラチラ見て来るんだ?

 

「特に男の人だったら彼女達もやる気出るんじゃないかしら~あ、でも苦手って子もいたわね」

「……」

 

まさかこの()……!

 

「一緒に暮らしている訳だからそのまま一緒にダンジョンに行けるから手間も省けるし」

「……デメテル様、まさか俺をその一緒に潜ってくれて色々教えてくれる人って言うんじゃないでしょうね……」

「あら、良く分かったわね」

「……はぁ……」

 

マジで言ってんのかよこの人。

いや、神様か。

 

「言っときますけど、俺も冒険者になって十日くらいしか経っていなんですよ!まだ駆け出しも駆け出し……良くもまぁそんな人に頼めるモノですねデメテル様ッ!!」

「だ、ダメかしら……」

「ダメです、冗談じゃありませんッ!コレは女性が苦手云々とかそんな問題じゃあり」

「デメテル様デメテル様!この話は本当なんですか!?」

 

俺の言葉を遮るように女の子達が応接室に入り込んでくる。

あれは確か……モニク……だったっけ?

彼女が一枚の紙をデメテル様の前に広げて

 

「特に最後に書かれている『今なら特別講師としてアークボルト=ルティエンス君が教えてくれるよ』ってッ!!」

 

目を輝かせて聞いてくる。

 

「……モニク、ちょっとその紙を見せてくれるかい?」

 

彼女から一枚の紙を受け取り目を通す。

 

 

 

 

 

~デメテル・ファミリアの知らせ~

 

今月の会議で話し合った結果、今日よりファミリア内において冒険者の志願を許可します。

 

理由は今年の収穫祭の前に起きた賊の襲来を考慮して、我々も戦力を持たないとダメだと判断したからです。

 

護衛を雇うという意見もありましたが、雇うコストや外部からの人間をファミリアの敷地内に入れる危険性を考慮して不適切だと判断しました。

 

勿論、希望する気のない人はいつも通りファミリアの農場を再建する作業をして下さい。

 

希望する方は書類を持って事務の方まで持って来て下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今ならリーダーこと、アークボルト=ルティエンス君が特別講師として色々と教えてくれるよ!

チャンスは今しかないっ!

 

 

 

 

 

「……」

 

下に書かれている所、明らかに書いてる人違うよね?

これ絶対デメテル様が書いたでしょコレ!?

 

「あら、本当よ。アーク君が色々教えてくれるわよ」

「「「「「「「「やったああああああああああああ!!!!!」」」」」」」」

 

彼女達が歓喜の声を露わにして抱き合う。

 

「アタシやりますっ!冒険者になります!!」

 

モニクが最初に大きな声でと宣言した。

それに続くように他の女の子も

 

「……私も……冒険者に……うふふ……」

「「私たちもっ!!双子の力でモンスターなんかやっつけてやるよっ!!」」

「モニクが心配なので(わたくし)も微力ながら冒険者に志願します」

「モニクとララが冒険者になるって言うんなら、私達も名乗り上げなきゃだねッ!」

「ちょ、ちょっと!?本気でやるのヘンリッタ!?」

「勿論ッ!!……で、ミレイはどうするの?」

「……や、やるわよ!ダンジョンだろうがモンスターだろうが……や、やってやろうじゃないの!!」

「うんうん!それでこそ心の友ッ!!」

 

「ちょっと待ちなさい貴女達!アークボルト様が困ってるじゃないの!!」

 

フローラの声が応接間に響き渡る。

そうだ、さっきまで俺がデメテル様の提案を拒否していたのを知っているんだ。

彼女なら今の状況を……俺が拒否したことを伝えてくれる筈。

 

「今度は賊に奪われない為に戦力を導入する。デメテル様と、幹部全員の言いたいことは尤もです。ですが貴女達が冒険者になればアークボルト様以外誰がまとめるのですか?アークボルト様だってここでずっと暮らすわけじゃないんですから……」

 

おお、さすがは第7班と第8班のまとめ役。

ハッキリと俺の言いたいことを言ってくれる。

良いぞフローラ!この調子で言っ

 

「だから私も冒険者になりましょう。貴女達をまとめる為に」

「……えっ?」

 

……え?

……………………………えっ?

 

「では改めて……ご指導、ご鞭撻、宜しくお願いいたします。リーダー様」

「……お、おう……」

 

裏切ったなフローラあああああああああああッ!

そこまで言っておいてお前もかあああああああああああッ!!

っと怒りを込めた目でフローラを睨みつける。

 

「……」

 

彼女が俺に申し訳なさそうな目でこちらを見てくる。

『御免なさい、貴方のご期待に応えることができませんでした……』みたいな目で。

その後に

『でも、この瞬間だけは自分にも……仲間にも嘘は吐きたくなかったんです』

みたいな悟った微笑みをこちらに向ける。

 

「では、早速事務の方に書類を提出してギルドに向かいましょうか」

「「「「「「「おーッ!!!!!!!!」」」」」」」

 

フローラの一声と共に俺とデメテル様を残し全員が退室する。

 

「……」

 

今更ながら俺も悟った、コレもう何を言っても絶対にやらないといけないパターンだと。

……腹、括るか。

 

「デメテル様……本当に俺で良いんですか?さっきも言ったけど、俺も……エミリアもクラリスもセリアも駆け出しなんですよ?そんな人間があんな大人数を指揮なんてできないですよ……」

