ダンジョンに運だけで挑むのは間違っていると思う   作:ウリクス

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まさかこんなに見てくれる人がいるとは……


第6話 冒険者始めました(装備の見直し 武器編)

「……ねぇ、アテナ。コレ何?」

 

運命体現 [ラック・アルファ]

基本アビリティに[運]を追加する。

[魔力][運]以外の基本アビリティの熟練度が上がりにくくなる

 

「……スキルね。」

 

「いや、それは分かるよ。そうじゃないんだよ、この[運]って何だよ。」

 

「…………さぁ?」

 

「さぁ?……じゃねぇよ。どうするんだよコレ。逆に言えば[力][耐久][器用][俊敏]が犠牲になるってことだよね?」

 

「……そうね……」

 

「……」

 

「……」

 

そして訪れる気まずい空気。何喋って良いか分かんねぇや……

 

「……アテナ様。俺ギルドに行ってきますわ。換金してくる。」

 

「行ってらっしゃい……」

 

 

 

~オラリオ北西 メインストリート~

 

「……まだ、昼かぁ……。」

 

ダンジョンを出た時、夕日の光を浴びようと思っていたが……実際はお昼前だった。そしてアテナ様の所に帰って、ステイタス更新してギルドに向かっている途中で、俺の懐中時計は丁度1時を示す。

 

「……はぁ……」

 

俺が必死こいてコボルトとゴブリンとダンジョン・リザードと死闘を繰り広げたと言うのに、そんな大きな牛肉の串焼きとか、ミートボールが入ったパスタとかさ

 

「……スイマセン……その牛肉の串焼き大下さい……」

 

「あいよ、100ヴァリスね」

 

「……スイマセン……そのミートボールの入ったパスタ下さい……」

 

「はい、100ヴァリスね」

 

「スイマセン、オレンジジュース大一つ……」

 

「30ヴァリスになります」

 

合計230ヴァリス。

 

俺が悪いんじゃない、旨そうで安い屋台があるのが悪いんだ(食欲には勝てなかったよ…)

 

 

~ギルド~

 

「ふぅ……食った食った……」

 

よく冒険物の御伽話じゃ、帰ってきたら肉と酒を豪快に飲んでいるのを良く見るけど、その気持ちが大いに分かった気がする。

 

 

「あ、どうも。エイナさん、ミィシャちゃん…こんにちは。」

 

「あ!こんにちはあー君。」

 

「こんにちはアークさん。……ん?どうしたんですかソレ?」

 

「これですか?魔石とドロップアイテムが入ってるんですよ。コボルトの爪とダンジョン・リザードの皮ですよ。」

 

エイナさんとミィシャちゃんが驚いた表情で俺を見る。

 

「え、あー君。もうファミリアに入ってダンジョンに潜ったの?昨日まで入れてくれるファミリアが無い。とか言ってたのに……」

 

「ああ、案外どうにかなるモンだな」

 

「……分かりました。後で誰のファミリアに入ったか教えてください。登録をしなければなりませんので。」

 

「……あ、はい……」

 

何故かエイナさんが怒っているように見えるのは俺だけだろうか?

 

「だったら今教えるよ。ヘファイストス・ファミリア傘下のアテナ・ファミリアです。ああ、傘下って言うのはヘファイストス様が決めた独自の制度で……」

 

簡単に言えば独立できる大きさになるまで手助けをしてくれる事だよ。

 

「言うなれば、ファミリアの先行投資…と言う事ですか?」

 

「まぁ、そんなところですかね……」

 

「わかりました。アテナ・ファミリアの冒険者として登録、と言う事にしておきます。」

 

「助かるよエイナさん。ホント、担当アドバイザーのミィシャちゃんよりもよっぽど優秀じゃないか。」

 

「ちょっとあー君!酷いよ!!私だって一生懸命働いてるんだよ!」

 

「じゃぁその間に俺はダンジョンで稼いできた魔石とドロップアイテムを換金してきます。」

 

彼女の言葉を無視して換金所に向かう。ギルド受付のすぐ横に設置されている施設で、ここで冒険者が稼いできた魔石やドロップアイテムをヴァリスに変える事が出来る

 

俺は換金所の前にある棚のような入れ物に魔石とドロップアイテムを入れる。

 

「換金お願いします」

 

戸棚がパタンッと閉まる。そして間もなく戸棚がガラっっと開く。中には稼いだ魔石とドロップアイテム分のヴァリスが入っている。

 

「あいよ、5550ヴァリスだ」

 

「お、意外と貰えた……どうも……」

 

