ポケットモンスターSPECIAL Anotherの物語 作:マルオ・オメル
「…………ん?ここは…どこだ?」
アナザーが目を覚ますとそこは知らない場所だった。
「気がつきました?」
「キミはエリカ…ちゃんだったっけ?」
タマムシティジムリーダーのエリカがパイプ椅子に座ってこちらに微笑みかけた。
「ここはタマムシ総合病院です。アナザーさんは先日のレッドの偽者のガラガラの攻撃が影響で倒れて二日間も寝ていたんですよ?」
エリカはアナザーにそう説明する。
「二日間も寝てたのか…て言うかエリカちゃんはその間にお見舞いに来てくれたのかな?」
「どうしてそのようなことを!?」
「あ、いや…何となくだけどその反応からして当たりだな」
アナザーはそう言って笑うとエリカは頬を赤く染めて「知りません」とそっぽを向いた。
「ごめんごめんそんなに怒らないで…さてと俺はそろそろ行こうかな」
アナザーはそう言い、ベットから起き上がる。
「待ってください!まだ体調が万全じゃないのですからあと数日は休んで下さい」
エリカはそう言うとアナザーを強引にベットに戻す。
「いやいや…イエローも俺が休んでる間に強くなってるんだ…俺がここでセミリタイアじゃダメだろ?何より病院は苦手だし…」
「い・い・か・ら!ここで休んでてください!」
「はい…」
アナザーは食い下がるがエリカの迫力に押されて渋々とベットに戻る。
「ふふ、そんなにお暇でしたら私が話し相手になって差し上げます」
エリカはアナザーをなだめるように微笑むとアナザーとエリカは暇潰しがてら話をした。
~
アナザーは夢を見ていた…。それは数年前にタマムシティに来たときの夢だ。
「どうして泣いてるの?」
女の子は泣いていた。その女の子は着物を着ており俗にいうお嬢様なのかとアナザーは思った。
「グスッ…別に何でもありません…」
泣いているのに何もないわけがないとアナザーは女の子の横に座る。
「何もないわけがないよ、泣いてるのは辛いことがあったんだよね?」
アナザーがそう聞くと女の子はポツリポツリとだが話してくれた。
女の子は良家の生まれで毎日が習い事ばかりらしく、普通の子供のように遊びたいと駄々をこれたら親と喧嘩をしてここまで来たらしい。
「そうなんだ…何か大変なんだな、お嬢様って」
「そうなんですけど、私が一番ショックだったのは私に友達がいないと言うことなんです…」
エリカはそう言うと再び落ち込んだ。
「だったら、今日は俺と遊ぶか!」
アナザーはそう言うと女の子は驚くがアナザーはそんな少女を他所に手を引いた。
アナザーと少女はへとへとになるまで遊んだ。少女の品のある着物も泥まみれになった。
辺りを見回すと夕日が沈みかけている。
「そろそろ帰らないと…」
「……そうか、じゃあ俺は帰るよ、キミが悲しい顔じゃなくなったし、何より笑顔になってくれたし…これからも辛いことがたくさんあるかも知れないけど頑張れよ!」
「あ、あのあなたのお名前を教えてくれませんか?」
「俺?俺の名前はアナザーだよ」
アナザーは無邪気な笑顔でそう言うと走っていった。
~
「あれ…俺寝てたのか?」
アナザーは辺りを見回した。すると、先程まで話し相手をしてくれていたエリカが寝ていた。
「…よく考えたら、色々忙しいんだよな…それなのに毎日来てくれて…ありがとな」
アナザーはそう言うとエリカの頭を優しく撫でた。大人びたエリカだが、その寝顔は年相応のあどけない寝顔だった。
~
「ふぅ…そろそろ退院か」
アナザーは窓を見てそう呟く。
「ええ、そうですね」
「今までエリカちゃんのおかげで暇せずに済んだし何より楽しかったよ。ありがとな」
アナザーは屈託のない笑顔でエリカに言った。
「わ、私も…ア、アナザーさんとお話が出来てよかったです…」
一方のエリカは顔を真っ赤にしながらもアナザーに返事をした。
そんなエリカの表情を見てアナザーはエリカの額に掌を当てた。
「はひっ!?」
エリカは変な声を出して驚いた。
「エリカちゃん…熱があるんじゃないのか?さっき変な声が出たし…ちょっと先生呼んでくるな」
アナザーはそう言うと自分の部屋から出ていった。
「あ、こ、これは…これは違います……!熱じゃありません…そうですこれは熱じゃなくてアナザーさんに…いやこれも違います…そうです!今日は少し暑いから顔が赤いんです!そうに違いありません!…あれ?アナザーさん?」
エリカは顔の赤いことの言い訳を考えていてアナザーが医者の元へ行ったのを知らなかった。
~
「あ~…何なんだよ、あの先生は……熱があること説明したら「ラブコメの主人公死ね!」って……」
アナザーはトボトボと帰路に着いていた。
「キャ~!!」
突然、悲鳴声が聞こえた。アナザーは急いでその声の元へ向かった。
現場では散らばった医療用具と腰を抜かして座り込んでいるナースがいた。