「あら、心外ね。私はそんな心配はしていないわよ?」

「……なんでそう言い切れるんですか?」

「特に根拠は無いわ、強いて言えば。神としての直感……かしらね」

「……そうですか、分かりました。あそこまで言われたんだ。俺もやれるだけやってみますよ。じゃあ、俺はギルドへ行って彼女達の様子でも見に行ってみます」

「……ふふふ、行ってらっしゃい」

 

応接室を退出して彼女達の様子を見る為にギルドへ向かおうとした時後ろから

 

「……」

「あ、あの……リーダーさん」

「……ん?」

 

っと声をかけられる。

えっと……確か……エマって子だな。

後ろの柱から少し顔を覗かしているあの子は確か……ドロシーって子だったな。

 

「どうしたんだ?」

「実は私達も皆と一緒に冒険者になりたくてギルドに行こうとしたんですけど……出遅れてしまって。私達もこれからギルドに向かうつもりなんですよ。あの、……それで、お願いがあるんですけど」

「何だ?」

「一緒にギルドに来てくれませんか?私達だけじゃ不安で……」

 

いや、別にそれくらいなら俺がいなくても出来るような気がするのだが。

まぁ、ついでだし連れて行くか

 

「……ああ、そういうことね。今からギルドに行って彼女達が無事に冒険者登録が出来ているか見に行く所だったんだ。一緒に来るかい?」

「は、本当ですかっ!?ありがとうございます!ドロシー、行こう!!」

「……う、うん」

 

気を取り直して、彼女達を引き連れてギルドに向かうことにした。

その道中に

 

「しかし、何で冒険者になろうって言い出したんだ彼女達は?農業をするためにデメテル・ファミリアに入ったんじゃ無かったのかよ?」

 

っと愚痴を言う。

 

「……本当はみんな、………………………………ですよ……」

「ん?エマ、何か言ったか?」

「いえいえ!何でもないですよ!!早くギルドへ行きましょう」

 

エマが誤魔化すように笑顔で話しかけてくる。

 

ドロシーが一瞬だけ暗い顔をしたのは気のせいだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

「……着いたぞ、ここがギルドだ。冒険者になるんだったらここの行き来は必須だから一人でここに来れるようにしとけよ……ん?」

「あ、リーダー!」

 

見ると受付の窓口でせっせと書類を書いている女の子……確かヘンリッタって子の横でエミリアがエイナさんと話をしていた。

そして俺を見つけると同時に駆け寄ってくる。

 

「エミリア、来てたんだな」

「うん!セリアもクラリスもいるよ。書類を書き終わった子にダンジョンやモンスターの勉強を教えてるんだ!!」

「で、お前は?」

「ボクは……しょ、書類の書き方を教えてる……かな」

「嘘つけ、思いっきり横でエイナさんと話してたじゃねぇか」

「あ、あはははは……」

「……はぁ、ドロシー、エマ、お前達も冒険者登録をしてきなさい。その後に武器の貸し出し、その後は勉強会が待っている。まぁそんな難しいことは言わないと思うから気楽に行け」

「あ、はい」

「……分かりました」

 

彼女達も受付嬢の前に立ち冒険者登録の手続きを始める。

 

「……これで全員みたいだな、俺はそろそろ帰るよ」

「あれ?リーダーも手伝ってくれるんじゃなかったの?」

「俺は様子を見に来ただけだ。それに、これ俺がいる必要性無いだろ」

「えーっ!良いじゃん、もうちょっとここにいてよぉ」

「良いじゃないあー君」

「いや、仕事しなよ……ってか後ろから出て来ないでよミィシャちゃん……」

 

結局ミィシャちゃんとエミリアに引き止められて皆の訓練が終わるまでここに待つことにした。

まぁ訓練って言ってもそんな難しい訳でも、遅くなるモノでも無いらしいし……それくらいだったら待つよ。

 

「ねぇミィシャちゃん……」

「何、あー君?」

「……何でもない」

 

今更だけど神相手には『様』をつけてるけど、何でエイナ『さん』とミィシャ『ちゃん』で、それ以外は全員呼び捨てなんだろうか?

いや、どうでもいいと思うけどさ。

 

「あー君、ダンジョン探索は上手くいってる?」

「……まぁまぁ……かな。早く第5階層に行きたいよ」

「ステイタスの方はどう?」

「……特に尖った所もなく、平均的だよ平均的」

 

はい、ゴメンナサイ……嘘をつきました。

ってか運がよく伸びていますなんてカッコ悪くて言えないよ。

っとまぁそんな他愛のない雑談をしていたら気が付いたらもう日没、スッカリ空が真っ暗闇に染まっていた。

結構時間かかったな畜生。

 

「おお、全員終わったか。俺屋台で夕食を済ませるから先に帰ってくれ」

「はーい!みんな、ホームに帰ろう!!」

「そうだ、フローラ。明日の朝武器を持ってホームの外に集合って言っておいてくれないか?ダンジョンに潜る前に色々と話し合いをしておきたい」

「……はい、分かりました、みんな!このままだと夕食に間に合いません!!急いで帰りましょう!!!」

 

早足で彼女達がゾロゾロとホームに帰っていく。

俺もさっさと夕食を済ませて帰ろう。

 

 

~デメテル・ファミリア個室~

 

「……はぁ……」

 

夕食を適当に済まして帰って来た。

明日の事が気になって落ち着かない。

エミリアは『気楽にいこうよ気楽に!』……とは言うけどあの大人数で、しかも全員女の子。

もしも何かあったらと思うと不安で仕方が無かった。

 

「……寝ないと、だな」

 

明日はいつも以上に体力を使う、だから早く寝ないと。

俺は寝床に寝転がり目を閉じることにした。




やっぱりパソコンの方が書きやすい

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