リリカルなのはP's   作:ニャッテディ

6 / 6
魔法の呪文はいらないの

 舗装されていない山道を歩いた疲れと、仔狐と遊んだ疲れ。それは、二人の子供の若さゆえに気づかぬ間にたまっていき、そしてついに表に現れた。

 

 

 とどのつまり、家に帰ってお風呂に入り、ご飯を食べている辺りでうつらうつらとし始め、すぐベッドにバタンキューと倒れこんだ。

 

 

 

 

 その日の夜。また二人は不思議な夢を見る。

 

 

 

 

 

「心を清ませて。心の中に、あなたの呪文が浮かぶはずです……って聞こえたんだけど」

 

「……ルパッチマジックしか出てこない」

 

「それは絶対違うだろうなって」

 

「もしかして、また同じ夢を見たの?」

 

 

 そして翌朝のご飯時、昨日の朝と夜とで和子は既に慣れてきており、二人から話を聞くことにした。

 もともと息子は不思議な能力を持っていたのだ。あの時、不動の精神が必要と学んだ和子は、いろいろな経験を積んで多少のことならば受け止める自信があった。その範囲が息子から子供たち二人まで拡大したまでだ。ならば親として、二人が危ないことにならないように導くのが筋であろう。シュークリームの能力について自分は役立てていないのを気にしていたこともあいまって、少し気合いをいれているのはここだけの話だ。

 

 

「昨日のあの小動物……たぶんなのはが拾ったフェレットなんだろうけど、助けてって声がしたなーっておもったら、なんか毛むくじゃらのがその子を襲ってきてたの。」

 

 

 あいこの話から推理を始める。先程、近所の動物病院が謎の事故に遭っていたというニュースが流れていた。昨日の経過は詳しくはわからないが、保護したのなら最終的には動物病院に行く可能性は高い。おそらくその動物病院の事故の犯人は毛むくじゃらのなにかで間違いないであろう。

 

あら、これは関わらせるのは不味いのでは?

 

 

「そしたらね、なのはお姉ちゃんがそこにやって来たの」

 

 

 そこに修から第二の爆弾が到来してきた。高町家次女・高町なのは。もしかしなくとも巻き込まれたのでは? とまで思ってからひとつ思い出す。そういえば昨晩のご飯を食べているときに、二人は眠気眼で彼女も同じ夢を見ていたと報告していた気がする。

 とすると、夢の正体はフェレットくんのSOSで、なのはちゃんはそれをキャッチして行ったのではないのか?

 

 

「それ、なのはちゃん大丈夫だったの?」

 

「そこでね、フェレットから魔法の玉をもらって魔法少女になったの」

 

「あぁ、呪文ってそういうことだったのね」

 

 

 なるほど、呪文の唱えかたを教わった時の台詞が先程のあいこの言葉だったのかと。

 魔法の国からやって来た少年がマスコットで、なのはちゃんが魔法少女。二人にも魔法の才能があったから夢を見たのかな……疲れて熟睡してたから夢という形で見たのかな……これは確認しなきゃな……

 そこまで考えてだした結論はひとつだった。

 

 

「だったら、なのはちゃんが怪我してないか聞かなきゃね」

 

「そだね、不思議バリアーで守ってたけど」

 

「そだね、不思議ビームで倒してたけど」

 

 

 ご飯を食べ終わり、食器を片付けると、時間が早いのを承知で、早急な案件だと、昔に修の件で交換した携帯の電話番号に掛ける。

 

 

「もしもし、朝早くすみません桃子さん。今大丈夫ですか?……ごめんなさい、たすけてください」

 

 

 さすがに許容量オーバーであった和子はおそらく関係者になりえる桃子を巻き込むことにするのであった。

 

 

 

 

 

 その後登校し、小学校についた二人はそれぞれの教室に向かう。たまたまいつものメンバーとは同じバスにならず、あいこは教室で合流する。

 

 

「あいこちゃん、おはよう」

 

「おはよ、あいこ」

 

 

 クラスについたとき、すずかとアリサと合流する。まだなのはは来ていないようだ。

 

 

「昨日はどうしたのよ、メール返信来ないし」

 

「あれ、送ってなかったっけ? 昨日は山に……狐に会いにいってたのよ断じて」

 

「狐? フェレットじゃなくて?」

 

「狐。断じて」

 

「……アリサちゃん、たぶんこれたぶん……」

 

「……OK、触れちゃダメなやつね」

 

 

 二人はあいこの力の抜けてピントのあってなさそうな目でなんとなく察する。そういうことにしておこう。

 

 

「まぁ、夢で見た動物はたぶんあの写真の子であってると思うよ? 今日もまた夢であの子を見たし」

 

「そうなんだ……え、また見たの?」

 

「ちょっとその話聞かさないよ!」

 

「うにゃにゃにゃうにゃにゃにゃうにゃーにゃー、 ちょっ、ちょっとおちついて!?」

 

 

 

 さらっといった一言に一泊おいて詰め寄るすずかと、肩を?んでシェイクするアリサ。あまりの早さに一瞬よくわからない声を出してしまう。

 