「どうしたんだ!?」
アナザーはナースに事情を聞くと、ナースは慌てた様子で話した。
「そ、それが…いきなりポケモンが病院に入ってきて…それでポケモンとぶつかりそうになったときに転んじゃって…」
「ポケモンが!?どっちに行ったんだ?」
アナザーはナースの指差した方向に急いで向かうと案の定ポケモンが暴れていた。
アナザーは図鑑を開くとそこには『ベロリンガ』と書かれていた。
タイプはノーマルタイプ、幸いなことに電気類などに影響を及ぼすことはない。と言うのも病院には多くの患者がいるため、でんきタイプのポケモンがいたりするとショートして停電となる場合があるからだ。そのため医療施設ではでんきタイプの野生ポケモンは怖い存在なのだ。
ベロリンガは幸いなことにノーマルタイプであるが何をしでかすかは油断できない。
「いけ、ゴルバット!」
アナザーはゴルバットを出した。
「ゴルバット、"ふきとばす"!」
ゴルバットは羽を広げるとベロリンガを外へ吹き飛ばした。そこに窓があることなど関係なく…。
「よし、ベロリンガはノーマルタイプだ。だけど技のレパートリーは多いはずだ気を付け…」
アナザーがゴルバットにそういう前にベロリンガはゴルバットを舐めた。
「あ、コラ!セリフいってる途中に攻撃するなよ!ゴルバット、"どくどく"!」
ベロリンガはどくどくをくらう。
「ヘヘッ、コイツで時間との勝負になったな、さらに"かげぶんしん"!」
今度は複数に別れる。
ベロリンガは一体に攻撃をくわえるがその個体はすり抜けた。
「よし、今度はつばさでう…ゴルバット?」
ゴルバットは飛んでいたのに急に下りた。心なしかスピードも先程より遅く感じる。
「…まひか!さっきのしたでなめるか?」
ベロリンガは下を横凪ぎに振るうと分身は一体、一体すり抜け本体にぶっかった。
「!ゴルバット!……コイツ、強い…!」
さらにベロリンガは"たたきつける"をゴルバットにくらわせた。
お互い、状態異常、HPは少ない状況へと追い込まれていた。
「待ってろよ、今まひなおしで…」
アナザーがそういおうとした瞬間、ゴルバットは叫ぶように鳴いた。それはくすりを使うなと言ってるように見えた。
「…よし、だったらくすりは使わねぇ、だけどアイツに勝つぞ、ゴルバット!」
すると、ベロリンガより遅かったはずのゴルバットが先に攻撃をくらわせベロリンガも毒が効いたのか倒れた。
「…"でんこうせっか"、上手くいったな」
ゴルバットは喜ぶようにパタパタと空を舞う。
「よくやったぞ、ほら薬だ」
アナザーはゴルバットにまひなおしを与えるとボールに戻した。
「さてと、お前もスゴいな…ベロリンガ結構鍛えてるゴルバットがこうも追い込まれるなんて」
アナザーはベロリンガにどくけしとキズぐすりを与えるとベロリンガはゆっくりと立ち上がった。
「ほら、お前は自由だぜ?森へ帰りな、ここに来ちゃいけないぜ?」
だがベロリンガは森へと帰らずアナザーを見つめている。
「…お前、俺と旅に出るか?」
その言葉にベロリンガは強く頷いた。
「よし、じゃあよろしくな、ベロリンガ!」
こうしてアナザーのポケモンにベロリンガが仲間になった。
その後、医者とエリカにさんざん怒られたのは言うまでもない。
そして、退院の日を迎えた。
「よし、じゃあ俺はクチバに向かってみるよ」
ジーパンとジャンパーに身を包んだアナザーはとそう言った。
「ええ、その方がいいかも知れませんね、クチバは港町ですから色んな人と情報が集まるかも知れませんね」
「じゃあ、引き続きそっちも頑張って」
アナザーはそう言うとエリカも頷く。
「アナザーさんも…気を付けて下さいね」
ふと、エリカは悲しそうな目をした。この数日、アナザーとエリカはお互いの電話番号を交換してなかった為、次はいつ会えるかわからない。エリカはそれがとても悲しかったのだ。
エリカはアナザーに想いを抱いている。そのためアナザーのことがもっと知りたいのだ。
そんなエリカを見たアナザーはポケットを探る。
「…あのさ、エリカちゃんが良ければ俺が住んでる山に遊びに来てよ」
「……え?」
それはエリカにとって予想外の事だった。
「いや~エリカちゃんもさ、ジムリーダーとか、家の事とかで悩んだりするだろ?その時は俺に愚痴こぼしに来てもいいから、お兄さんおもてなしするぜ?はは、なんちゃってな」
アナザーはそう言うと住所の書いた紙を渡した。
「もし良かったらこの事件が終わったら遊びに来てよ、何もないとこだけどさ」
アナザーはエリカの様子を見ると呆然としていたかと思えば涙が溢れた。
「はい…はい…ぜひ、遊びに行きます…楽しみにしてますね」
「…うん、待ってるよ」
アナザーはそう言うとクチバシティに歩き出した。
ベロリンガ Lv.51
性格:なまいき
タイプ:ノーマル
長い舌とバランスのとれた攻守で戦う。新人ポケモン!