「初めての換金、どうでした?」

 

「いやねエイナさん、意外と多くもらえたんですよ。5550ヴァリス!」

 

「そ、そんなに貰えたの……パーティならまだ分かるけど、ソロで、しかも初めて潜ったのに5550ヴァリスは貰いすぎよ!」

 

「いやぁ、ドロップアイテムの分も含めて……ですよ。俺はもう行きますよ……」

 

「……い、いや……それでも……うーん」

 

何かブツブツ言っているエイナさんに別れを告げ、俺は一度宿屋に戻ることにした。

 

 

 

 

~聖鳥の泊まり木~

 

「……ただいま……」

 

「ああ、お帰り。それで……今朝言っていたファミリアはどうだった?」

 

「眷属にしてくれましたよ……いやぁ、安心安心。」

 

「ハハハ、それは良かった。今度彼に会ったら吉報を用意できるな。」

 

「それじゃちょっと俺は休んでくるよ。少し疲れた……」

 

~宿の個室~

 

「う~む……」

 

村から出た時に貰った資金は三万ヴァリス

 

つまり今は

 

30000-(90(昨日の昼飯代)+230(さっきの昼飯代))=29690

 

「……意外と使っていないな……良し!」

 

俺は剣を一本置いて部屋を出た。

 

「おや、また外に出るのかい?」

 

「はい、今度はバベルへ向かいます。ダンジョンへは行きませんよ。」

 

「ああ、行ってらっしゃい。」

 

 

 

~摩天楼施設バベル~

 

「どの階だっけな……」

 

この施設、確かに地下は命のやり取りをするダンジョンなのにその上は様々な公共施設になっている。例えば、二階は簡単な食堂になっていたり、三階は各個人の換金所や交換場所になっている。

 

「あった……四階から八階まで……ヘファイストス・ファミリアバベル支店……」

 

そして商業用のペナントとしても場所を貸出している。ヘファイストス・ファミリアはその常連である。

 

「先ずは四階から」

 

辺り一面豪華な金の装飾品と……ヤベェ……値段にしか目がいかねぇ

 

「……あの鎧一式で一億2000万ヴァリス……あの剣だけで6000万ヴァリス……一番安い物で2000万ヴァリス……」

 

次元が違う……話にならねぇ……俺は逃げるように八階に上る事にした。

 

「……おお……」

 

四階みたいな絢爛豪華でお金持ちにしか入る事を許さない、みたいな所から一転して薄暗くてあちこちに大雑把に置かれてある武器とその場で書い貼りました。みたいな値札。

 

「さぁ、触ってみてください!持ってみて下さい!!この剣は……」

 

武器の制作者本人が直接駆け出しの冒険者と交渉している。

 

冒険者も所狭しと動き回っている。こんな薄暗くてハッキリ言ってしまえば衛生的にもあまりよろしくは無い場所なのだが、女の子も決して少なくは無い。……むしろ亜人(デミ・ヒューマン)含めたらこれ……女の子の方が多くないか?

 

「……よし!」

 

ヘファイストス様に教えてもらった。バベルにはファミリアの駆け出しの新人が店を開いて武器を作り格安で販売していると。流石に駆け出しの販売する武器は割引が効かないって、言われたけど。

 

まぁ確かに、ヘファイストス・ファミリアの一員だからと言って武器を作るのはタダじゃない。新人なりに色々節約して、切り詰めて売れるか分からない武器を売り出そうとするんだ。そこから『傘下に入っているファミリアの者なんで割り引いて下さい』……なんて言えないよ俺には……

 

「……」

 

 

 

話が変わるけど、俺のこの鎧……黒い革の鎧なんだが……簡単に説明するとなめした厚い皮を服の様な形にしてその上から。ワックスで煮詰めて硬くしたベルトを至る所に巻き付けて、仕上げは革でできたマントを付けて首周りに鋲を打って固定して完成。

 

このマント……素材のおかげか知らないけど、激しく動いてもそこまで(なび)か無いんだけどね。そのおかげで何かの拍子で他の人にマントが当たらなくて迷惑がかからないから助かってるけど……

 

足の部分も腕の部分もブーツや篭手の形にしてワックスで硬化処理して部分的な革を重ねて鋲を打ってベルトで巻いた物だよ。

 

そう、鍛冶屋の防具屋の人が説明していた……何でこんな話をしたのかって?……特に深い意味はないよ……

 

強いて言えば、鎧は新調するつもりは無いって……言いたかっただけだよ……

 

 

 

 

