ダンジョンに運だけで挑むのは間違っていると思う   作:ウリクス

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魔法石
・魔法使いが好んで使用する特殊鉱石
・杖に取り付けることで魔法の威力を増幅し、種類によっては消費する精神力を減らす物も存在する
・常時魔法大国(アルテナ)が研究の為に魔法石の買い取りをしているため、常に需要がある。

怪物の宴(モンスター・パーティ)
・10階層下から頻繁に発生する同地帯上(エリア)での瞬発的なモンスターの大量発生
・パーティが全滅する要因の一つで、対策しようにも何の前触れもなく起きるので余程の腕に自信がない限りその場から離れるのが基本


第46話 …サポーター、始めました「特定完了 後編」

「「「「カンパーイッ!!!!」」」」

遠征が始まって4日目の深夜と夜明けの狭間、歓楽街を道並ぶ酒場も寝静まる時間帯…にもかかわらず18階層のとある場所では、宴が行われていた。

 

「誰か俺様と飲み比べして勝てる奴はいないかぁッ!!?ま、この俺様に敵う奴は誰もいねーけどなッ!!?」

隆々としたドワーフが豪快に笑いながら大ジョッキを天に掲げ挑戦者を集う。

 

「俺だッ!!」「いや、俺だッ!!!」

ドワーフの挑発に乗って荒々しい冒険者達が次々と名乗り出る。

 

「いい度胸じゃねーかッ!!!?だが、この俺の秘蔵の火酒を見てそのクソみたいな啖呵を吐けるかぁッ!!?」

轟々と燃える炎の絵が描かれた大きな樽が挑戦者達の目の前にドンッ!と地面を叩くように置かれる。

 

「…お、おお…ッ!!?」

ドワーフの脅し文句と目の前に置かれた樽の圧倒的な存在感に、挑戦者達は一瞬たじろぐが、

「「「上等じゃねーかッ!!」」」

挑戦者達とドワーフは樽の中にある酒をなみなみと注ぎ「一杯目、カンパーイッ!!」と威勢の良い合図で一気に喉へと流し込む。

それを遠巻きで見ている観客達は酒を呷る挑戦者に対し、「いいぞ、もっとやれ!!」と煽る。

男達の歓声に溢れた宴の中、まだまだ終わりそうにない―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻はおやつの時間を少し過ぎた辺りまで遡る。

オラリオの子供たちはおやつを食べて、お友達ともう一遊びしようかと家の外に飛び出した時間帯に、アークたちは鉱石が山のように積まれた荷車を曳きながら、薄暗い通路を歩いていた。

 

「――――おおおおおおッ!!!」

「……~~~ッ!!」

「ふんぐぐぐぐッ!!!」

ジンが曳き、アークとトウマが荷車の尻を押す。

 

サヨが先行してモンスターの警戒。

アンジとカグラが護衛、チトセは荷車の近くを歩いていた。

 

「―――ぐ、ぐうううう……ッ!!!」

男三人が全力で押しても思ったように進まない。それほどまでに採り過ぎた、積み過ぎたのだ。

 

「……やっぱり、少しだけ鉱石捨てて軽くしない?」

アークが押している手を止め提案する。

「――――駄目だ!」

ジンが却下する。

 

「……いや、流石にコレは辛いで「――俺のことなら心配無用ッ!!ヌンッ!!!!!」

アークの言葉を遮り、ジンがより一層強く曳く。

一行は再び、ゆっくりと動く荷車に合わせて歩き始め、通路の奥へと進んでいった。

 

それから、荷車を必死に曳いて押して地道に前に進んで暫く、やっとの思いで隣の大部屋に辿り着く。

 

「…えっ?なにアレ…?」

すれ違う冒険者達から好奇の視線が一向に注がれる。

それもその筈、サホヒメ・ファミリアとアーク一行が運んでいるのは見ての通り、宝の山。

 

鉱石、宝石、魔法石、どれもダンジョン深層でしか取れない貴重な物。

ダンジョンに潜り命のやり取りをしている冒険者、常に美を追求している世の女性、日々研究に明け暮れる魔法使い、皆々様が目を離せない垂涎物の逸品たちのお通りだ!

