真剣繚乱   作:あろろ

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という訳で二人目のオープニングにござい。


オープニング2, アルフレッド・シュトローダム

 

オープニング2. ドイツ陸軍狩猟部隊所属 アルフレッド・シュトローダム

 

――――――

 

「……此処か」

 

 小さい溜息と共に周囲を見回す。周囲には新しい建物も多く、道路もしっかり舗装され車の移動も楽であろう。高く上る日が照らす街路樹も多く、緑の多い印象を受ける。

 その場所は川神駅前。

 青年はその前に大き目のトランクと一緒に降り立った。周囲の目は時折彼を見ることもある……だがソレも当然であろう。金髪碧眼、所謂外国人かつ堅苦しい格好、ドイツ陸軍の制服を着用している以上、好奇の目に晒される事は致し方ない事と言えよう。

 そんな彼だがそんな視線などいざ知らず、懐から携帯電話を取り出し、連絡を取り始める。数回のコールの後、電話先から声が聞こえる。

 

『もしもし、私だ』

「失礼します、フリードリヒ中将。 狩猟部隊所属アルフレッド・シュトローダム准尉、ただいま現地川神に到着しました」

 

 中将と呼ばれた男性がうむ、と頷いた様子が彼――、アルフレッドの脳裏に浮かぶ。

 

『アルフレッド君、君の任務は分かっているね?』

「ハッ、心得ております」

『復唱したまえ』

「クリスティアーネお嬢様の入寮予定の学生寮へ赴き管理人の島津麗子へ挨拶、並びに転入先の川神学園への挨拶の代行であります」

 

 街中であっても大きな声で復唱、更には敬礼をする様子を見て好奇の目はなくなり、皆が皆彼を避け始める。触らぬ神に何とやら、同じように怪しいものに触れない様にするのは自衛として当然の手段であった。

 

『よろしい。 すまないね、君にこの様な私事を任せてしまって』

「いえ、構いません。 中将も奥方様もご多忙故致し方ない事と。 むしろ私を頼って頂き光栄の至りであります」

『そう言って貰えると助かるよ。 あぁ、ソレともう一つ』

「ハッ、何でしょう」

『この任務が終了次第、君に休暇を与えよう』

 

 フランク・フリードリヒ中将の言葉に対し言葉をなくす青年、アルフレッド。その様子を察したかフランクは言葉を続ける。

 

『何、君が先日のマンハイムでの特別事件の解決への功労者だと言う事は私が一番分かっているつもりだ。 今回はその褒章と思ってくれれば良い』

「いえ、任務でしたので当然の事をしたまでです。 しかし中将、自分は――、」

『それに君があまり無理をして倒れてしまっても私は勿論、他の者も困ってしまう。 時には身体を休めるのも任務と思いたまえ、准尉』

「……お心遣い、痛み入ります。 では中将、自分は現地へ向かい、然るべき任務終了後休暇を取らさせて頂きます」

『うむ、それでよろしい。 それに何かあっては君のお父上に顔向け出来んからな。 では、後を頼むよ』

「了解しました!」

 

 返事を終えればぷつっ、と言う音の後ツーツーと聞こえる。携帯電話を懐にしまった後、溜息を一つ吐くアルフレッド……その溜息は先程の物よりも大きい。

 

「中将もお優しいのは嬉しいが……」

 

 嘆息と共に顔を顰め、己の父を思い出す。先の話にも出た様に、彼の父とフランク・フリードリヒは知己――、ソレも所謂親友と呼ばれる間柄であった。

 しかし、そんな父も自身がまだ幼い頃に死亡、それ以来フランクは言うなれば自身の父代わり、と言っても良い程大恩のある人物なのだ。故に彼はドイツ陸軍に入隊、更に彼の懐刀、私設部隊とまで言われる狩猟部隊への転属を希望、更に受理されその恩を身命を賭して返そうと思っていたのだ。

