東方地霊殿 〜Terrene Animism.【完結】   作:LOORUME

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今回は結構上手く書けたんじゃ?って思っちゃってみたり。茶番あり。


7話目

こいしの起こした異変。それは『故意識異変』と呼ばれる事になった。

 

八百万の神でもない物が突如として動きだし、陽気に騒ぐ異変。それは古明地こいしの能力によるものであった。

 

事態は無事収拾し、姉・古明地さとりによって解決した。

先日まで、精神の激しい消耗により昏睡状態に陥っていたこいしだが、恐らく尾反夜霧の能力によって復帰した。

 

こうして異変は、少々の破損物以外は被害を出さず、終わっていった。

 

異変が終われば、当然のように宴会が始まる。

そう、今日は宴会なのだ。開催場所は夜霧さんの家で、恐らく鬼や妖怪が大勢人里に押しかけることにはなるが、問題は起こらないだろう。

そう願っている。

 

 

我らが旧都宴会団一行は、だいたいメンバーは二十人くらいであった。

さとり、お空、お燐、キスメ、勇儀、パルスィ、夜霧さん、萃香、数名の鬼、そして異変の犯人、こいしだ。

あ、それと私、ヤマメもだ。

 

一行はなぜか飛ばずに人里に向かう。練り歩くという表現がしっくり来るだろうか。

 

「あたしら全員、夜霧の家に入るかね?」

 

と、勇儀がたずね、夜霧さんが答える。

 

「入るだろ。やけにあそこの家は大きいからな。見たことあるだろ?」

「ふむ、ならいいんだけど」

 

勇儀は夜霧さんの家を見たことがあるらしい。大方、彼が酔ったから運んでやったとか、そんな感じだろう。

 

夏が終わり、葉が染まりはじめるこの時期が私はなんとも好きなのだ。青い自分が熟していく、みたいな感覚とでも言おうか。

 

緑と黄色と赤が混ざった木々を抜け、一行は人里へと向かった。

 

 

 

○○○

 

 

 

尾反宅に到着。途中、上白沢に引きとめられたり、一悶着あったが、到着した。

 

家の前に並び、何故か各々ポージングしている。酒や盃、鍋の材料や鍋自体をそれぞれ持った状態で。面白そうなので私もやってる。

 

「番号!」

 

夜霧さんの掛け声だ。

 

「一!酒持ち萃香!」

「二ッ!盃の勇儀!」

「サン、た、玉ねぎさとり!」

目に染みそうだ。

「よん!鍋背負いキスメ!」

桶の中に入った状態で鍋を背負うって辛いんじゃないの。

「五!にくにくお燐!」

嫌な予感がするけど、夜霧さんにだけは怪しい肉を食べさせないでね。

「六、野菜持ち夜霧!」

「ななぁ!うにゅー・くりあ・ふーぞん、お空!」

危なそう。もしそうなったら私の能力で治すけど。

「八、しらたきパルスィ」

マロ○ーじゃないのね。

「⑨!あたい、鍋を凍らすチルノ!」

やめなさい、台無しじゃない。チルノは、さっき人里に向かっている時に合流した。

「十、十一、十二!全部平らげ霊夢と魔理沙と幽々子!」

帰ってもらいなさい。

 

 

そんな感じで、集まった全員で不可思議な茶番が続いた。合流した人も含め、三十人目。

 

「二十九、三十!鍋奉行のヤマメとこいし!」

 

決まった。かなり間延びしたけど決まった。奇怪な儀式を終えた一行は、漸く家の中に入ることが許された。

 

ハイタッチや喜びの声が聞きながら、私達は家の中にお邪魔した。

 

 

 

○○○

 

 

 

宴会の準備を進めながら、パルスィが呟く。

 

「へえ、広いのね」

「そうだ。何故かな」

 

問い掛けともとれる返事に、さとりが推測する。

 

「わかりませんが、阿求さんが外来人だからと優遇し、良い家を手配したのでは?」

「いや、あの人はそういう人でも無い気がするんだがな」

 

私は会った事ないが、阿求さんとやらはだいぶ好奇心が強い人らしい。でも、分別はちゃんとつけているのかな?わからない。

 

隣の会話に耳を傾けていると、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら近づいてくるキスメが話しかけてきた。

 

「ヤマメちゃん、ヤマメちゃん」

 

ぺんぽこ、ぺんぽこ、と桶が鳴っている。どういう構造だ。

 

「なぁに?」

「賑やかじゃない?こんなの、地霊異変の解決した時以来だよね?」

 

地霊異変。まだ旧地獄とその外で出入りすることが禁止されてはいなくとも、いい顔はされなかった時の話だ。

山の神がお空に八咫烏の力を与え、何故か世界征服をしようとしたあの異変だ。ああ、お燐が地霊をばらまいた事もあったっけか。それから、もう5年くらいは経っただろうか。

 

「そうだね。これからもこんな賑やかになるといいねぇ」

「だね!」

 

まだ宴が始まってさえいないのにこの賑やかさ。すこし喧しい。

でも、これは盛り上がることを保証されたも同然だった。

 

 

 

○ ○ ○

 ○ ○ ○

 

 

 

「さとり!」

 

ノックをせずに、その上蹴破って私の部屋に入ってきたのは勇儀だ。

全く、お燐といい、勇儀といい。

 

「…なんですか」

 

すこしぶっきらぼうに言ってみる。心を読むこともできるが、あえて言わせる。

 

「夜霧の行方がわかったんだ!」

「!」

 

二ヶ月くらい前だろうか、つまり宴会の直後に彼は突如として旧地獄に訪れなくなった。

最初の一、二週間は体調を崩したのだろうと高を括っていた。だが来なくなってから一ヶ月ほど経つと、勇儀やパルスィが、さすがにおかしいと私に言い出した。

彼も人間だから、飽きたのだろうと宥めたが彼女らは断固として納得せず、渋々私を始めとする数人で夜霧さんに会いに行く事にした。

だが、家に彼は居らず、既に退居したと慧音さんが言っていた。しかし彼女も行方は知らず、そのまま今に至るという訳だ。

 

「ど、どこに!?」

「あーいや、やっぱ言うほど緊急性は無いから、落ち着いてくれ」

「なんですか、もう。ドア弁償してくださいね」

「あいよ。今度お燐に渡しておくよ。あ、それからさとり」

「なんですか」

「今から、あたしの心を読むな。これは交渉だ」

 

…私が心を読んだところで、私にマイナスがあるわけでもない。でも逆に、心を読まなかったとしてもマイナスが無いから、いいでしょう。

 

「わかりました。して、交渉とは?」

「うん、夜霧の事なんだがな。あいつの居場所を教える代わりに、どうやってあいつと会ったのか、教えてくれ」

「…まあ、いいですよ。今更、隠す必要も無いですからね」

「隠す?」

「はい。これは地霊殿にいる、つまりお燐とこいしだけが知っています。お空はたぶん忘れているでしょう」

「ふむ。じゃあ、教えてくれ」

 

 

 

○ ○ ○

 

 

 

これは、まだ地霊異変が解決して間もない頃。宴会の後日の話です────

 




(誤字訂正 『7年』→『5年』)
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