 

「……見られている?」

「―――当たり前だ、こんな物が目の前を通った日には、俺も凝視してしまう」

「おおお、俺。人の視線は少し苦手…」

「……俺も見られるのは好きじゃない」

「えっ本当ですか!?アークボルトさんとは気が合いそうです、えへへ…」

アーク、トウマ、ジンは他人から見られている圧力を会話で誤魔化そうとコソコソと喋り始める。

 

「うっわっスゲェッ!!」

「あの大きな宝石綺麗……」

「あれ…最高位の『魔法石』だよね。ブツブツ、何でこんな浅い(・・)階層であんな物が取れるのよ…でも、見るだけで分かるわ。ブツブツブツ…うん、やっぱりアレも最高位の魔法石で間違いない。…でもアレはこんな上層でブツブツブツブツ……」

こちらを見てはヒソヒソ、他の冒険者と顔を合わせてはヒソヒソ、正直居心地が悪かった。

 

「……確か、次の部屋でしたよね?」

「―――ああ、もうひと踏ん張りだ!」

アークは今一度、腕と足に力を入れ「……よいしょッ!」と掛け声を入れながら荷車を押す。

 

そんな時、

「おお~、こりゃすげえ」と野太い感嘆の声が前の方から聞こえる。

横から覗いてみると遠征隊を先導しているドワーフと獣人、そして更にその後ろにはブルークと臙脂が立っていた。

 

「…アークボルトさん!」

ブルークはアークの存在に気づくと直ぐに駆け寄り「探しましたよ!」と声をかけられる。

 

「……え?俺を探していたんですか?」

「ええ、見つからないからまた迷宮を彷徨っているかと…ああ、決して嫌味で言っている訳じゃじゃありません…それにしても」

アークの無事を確認したブルークは荷車の方を見る。

 

「…他の冒険者の方々が騒いでいたので駆けつけてみれば、これは、何という…」

ブルークは一つ手に取ってみようとしたが、山ほどに積まれた鉱石が崩れ落ちる可能性を見て、伸ばす手を止めた。

 

「……どうでしょう?少しだけ、良い仕事したと思いませんか?」

「…少しだけ、コレはそんな話じゃ「おいッ!!」」

 

突然、ブルークとアークの横から隆々とした影が二人を覆う。

振り浮くと腕組みをしたドワーフがそこに立ち、こちらに話しかけて来た。

 

「コレ、テメエがやったのか(・・・・・・・・・)?」

「……俺、ですか?」

「テメェ以外に誰がいる!?」

ジンに似た威圧感を醸し出すドワーフの遠征隊長にアークは少し気圧されながらも、「……い、いいいえ、俺達でやりました」と答える。

 

「ああ、そうか。だったら」

ドワーフは背を向けジンの前に立ち、

「俺様が代わりに運ぶ。テメエ等は他の班の手伝いをしてやれ。ブルーク、ソイツの傍にいてやれ!!」

そう言ってドワーフはジンから奪うように荷車を曳き、傍にいた獣人を引き連れて通路の奥へと消えていった。

 

 

 

 

「……よろしくおねがいします」

「「「「「「よろしくお願いします(挨拶(お願いします))」」」」」」」

ドワーフに荷車を持って行かれて暫く、アークとサホヒメ・ファミリアのパーティはブルークに連れられ他の班の採掘作業を手伝うことになった。

 

「…どうせ人が増えたって結果は変わんねぇよ」

それがアーク達に向けられた最初の言葉、歓迎を期待していた訳じゃないけど、友好とは程遠い苛立ちと諦めの混じった攻撃的な言葉。

 

「ああ、どれだけ掘っても毎日毎日毎回毎回石ころ石ころ……」

視界の少し先にいる獣人が鋭い怒りを露わにしながら岩壁にツルハシを振り下ろす。

「何でこんなに必死こいて深層に潜ってツルハシでブッ叩いているのに石ころしか出ないんだろうなッ!!?あ゛あ゛ッ!!??」

 

