ダンジョンに運だけで挑むのは間違っていると思う   作:ウリクス

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目標

アーク君を入れてくれるファミリア探し

サブ目標

オラリオの生活に慣れろ







第2話 まだ冒険者じゃない(主神探し編)

「……はぁ……」

 

おはようございます、今日から本格的に俺を入れてくれるファミリアを探そうと思います。でも今の気分は最悪です。何故かって……?

 

「……oh……」

 

昨日の手紙の意味が分かったんだよ。あんな露骨な改行されたら嫌でも分ってしまう……

 

「つまりアレだ。あの三万ヴァリスと新品の鎧と剣とその他諸々は俺に対しての手切れ金って奴なのか。」

 

 

……ああ、クソッ!考えたって埒が明かない。兎に角今しなくてはいけない事は、俺を入れてくれるファミリアを探すことだけだ。

 

それに、オラリオに来て二日目でユージュアル村に帰える、何て事は毛頭無いけどね。俺は観光しに来たんじゃ無い、冒険者になりに来たんだ。

 

それに、商人のオッサンはもう居ない、此処はもう村じゃ無い…オラリオだ!一人で生きていかなければならないんだッ!!!

 

昨日みたいなミアハ様に所の『……ヨ、ヨロシクオネガイシマス……』とかギルドの『……アアアアア、アノ……スミマセン……』みたいな情けない様はもう見せん!……多分!!

 

「……行こう……怖いけど……」

 

革の鎧を纏い、二本の小剣を腰に差しドアを開ける……勇気出せ俺……!

 

~聖鳥の泊まり木 ロビー~

 

「……おはようございます……」

 

「ああ、おはよう。昨日はよく眠れたかい?あの人なら一時間くらい前に宿を出て行ったよ。」

 

ナイスミドルのエルフのオッサンがこれまたナイスな笑顔を向けてきた。

 

「……朝ごはん……お願いします……」

 

「あいよ!ところで、今日は加入するファミリアを探しに行くのかい?」

 

「……はい。……直ぐには入れないと思いますが……」

 

実際のところ、こんな余所者の田舎者が、一日二日でファミリアに入れてくれるとは思えない。

 

「ヘファイストス・ファミリアなんてどうだい?あそこは大手ファミリアだし、新人の面倒も見てくれると思うよ。後は小規模ながら活躍しているタケミカヅチ・ファミリアも訪れてみてはどうだろうか?」

 

「……ヘファイストス……」

 

聞いたことがある。村に居た時に鍛冶屋の人が良く言っていた単語だ、ヘファイストスって神様の名前だったんだ。……タケミカヅチって神様は聞いたことは無い。

 

「……やるだけ、やってみます……」

 

「応、何事も挑戦だ若者よ。さぁ、できたぞ!」

 

「……頂きます……」

 

若者って言ったって俺もう23なんだけど……。

 

~北東部 ヘファイストス・ファミリアのホーム 受付前~

 

「……すみません。ヘファイストス様はいらっしゃいませんか?……はい、ファミリアの加入希望です。」

 

勇気出せ俺、勇気出せ俺、勇気出せ俺……

 

 

「………」

 

素敵な笑顔で対応してくれた女性が奥の部屋に行く。それから五分も経たずにこれまた笑顔で戻って来て、奥の部屋に入るように促されるままに奥の部屋に入る。

 

「こんにちは、どうぞ座って。知っていると思おうけど、私の名前はヘファイストス。主に鍛冶を生業にしているわ。それで、貴方が私のファミリアに加入を希望する人?」

 

赤毛で顔の右半分を布か何かで隠している綺麗な女性が座っていた。とてもフレンドリーな印象を受ける。

 

「あ、剣をお預かり致します。」

 

受付嬢に二本の小剣を手渡し彼女の前に座る

 

「はい…名前はアーク、アークボルト=ルティエンスです。昨日ユージュアル村と言う村からやってきました。」

 

少し考えるような顔をした後、俺の全身を眺めるように見てきた。……不安になるような事はやめてくれよ……

 

「…ふむ、ねぇ貴方。剣を少し見てもいいかしら?」

 

「あ、ハイ。勿論です。」

 

受付嬢から二本の小剣の入った鞘を受け取り、鞘から剣を抜いた瞬間、彼女の顔が真剣になった。剣先から柄まで余す所無く凝視してさおに鞘に戻し、もう一本の剣も同じく余す所無く凝視して鞘に戻す。そして彼女が突然

 

「貴方、この剣と鎧、何処から手に入れたの?」

 

「あ……あ、ハイ…ハイ!この鎧と剣はユージュアル村で作りました。多分その素材も村の周辺から採られていると思います。村の少し離れた所に山があって其処には鉄鉱石の鉱脈が幾つかあって俺も何回か掘りに行った事があります。この鎧だってその山の野生動物の革で出来ていると思います。」

