プロローグ・とある神の話
神は面倒臭い職業だと、とある神は思っていた。
細かい話は省くが、感覚的な存在なのに明確にやることがあるうえ、その仕事はめんどくさい。下界を見ることができるくせに、神として手を出すことは基本的にできない。ゆえにたまに地味にストレスにたまる。
そんなストレスを発散するためにこの神はたまに正体を隠して実体化する。ふと思い付いてサブカルチャーな進化をさせた日本へいってゲームで遊んだり漫画を読んだりするという、神であることを考えたら良くわからないことをしてから帰るのが今の趣味だった。
「あれ、今どこから出てきたんですか?」
「……手品だ」
「そうだったんですか。すごいですね」
とある日に実体化した神は、うっかりその瞬間をとある高校生くらいの少女に気づかれてしまった。記憶を飛ばすのは趣味ではないしと思い、微妙な嘘でごまかすと、何故か信じこんでしまう。微妙に罪悪感がめばえた。
話しているうちに何故か一緒に行動することになってしまう。なんでも、彼氏がデートの日に大事な用事ができてしまってドタキャンしてしまったらしい。そんな彼氏に不満ひとつ言わず、むしろノロケぎみにこの程度の不運では愛は不変なんですと言う始末の彼女に、興味がわいたのも理由の一つだったりする。
いく先々、というほどの場所には訪れてはいないものの、その場その場で神でさえ謎の不運と天然とポジティブさを見せつける彼女に、神は深く興味を持った。こんなガチで不運なやついるんだなどと、神様らしくないことまで思いつつ。そして実体化をとき、仕事に戻ってからもその少女を見守り続けていた。
彼女はのちにドタキャンした彼氏と結婚し、一人の男児を産んだ。
相変わらずな不運ではあったが、また相変わらずな天然と、相変わらずなポジティブで幸せな家庭を築いていった。
しかし、子供が5歳ほどになったある時、夫が事故死してしまった。
女手ひとつで息子を育て続けるものの、今度は息子が大きな病に倒れてしまう。
そしてまた、彼女も心労が祟り、返らぬ人となってしまった。
神としては、彼女がどのように大往生するか期待していただけに、この結末を残念に思っていた。
そして彼の死の間際になって思った。彼女の息子は、どんな風に育ったのであろうか。 神として見るだけでは細かい人格などはわからない。
そして彼の病室に直接実体化し……ふと、前に実体化した時は彼の母と出会った時だったと思い出し……死の間際の朦朧とした彼にいたずら心に一つの質問をしてみた。
「もし一つ、好きな能力を得れるなら何がいい? 何でも好きな能力を与えることができるぞ」
与えるとは言わなかった。与えるつもり事態はなかったからだ。
そんな声の主が何者かわからないものの、そのまま鵜呑みにした彼は、とある好きだった漫画の、とある能力から、とある部分を望んだ。
「本当にそんな悠長なものでいいのか? その作品ならばその体を治せるかもしれない能力も、理想を叶える能力もあるはずだぞ?」
「構わないかな。運命に身を任せて、悲しくても楽しかったし、後悔はしなかったから」
その言葉を最後に、彼は眼を閉じる。最後の眠りに入ったのであろう。
神は彼個人に興味を持った。決していい人生だったとは言えないだろう。しかし楽しく後悔はしなかったといった彼は、間違いなく彼女の息子として良く育ったと思った。ならば、これから転生する魂に餞別を渡すことくらいは許されるだろう。
息を引き取った彼は転生する。神の気まぐれにより与えられた、自身が望んだ能力をもって。
以上、能力持ちの理由付け
どんな能力を推理しながら読んでくださるとありがたいです。