「…落ち着きなよ」

案の定、他の冒険者が宥めにかかる―――が、

「うるせえッ!!!!そんなこと言ってる暇があるならテメェも採掘しろッ!!!!」

案の定、止まらない。

 

「加減にゴミ以外も出せよ……ッ!!!」

痺れを切らしたのか、大きくツルハシを振り上げ、グググ…ッ!!と力を十二分に溜め、

 

 

 

 

 

「このクソダンジョンがアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!」

咆哮、怒りに全てを委ねた渾身の一撃が岩壁を走る亀裂に叩き込まれるッ!!!!

 

「…ゼエ、ゼエ…ん?」

渾身の一撃で疲弊した肩を上下に動かしながら足元を見ると、砕けた岩壁の中から石ころじゃない塊が転がり落ちてきた。

 

「こ、鉱石だ…」

まるで、石ころ以外を初めて見ると言いたそうに獣人はゆっくりと塊を拾い上げ、

「やったあああああああああッ!!!」

先程までの怒りは何処へやら、鉱石を天に掲げ、歓喜の咆哮を放つ。

 

 

 

 

 

―――それから暫く、

 

「…何だコレはッ!!?」

「さっきまで…いや、遠征が始まってからこんなこと一度もなかったのにッ!!?」

先程の獣人を筆頭に、他の作業員のその手には、光り輝く鉱石の塊が。

文字通り掘れば掘るほど足元には貴重な鉱石、宝石、魔法石が積み上がり、あっという間に―――

「…これ以上は、入りませんね」

ブルークは天高く積まれた荷車に目を向けて、静かに呟いた。

 

「なあ、他の班も手伝おうぜッ!!!」

誰かがそう言った。

「そうだそうだ!今の俺たちなら一瞬だぜッ!!」

その言葉に誰かが賛同する。

賛同した言葉は繋がり広がり、次々と賛同の言葉は増える。

 

そして、

「お前らもやるだろう?」

たった一つの賛同は、知らない間に多数の同調へと変わっていった。

 

「……あ、はい」

元より断るつもりはなかったアークは彼らの言葉に従いついて行く。その為にここに来た訳だし。

サホヒメ・ファミリアのパーティも「――勿論、従う」とジンが代表して了承する。

それから、一向は他の班へ、他の班へと渡り、空の荷車を天高く積み上げて、積み上げて、積み上げて―――

 

 

 

 

 

 

時刻は丁度集合時間少し前、真っ赤な夕日の空の彼方が黒く染まりつつ、子供はもう家に帰ろうと家路を歩いている時間帯。

 

「……うわあ」

アークは鉱石で天高く積まれた荷車の群れを呆然と見上げていた。

他の冒険者たちも同様、「…コレ、夢じゃないよな?」と顔を見合わせた後、呆然と見上げていた。

 

「引き上げるぞッ!!!話はそれからだッ!!!」

遠征隊を先導しているあのドワーフが撤退を宣言。

 

 

 

――――そして、帰還と言う名の地獄が始まった。

 

「押せえええええええええええええええええええッ!!!」

「よいしょおおおおおおおおおッ!!!!」

帰りの道中、一台の荷車の後輪が床に空いた小さな空洞の中にピッタリと嵌ってしまった荷車を、冒険者たちが荷車を乗り上げさせようと、力と気合を込めて必死に押し上げる。

 

アークも荷車を押すその一人だった。

ジンが荷車を曳き、その後ろで荷車の尻をアークとトウマが押し、他はその護衛。

アークとサホヒメ・ファミリアの間でいつの間にか出来た役割分担だった。

 

それから、少し進んでは休憩して、また少し進んではまた休憩、本来ならもう18階層に辿り着いて休息をしている頃だが、未だに一行は25階層を通り抜けたところだ。

 

 

 

「…帰りたい」

「もういや…」

「何で俺たちがこんなことを…」

「…腕が……もう…動かない」

「誰だよ、こんな馬鹿みたいな量の鉱石を持って帰ろうとか言った奴は…ッ!」

次第に周囲から弱音の声が点々と聞こえ始めたその時、

 

「―――怪物の宴(モンスター・パーティ)だッ!!!サポーターと荷車を守れッ!!!!」

前線から怒声が聞こえる。

 

―――――ビキビキビキビキッ!!!!!!