 

武器を見る彼女の目に威圧されてしまった。

 

「……貴方が村に居た頃の事、詳しく聞かせてくれる?」

 

「ハイ!俺はあの村で生まれ、23年間あの村で……」

 

俺は村での事を記憶の許す限り話した。あの村で生まれそして昨日まで居た事。元冒険者の旅商人に出会って冒険者になろうとした事。村に居た時の事思いつく事全部、途中で思い出話になってしまった気がするけど……

 

「ありがとうでも、でも貴方をうちのファミリアにする事はできないわ。ごめんなさい」

 

彼女が申し訳なさそうに言ってくる。……途中から思い出話になったのが癪に障ったのかな……なんて失態ッ!!

 

「……あ、いや。その……時間を割いてくれてありがとうございました……」

 

剣の入った鞘をを左右の腰に差して頭を下げて退出する。

 

~北東部 メインストリート~

 

「……ダメかぁ……やっちまったな……。わかってた筈だ。一日二日じゃ無理なのは……」

 

次は確か……タケミカヅチ・ファミリアだっけ……行ってみるか……

 

~タケミカヅチ・ファミリア~

 

「本当にスマンッ……」

 

「……」

 

そしてこの瞬殺である。

 

いや、別に何か変な事言ったって訳じゃ無いよ?ファミリアに入れてくださいって言った直後にこの大柄の特徴的な髪の男性に頭を下げられて手を合わせられているからな

 

「……」

 

この神様、タケミカヅチ様の言葉を要約すると、彼のファミリアは小規模…所謂零細ファミリアでこれ以上の人員を増やす余裕は無いそうなのだ。まぁ確かに小さかったな。実際見つけるのに時間かかったし。そしてこの神様、これからバイトに出かけるらしい……神様も……バイトするんだな……

 

「……いや、良いです。時間を割いてくれてありがとうございました」

 

俺もタケミカヅチ様に倣って頭を下げて退出する。その際彼のファミリアの団員だと思われる彼らの気の毒な人を見るような視線が……とても精神的にきた……

 

~オラリオ北西部~

 

「……しかし、上手くいかないな……」

 

まぁ、焦らずゆっくり行こうじゃないか。こればっかりはどうしようにも無いしね。村に居た時に割り切っていたから断られること自体には差ほどショックではない。

 

「……此処が冒険者通り……」

 

ギルドを含め武器や道具屋酒場など、冒険者なら日常的に通る場所だ。予想はしてたけど、人が多なぁ……それでもこの場所は覚えておかないと……ん?

 

((キィィン…))「……!!とうとう来たかクソがッ!!!」

 

金品を手の届かない服の奥の方に隠して、後ろを向き誰がとぶつからないように全力で走りこの場から去る。……後ろの方で『…ッチ』と舌打ちが聞こえたような気がする……

 

~北部 露店通り~

 

「……ハァ、ハァ……」

 

ここまで来ればもう大丈夫だ。人も冒険者通りよりは多くないし。金品、その他諸々の確認。……大丈夫だな。

 

「……よし!……」

 

まぁ……多分アレはただのスリだな。

 

俺が常に首に下げているコレ、前に俺が商人から貰ったて言う首飾りで名前はデプスアミュレットって言うんだけど、一言で言ってしまえば身に着けている人の危険を知らせてくれる魔道具だ。村に居た時はあんなに役に立たなかったのにな……

 

「此処はえっと……北部の屋台通りか。」

 

地図を広げて場所を確認する。商人のオッサンがくれたこの地図、メッチャ分かりやすいな。当分は世話になります。

 

「……しかし腹減ったな……」

 

鞄を探り懐中時計を手に取る、もう少しで一時を回るところだ。……完全な昼だな……

 

「……ん?」

 

……ジャガ丸くん?なんだそりゃ?……偶々視界に入った屋台の商品名がやたらと特徴的だったので今日の昼食はコレにすることにした

 

「……えっと、ジャガ丸くん、(30ヴァリス)小豆クリーム(40ヴァリス)を一つ。」

 

「はーい、少々お待ちください!」

 

元気よく返事をして作業に取り掛かる女の子もまた特徴的だった。所々露出した白い服と薄ピンクのエプロンをかけた小さな女の子がいた。首元と髪には青いリボン、そして頭には触覚みたいなのが生えてて先っぽになんか良く分からない物が二つ付いていた。

 

「……」

 

彼女に70ヴァリスを渡してジャガ丸くんの作る工程を見る。

 

「……」

 

非常に簡単な物だった。ジャガイモを潰して、中に調味料を入れて形を整えて小麦粉→溶き卵→パン粉の順に潜らせ熱した油で揚げると言う物だった。

 