 だが、実際は彼はこうして自身、厳密には父への恩義から気遣ってくれている。少なくともアルフレッド・シュトローダムは、その気遣いを嬉しく、同時にその嬉しさ以上に心苦しく思っていた。

 

「……まぁ、いい。 とりあえずまずは任務の遂行が先だ」

「――、アルフレッド様、お待たせ致しました」

 

 と、そんな折であった。そんなアルフレッドに背後から掛かる声。アルフレッドがそちらを見ればそこには筋骨隆々の男性が立っていた。

 茶の髪を短く刈り上げ鋭い蒼の双眸に恐い印象を受けかねるが掛けている丸眼鏡のお陰で幾分かソレが緩和されている。そして彼もまたアルフレッド同様ドイツ陸軍の軍服を着用している。

 

「ロベルト、先ほどのご老人は?」

「ハッ、無事案内を終了しました。 乗り換えの経路が分からなかった様です」

「ご苦労……すまんな、迷惑を掛ける」

「構いません。 寧ろこうして人を助ける事は喜ばしい事かと」

 

 そう言って頭を下げる男性ことロベルト。

 ロベルト・フンメルス軍曹。

 アルフレッドの父に大恩があるらしく、自身が入隊し尉官についてから自身の部下として付いてくれている。本来ならば自身程度の階級の人間にお付の下士官が付く等と言う事はありえないのだが、これもまた中将が便宜を図ってくれたらしい。

 

「何、何処の国に住まう民であろうと助けるのは軍人として当然の務め。 寧ろ俺が分からずロベルトに頼った事こそ恥ずべきだよ」

「私は何度も日本に赴いておりますが准尉は初めての日本です。 お気になさらぬ方がよろしいかと思われます」

「そう言ってもらえると助かるよ」

 

 はは、と軽く笑った後に意識を切り替える。鞄より地図を取り出し島津寮と川神学園の位置を確認する。

 

「まずは島津寮に行ってから川神学園に挨拶に行く、と言う形で良いかな」

「ルート的にもソレでよろしいかと思われます」

「だな。 じゃあタクシーを……」

 

 手を挙げようとするより早く、アルフレッドの前に車が止まり後部座席の扉が開く。

 

「申し訳ございません。 私の判断で既にタクシーを手配させて頂きました」

「……そうか、気が利くな、助かるよ。 ありがとう、ロベルト」

 

 頭を下げるロベルトに礼を言ってタクシーに乗り込むアルフレッド。その表情は少々曇っている。

 この旅路、こうしてロベルトが気を使ってくれ手配もしてくれるのは助かるのだが、どうにも心苦しい物もある。当人は構わない、と言うのが常故、頼ってしまう事も多いが時折どうしても考えてしまう。

 

「……准尉?」

「ん……あぁ、すまない。 運転手、此処の――、」

 

 考えていれば隣に座るロベルトに声を掛けられ我に返る。今はそんな事を考えている場合ではない。まずは任務遂行が最優先だ……例えソレが中将の私事に関わる事であっても。

 他の者が聞けば何を言い出すか分かりかねない事だが、そんなことはどうでも良い。むしろ何か言い出す様な輩を狩る、そのぐらいの気概を持たねば隊長にどやされてしまうであろう。

 とりあえず任務を終え、ゆっくり休みながら考えよう。等と思っていればタクシーはゆっくりと動き始め、徐々に加速して道路を走り出すのであった。

 

 

 

――――――

簡易プロフィール

 

名前:アルフレッド・シュトローダム

性別:男性

年齢:20歳

所属:ドイツ陸軍狩猟部隊所属

階級:准尉

 

・ドイツ陸軍狩猟部隊に所属、主な任務は他の隊員のバックアップ及びサポート。

・父はフランク・フリードリヒ中将と交友があり、自身も家族に近い交友がある。

・その大恩を返す為に軍に入隊する。

・お付にロベルト・フンメルス軍曹がいる。

・特別事件と呼ばれる事件を解決しうるだけの高い能力を持つ。

 

 

 

 

 

 




次は少年にございます。
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