 

「うぅ、どうしたのいきなり……」

 

「昨日、あのフェレットを動物病院に預けたんだけど、そこが車がぶつかったのかなんかの事故なのかわからないんだけど、壁が壊れちゃったんだって」

 

「無事だったらいいんだけど……でもあの子が夢で見た子だってことは、たぶん怪物のせいかもしれないでしょ? あの子の夢見たんだったらなんかわからないの?」

 

「そういうことだったんだ。えっとね、壁が壊れたのはあの怪物が襲って来たからであってるだけど、もう大丈夫だと思うよ。なのはが倒してたから」

 

「……ちょっとまって、なのはちゃんが倒したの?」

 

「うん、魔法少女になって」

 

「魔法少女?」

 

「魔法少女!」

 

 

 信じられない言葉が次々とでてきて、でも昨日が当たっていたしなぁと考えるアリサ。そして魔法少女と聞いた瞬間目を輝かせるすずか。ファンタジーは大好物であり、ファンタジーな方法でファンタジーな情報を目の前に持ってきてこられ、その上既に昨日のフェレットの心配というストッパーは必要なさそうだという結果でコンボが成立。

 

 

「おはよー」

 

「なのはちゃん、魔法少女になったの?」

 

「ほぇっ、なんでしってるの?」

 

 

 そこに運悪く登場したなのははすずかの勢いに思わず口を滑らしてしまうのであった。

 

 

 

 

 一方その頃の修と一騎のクラスにて

 

 

「どうだった昨日?」

 

「……見つかったよ、狐」

 

「狐だったのか?」

 

「夢で見た子は昨日探してないよ昨日山にいったのは仔狐似合いにいったんだよ山道じゃなかったのに山道なんか探したりしてないよ」

 

「……なんか……ごめん……」

 

 

 よくわからないが自分が失言をしたことは解った一騎だった。

 

 

 

 

 お昼休みに入り、修はいつも通り屋上で姉たちと合流する。

 

 

「おまたせー」

 

「あれ、桂くんは?」

 

「今日はクラブの友達と食べるって」

 

 

 なお、一騎は心のなかで、誘ってきたチームメイトにこれほど感謝した日はないとか思っていたりする。いつ地雷を踏むかわからないのは難しい。

 

 

「そうそう、やっぱり昨日見た夢ほんとだったみたい」

 

「そうなの? ってことは、なのはお姉ちゃんが魔法少女に?」

 

「魔法少女っていうか魔法使いらしいんだけど……ほんとはナイショじゃないといけないみたいなんだけど…………」

 

「なのはは嘘つけないからねぇ」

 

 

 なのはは頬を掻きながら困ったように頷いき、説明を始めた。

 曰く、昨日のフェレットは異世界の魔法使いで、事故によってばらまかれた21個の魔法の宝石・ジュエルシードを集めるためにやって来たという。

 

 

「それでピンチになって、助けを呼んだってことね」

 

「……僕たち寝てたから夢でそれを見たってことかな?」

 

「うん。それでね、ユーノくんがこれからも一人で集めるっていってるんだけど、私、ユーノくんのお手伝いがしたくて……」

 

「なるほど……」

 

 

 

 説明を聞いた4人は少し考えると顔を会わせる。だいたい同じことを考えていたようで、それを確認すると、代表してアリサが口を開いた。

 

 

「それ、私たちにも一枚噛ませなさいよ」

 

「えぇっ、危ないかもしれないんだよ?」

 

「なのはちゃんはそれでも、お手伝いしたいんでしょ? 私たちも一緒だよ」

 

「それを言われてしまいますと弱いんですがぁ……」

 

 

 すずかの言葉に、ぐうの音も出せなくなるなのは。

 

 

「もともと私たちも近いことする予定だったし、探すくらいまでならできるしね。」

 

「ビラ配りとかもできるできるよ」

 

「あうあう」

 

 

 反論が浮かぶ前に隙を潰され、外堀からだんだんと埋められる。最終的に出した結論は……

 

 

「ゆ、ユーノくんに聞いてからなの」

 

「逃げたわね」

「逃げたね」

 

 

 こうして、放課後に高町家に一旦寄ることになったのであった。

 しかし、話はそううまくいくとは限らないのである。

 

 

 

 

 

「あれ?」

 

「どうしたの?」

 

 

 放課後、既にアリサのお迎えには連絡をしており、一旦すずかの家に寄る。そしてそこから次に近い栗武家に向かっている途中であった。なのはが不思議な反応をしたのだった。

 

 

「ジュエルシードが発動したみたいなの」

 

 

「どこで発動したの?」

 

「こっちの方の上の方。一旦ユーノくんも来るって。」

 

 

 そう言うと、なのは走り出した。それにつられ、みんな走っていく。

 

 

「……もしかしてさ」

 

「……こっちって……」

 

 

 

 