壁と天井、下を向かずに周囲を見渡す限りの壁という壁に全てに大きな亀裂が走る。

そして、有象無象の怪物の大群がこちらを仕留めんとばかりに、ゆっくりと、しかし、確かな殺意を抱いて生まれ落ちようとしていた。

一行が意気揚々とお宝(鉱石)を持って帰る姿見て「気に入らない」と言わんばかりに放たれる、ダンジョンの悪意の一つ『怪物の宴』が発生したッ!!!

 

「行くぞおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!」

ある者は懸命に武器を振るい、ある者は魔法を唱え、疲れ切った体に鞭を打ちながら、疲弊と言う枷を手足に、砂埃に塗れながら死に物狂いで戦った。

 

モンスターと戦って、ゆっくりと前に進んで、休んで、また前に進んで。

また戦って、また前に進んで、また休んで、また前に進んで―――

 

とても、長い時間だった。

今は何時だろうか?

ここは何階層だろうか?

誰かが戦っている、怪我はしていないか?

 

疲れは思考を白く染め、体を縛る。

……痛い、苦しい、疲れた、動きたくない。

曖昧な感覚と記憶、そして確かな痛みと疲弊。

永遠かと思われる長い時間の先に――――

 

 

 

 

 

 

「……あ、ああ……?」

気が付いたら、ヘファイストスの拠点のその辺に生えている柔らかい草の上に倒れこんでいた。

 

18階層の拠点、時刻は深夜過ぎ。

歓楽街で売れない娼婦が「…今日は客を取れそうにないわ」と落胆しながら自分の宿に戻っている時間帯だ。

 

「……ああ……あ゛、あああ」

言葉が呻き声を漏らしながら、アークは地べたに伏すことしか出来なかった。

 

暫くして、気怠い体を起こし周囲を見渡してみると、どうやら他の冒険者もアークと同じ状況みたいだ。

草の上に倒れて泥のように眠っている冒険者、額に巻かれた血の滲んでいる包帯を弄りながら回復薬(ポーション)を一気飲みする冒険者、アークのように草の上で頭を真っ白にして座り込んで辺りを見回す冒険者、色々だ。

 

視界の向こうを見ると、ヘファイストスの構成員がせっせと積まれた鉱石を木箱に入れて倉庫へと持っていくのが見える。

他にも、談笑をしている冒険者、平然と食事をしている上級冒険者達が見える。

 

 

(……サホヒメ・ファミリアのパーティは何処に行った?)

……そう言えば、と気になったアークはもう一度辺りを見回してみるが、サホヒメ・ファミリアの人間は誰一人いない。

 

「……まあいいか」

多分、自分達のテントに戻ったのだろうと。

アークはもう一度両手両足を大の字にして仰向けに寝転ぶ。視界の先に広がるのは星も月もない夜空と視界の端に映るぼうっと光る魔石灯の明かり。

眼前に広がる暗闇の恐怖と大きな火の明かりに身を寄せる安堵を味わいながら、ぼ~っと空を見上げる。

 

それから更に暫く、アークの体が食事を受け付ける程度に回復した頃、

「お~い、聞いてくれッ!!重要な話だッ!!!」

と遠征隊長を先頭にヘファイストス・ファミリアの構成員達が、パンを口にモゴモゴと咥えているアークとその周辺の冒険者達に歩み寄る。

 

「さっき、他の奴らと話し合いをしててな、その…だな」

「え~っと、その…」遠征隊長は困惑した表情を浮かべ、頭をボリボリと掻きながらばつが悪そうに喋る。

 

「おいッ!!らしくねーぞ!!」

「それでも遠征隊長かッ!!!」

「デカいのはその図体だけがッ!!?」

周囲からヤジが飛ぶ。

 

