「ああ、クソッ!」
俺はゲーセンにて格ゲーをしているのだが、最高難易度でやってるのでボロクソにされている。
ぶっちゃけゲーマーってレベルじゃないからな。そこそこってレベルだ。
飽きたのでゲームセンターから出る。今日は珍しく負け越しだちくしょう。
「やめだやめ。久々にやってみたらこれだよ」
〈ストラトスさんに言われた範囲、そろそろやりましょうよ……〉
「やだ、めんどいし。それにストラトスって誰?」
〈…………アイさんです〉
ああ、アイちゃんね。
「ていうか範囲ってどこら辺だっけ?」
「数学と英単語です」
「ああ、そうだったな――え?」
「奇遇ですね、イツキさん」
「アイちゃぁん!?」
いつからいたんだお前!?
「き、奇遇だねアイちゃん」
「ところでイツキさん。聞き捨てならない台詞が聞こえたのですが……?」
「さあ……なんだろうねー?」
「めんどいと聞こえたのですが――」
ダッ(身を翻す俺)
ガッ(その肩を掴むアイちゃん)
「私からは逃げられません」
「なぜだぁ!?」
ホントになぜだ。アイちゃんから逃げることができない。
もしかしてコイツ、未来からやってきた暗殺ロボットか?
「さあ、今ならまだ間に合います! 早く行きましょう!」
「いや何が!? 言ってることがまるでわからないんだけど!?」
わかる奴がいるならぜひ教えてくれ。
「もちろん――」
「はいはい。どうせ勉強だろ?」
「――お手合わせですっ!」
「待て! どうしたら今の流れから戦うことになるんだ!?」
なにコイツ、前から思ってたけどもしかしてバトルジャンキー?
「アイちゃんってバトルジャンキー?」
「違います。私はただ、本気のイツキさんとお手合わせしたいだけです」
「お断りだね。第一、やる理由がねえだろ」
「あります」
「なんだよ?」
「模擬戦の続きです。決着はまだ着いていません」
まだ根に持ってんのかよコイツ。俺なんかとっくの昔に忘れていたぞ。
ていうかそういうのマジ勘弁してくれ。普通にめんどくせえから。
とはいえ、仮にここではぐらかしたとしてもまた迫られるだけだしなぁ。
「前にやったスパーで俺が勝った。あれも確か模擬戦の続きだったはずだ。だからもうおしまいだろ」
「確かに勝ったのはイツキさんです。ですが私には勝ったというより逃げたように見えました」
あれ? 普通にバレてる?
「ですから、今度こそ逃げずに正面から戦ってほしいんです」
「…………」
「それとも、私に負けるのが怖いんですか?」
「……なんだと?」
「理由はどうであれ、逃げているのが何よりの証拠です」
まさかそうくるとは思わなかった。
そっかそっか、確かにそういう風に思われても不思議じゃなかったなぁ。
「……………………そこまで言われちゃあ黙ってらんねえな」
「……受けてくれるんですか?」
「ああ、受けてやるよ。その代わり――」
俺は一旦言葉を句切り、アイちゃんにはっきりと告げる。
「俺が勝ったら二度と指図すんな」
「………………わかりました」
という感じでアイちゃんと戦うことになった。場所はアイちゃんが勝手に用意してくれるだろう。
「えー、そんなわけでアイちゃんとやることになりました」
「だからなに? どうでもいいんだけど」
家に帰宅し、今回の件をスミ姉に伝えたが見事に一蹴されてしまった。
マジかよ。少しは興味を持ってくれると思ってたのに。
「だからなんだつってんだよ。テメエが勝手に買ったケンカだろうが」
「まあ、そりゃそうなんだけど――」
大丈夫、スミ姉ならわかってくれる。
「――観に来てほしいんだよ」
「めんどくせえからやだ」
やっぱりダメだったか。
まあ、ここでオーケーされても慌てるしかなかったからな。
「ま、伝えることは伝えたから」
「ゴム買っとけよ」
「……は?」
あんたは何を言っているんだ。
「輪ゴムだよ、輪ゴム」
「更正し過ぎて頭がおかしくなったか?」
「殺すぞ」
「サーセン。マジサーセン」
このあと朝まで精神統一をしたよ。せっかく徹夜したんだ、最大限の実力を出せるようにしねえとな。
それにしてもケンカか……ホントに懐かしく感じるな。
あとは場所だけだ。なんとかしてくれよ、アイちゃん……!
《今回のNG》TAKE 3
「ま、伝えることは伝えたから」
「ガム買っとけよ」
「……は?」
なんでガム?