博麗霊夢の妹になっていました 作:冷水
プロローグ
「お姉ちゃん……」
少女が物心着く頃には、前世の記憶があった。それに悩みもしたけど、一番最初に思ったのは、姉が霊夢で驚いたことだった。
「ん……なに?」
少女二人、露頭に迷っていた。霊夢がまだ「博麗」を名乗る前、幼い姉妹は捨てられ、森の中を彷徨っていた。
二人が歩いているのは妖怪が出ると言われている森で、口減らしとして捨てられた為に、森の中を歩いていた。
近年の幻想郷では滅多に人が襲われることはなくなったものの、人の住む領域を出て歩いていれば、妖怪に食われることもあった。心細いながらも霊夢は怖いという表情を見せずに、今夜過ごせそうな場所を目で追って探している。
少女が前世を思い出したのはこの頃で、気づくと姉に手を引きかれながら歩いていた。見上げる姉の顔が、心なしか寂しげだったことを覚えている。その時は、引かれる手を強く握り返して、姉を安心させようとしたことを覚えている。
---
しばらく歩いていると、霊夢は突如立ち止まった。この頃から勘がよくて、その事が原因で両親や周囲から不気味に思われる事がよくあった。
「美奈、静かに」
霊夢は妹の”美奈”を抱きしめると、そっと木陰に体をうずめて身を隠す。霊夢は近くに妖怪のいそうな気がして、危険を察知して妹をかばっていた。
美奈と呼ばれた少女は、息を殺して姉である霊夢の言うとおりに静かにしていた。姉の心臓の鼓動が聞こえてきて、緊張している事が理解できた。
---
「そこのお嬢さんたち、隠れなくてもいいのよ」
そう言って空間が裂け、姉妹の真横から金髪の女性が顔を出してきた。それは紛れもなく、八雲紫という妖怪だった。
「……!」
美奈は思わず声を上げ、霊夢は咄嗟に手を振って追い払おうとする。
その様子を見ていた八雲紫は、やはり己の目に狂いはなかったという感慨を得ながらも、どう説得しようか考えている。
開いたスキマからは、おびただしい量の瞳が覗いており、そこからあふれる妖気が人間の少女達に死の気配を感じさせていた。
「落ち着きなさい。取って食ったりしないから」
胡散臭い表情で、姉妹に語りかけてくる妖怪。霊夢は美奈をかばうような体勢のまま、視線だけを妖怪の方へ向けていた。
「そこのあなた」
霊夢を指さし、そして告げる。
「博麗の巫女になりなさい」
美奈はこの時、博麗の巫女が指名される瞬間を目の当たりにした。霊夢に抱きかかえられたまま恐々としつつも、場違いにも嬉しさを感じていた。
---
美奈は、前世を覚えている。それも、東方Projectという作品の事も知っている。
前世ではひきこもり気味で、コミュニケーションが苦手な普通の高校生だった。友達は一人も居なくて部活にも所属せず、趣味は漫画やゲームという少女だった。
その中でも特に「東方Project」という作品が好きで、飽きずに漫画や動画、二次創作の類を楽しんでいた。
いつの間にか、自分は霊夢の妹に転生したらしい。
まず霊夢に妹がいるという事実にも驚いている。それは原作には出てこないし、推測だが美奈自身がこの世界にとって異質なのだろうとも思う。
そして、転生したと言うことは、自分は死んでしまったのだろうかとも考えてもいる。しかし、前世の名前や、転生する直前の記憶は存在していて、死んだ時の記憶だけが全く存在しない。
もしかしたら、これは夢なのかと疑っていたが、目が覚める気配などなく、夢でもなさそうだった。
「お姉ちゃん、お疲れ様」
博麗の巫女の修行をしている霊夢に、丁度休憩の時間になった頃、美奈は手ぬぐいを渡す。
「ありがと」
軽くはにかみながらもそれを受け取る霊夢は、凛とした表情で幼いながらも美少女だった。
そんな姉の姿を眩しく思いながらも、同じように微笑みを返し、このゆったりとして幸せなひと時を過ごしていた。
「さあ、続きを始めるわよ」
遠くで、八雲紫が呼ぶ声がした。あの時はいったいどうなるかと思っていたが、結局は姉妹二人、博麗神社で生活をしていた。
「それじゃ、行ってくるわね」
そう言って去っていく姉の姿を、美奈は見送りながら声をかける。
「頑張ってね、お姉ちゃん」
血のつながった姉妹であるのに、霊夢と違って美奈には何の力もなかった。。
強いて言えば影が薄く、人の視線や気配に敏感で、おどおどしてしまうくらい。
どこまでも普通で、むしろ駄目だと言えるくらいの少女は、幻想郷でどのように過ごすのか。
この物語は、美奈と霊夢、そして妖怪達との日常を描く物語である。
==作者のつぶやき==
どうも初めまして、こんにちは、こんばんは、おはようございます。
冷水と申します。
最近、マイページとリンクしようかと考え始めながら、この「冷水」が設定できないので、やはり諦めています。
活動報告で、アンケートとかやってみたいなと思いつつ、良い方法が思いつきません。
文章練習も入っているので、読みにくかったらすみません。