 一旦なのはが階段の前で止まる。その階段は山に作られた階段で、その先は神社がある。近所の子供たちはそこを神社の山といったりしている。

 家を抜け出してきたユーノと合流し、階段を上り始める。

 

 

「ここ、昨日来た場所だ」

 

「昨日の場所で、夢のフェレット……そうよ、昨日の夢はこれを予言してたのよ」

 

「言ってる場合じゃないでしょっ! それに違うのも確認済みなんでしょ!」

 

 

 階段を上った先には気絶して倒れている女性と、犬型の大型生物がいた。ジュエルシードの暴走体である。

 

 

「原生生物がジュエルシードを取り込んでる……実体がある分昨日のより強くなってるよ、気を付けて」

 

「解った」

 

「私たちはあの女の人安全なところに運ぶわよ」

 

「「「うん」」」

 

 

 アリサの号令に、なのは以外の4人で気絶している女性のもとに向かうが……

 

 

「じゃあ、レイジンクハートの起動を」

 

「きどう……ってなんだったっけ」

 

「えぇ!? 昨日の、『我、使命を』から始まる……」

 

「そんな長いの覚えきれないよぉ」

 

 

 肝心のなのはが動けないでいた。そこに暴走体が飛びかかる。

 その時、なのはが手にした宝石が光だし、杖となる。そして、なのはの姿が制服から、また別の服白い服となった。

 そしてバリアのような魔法・プロテクションによって身を守る。その衝撃により階段の少し下の方へと弾き飛ばされるものの、なのは自身は無傷であった。

 

 

「変身した」

 

「こっちが安全になっちゃったね……」

 

「この人も怪我ないみたいだし、ビックリしただけ?」

 

「……今の……もしかして……」

 

「どしたの、アリサちゃん?」

 

 

 女性の元に来た4人は女性を運ぶ前に暴走体が離れたため、一旦様子を見ることにする。

 そして、もう一度暴走体が飛びかかろうとしたその時だった。

 

 

「待て!」

 

 

 大きな声によって暴走体は止まる。その大声によってその場にいた全員が驚く。

 いや、一人だけ、驚いていない人物がいた。

 

 

 声の主、アリサである。

 そして彼女は暴走体に一歩ずつ近寄っていった。

 

 

「あ、アリサちゃん、アブナイよ?」

 

「任せて」

 

 

 皆が心配する中、アリサはそういうと、暴走体に密接し……頭をなで始めた。

 すると、暴走体はアリサに頬擦りをしはじめた。

 

 

「この子、たぶん遊びたかっただけなのよ」

 

「ずごい……」

 

 

 アリサの家はたくさんの犬を飼っている。それにより養われた観察眼が、元々犬である暴走体の意図を読み取ったのであった。

 

 

「じゃれつくにも加減がわからなかっただけなのよ」

 

「それ、私じゃなかったら危なかったけどね」

 

 

 それからしばらくはその5人と2匹で遊んでいた。

 しばらくすると、気絶していた女性が起きる。

 目に入った光景は、巨大な怪犬と子供達がじゃれあっている様子。そんな様子を見て気付く。

 

 

「レノ?」

 

 

 自らが飼っている、子供好きだった犬の名前を呼ぶと、その怪犬は一鳴きしてこちらによってくる。そして顔を舐め始めるのであった。

 

 

「なんだ、レノだったの……ビックリしたじゃない、急に大きくなっちゃって。立派になったわね……」

 

 

 そう言いながら彼女は怪犬を撫でる。

 

 それに満足したのか、怪犬は気持ちよさそうにたくさんある眼を全て閉じると、小さな犬と宝石に別れるのであった。

 

 

 

 

「どうして、封印してないのに別れたのかな?」

 

「たぶん、もっと誉められたいって願いで発動させて、それが叶ったから離れたのかな……封印するしか手はないと思ってたよ」

 

 

 あの後、女性と別れ、結局神社で解散となった。アリサはユーノに軽く注意されたものの、結局ジュエルシード探しの手伝いはOKとなった。

 

 

「最初、みんなが手伝ってくれるのは嬉しかったんだけど、巻き込んじゃっていいのかなって思ってたの」

 

「僕も同じ気持ちだったんだよ」

 

「……そうだよね。ごめんねユーノくん、わがままいっちゃって。でも、やっぱり見て見ないふりはできないから」

 

「うん。ありがとう、なのは」

 

 

 そして、大分遅くなってしまったので、少し慌てながら家に帰り、ドアを開ける。母親の桃子しかいない時間帯のはずだが、心配かけるものは心配かけるのだ。

 

 

「ただいま」

 

「おかえり。魔法少女のお仕事お疲れさま」

 

「ありがとう……え?」

 

 

 

 

 

「そういえば、魔法少女だってお母さんにいっちゃってたね」

「そういえば、その事で桃子さんに電話してたね」




 説明パートはざっくり。これを読んでくださっているってことはだいたい知ってると思いますので

 バトルパート。すぐ なのはさんの活躍は削られますが、少しでも優しい世界になってくれたらなぁと思ってます。

 シュークリームの出番なし。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。