「うっせーなッ!!俺様だって困惑してんだッ!!!?」

ヤジを掻き消すように怒鳴り、咳払いを一つ。

「今日の採掘で目標の採掘量を倍以上を手に入れた。それで、会議の結果、今回の遠征は引き上げることにする。本来ならお前たちを雇った契約の日数分働いて貰おうかと思ったが、それよりも…」

そう言って隊長は倉庫を見る。

 

「採掘するよりもこのバカみたいな量のドロップアイテムと鉱石(宝の山)を契約の日数分費やしてでも安全に確実に拠点(ホーム)まで持って行かないといけねぇ」

 

遠征隊長は周りを見渡した後、大きく息を吸って、

「―――今日の朝9時、この階層を出発して、地上に帰還するッ!!!!」

そう宣言してもう一言、

「勿論、報酬は契約した金額はそのままだ…いや、もしかしたらボーナスが付いてくるかもなッ!!!」

そう言って豪快に笑う。

 

その言葉を聞いた冒険者達は、

「まじかッ!?」

「まあ、そりゃあれだけ採ればそうなるか…むしろ持ち切れないだろうに」

「やったー!早く帰ってシャワー浴びたい!!」

等々、喜びの声を隠せない様子が伺えた。

 

(……今日の朝…ん?今日!?)

アークは午前三時を示している懐中時計を横目で見て、

(……じゃあもう早く寝ないとッ!?)

急いで目の前にある食事を胃の中に流す。

 

そんな時、向こうから、

「そんな訳で、今から景気よく宴と行かないかッ!!!?パーッと行こうぜッ!!パーッと!!!!」

隊長の提案に周囲の冒険者はシン…と静まる。

 

 

 

 

(……え?)

―――幻聴か、あるいは性質の悪い冗談か。

今から宴とか正気を疑う言葉が聞こえた。

 

アークの周りの冒険者も「何言ってんだコイツ?」って表情を浮かべながら隊長を見ている。……ほら見てみろ、みんな疲れてんだよ!

 

いくら隊長といえども、その提案は通らない。

周囲の冒険者、少なくともアークはそう思っていた。

 

しかし、

「いいじゃね-かッ!景気よくいこーぜッ!!」

誰かが賛同した。そして、この光景を見たアークは唐突に嫌な予感混じりの既視感に襲われる。

 

「そうだな!やろうやろう!!」

「勿論、お前らもやるよな(・・・・・・・・)!?」

賛同した冒険者が周りの人に同意を求めようとする様子を遠目で見たアークは、誰も気づかれないようにコソコソと影に隠れた。

 

「……」

冒険者の大半は、規律を嫌い自由を好む。

そんな彼らを従わせる方法はただ一つ、腕っ節だ。

自分のレベルに物を言わせて下の者を従わせる、ファミリアの身内や冒険者同士の間じゃ珍しくない話だ。

 

「おら、お前らも酒を飲めッ!!」

「「い、いや…先輩、本当に勘弁して下さい…」」

「あ゛あ゛ッ!!?俺の酒が飲めねえってのかッ!!!?」

 

そして、現在に至る。

見た感じ、同じファミリアの先輩後輩の連中だろう。

酒の入ったジョッキを二人の若い冒険者に対して強引に押し付けて飲ませようとしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

早々に食事を済ませ、自分のテントに退散したアークに被害はなかった。

女性の冒険者達は「むさ苦し過ぎる場所にいたくない」と全員さっさと解散してしまった。

 

(……俺、やっぱり見ず知らずの集団の中での生活に向いていない。と言うかやりたくない。せめて、デメテル・ファミリア(彼女達)と一緒に潜る時は言葉に気を付けよう…)

そう思いながらアークは目を閉じる。

 

薄れゆく意識の中、

(……アレ?そう言えばジンさん達は明日地上に帰ることを知っているのだろうか?)

そんな思考が一瞬だけ浮かび上がったが、次第に無意識の闇へと消えていった――――




本当ならもう少し早く遠征編を終わらせるつもりでした。
早く次の章に行きたい。
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