「お客さん、ジャガ丸くんがそんな珍しいですか?」

 

「ッ!!!」

 

突然話しかけられた。いや、そりゃあこんなに凝視してたらそりゃあ……怪しいけどさ。

 

「……い、いや……オラリオにあるもの全部が珍しいですよ。俺みたいな昨日オラリオに来た田舎者には……」

 

何に反応したのか、彼女の二つに分けられた髪がピョコンって跳ねて

 

「へぇ!その話詳しく教えてくれよ!」

 

身を乗り出して聞いてきた……急に態度がフランクになったな……いや、全然構わないけど……

 

「……俺はオラリオから東に進んだところにあるユージュアル村ってところで生まれて……」

 

この下りから全部、ヘファイストス様と一言一句同じ事を喋った。それに付け加えて、俺を入れてくれるファミリアを探している事も……しかし今日はよく喋るなぁ。多分俺の人生の中で一番の多く喋っている気がするよ

 

「フンフン、君の事情は分かった。君さえ良ければボクの「キャアああああああ!!!!ヘスティアちゃん!!ちょっと来てくれるかしら!!?」……あ、はい!!」

 

突然彼女の言葉を遮るように年配の女性の叫び声が聞こえてくる、それに反応して彼女は店の奥に引っ込むんだ後……

 

「へ?ギャアアアアア!!!」

 

「……」

 

忙しそうだから日を改めて来よう……

 

 

~ヘファイストス様の評価~

 

アークボルト(arkbalt)ルティエンス(ltyens)。昨日冒険者登録を終えたばかりの冒険者。ヘファイストス様は彼をどう思いました?」

 

「…田舎で伸び伸びと育って来んだなって印象ね。」

 

「でもあの顔で23歳は予想外でしたよ!もし彼が嘘で『17歳です!』って堂々と言ってたら絶対信じてましたよ。」

 

「まあ、確かに私も堂々と言われたら信じているわね……それよりも、気になったのはあの革の鎧と二本の小剣(カットラス)よ。」

 

「え?もしかして何か特別な剣と防具だったりしたんですか?」

 

「いいや、言ってしまえばアレは何の変哲の無い剣と鎧よ。でも質が良すぎる…昨日今日冒険者になったばかりの初心者が買えるような代物じゃないわ。嘘じゃないのはわかるけど、どうしても引っかかったのよね……でも」

 

「でも?」

 

「一番の理由は、彼が人を無意識に怖がっているところよ。」

 

「そうですか?確かにヘファイストス様と話している時の彼、少しオドオドしていましたけどそこまでは……」

 

「いいえ、貴女は彼の後ろにいたから気づかなかったけど、何度話しかけても彼は私の目を見ずにずっと目線が泳いでいたわ。」

 

「確かに受付で彼と話した時に目が合いませんでしたね……」

 

「それに私が話しかけただけで動揺している様にも見えたわ。例え話だけど、仮に彼がパーティを組んで迷宮に入ったとする。それで一々話しかけただけで動揺してたら、パーティの士気に関わるし、それで何かの拍子で危機的状況に陥ったら彼は確実に『パニック』を引き起こす。そのままパーティの隊列を壊し一人で何処かへ突っ走る。それが出口に向かっているのなら良いんだけど、更に下層へ降りて行ったら……」

 

「それを追いかけて行ったパーティも最悪全滅もあり得る……ですか。」

 

「そう言う事よ、私はそんな理由で私の眷属(子供)達も、周りの冒険者たちも、彼も死なせたくないの。……だから私は彼の加入を断った。」

 

「……」

 

「……もし、私の眷属の中に彼のような子を受け止めてくれるような子がいたら……加入も考えていたかもしれないわね……それ以外は割と好青年だしね」

 

「……あ、分ります!オドオドしてるけど、村の事を話している時の彼はまさに田舎で伸び伸びと育ってきたんだ!って感じが犇々(ひしひし)と伝わって来てなんだが新鮮でしたそれで…………」

 

 

 

 




装飾:デプスアミュレット(魔道具)

迷宮のモンスターが近くにいる時。身に着けている者に対して敵意、悪意を持つ人物が近くにいる時、共振したり赤く光ったりして危険を知らせる。

ユージュアル村

オラリオの東に存在する村、さらに東に一時間ほど進めばセオロの密林に入る

特産品:特に無し

村と商人同士の交流が盛んである

近くの川:澄んだ水が流れており村の水源で季節によっては丸々と太った魚が泳いでいる

離れの山:種類豊富の野生動物、質の良い天然のキノコや果物、そして山菜がある。至る所に良質な鉱脈が存在しており、山頂からはうっすらとアルブ山脈が見える。



何て事だ……あの手紙のところパソコンじゃ一行なのにスマホじゃ二行になってるじゃないか。
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