東方地霊殿 〜Terrene Animism.【完結】 作:LOORUME
相変わらず開始直後は誰視点なのかわからないスタイル。会話中心です。
「ふむ、成る程なぁ。そんなことがあったのか」
「そうだよ! あれ?珍しく旧地獄に居なかったの?」
彼に、夜霧さんに昨日の事件について話していた。
というかそれより、珍しい。彼なら、いつも酒転道路で呑んで入り浸っていてもおかしくはない。
「なんで昨日に限って来てなかったの?」
「何というか、虫の知らせって奴かな?そういう事がたまに有るだろ?キスメ」
「えぇっ。『虫の知らせ』!?よくわからないけど恰好いい!」
「あぁ……そうか」
あっ、この表情は私のこと馬鹿にしてるっていう顔だ。何故だかは良くわからないけど馬鹿だと思うのは良くないよ。何故だかわからないけど。
「で、こいしちゃんが能力をきった後、どうなったんだ?」
「私の友達の使ってた桶が動きだして、私嬉しくなって一緒に踊ってたんだけど、いきなり止まっちゃって
…」
「ふむ、本当に能力の行使をやめた訳だな。んで、異変って何が面白いんだ?」
「えっ。こいしちゃんが異変起こしたとか、面白いじゃん!」
「そうだが、しかしオチがないと面白くない」
面白さを求めちゃうのか、異変に。まぁそういう側面もないこともないけどさぁ。んー。
必死に異変の面白さを伝えようとしている時に、同居人が帰ってきた。
「たっだいまー。ってあれま、夜霧さん。珍しいじゃん、うちに来るなんて」
「ふむ、事情を聴こうとしたら丁度いい所に現れたからね、お邪魔させてもらったんだ」
「そ、じゃあどうぞごゆっくり。あ、お茶出すかい?キスメの事だろうから出してないでしょ」
「ご明察。だけどお構いなく。一杯だけで良いよ」
なんじゃそりゃ、と言って台所に向かうヤマメちゃん。たぶん私の分もいれてくれるはず。きっと、そう信じている。
―――ことり、ことり、ことり。
3つのお茶がテーブルの上に置かれ、ヤマメちゃんも2つ席が空いているうちの1席に座った。
やっぱり、私の分もいれてくれた。ばんざい。
「――で、どこまで話したんだい?」
「あら、話したがりなのね」
「そら、昨日みたいな稀有な体験をしたら自慢もしたくなるさ」
「なるほど、それで出掛けていたんだな」
「まあね。で、どこまで?」
「あぁ、こいしちゃんが能力を解除した所までだよ」
「その後の事は知らないの?キスメ」
「うん」
ふむ、と呟いて説明の準備を始めるヤマメちゃん。彼女は、ゆっくりと口を開く。
◯ ◯ ◯
これは、こいしが能力を解除する瞬間を見たやつの話だよ。私が信用する奴だから見たっていうのは嘘じゃない。たぶんね。
こいしはその時、姉のさとりと一緒に居た。何か論争していたみたいだけど、たぶんさとりが説得に成功したらしい。で、その直後にこいしが能力を解除した、と。
あぁ、その瞬間、ちょっとさとりがビクっと手を差し伸べようとしたのが気にかかったらしいな。
ん?で?ってせっかちだねぇ。
その後、意識を宿らせる、それも大量の物質にやったわけだからこいしは精神を少なからず摩耗してしまった。だから気絶してしまったのさ。
さとりはペットを呼んでこいしを運んだけど、彼女は今も地霊殿で眠ったままらしい。
まぁ、妖怪だしほっとけば治ると思うけど、如何せん精神的な問題だ。命にかかわる、いや消滅するかもしれない、だってさ。
あぁ、この情報元は勇儀だよ。あいつも心配して地霊殿についっていたらしい。さて、どうなるのかはわからないが、見守るかねぇ。
◯ ◯ ◯
「そうか…そんなことが」
「気になるなら、お見舞いに行ってみれば?あんたも役に立てるかもよ?」
「だな。じゃあ今から行ってくるわ。またな、キスメ」
「うん、ばいばい!」
――ギィィ、
――バタン。
たったっと外を駆けて行く音。
「ねぇ、ヤマメちゃん」
「んー?」
「お見舞いって、それ以上の働きをしちゃうに決まってるでしょ、夜霧さんなら」
「わざとわざと」
くつくつと笑うヤマメちゃん。つられて私も笑っちゃう。お主も、悪よのう。
次の更新はいつになるかわかりませんが、気長にお待ちしていただければ幸いです。
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