~摩天楼施設バベル八階奥~

 

「……取り合えず、俺も何か探すか……」

 

此処には掘り出し物も存在しているらしく。彼らはそれを求めて探し回って居るのだろうな。俺も何か探すか……

 

「スイマセン、『投げ斧』ってありませんか?」

 

「ああ、投げ斧なら向こうにあるよ。」

 

何か強力な飛び道具が欲しいって思いついたんだ。今日みたいな反射的に鞘から剣を取り出して投げつける時点で剣は二本もいらない。嵩張(かさば)るだけだと確信した。だったら、もういっその事投げるのに適した武器を使おうと、思った訳なんだよ。

 

コレは俺の価値観何だが、投げナイフよりも斧の方が投げやすいイメージがあるし、斧だったら投げる以外の実用性が高いと思って……斧にしたんだ。投げナイフを使っている人には申し訳ない意見だな。

 

「……う~む……」

 

フランキスカ 400ヴァリス

トマホーク  1200ヴァリス

ハチェット  800ヴァリス

 

フランキスカ 

 

ワザと柄の部分を壊れやすくして、刃の形が一度刺さったら抜きにくい形になっているのが特徴的で、これは投げて避けられてそのまま投げ返されるのを防ぐために工夫してある対人用の斧だ。でも俺が戦うのは人じゃなくモンスターだ。一回投げただけで使い物にならないなんて話にならない。却下

 

トマホーク 

 

武器として使っても良し、投げて良し威力もこの中ではピカイチ……なのは分かるけど俺の小剣よりデカいんだよなぁ……最低でも携帯できる大きさが欲しい……却下

 

「と、なると……」

 

消去法からして、採用はハチェットに決定だな。

 

ハチェット

 

一番小さく、威力が低いが携帯性が高く一回投げても壊れない

 

「……確か此処に……」

 

右腰の鞘を差してあった部分を見る。鞘を付ける金具を全部取っ払って∪ ∪と言う形の金具を取り付ける

 

「ちょっと拝借」

 

棚から一つ投げ斧を手に取ると柄を∪の部分に押し付ける。するとカチッ!っと良い音と共に固定される。この金具を二つ付けられたので最低でも投げ斧は二つ欲しい所。

 

 

「……」

 

さてさて、どんな物がありますかね……!?

 

「……」

 

しかしこの辺りは誰も居ないな。やっぱり投げ斧は時代遅れなんかね……ん?

 

「あんな所に木箱が……」

 

棚にすら置いてくれないものもあるのか……いったいどんな物が……

 

「……何だコレ……」

 

一本の柄の先から三つに分かれてその先には等しく並んでいる三つの斧の刃があった。心なしか刃先が赤みを帯びていて、何処か目が離せない投げ斧だ。……投げ斧なのかコレ?いや、一応ハチェットって書いてあった木箱に入っていたし……

 

「値段は……書いていない……」

 

一応交渉してみるか……

 

「スイマセン……これ、いくらですか?」

 

「お客さん……ソレ、良く見つけましたね……ええと……ちょっと待ってくださいよ。名前は犬イチロー、犬ジロー、犬サブローだって。」

 

何だそのセンスの欠片も無いネーミングセンスは……人の事は言えないけど……

 

「在庫処分しようとしてたし……本来は28000ヴァリスの所半額の14000ヴァリスで良いよ。」

 

何故こんなに高いのかと聞くと、放火魔(バスカヴィル)の異名を持つヘルハウンドの牙を使用しているとの事。曰く、製作者が魔道具と言い張るので試しに投げて貰った所、炎上して何処かへ行ってしまったらしい。その後ちゃんと戻ってきたらしいけど。怒った本人は『これは失敗作だッ!!!』って言って思いっきり値段を安くして帰って行ったけど。

 

「……」

 

……失敗作なら売り込もうとするなよ……そして店長、何であんたもそれを店に並べようとしたのか……

 

~でも結局~

 

「毎度アリー」

 

……結局買ってしまった俺もどうかしているよ……でもなんか目が離せなかったんだよね……まぁ、これから働いてくれよお前達……

 




購入した物

投げ斧
作者命名(犬イチロー、犬ジロー、犬サブロー)
アーク命名  ケルベロス
  
ヘルハウンドの牙を使用したハチェット
火属性を持つ

魔道具
投げると自動で帰って来るらしい。偶に三兄弟同士で喧嘩して炎上しながら何処かへ行ってしまうらしい。仲直りしたら帰って来るらしい。

お値段
(割引価格で)14000ヴァリス

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