東方地霊殿 〜Terrene Animism.【完結】   作:LOORUME

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話のテンポが早すぎます。やっぱり、いそいで書くといけませんね。


5話目

「さとりさま。お客様です」

 

お燐がドアも叩かず入ってきた。一体どうしたと言うのだ。

すると、何も言わず出て行った。なんだったんだろう。さとりの方を見ると、どうやら心を読んだらしい。

 

そしてその表情を鑑みるに、少なくともこの状況の助けになる存在だな。

 

この状況。今は地霊殿の一室で、二人でベッドに臨んでいる。あたしと、さとりだ。

ベッドで眠っているのは、こいし。昏睡してるとも言える。

 

今度はドアのノック音がした。入ってきたのは尾反夜霧だ。

 

 

 

「こいしは、大丈夫なのか?」

「大丈夫とは言えないさね。少なくとも、妖怪であれば丈夫ではあるはずなんだけど」

「勇儀さん、変な言葉遊びをしている場合じゃないんです。こいしは今、昏睡状態です。ええ、驚く気持ちもわかりますよ」

「もうちょっと、詳しく教えてくれ」

「はあ。えぇと、大体はあなたがヤマメさんから聞いたことで全部なんですが───いえ、言うべき事がまだ少しありますね」

「なんだ?」

 

ふむ、ヤマメに言ったことを言いふらされたか。まあいい、夜霧なら信用できるし。あ、でもキスメはどうだろう。

 

「こいしはこのままであれば、ほぼ確実に、妖怪として消失するでしょう。

 

あなたの知っての通り、妖怪とは精神に依存する存在、という事は知っているかと思います。

 

ですが、こいしは長時間、それも膨大に能力を使った。それによって妖力の源である精神が削り取られてしまったのです。

 

先ほど、病気として対処すれば治るのでは無いか、と思いましてヤマメさんを呼びました。でも効果はありませんでした。

 

対処法は無いのか、と思いまして心を読んだんですが、こいしの心は無。

皮肉にも、故意識を操れる彼女が無意識になってしまったのです」

「ん…? お姉ちゃん? 何を話してるの?」

 

「!!」

 

驚いた。まさかこいしが意識を取り戻すとは。

夜霧を見るといかにも、してやったり、という顔をしていた。彼の能力によるものらしい。

でも、どうやったんだ?

 

「よ、夜霧さん。どうやったんですか」

「なあに。簡単に、さ」

「教えてください!」

「じゃ、お見舞いも終わったし俺は帰るぞ」

「待って!あっ」

 

足早に立ち去ってゆく夜霧。よほどお礼を言われたくなかったらしい。そこまでいくと完全に薄情者だぞ。治したけど。

 

「行っちまったな」

「そうですね。今度、お礼をちゃんと言わないとですね」

「いや、宴会のついでに言えば良いじゃないか」

「またお酒ですか」

「はは。でもさ、さとり」

「なんです?」

 

私が言わなくともわかってるくせに。まぁ言いけど。

 

「───なんで夜霧の心を読んで、どうやったのか聞き出さなかったんだ?」

「それは」

 

一息ついて、また始めから言う。

 

「それは、心を読めないからです」

「え?」

 

心が読めなかった?

 

「さっき、心を読んでたじゃないか」

「いえ、あれは──」

 

「お姉ちゃーん、放置しないでよー」

「あぁ、ごめんねこいし」

「あの後、何があったの?」

「それはね、あなたが気絶しちゃって、それで──」

 

ゆっくりとドアを閉じ、室外に出る。

姉妹の時間を邪魔しちゃ悪いし、人の家に長くいるってのも悪い。

 

廊下を歩きながら考える。

どうして夜霧は、さとりの能力を無効化できたんだ?能力に干渉するような能力なのか。

 

エントランスに向かう。

能力干渉系の能力ならば、かなり厄介な存在だ。例えば八雲の紫みたいに。

そして仮に無効化する程度の能力とかであったら、それはもう幻想郷を統べられるくらいだろう。

 

ドアを開き、外に出る。

でもどうだろう。妖怪では無いが、能力もそれなりに人格に影響されるものだ。相手を無力化させるとか、アイツの性格に合っていない気がする。

 

私の住んでいる所に向かって歩き出す。

何にせよ、今度聞いてみればいい。夜霧か、それこそさとりにでも。

 

何が起こったかはしらないが、夜霧が何かやったということは分かる。また、飲み潰させて聞き出すか。

 

家への足取りは軽い。

 

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